著者
高橋 信二
出版者
東北学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,中高齢者の身体活動量を従来の方法(回帰法)と研究代表者が開発した方法(FCS法)の比較を行った.成果は以下の通りである.成果1:FCS法は回帰法よりも身体活動量を高く評価する.この結果は,生体の動的特性をFCS法が反映したものである成果2:一方,両方法の健康状態の変化に対する関係性はほぼ同等で低い値であった.分析手続きの複雑さを考慮すると回帰法の方が一般性に優れることが示唆された.
著者
高橋 信雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1,親の意識は、音反応出現後に安堵感を示し、その後、就学前までは聴覚とことばを意識していた。就学後は、聾学校の場合には手話を、通常小学校の場合には子どもの得意とするコミュニケーションを心がけているが、聴覚への意識が十分には持続できないことが多かった。教師側は、聾学校では聴覚活用の意識が十分でなく、通常小学校では聴覚的な配慮が十分ではなかった。2,対象児の変容:(1)コミュニケーション様式の変容:通常学校に通う児の場合、聴覚口話が多いが、十分には通じないと思われる児では、手話を併用している。この場合、親も子も手話が十分でなく、簡単な日常生活程度の簡単な手話しか使用されず、コミュニケーションが不十分となるだけでなく、意味概念上の深まりが極めて浅いことがわかった。(2)聴覚情報処理上の変容:コミュニケーションモードの種類に係わらず、術後の年数と共に向上していった。音声情報処理能力は、電極の挿入具合ばかりでなく、術前の聴覚的な活用能力が大きく影響していると思われる。(3)言語能力の変容:小学校の低学年では、読字力、語彙力、文法力、読解・鑑賞力の各領域において学年相応の力を持っているが、聴覚的情報受容力が十分でない群では、読字力以外の領域の力は、学年があがるにつれて伸びが鈍くなった。(4)話しことばの変容:構音は、年数と共に改善が認められたが、聴取能力に依存するところが大きく、個人差が大きかった。また、聴取能力の向上だけでは、一部の音は歪んだり、鼻音化することも多く、発音指導が必要であった。手指コミュニケーションモードの児ほどその傾向は強かった。(5)聾学校では、体系的なリハビリプログラムがなく(93%)、病院・リハビリ施設・学校との連携したプログラムが必要と思われた。いずれの項目も、個人差が大きく、リハビリ後の親や教師などの意識が、術後の成績に大きく関連すると思われた。
著者
新井 学 倉田 佳明 磯貝 哲 高橋 信行 橋本 功二 平山 傑 土田 芳彦 村上 裕子 辻 英樹 井畑 朝紀 成田 有子
出版者
北海道整形外科外傷研究会
巻号頁・発行日
2010

肘頭骨折を合併した小児上腕骨外顆骨折の2例を経験した。【症例1】7歳男児,遊具から転落受傷し,上腕骨外側顆骨折はJacob 分類stageⅢ,肘頭骨折は2mmの転位であった。両骨折に対し観血的骨接合術を施行した。【症例2】4歳男児,ソファーから転落受傷し,上腕骨外顆骨折はJacob 分類stageⅡ,肘頭骨折は転位がわずかであった。右上腕骨外側顆骨折に対し観血的骨接合術を施行した.肘頭骨折は保存的加療とした。2症例とも骨癒合が得られ可動域制限なく経過良好である。肘頭骨折に上腕骨外側顆骨折が合併する受傷機転として,肘関節伸展位で内反および外反力が関与し,上腕骨外側顆骨折を合併した肘頭骨折は比較的稀であるが,見逃されると機能障害を残すため認識しておくべき損傷形態である。
著者
和田 倶典 FULGIONE Wal SAAVEDRA Osc GALEOTTI Pie 斎藤 勝彦 山下 敬彦 高橋 信介 中川 益生 山本 勲 井上 直也 岬 暁夫 WALTER Fulgi OSCAR Saaved PIERO Galeot
出版者
岡山大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究は[LVD(Large Volume Detector)]実験と,[LMD(Large area Massive particlesDetector)]実験から成る。これらの実験の目的は大統一理論から予想される新しい粒子や物理学,また宇宙からのみ飛来することが期待される新粒子,天体物理学などである。これらの実現には人工加速器は無力であり,そのため非加速器物理が押し進められている。[1]LVD実験:特に,ニュートリノ反応や,新粒子の出現頻度はきわめて稀なため,大規模で極端に低いバックグウランド状態の実験所が必要となり,それらの条件を満たす実験所がイタリア,グランサッソ-に建設されイタリア国を中心にロシア,米国,日本,中国,ブラジル等の参加でLVD計画が始まり,日本は我々のグループが参加して,平成2年,3年,4年とLVD建設に協力してきた。LVDの第一期計画のタワー1が完成し,世界最大容積の液体シンチレータデータが取れるようになり,平成4年6月から測定に入った。これにより、LVD実験の目的である(a)星の重力崩壊からのニュートリノバーストの研究,(b)太陽ニュートリノの研究,(c)陽子崩壊の研究,(d)隠れたニュートリノ天体源の研究,(e)ニュートリノ振動の研究,などの成果が期待される。さらに,LVDとしてはタワー2,3の建設が始まっているところである。LVD実験は休みなく運転を続けており,現地グランサッソ-地下実験所にて装置の運転及び実験目的の解析を行うことが本研究の目的である。それらの目的を達成するため,平成6年以降,日本から現地(イタリア,グランサッソ-地下実験所)におもむき,装置の運転及び共同作業やデータ解析などを行ってきた。それらの成果は平成7年ローマで開催された第24回宇宙線国際会議で10編の報告を行った(10.研究発表の項目参照)。また,LVD装置の運転(シフト)業務は各国で分担しているが日本グループとしては年間,最低4週間(2シフト)従事することになっているので,この業務を最優先し,平成7年度は3シフト行った。また,日本グループ独自の解析を行うためのデータ転送,調整などの調査を行い,見とうしをつけた。[2]LMD実験:本実験の研究目的は(f)超低速・超重粒子の探索,(g)超高エネルギーミューオン物理学の研究である。LMD実験も平成6年9月に40平方メートルの改良型TLシートスタック[TLS]をイタリア,モンブラン地下実験所に設置したので,(f)超低速・超重粒子探索の可能性の検討が十分成しえるよう,(ア)現地モンブラン地下実験所及びトリノ大学にてTLSの回収と解析を行うことと,(イ)TLシートが超低速粒子に感度を持つか実験を行うことが本年度の計画であった。TLSはTLシートとX線フィルムを多数枚重ねたものからなるが,今回は改良型TLSで真空パックをした。(ア)は平成8年2月に回収を行い,40平方メートルX8枚のX線フィルムをすべて現象し,解析を行った結果,3例の超低速・超重粒子候補イヴェントを見い出した。ただちに,対応するTLシートの15箇所をTL読み取りシステムで読み取り,ビデオカセットに収録し,日本でも解析できるようすべてのテープをコピーした。現在,そのビデオテープから解析中である。(イ)の実験は低速アルゴン・イオンビームで行った結果光速度の一万分の一程度でもTLシートが感度を持つことが判明し,超低速・超重粒子がTLシートに入射した時の発光量も計算することが可能になった。計算から予想される粒子による発光がバックグラウンドによる発光よりも多くなれば検出がむつかしくなる。TL発光がそれほど多量ではないことが判ったので,モンブラン・トンネル内のバックグラウンドが大きく影響することになる。モンブラン・トンネルに比較してバックグラウンドが少ないと予想される(50%から10%)グランサッソ-地下実験所にTLSを設置すべく,準備を平成7年8月に始めた。バックグラウンド計測用TLシートをグランサッソ-・トンネル内のLVDタンク上に三箇所設置した。平成8年2月にTLシートの一部分を回収し,読み取りを行った。これらもテープをすべてコピーしたので,半年間でのグランサッソ-トンネル内のバックグラウンド量が計測でき,モンブラン・トンネルと比較できる。一年後のバックグラウンド計測と併せて、新しいTLSの設置場所を検討する予定である。
著者
黒川 洸 尾島 俊雄 高橋 信之 増田 幸宏 小澤 一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

首都直下地震対策が緊急の課題である現在、世界に多大な影響力を持つ東京の企業の業務中枢機能を維持することが重要である。ミュンヘン再保険会社が発表した都市のリスク指数では、東京の危険度は710と他の都市の高くても100前後という値に比べて非常に高く、国際的に東京の危険性が危惧され、今後東京での国際的企業の経済活動が阻害される恐れがある。現在国際的に行政のみならず民間企業も地震リスクに対策を行うことが必要とされている。特に中央防災会議首都直下地震専門対策委員会においても、企業が災害時に重要業務を継続するためのBCP(事業継続計画)の策定を行うことが必要と報告されている。しかし日本の企業の地震リスク対策は不十分であり、ここ30年以内に起こる可能性の高い首都直下地震による多大な被害も懸念される。そこで企業が具体的にこれらの地震リスクを低減し事業継続を行なうための防災投資の提案を行う必要がある。都市の防災基盤整備としての安全街区構築のためのスキーム検討として、新たな保険制度の提案を目指して下記項目について検討を進めた。BCPのISO化や、企業統治の一環として企業の一層の危機管理が求められる中で、都市のライフラインや建築の設備系統を強固に整備して、特別に信頼性を高めた地域を、日本独自の「安全街区」として提案する。こうした「安全街区」が実現した場合の、安全街区内の高い仕様の建物について、地震利益保険や再保険市場での査定、あるいは不動産投資市場における評価への影響について調査を行った。また海外への研究発表に重点をおいて研究活動を進めた。また、環境と防災両面に資する「都市環境インフラ」の構築に向けての包括的な概念検討を継続して進めており、関連の実測調査や現地調査、文献調査を組み合わせ、今後の研究展開に資する基盤的な要素について幅広く検討を行い成果を得た。研究は、1.人工系都市基盤・都市インフラに関連する研究、2.都市内自然資本に関連する研究、3.各都市の基礎調査、4.安全・安心確保のための関連事例等の基礎調査に分類される。関連する社会的な要求を背景に、意義ある研究を行うことができた。研究助成に御礼申し上げる次第である。
著者
工藤 誠治 稲積 秀一 鈴木 唯司 森田 秀 高橋 信好
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1063-1066, 1989-07-20

患者は,28歳の男性で,1987年10月,腰痛を主訴に,某医受診し,精査目的にて同年11月11日,当院紹介入院となった.入院時の検査成績では,著明な腎機能低下が認められた他,超音波検査並びに,胃部CT撮影にて,両側腎皮質の厚い石灰化が認められた.腎生検では,一部に骨髄細胞を伴った骨形成の病理所見が得られた.その後,外来にて経過観察中であったが,1988年6月3日,再入院となり,現在,血液透析施行中である.腎における異所性骨形成は,比較的稀な疾患であり,しかもこれまでの報告例は,全て片側腎に限られていた.今回,我々は,両側腎における異所骨形成を認め,同時に慢性腎不全を呈する1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.両側腎における異所性骨形成は,我々の調べ得た限りでは本邦での他の文献発表は,認めなかった.
著者
千葉 修 高橋 信年
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.447-455, 2003-06-30
被引用文献数
3

1998年4月28日のGMS可視画像に見られた四国上空の雲の変化に関心を持ち,雲の動態と局地風の関係を調べた.午前中の雲画像は,四国の太平洋側に散在した積雲群を,午後には四国の脊梁山脈を中心に集積した広い雲域を示した.これを局地風の動きと比較すると朝方の雲は沿岸域に隣接する岬や高地で生じた積雲群とみられる.そのあと谷風と主に太平洋側からの海風が内陸奥深く進入し山岳周縁部に雲域を形成した.そして午後には高温位となった四国の山岳域に熱的低気圧が発生し,そこに谷風と海風との連結した風が吹き込み山岳域を中心に雲が広範囲に集積した.結果として午後遅くに高峰付近の雲域は四国の面積の約4割を覆い,その雲頂高度は2000m以上であった.
著者
石寺 永記 荒井 祐之 土屋 雅彦 宮内 裕子 高橋 信一 栗田 正一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.873-880, 1993-04-25
被引用文献数
16

我々人間の視覚系は,点パターンのように離散的な対象でも仮想線を知覚でき,色や明るさの段差がなくてもそこに明りょうな主観的輪郭を知覚することがある.これは補間問題と考えることができる.そこで,本論文では生理学的データに基礎をおく階層的視覚情報処理モデルを提案し,仮想線と主観的輪郭の知覚といった補間問題に応用する.主観的輪郭を形成するためには,実際の輪郭,主観的輪郭の通る点,そしてその輪郭の伸びていく方向を決定することが重要であり,本モデルではこれらの処理を並列処理で実現する.このモデルは2種類のSimpleセル(S typeとL type)の出力から,大域的処理により輪郭の検出と点パターンの補間を行うComplexセルと,主観的輪郭が通ると考えられるエッジの端点や曲率の高い点を検出するHypercomplexセルをモデル化する.この処理はすべて並列処理で行われる.またこれらの情報が伝達されるときに重み付けをすることによって主観的輪郭の伸びる方向を決定する.こうした階層的な処理によって得られた情報を統合することによって実際のエッジと主観的輪郭が同様に検出されるようなモデルを構成した.