著者
草野 凌 吉川 憲一 宮田 一弘 Neil David Parry 石本 立 古関 一則 冨田 洋介 佐野 歩 矢吹 惇 水上 昌文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.399-407, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
23

【目的】Spinal Cord Injury Functional Ambulation Inventory(以下,SCI-FAI)を翻訳し,信頼性を検討した。【方法】国際基準に準じてSCI-FAIを日本語へ翻訳した。不全脊髄損傷者34名を対象とした。評価者2名が動画上でSCI-FAI評価を2回実施した。級内相関係数,Cronbachのα係数,Weighted K係数,Bland-Altman分析を用いて信頼性を確認した。【結果】検者内信頼性Intraclass Correlation Coefficients(以下,ICC)(1, 1)は0.928~0.973,α係数0.967~0.986,K係数は0.713~1.00,1名の評価者に固定誤差・比例誤差が確認された。検者間信頼性ICC(2, 1)は0848,α係数は0.916,K係数は0.349~0.899,固定誤差,比例誤差は確認されなかった。【結論】日本語版SCI-FAIは本邦の臨床設定において信頼性を有する評価であることが確認された。
著者
大野 賢二 関矢 信康 長谷川 敦 角野 めぐみ 平崎 能郎 久永 明人 地野 充時 笠原 裕司 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.595-605, 2009 (Released:2010-03-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

【目的】漢方薬,特に煎じ薬の調剤や服薬指導の現状および問題点を明らかにするためにアンケート調査を実施した。【対象】千葉大学医学部附属病院・和漢診療科の院外処方箋を応需している保険調剤薬局全15店舗を対象とした。【結果】12店舗の薬局が現行(一律190点)の煎じ薬の調剤料が低いと回答した。生薬専用の分包機を導入していない薬局の調剤時間は,導入している薬局と比較して2倍であった。薬局からの要望では,処方日数や生薬薬味数に準じた調剤料および生薬薬価の見直しが多く挙げられた。また,調剤や服薬指導に従事する薬剤師の約半数が漢方薬に関する知識不足を認識していた。【総括】今後,煎じ薬を調剤できる薬局を確保するためには,煎じ薬の調剤を取り巻く経済的な問題の改善が必要と考えられた。また,漢方薬に精通した薬剤師の育成のため,大学における卒前・卒後教育体制の整備も併せて必要と考えられた。
著者
小関 由美
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

関節リウマチ(RA)に合併する続発性(AA)アミロイドーシスでは、血清アミロイドA(SAA)に由来するアミロイドA蛋白が臓器に沈着するSAAはCRPと同様にIL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激により主に肝細胞で産生されるが、RA患者や培養肝細胞においてステロイドに対するSAAとCRP産生には違いがあることが示唆されている。より有効にSAA産生を抑制する薬剤を検討するため、各薬剤で治療中のRA患者でSAAとCRPを測定し、培養肝細胞を用いてSAAとCRP産生に与えるステロイド薬および免疫抑制薬の影響を蛋白レベル、mRNAレベルで解析した。CRP遺伝子には多型はなくSAA/CRP比は一定の炎症刺激に対するSAA産生を示すと考えられる。283例のRA患者でSAA/CRP比と薬剤の関係をみると、SAA/CRP比はステロイド投与群で有意に高く(7.8±7.2 vs 3.3±2.8,P<0.001)、ステロイド投与量と正の相関を示した。ステロイド非使用患者で、抗リウマチ薬(メトトレキサート、スルファサラジン、SH基剤)服用の有無とSAA/CRP比を検討したところ、いずれも有意差はみられなかったが、メトトレキサート使用患者で低い傾向があった。サイトカイン刺激HepG2細胞に薬剤を添加し採取した培養上清のCRP濃度は、ステロイド、MTX、シクロフォスファミド添加にて、いずれも薬剤無添加に比べ低くなり、SAA濃度はMTX、シクロフォスファミド単独の添加とステロイドとの併用では薬剤無添加に比べ低かったが、ステロイド単独の添加では高値となった。HepG2細胞より抽出したSAA1mRNAの発現はサイトカイン刺激前はみられず、刺激にて発現を認めた。またステロイドの添加でmRNAの発現は増加したが、免疫抑制薬(特にMTX)の添加では発現は低下した。
著者
後藤 理絵 竹林 正樹 関根 千佳 福田 洋
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.294-301, 2022-11-30 (Released:2022-12-26)
参考文献数
24

目的:20~40歳代の労働者向け口腔健康行動促進冊子作成のプロセス評価を行うこと.事業内容:20~40歳代労働者を対象に,ナッジを設計した口腔健康行動促進の漫画冊子を作成した.プロセス評価として作成担当者の意識の変化と作成コスト,読者の満足度等を調べた.作成担当者の意識はインタビュー,作成コストは実績から把握し,満足度等はナッジ群(ナッジ型漫画冊子を配布)と対照群(情報提供型冊子を配布)に無作為に割り付けた上でウェブ調査を行った.事業評価:作成後に担当者の意識向上が見られ,作成コストは約88万円だった.読者による冊子の印象(解析対象:ナッジ群119人,対照群120人)は,表紙は「面白そう」(ナッジ群,対照群の順に48.7%, 25.8%),「読みやすそう」(79.0%, 48.3%),「イラストが良い」(57.1%, 28.3%),「情報量が多い」(26.9%, 59.2%),「読むのが不快」(7.6%, 18.3%)で,いずれもナッジ群は有意に評価が高かった.表紙と本編の印象が一致する傾向の項目も見られた.歯周病の知識は,ナッジ群のみ有意に増加した.以上から,ナッジ型漫画冊子は読者の評価が高く,知識向上に役立ち,特に表紙のナッジが重要と示唆された.結論:ナッジ型冊子は,総じて好印象であり,有意な知識向上につながった.ただし,回答に応じて付与された経済的インセンティブが結果に影響した可能性がある.今後は経済的インセンティブのない条件で調査を行う必要がある.
著者
相馬 壽明 関根 弘子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.27-34, 1986-09-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1 1

本研究の目的は感情語(16語)を用いて聴覚障害児童・生徒の語彙について検討することである.聴覚障害児童・生徒111名と健聴児童・生徒322名に対して2種の語彙検査(検査1:選択課題,検査2:短文作成課題)を施行した。検査結果から以下のことが明らかにされた。(1)聴覚障害児童・生徒は健聴児童・生徒よりも感情語の語彙量が劣っており、聴覚障害高等部3年生は健聴小学4年生のレベルに達していない。(2)聴覚障害児童・生徒は個人差が大きく,学年進行しても個人差は小さくならない。(3)聴覚障害児童・生徒は、感情語の中でも比較的単純な感情語に対しては正答率も高く、健聴児童・生徒との間に差がみられないが、複雑な感情語に対しては著しく正答率が低下する。
著者
関口 由彦 Yoshihiko Sekiguchi
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.467-494, 2005-02-23

本稿は,近代日本の「他者像」としての「アイヌ」像を検討し,アイヌ民族(とくにアイヌ言論人)自らがそれをどのように「自画像」として主体的に受容したかを明らかにする。そのことを通して,1920~30年代を中心とするアイヌの人々の言論活動が,支配者側が用いた「同化」概念を「流用」しながら,「滅び行く人種」言説に抗するものに他ならなかったことを主張する。支配者側の「同化」概念に対して,アイヌ言論人は二種類の「流用」をもってして対抗した。それは,支酉己者側の「同化」概念の「流用」に際しての主体性の発揮の仕方において区別され得るものであった。違星北斗は,「野蛮」/「文明」という価値づけ(序列)と結びつかない「血」に基づいて,「和人」と区別された「アイヌ」という「種的同一性」を設定し,それが上位カテゴリーとしての「日本人」に内包されることを「同化」として捉えた。他方で,平村幸雄は,「アイヌ」であることと「和人」であることが両立し得るとするアイデンティティ認識に基づいた「和人化」としての「同化」を主張した。かくして,二種類の「流用」を行うことで,アイヌ言論人は支配者側の「滅び行く人種」言説に対抗し,アイヌとしてのアイデンティティを保持する道を切り拓いたのであった。
著者
堤 洋樹 関 和彦 岩佐 宏一 石田 航星
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.28, no.70, pp.1524-1528, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

A tap test is used to inspect the full surface of exterior walls, and its results can vary depending on the investigator’s senses. In this study, it was examined how to improve the testing accuracy for detecting lifting of RC wall tiles. Research has shown that diagnosis techniques must be considered from the perspective that judgment results vary, that diagnostic accuracy can be improved by accumulating techniques, and that work time varies greatly among individuals. As a result, it is beneficial for the investigator to confirm the diagnosis criteria with several people during the preliminary on-site meeting.