著者
梅邑 晃 遠藤 義洋 鈴木 雄 渋谷 俊介 渋谷 香織 梅邑 明子 谷村 武宏 北村 道彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.962-967, 2009 (Released:2009-10-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3

目的:切除不能悪性腫瘍に伴う上部消化管狭窄に対する胃空腸バイパス手術の直接成績や予後に関する報告は少ない.当科におけるバイパス手術症例について検討したので報告する.方法:1999年1月から2007年12月までにバイパス手術を施行した33症例について,背景因子,術後経口摂取開始日および経口摂取期間,術後生存期間,術後生存期間に影響を及ぼす因子について検討を行った.結果:平均年齢は69歳,男女比は19:14,疾患は胃癌が16例で最多であった.平均術後経口摂取開始日は7.2病日,経口摂取期間中央値は127日間,32例で術後5分粥以上を摂取できた.退院率は93.9%,50%生存期間は149日であった.術後生存期間は,術前全身合併症,貧血,低栄養,術後化学療法未施行の群で有意に低下した.結語:バイパス手術は,術後早期の経口摂取が可能で,切除不能悪性腫瘍患者のQOLの改善に大きく貢献する.ただし,全身合併症,貧血や低栄養などがある場合には適応を慎重に決定する必要がある.
著者
杉山 慶子 鈴木 雄一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.96, pp.97-102, 2006-09-15
参考文献数
19

現在の日本の映画産業においては、映画制作費の調達の大半を「製作委員会」方式が占めているが、米国では、より多様な出資者から資金を調達する方法として完成保証制度が普及している。本稿では、日米映画産業における映画制作費の調達方法について比較考察する。Seisaku iinkai is a major financing method for film producing costs in the current Japanese film industry. On the other hand, a "negative pick-up", a business method in which a completion bond is used, is one of the common financing methods for film producing costs in the United States. We compare financing methods for film producing costs between those in the United States and Japan.
著者
原田 隆之 鈴木 由夫 鈴木 雄介 小松 真一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0887, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】平成24年度に児童福祉法が改正され,児童発達支援・放課後等デイサービスが開始された。その中で,主たる対象を重症心身障がい児とする施設(以下,重症児デイ)は,定員5名の小規模が多数で,近年増加している医療的ケアの必要な子どもたちも受け入れ利用している。その為,重症児デイでは,一般の放課後等デイサービス(以下,放課後デイ)とは異なり,人員配置として,看護師・療法士・保育士・嘱託医の配置が義務付けられている。この様に,重症児デイ事業を開始するにはハードルが高く,利用希望者が多いにも関わらず,事業所が足りておらず,住み慣れた地域で通所サービスを受けられない現状がある。今回,全国重症児デイサービス・ネットワーク(以下,重症児デイネット)によって,重度の障がいを持った子どもたちの地域生活白書を発行したので,白書の紹介とともに,重症児デイの現状と問題点について検討した。【方法】2015年10~11月に,重症児デイネットに所属する事業者とそれらに関係する事業者と保護者に対して,アンケート調査を実施した。質問項目は,事象者アンケート23問,保護者アンケート25問とした。内容は,事業者に対しては職員配置,利用児の身体特性,サービス内容等について,保護者に対しては,お子さんの身体特性,利用しているサービス,重症児デイの利用状況・要望等について質問した。【結果】重症児が利用している全国の重症児デイおよび放課後デイ410ヵ所へ発送し,事業者アンケートに回答した210事業所のうち,データ対象となるのは重症児デイ121事業所とした。保護者アンケートでは,全国およそ400人の保護者へ配布し,215人から回答があった。事業者アンケートの回収率51.2%,保護者アンケートの回収率53.8%であった。アンケート結果から,専門職の配置状況では,療法士が不足していると答えた事業所が一番多かった。医療的ケアの内容では,経管栄養,吸引,てんかん発作時の処置(坐薬の投与等)の順で多かった。事業所のサービスや運営特長では,医療的ケア,リハビリテーションに力を入れている事業所が多かった。併設サービスについては,児童発達支援,生活介護が多かった。【結論】白書を通じて,重症児の身体特性,重症児デイの1日の流れ等について紹介し,重症児に関する認識を広めている。また,保護者のアンケート結果で事業所への要望として,医療的ケア,リハビリが多かったが,92.6%で医療的ケア,57.9%でリハビリテーションを特長としており,ある程度,対応できている可能性が考えられたが,療法士が不足している事業所は46.6%もあった。我々の先行研究(2016年)において,PT養成校の学生が重症児デイに療法士の配置が必要である事の認識はわずか14.7%しかなかった。今後,療法士の確保に向けて早くから情報を普及させていく必要性が考えられた。
著者
鈴木 雄大
出版者
専修大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

「反因果説に基づく反自然主義的な行為観の構築」という本研究プロジェクトの第3年目の本年度は、行為に関する「選言説」と呼ばれる立場を整理し、そのうちのあるバージョンを擁護することを主目標とした。行為に関する選言説は、行為にとって重要な三つの要素に関連して、三つの種類に分類される。その三つの要素とは、身体動作・意図・理由である。理由に関する選言説についてはすでに前年度に研究を進めたので、本年度の主な研究対象は身体動作の選言説と、意図の選言説であった。行為の反因果説に対立する因果説によれば、何らかの行為がなされるためには、ある身体動作が何らかの意図によって引き起こされたのではなければならない。この主張を導き出すために、意図の共通要素説と、身体動作の共通要素説が前提となる。意図の選言説と身体動作の選言説は、そうした前提をそれぞれ拒否することによって、因果説を導くことを防ぐ。まず身体動作の選言説に関しては、行為に関わる身体動作と、行為とは無関係な身体動作との間の比較が問題となり、身体動作の選言説は、二つの身体動作は同種のものではないと主張する。本研究は、身体動作の選言説を擁護するための理論構築を行い、その研究成果を、2016年6月6日に立正大学で開かれた国際ワークショップTaipei-Tokyo Workshop in Philosophyにおいて発表した。次に意図の選言説に関しては、行為へと実現した意図と、行為へと実現しなかった意図との間の比較が問題となり、意図の選言説は、二つの意図は同種のものではないと主張する。本研究は、意図の選言説を擁護するための理論構築を行い、その研究成果を、2016年11月26日に台湾の東呉大学で開かれた国際ワークショップSoochow International Workshop on “Knowledge and Action”において発表した。
著者
鈴木 雄一
雑誌
文学史研究 (ISSN:03899772)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.20-35, 1994-12
著者
岩船 昌起 鈴木 雄清 境 洋泉 木下 昌也
出版者
志學館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

体育学・医学等での身体活動に関する成果をスポーツ環境の評価に展開するため,"拍速"という運動効率の新指標を提唱した。拍速は,1拍当たりの移動距離(meter/beat)を示し,酸素脈や一回拍出量と関連する。本研究では,拍速を用いて自転車ロードレースでの"坂"の評価を試みた。実験道路(比高約200m平均勾配0.056)を上る場合,被験者の持久力に応じて約12〜30分かかる。拍速は,スタート直後に急激に減少し,約1〜2分で安定化する。拍速の平均値は,運動強度ごとに若干異なるが,被験者の持久力をほぼ反映する。また道路を急勾配と認める度合やペダルを踏み込む意識との相関が高く,坂の知覚の一面を指標する。一方,約5〜8分かかる下りでは,拍速は,カーブや急勾配でのブレーキによる速度制御のため,持久力よりも技術力と関連し,急勾配の認識や爽快・恐怖感との相関も高い。このように坂の知覚の過程は上りと下りで異なり,道路のアフォーダンスに起因すると思われる。また,上り下りだけでなく,コースの勾配・曲率や被験者の能力に応じた違いも拍速は定量化できる。「ツールドおきなわ市民200km」のコースで,移動地点ごとの拍速は,その地点と約30秒前の地点との相対比高と相関が高い。30秒での移動距離は,勾配や速度との関係から一般に上りで約50m,下りで約400mとなる。200kmコースでは,約70km以降の区間で上記の規模を超える上り下りが連続するため,上りで約50m,下りで約400m先までの勾配・曲率の変化を見越して走行を効率化することが持久力温存の鍵となる。また,約80〜90km区間と約145〜165km区間では,数100m規模の上り下りが周期的に繰り返すため,精神・技術的な素早い切り替えも要求される。ArcGISで上記の成果を基に,霧島市のサイクリングマップなどを作成した。近く大学のWebで公開する。
著者
鈴木 雄亮 金子 毅
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1029-1034, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

清涼飲料水中に混入されたパラコート(PQ)及びジクワット(DQ)の迅速・簡便な定性試験法を検討した.抽出にはピペットチップ型固相抽出デバイスであるOMIX® pipette tipを用いた.コーラ及びコーヒー飲料にPQ及びDQを添加した試料について,C18,C4及びSCXタイプのOMIX® pipette tipにより抽出を行った.C18及びC4タイプのものを用いて抽出されたPQ及びDQは,呈色試験及び液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により同定された.抽出に要した時間は,1検体あたり3分程度であった.SCXタイプのものを用いた場合は,PQ及びDQの回収に飽和食塩水を用いるため,LC/MSには不向きであるが,呈色反応による検出は可能であり,また,抽出操作もC18及びC4の場合と比較してより簡便であることから呈色試験によるスクリーニングには,非常に有用であると考えられた.
著者
高屋 快 鈴木 龍児 梅邑 明子 鈴木 雄 遠藤 義洋 北村 道彦
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2725-2728, 2008-10-25
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は76歳,男性.平成18年10月12日17時頃温泉のサウナ内で倒れているところを発見され救急車にて当院搬送された.来院時体温38.2℃,血圧126/70mmHg,脈拍147回/分,意識レベルJCS 300点,全身皮膚にI度熱傷あり.CT,MRIなどで意識障害の原因を検索したが明らかなものは認められなかった.全身管理目的にて当科入院となり2病日には意識レベル回復し経口摂取開始したが,3病日朝より39℃を超える発熱と意識障害(JCS 20~30点)をきたし,採血にてDICと判断し中心静脈カテーテルを留置しメシル酸ガベキサート持続静注を開始した.また肝機能障害も認めた.意識レベル,凝固能・肝機能はともに日数経過とともに改善認め,6病日より経口摂取開始,7病日にメシル酸ガベキサート投与中止し中心静脈カテーテルも抜去した.その後皮膚の所見も軽快し16病日に独歩退院となった.サウナによる熱中症に伴う意識障害の報告は散見されるが,本症は遅発性に意識障害,DIC,肝機能障害をきたしたもので,興味深い病態と考えられた.
著者
鈴木 雄仁 斎藤 英雄 小沢 慎治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2186-2193, 1997-08-25
被引用文献数
13

現在顔に関する研究がさまざまな分野において非常に重要になっている. これには画像中の顔領域のみを切り出す必要がある. しかし, 従来までの研究では, 任意背景の顔画像に対しては背景のエッジ等に顔の輪郭を誤推定してしまい, 安定に顔領域を抽出できなかった. 本論文では任意背景の顔画像から顔輪郭を推定するために, まず頭部はだ円曲線形状をしており, 頭髪によりその内部は均一な濃度分布になっていると仮定し, 頭部輪郭線に当てはまるだ円を遺伝的アルゴリズムを用いて求める. 次に頭部輪郭線の情報をもとにして顔の顎部分の輪郭線を推定することにより顔領域輪郭の粗推定を行う. そしてこの輪郭線から, SNAKESを用いてより細かな顔輪郭を抽出する手法を提案する. 更に, 本手法を任意背景顔画像に適用してその有用性を示す.
著者
鈴木 雄太郎
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.72, pp.21-38, 2002-09-20

This paper reviews researches on trilobites and history of trilobite diversity under the Paleozoic environment. First, the studies on exoskeletal morphology, its chemical compositions and internal organs are reviewed. Second, a systematic outline of classification on the Trilobita and its bearing taxonomic problems such as these of agnostids and naraoids are discussed based on previous studies focused into the aspect of functional morphology. The life history of trilobites are divided into three major periods of the initial (early Cambrian), radiative (Cambrian to Ordovician) and declining stages (Silulian to Permian), respectively. Dominated carbonate ramp-settings under the condition of sea-level fluctuation are favored to be one of the most important factors that influenced the history of the morphological and the taxonomic diversity in the initial stage. Increased morphological diversity occurred in the radiative stage, corresponding to the period of widely expanded carbonate depositional settings, especially of reefal facies. In case of the declined stage, sea-level lowering during the mid Silurian to the earliest Devonian and the late Devonian extinction event is favored as the main factors to explain the trend of the declined and low morphological diversity. An additional factor to this may be the switch of the aragonite/calcite sea water which happened in the middle Carboniferous.