著者
金澤 潤一郎 榎本 恭介 鈴木 郁弥 荒井 弘和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.47-51, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
9

大学生アスリートを対象としてADHD症状と海外で最も研究が進んでいる脳震盪経験との関連について検討した. その結果, 第一にADHD症状が陽性となった大学生アスリートは27.9%であった. 第二にADHD症状がスクリーニング調査によって陽性となった場合, 脳震盪経験が高まることが示された (β=0.25, p<0.05). これらの結果から, スポーツ領域においても脳震盪の予防や対応の観点からコーチやアスリート支援をしている心理士などに対してADHDについての知識の普及が必要となる. さらに大学生アスリートは学生であることから, 脳震盪からの復帰の際には, 競技面と学業面の両側面からの段階的復帰を考慮する必要がある.
著者
金子 洋之
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.21-35, 2001-05-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
16

It is often said that Brouwer's views on language were extremely solipsistic so that there was noting to learn from him about language. It is true that he held the impossibility in principle of communication. But in some of his works, especially in Brouwer [1929], he presents important insights into language. I would like to insist that Brouwer presents two conceptions of language there-communication-based conception and one that makes semantic analysis possible-and that he criticizes the latter because of the excessive productivity of language. I will also show how such an interpretation of his works is possible in his whole philosophy and what this interpretation brings in our understanding of the foundational debate.

3 0 0 0 OA 小帯切除術

著者
金子 忠良 豊田 潤 近津 大地
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.25-32, 2011-06-25 (Released:2014-07-18)
参考文献数
25
被引用文献数
2

There are two primary locations in the mouth where frenula are identified; lip frenula and cheek frenula exist in the oral vesitibule and a lingual frenulum exists in the oral cavity proper. All frenula appear as a ruffle or fold of the mucous membrane.   Few disturbances originate in a morphological abnormality; almost all originate in a malpositioning of the adhesion, and present various symptoms. In cases where abnormal adhesion of the frenulum causes oral problems and treatment is needed, age seems to be an important factor. Ankyloglossia causes breastfeeding difficulties, articulation disorders, pronunciation disorders, and chewing and swallowing difficulties in the infant and young child. An abnormal cheek frenulum, which influences oral hygiene, can lead to gingivitis and periodontitis in young and middle-aged people. An abnormal cheek frenulum interferes with the stability of dentures when teeth are lost in old age; it makes it difficult to set them properly.  Because there seem to be many abnormalities in the lingual frenulum and the upper lip frenulum of infants and young children, we focused on assessment, diagnosis and surgical procedures (frenectomy) for both types of abnormality.
著者
黄金井 康巳
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.11-18, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
鈴木 啓生 大浦 一雅 山原 可奈子 金 正門 田口 啓太 高橋 海 高橋 健太 岩岡 和博 前田 哲也
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.191-204, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
50

パーキンソン病における骨粗鬆症は骨折のリスクのため予防が重要である.骨代謝は性別,年齢,栄養状態や活動度に影響される.パーキンソン病は運動障害が主徴であり,これらを一致させた上で比較が必要だが,同様の検討はない.本研究は慢性期脳血管障害を疾患対照とし,骨密度と骨代謝マーカーを用いて病態を検討した.両群50例を前向きに登録した.パーキンソン病は骨密度低値,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値,血清総ホモシステイン高値,活性型ビタミンD低値であった.骨粗鬆症を有する両群間比較ではパーキンソン病は活性型ビタミンD低値であった.パーキンソン病で骨粗鬆症を有する群はない群より女性が多く,body mass index低値,臨床重症度高値,1型コラーゲン架橋N-テロペプチドと酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値であった.パーキンソン病の骨粗鬆症の病態には一般的リスクに加え骨吸収亢進とビタミンD関連骨形成不全,パーキンソン病自体の重症度の関与が示唆された.

3 0 0 0 OA [金春流謡本]

著者
金春七郎 著
出版者
江島伊兵衛
巻号頁・発行日
vol.(1) 高砂,田村,東北,桜川,野守, 1908
著者
宇都木 昭 田 允實 金 熹成
出版者
The Phonetic Society of Japan
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.30-42, 2008-08-30 (Released:2017-08-31)

日本語(東京方言)におけるダウンステップの存在が古くから指摘されている一方で,近年では韓国語(ソウル方言)にもそれに類する現象が存在するという指摘がある。これらの現象は,フォーカスによってリセットされるという点て共通する。本稿は,これらの現象とそれがリセットされた場合との間の離散性の有無について,それを解明することの理論的重要性を指摘するとともに,範躊知覚実験による解明の試みを報告するものである。実験の結果,どちらの言語に関しても典型的な範躊知覚の特徴は見出されなかった。これにはアクセントの影響や刺激音の自然度の影響という想定外の要因が混入したと考えられるため,離散性の有無に関して現時点で結論を下すのは困難であり,今後方法論の改善を要する。一方で,実験の主目的とは別の点て,いくつかの興味深い結果が得られた。これには,上述のアクセントや刺激音の自然度の実験結果への影響に加え,刺激音提示順の効果,および,F0ピークの役割に関する日本語と韓国語の差異が含まれる。
著者
金井 昌宏
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_48-2_58, 2020-06-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
59

科学技術基本法制定 (1995) 及び第1期科学技術基本計画策定 (1996) 以降,日本の産学連携諸活動は規模的な拡大基調が続いている.一方,第5期科学技術基本計画 (2016) では,日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に十分繋がっていないとして,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用が不十分である可能性が考えられる.本稿の目的は,産学間の共同研究成果の取扱いの問題を巡り,過去20年以上にわたり産学官各セクターから発信された提言を一種の「相互作用」として読み直すことにより,係る議論を経て形成されてきた実務が,現在の産学連携に及ぼす影響について考察することである.
著者
網谷 壮介 稲村 一隆 金 慧 斎藤 拓也
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.59-83, 2021-03-30

本稿は、2019年10月29日に早稲田大学政治経済学術院で開催された斎藤拓也『カントにおける倫理と政治:思考様式・市民社会・共和制』(晃洋書房、2019年7月30日)の書評会の記録である。書評会では、著者による内容紹介のあと、網谷、金、稲村の順で書評(コメントと質問)を発表し、その後著者が質問に応答し、最後に会場の参加者との質疑応答を行った。以下では当日とほぼ同じ内容を同じ順序で掲載し、全体で3時間30分以上に及んだ書評会での議論を紹介する(ただし、紙幅の都合上冒頭の著者による内容紹介は短縮し、最後の参加者との質疑応答は残念ながら割愛した)。
著者
等々力 正文 近谷 英昭 菊池 孝 保川 忍 金子 力
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.164-171, 1972-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

One of the most significant problems in automatic ticket examination is to check the validity of the route written on a ticket. This problem is due to the service regulation that a passenger with a season ticket can get on or off at any station en route as many times as he likes.The problem can be divided into three subproblems; (1) coding the railways network, (2) describing the route onto the ticket and (3) checking the validity of it. The item (1) and (2) are concerned with representing the route on the ticket with as little amount of information as possible, and the item (3) is concerned with realizing the judgement function of an apparatus as simply and as inexpensively as possible.We propose a method to examine the validity of the ticket by describing the route with line-sequence codes. Two kinds of tickets are treated with one mechanism. One is a season ticket and the other is an ordinary ticket for short distance passengers.Microprogramming technique is employed for the checking circuit of the apparatus. With the same algorithm, an automatic fare adjustment is possible.The distinctive features of the proposed method are(1) to cover the nationwide network, (2) to handle two kinds of tickets with one mechanism both in automatic ticket examination and in automatic fare adjustment, (3) to cope easily with alteration and(4) to be able to utilize the same machine at different stations.
著者
岩田 祐子 桑山 健次 辻川 健治 金森 達之 井上 博之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.221-231, 2014-03-05 (Released:2014-03-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

我が国で最も乱用されているmethamphetamineの塩酸塩について,押収されるまでの薬物の起源と履歴(原料,合成ルート,製造方法等)が反映されている薬物プロファイルを明らかにする薬物プロファイリングのこれまでの研究成果を報告する.アルカリ性下で有機溶媒を用いて微量成分を抽出しガスクロマトグラフィーを行う微量成分分析では,微量成分をよく検出・分離する条件を決定し,複数の内部標準物質を添加することにより,保持時間の補正精度を高めた.また,キャピラリー電気泳動法によるキラル分析では,覚醒剤や覚醒剤原料等のアンフェタミン型興奮剤9種を良好に分析する方法を確立し,methamphetamineに微量に含まれる原料ephedrine等もキラル分離して検出することが可能となった.さらに,methamphetamineの安定同位体比質量分析において,資料の関連性の評価基準を設定し,結晶ごとの測定の有効性を示した.各分析により,より詳細なプロファイルが得られ,異同識別や起源と履歴の推定に,より多くの情報が得られるようになっている.
著者
金澤 裕之
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-53, 2007

近年、主に話しことばで、例えば「多くの方が来ていただき…」というような、「○○(=相手)が△△していただく」という表現をよく耳にする。授受を表わす部分が「てくださる」ではないこの表現は、現在一般に「誤用」と考えられているが、使用場面の急速な広がりの背景には、これまでの言語ルールを超えた何らかの理由があるように感じられる。本稿では、話しことばの実際の用例において、「てくださる」と「ていただく」の両者が入り得る場面でも「ていただく」の方が遥かに高い割合で選択されていることを確認しつつ、そうした現象の背景にあるものとして、現代人の敬語意識における一つの心理的な傾向について考察し、併せて、複雑な体系を持つ日本語の授受表現における単純化の方向への一つの兆しが、こうした現象に現われているかもしれない可能性について言及する。
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, 2014-03

本論は、ゲイ向け雑誌『G-men』誌に掲載された官能小説(「野郎小説」)に頻出する9つの男性器表現を述語との共起関係から特徴づけることを目的とするものである。従来このような性に関する言葉は学術的に研究されることがほとんどなかった。本論では因子分析により3つの因子を抽出し、また階層的クラスター分析によって9つの表現の類似度を示すことに成功している。セクシュアリティと言葉の関わりという点から、これまでなされていない新たな研究の可能性が示唆されたと言える。This paper tries to analyze characteristics of nine male genital expressions which often appear in gay-targeted erotic novels by applying multivariate statistics. Based on the observation of cooccurrence between these genital expressions and their accompanying verbs, it will be claimed that factor analysis identified three factors, namely, Chimpo factor, Chinko factor and Inkei factor, which express "virility or toughness", "being embarrassed", and "organ" respectively. Also, principal component analysis reveals that "virility or toughness" is in the opposite end of "being embarrassed". Further, hierarchical cluster analysis will show us these nine expressions are grouped into three clusters. The academic discussion on these expressions is rare, so the analyses conducted in this paper contribute extensively to the study of sexuality-related expressions.この論文は「言語文化研究紀要」(22号2013年p21-40)に掲載された論文を査読し、「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.1, No.2(2014/3)に採択されたものである。