著者
川端 美穂 川端 康弘 佐々木 三公子 高橋 文代 笠井 有利子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.163, 2020-07-01 (Released:2020-08-15)
参考文献数
53

100 hue testの総エラー値(TES)について,大学生280人を対象に制限時間が120秒と短縮条件の90秒の2群に分けて調査を行った.90秒条件において一般3色覚者の色識別力に大きな個人差が見られ,非常に良好な色識別力(TES=0)を有する人から異常3色覚に近い成績(TES=184)の人まで多岐にわたることがわかった.TESの分布は90秒条件の方がより典型的な正規分布を示し,120秒条件はTES=0で床効果がみられる.一般3色覚者では,3年以上芸術系のサークルや習い事などの経験を持つ,色識別との関わりが深い人のTESは,経験がない人や3年未満の人のTESを有意に下回っている.この傾向は120秒条件よりも90秒条件で顕著にみられる.この色識別力における個人差は日常生活における色に関する経験や学習の影響が大きいようであり,高次の視覚過程における高い可塑性が反映されていると考えられる.
著者
高橋 文孝 本阿彌 彩佳 赤木 浩之 菊地 勇輝 伊藤 大輔 畠山 祥明 土岐 美苗 藤田 幸弘 原 康 山口 伸也
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.7-14, 2023 (Released:2023-04-25)
参考文献数
20

第7頸椎頭側成長板骨折を受傷した幼猫2頭に対して、頸部腹側正中アプローチを行い、骨折整復およびチタンスクリューとポリメチルメタクリレートを使用した椎体固定術を実施した。2症例ともに術後徐々に、第5頸椎腹側部に骨棘形成の進行を認め、1症例では、胸郭および胸椎頭側部の変形所見が認められた。骨折の発症要因は不詳であるが、術後、インプラントの折損や緩みは認められず、臨床症状は改善し、歩行可能となったことから、本研究で用いられた手法は有効な治療選択肢の一つになりうる可能性が示唆された。
著者
高橋文彦著
出版者
原書房
巻号頁・発行日
1995
著者
古澤 優佳 斉藤 正一 千葉 翔 高橋 文
出版者
東北森林科学会
雑誌
東北森林科学会誌 (ISSN:13421336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.66-70, 2016 (Released:2017-12-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2

全国的に個体数が増加傾向にあるニホンジカは,多雪地帯のため冬季の生存が困難とされてきた東北地方の日本海側でも急速に分布を拡大しており,山形県でも目撃され始めた。このため,初期動態の把握を目的に,寄せられた目撃情報の内容や目撃地の立地環境を分析した。その結果,シカは全県に生息している可能性が高く,近年は庄内地方南部と西置賜地方で目撃が多い傾向が見られた。また,目撃地は,周囲が森林で近くに道路や河川がある平坦な耕地で,特に,開けていて見通しが良く人的利用が多い場所の傾向が高く,日中に森林から一時的に出てきた際に目撃されている可能性が高かった。
著者
高橋 文治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

一九六七年、上海市郊外嘉定県の明代墳墓から、成化年間(一四六五-八七)の刊行にかかる一二冊の版本が発見された。それら一二冊は墓主の枕元に積んであったといい、一一冊は「説唱詞話」と呼ばれる唱導文学の通俗的な読み物、残る一冊は『白兔記』という演劇の台本であった。本研究は、この『白兎記』について、校本を作成し、それに訳註を付すことを目的とした。『白兔記』は、五代後漢の高祖劉知遠とその妻李三娘、息子咬臍郎の生き別れと再会を描く演劇であり、古くから四大南戯の一つに数えられてきた、初期の戯文の代表作である。劉知遠と李三娘、咬臍郎の悲歓離合は恐らく歴史事実ではなく、劉知遠の祖先の沙陀突厥が佛教とともに中国にもたらした物語原型に歴史上の劉知遠が当てはめられたものであろう。この物語は、まず金朝時代に『劉知遠諸宮調』という作品を生み出し、次の元朝期には『新編五代史平話』と元雜劇「李三娘麻地捧印」(佚)を生んだ。この「李三娘麻地捧印」はやがて南に渡り、同じく元朝期に、中國南方系の演劇形態に改編され、いわゆる「南戯」へと姿を変えたのである。こうして生まれたのが恐らく南戯『白兔記』であった。『白兔記』の版本として従来知られていたのは、毛晉の汲古閣が刊行した六十種曲本と、金陵唐氏が萬暦年間に刊行した富春堂本の二種があった。成化本『白兎記』が発見されることによって、成化本と汲本・富春堂本がいかなる関係かあきらかになった。また、成化本『白兎記』は南戯の比較的古いテキストに属するばかりではない、実は今日知られる最古の版本でもあった。成化本『白兔記』は單に『白兔記』の演變を考える上で重要なのではない、南戯そのものの發生や展開、初期の形態・臺本を知る、中國演劇史に不可欠の資料であり、また、白話文學史、白話史、書誌學の各分野にも不可欠の資料である。この成化本『白兎記』に、本研究は今日望みうる最高の注釈とを施し、校本・訳・註をまとめた「成化本『白兎記』の研究」が汲古書院から2006年に上梓される。
著者
井上 弘明 高橋 文次郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.487-501, 1990
被引用文献数
11

1980~&prime;88年にわたり, 静岡県沼津市西浦久連の山田寿太郎氏園に栽培されている&lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;およびFuerte&prime;を用いて, 結実習性や収量構成要因について調査した.<br>1. 果実は3品種とも6月下旬から8月中旬にかけて急速に肥大し, その後は8月中旬よりゆるやかとなるS字型生長曲線を示した. 種子の生長は6~10月までみられ, 11月以降は緩慢となった.<br>2. 落花(果)には3品種ともに二つの波相がみられた. 第1次波は大部分が花で落下し, 5月上旬から6月上旬まで, 第2次波は幼果で落下し, 5月下旬から7月下旬であった. 花に比べて幼果の落下数は少なかった.<br>3. 枝の伸長は1番枝, 2番枝ともに5月中旬から急速に行われ, 6月下旬以降は緩慢となった.<br>4. 落葉波相には二つの山がみられ, 第1次波は5月中旬から6月中旬に, 第2次波は8月中旬から9月下旬であった.<br>5. 花房は無限花序と有限花序に分かれ, その比率は&lsquo;Zutano&rsquo;では無限花序が高く, &lsquo;Bacon&rsquo;や&lsquo;Fuerte&rsquo;では隔年または2年ごとにそれらが交互に変化した.<br>6. 結果部位を8型に分類した. 3品種とも発育枝に生ずる枝と着花枝に生ずる枝は, 隔年ごとに交互に入れ代わって結実を繰り返した. 枝の種類では夏枝や1番枝の結実分布比率が高く, 結果母枝では頂芽や第2節の比率が高かった.<br>7. 全開花数に対する結実比率は0.038%以下であったが, &lsquo;Fuerte&rsquo;, &lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;の順に高かった. 収量は隔年ごとに異なり, とくに, 低温の年は結実数および収量が少なく, 果実も小さかった.<br>8. 花芽は1~2月の最低気温(-2.5&deg;~-3.5&deg;C)の遭遇時間が長くなるほど枯死するものが多かった.<br>9. わが国のアボカド栽培の障害は, 厳寒期の最低気温と開花時の低温であり, その対策としては栽培地の選択, 耐寒性品種と台木の選抜&bull;育成が重要と考えられる.
著者
安藤 千晶 菅野 雄介 鈴木 晶子 高橋 文代 小川 朝生
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.151-157, 2019 (Released:2019-06-27)
参考文献数
32
被引用文献数
1

訪問看護師が行っている,在宅で生活する認知症高齢者に対する疼痛マネジメントの内容を明らかにすることを目的とし,10名の訪問看護師を対象に半構造化インタビューを実施,質的帰納的に分析した.その結果24のサブカテゴリー,8のカテゴリーが得られた.訪問看護師は標準的な認知症高齢者の疼痛マネジメントに加え,在宅看護のヘルスアセスメントの特性から生活全体を視野に入れた疼痛マネジメントを実施していた.また自らの訪問時の情報に加え,家族や他職種から得た情報から,利用者の生活全体を想像し総合的にアセスメントする視点が重要であり,多職種でアセスメントの視点と情報を共有する工夫が求められていることが示唆された.さらに訪問看護師は疼痛の存在が明確でなくとも,疑われる場合は薬物・非薬物療法を実施し,平常時の日常生活の行動変化から疼痛評価を実施していた.今後全国調査により疼痛マネジメントの実際を明らかにする必要がある.
著者
高橋 文博
巻号頁・発行日
2017-03

就実大学