著者
高橋 晋平 猪岡 光
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-6, 2004-11-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

People can enjoy Japanese traditional comic storytelling by both hearing the voice and watching the gesture of a teller. Some records of comic storytelling are available only by a voice record. If the animated motion for the talk is generated, we may enjoy storytelling more. We propose two methods to generate animation in accordance with a talk. One is a real time teaching; animation is generated at real time using a mouse. The other is a semiautomatic method; the timing for a new motion will be searched and the candidates of possible motion patterns are shown to an operator. The operator will choose a motion pattern fitted with the talk of a teller. Experimental results showed the effectiveness of these methods. The methods will be applicable to the development of animation fitted with voice or music data.
著者
高橋 晋一
出版者
弘前大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

函館の華僑社会は現在32世帯からなっているが、国内の他の華僑社会に比べると規模が小さい。華僑は多くの場合、移住地においてチャイナタウンを形成し、そこに集住する傾向にあるが(例えば横浜や長崎)、函館の場合、華僑はチャイナタウンを形成せず、市内全域に分散して居住している。これは華僑の人数が少なかったこと、函館華僑のほとんどが行商を主な業とする福建省福清県の出身者であったことなどによるものであろう。現在、函館華僑が出身地である中国本土からもたらした伝統的な文化は大きく変化している-すなわち日本化の一途をたどっている。現在、函館華僑社会において行われている主な中国の伝統行事としては、4月の清明節、関帝の誕生祭(6月)、8月の中元節がある。清明節および中元節には、中国人墓地に集まって祖先供養の儀礼を行い、その後みんなで会食をする。これらの行事は華僑一世を中心に行われており、二世・三世といった若い世代の人は関心が薄く、参加率はあまり高くない。また儀礼は僧侶を呼んで仏教式に行うなど、儀礼内容の日本化が著しい。かろうじて紙銭を焼く風習、参拝方法などに中国方式をとどめている。このように伝統文化を失いつつある函館華僑社会では、「中国人」としてのエスニック・アイデンティティは特に若い世代で急激に薄れている。一世の人達は、中国語を話し、大陸に里返りするなど、中国とのつながりを失っていないが、二世、三世になると大きく価値観が違う。例えば一世は、華僑同志結婚するのが望ましいと考えているが、二世、三世ではそのような意識は低い。伝統行事も次第に形式化しつつある。このような世代間のギャップを超えて自分達の文化を改めて見直し、継承・創造していく道を見いだすことが、今後の函館華僑社会の大きな課題となっていくるものと思われる。
著者
高橋 晋一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.193, pp.221-237, 2015-02-27

本稿の目的は,阿波踊りにおける「企業連」の誕生の経緯を阿波踊りの観光化の過程と関連づけながら検討することにある。とくに,阿波踊りの観光化が進み,現代の阿波踊りの基盤が作られるに至る大正期~戦後(昭和20年代)に注目して分析を行う。大正時代には,すでに工場などの職縁団体による連が存在していた。またこの頃から阿波踊りの観光化が始まり,阿波踊りを会社,商品等の宣伝に利用する動きが出てきた。昭和(戦前)に入ると阿波踊りの観光化が進み,観光客の増加,審査場の整備などを通して「見せる」祭りとしての性格が定着してくる。小規模な個人商店・工場などが踊りを通じて積極的に自店・自社PRを行うケースも出てきた。戦後になるとさらに阿波踊りの観光化・商品化が進み,祭りの規模も拡大。大規模な競演場の建設と踊り子の競演場への集中は,阿波踊りの「ステージ芸」化を促進した。祭りの肥大化にともない小規模商店・工場などの連が激減,その一方で地元の大会社(企業)・事業所の連が急激に勃興・増加し,競演場を主な舞台として「見せる」連(PR連)としての性格を強めていった。こうした連の多くは,企業PRを目的とした大規模連という点で基本的に現在の企業連につながる性格を有しており,この時期(昭和20年代)を企業連の誕生・萌芽期とみてよいと思われる。なお,阿波踊りの観光化がさらに進む高度経済成長期には,職縁連(職縁で結びついた連)の中心は地元有名企業から全国的な大企業へと移っていく。阿波踊りの観光化の進展とともに,職縁連は,個人商店や中小の会社,工場中心→県内の有力企業中心→県内外の大企業中心というように変化していく。こうした過程は,阿波踊りが市民主体のローカルな祭り(コミュニティ・イベント)から,県内,関西圏,さらには全国の観光客に「見せる」マス・イベントへと変容(肥大化)していくプロセスに対応していると言える。
著者
高橋 晋也
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_41-1_46, 2005 (Released:2009-06-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

人間の心理および行動に及ぼす環境色彩の効果を検討した。赤、緑、青、黄の4種類の色照明下で、のべ160名の被験者にクレペリン型の連続加算課題を行わせ、課題成績の他、被験者自身への影響(身体的疲労感、精神的疲労感、眠気、集中力)、経過時間推定、色照明に対する印象(SD尺度評定)等を分析した。実験の結果、色照明はそれぞれ特徴的な印象(赤-“快活”、青-“鮮麗”、緑・黄-“平穏”)を喚起したが、課題成績に関しては、作業の生産性・安定性・正確性のいずれの指標においても色の効果はなかった。時間推定については、すべての条件で過小評価となったが、やはり色条件による差はなかった。被験者への影響に関しては、緑条件において他の条件よりも精神的疲労感が低くなる傾向が示された。また、色条件をつぶした上で、各色照明に対する「好きな」項目の評定値と課題成績との相関を見たところ、照明色を「好き」と評定した被験者ほど作業の生産性と正確性が高くなる傾向が示された。これらの実験結果に基づき、古くから関心が持たれてきた色彩の心理的効用について、その科学的検証における理論的な問題点と、安易な現場応用に対する批判などが議論された。
著者
高橋 晋一
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究を通して、全国に500あまりの船だんじりが出る祭りの存在を確認できた。海、川(生業や交易)との結びつきが強いが、長野県安曇野地方の「お船」のように水と関わりを持たないのものも見られる。船だんじりの形態は大きく御座船型、廻船型、鯨船型、その他に分類でき、藩主の海路による参勤交代、廻船による交易、捕鯨の拠点に関連しているものが多い。歴史的には京都祇園祭の船鉾などを除きほとんどが近世以降に始められたもので、主に江戸時代に、御座船や廻船といった当時の権力を象徴する豪壮な船が、地域の文化・経済・政治的アイデンティティの象徴として取り入れられ、各地に船だんじりの文化が開花したと考えられる。
著者
渡邊 美香 熊野 史一 高橋 晋 伊藤 幸雄
出版者
日本ソノケミストリー学会
雑誌
ソノケミストリー討論会講演論文集 18 (ISSN:24241512)
巻号頁・発行日
pp.95-96, 2009-10-23 (Released:2017-07-18)

The hot spots that high pressures and temperatures generate during the bubble collapse process, especially in acoustic cavitation, directly related to the physical and chemical reactions, hi this study, to investigate the possibility of realization for the sake production process, we investigate the MB effects on the composition of sake. The fragrance ingredient in sake is affected by the activities of the hot spot and/or shock waves, resulting in the decompositions and the synthsis of the fragrance ingredient. The ethyl acetate and the ethyl caproate activated to are decreasing by hydrolysis, while the isoamyl acetate is activated by increasing in the dehydration. There are many point which must be clarified, i.e., the oxidation of isoamyl alcohol by affecting the dissolved gas in the solutions.
著者
高橋 晋也 羽成 隆司
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.14-23, 2005-03-01
被引用文献数
10

色嗜好を心理学的に位置付け、明らかにするためには、「何色が好まれるか」といった色視点の研究だけでなく、「どのように色を捉えるか」といった人視点の研究が必要である。本研究では、色嗜好における人(主体)要因の重要性を示すことを目的として、認知的操作の有無による個人内の色嗜好の変動性を分析した。260名の被験者に対し、4週間を挟み2度の色嗜好調査を実施した。色嗜好の測定は、色名で呈示される12色に対し、visual analog scale (VAS)上でそれぞれの好嫌度を答えさせる方法で行った。2度目の調査時に被験者は2群に分けられ、統制群は1度目と同じ色嗜好調査を繰り返したが、実験群の被験者に対しては色嗜好調査の前に、特定の色の好嫌を強く意識させるという認知課題が与えられた。2度の調査間における色嗜好の個人内変動を群間で比較したところ、12色に対するVAS評定平均値の変化量や、評定結果の順位相関には差がなかったが、好嫌のばらつきの指標となる標準偏差変化量において有意な群間差が認められ、実験群の方が統制群よりも好嫌のばらつきが増大することが示された。この結果は、認知課題を行った実験群の被験者が、"好き/嫌い"という対立的な認知図式を活性化した状態で12色の評定を行ったためと考えられ、色嗜好表出過程における認知処理の影響の大きさが明らかにされた。また、このような実験群のデータ変動(好嫌のばらつきの増大)は、12色に対する最高評定値の上昇より、むしろ最低評定値の低下として顕著にあらわれており、個々人の"色嗜好スキーマ"における「嫌いな色」の位置付けの重要性が示唆された。これらの実験結果に基づき、色嗜好における主体要因(トップダウン要因)の重要性が議論され、さらに、人視点で色嗜好にアプローチする際の具体的測定手続きとして、従来型の色選択法にはないVAS測定の有効性が主張された。
著者
高橋 晋也
出版者
東海学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

環境色彩が人間の心理・行動に影響を与える上で、積極的な快適性であるプレザントネスの喚起が鍵を握ることを検証するため、実験室実験、質問紙実験、実地調査を行った。色照明下で推論課題や計算課題を行わせた一連の実験では、色による課題成績への影響は見られなかった。色嗜好特性という切り口からプレザントネス感受性の個人差を検討した質問紙研究では、黒嗜好・紫嗜好とプレザントネス感受性との関連が見出された。国外の実地調査ではプレザントネスを伴う特異な環境色彩事例が収集され、我が国における適用可能性が示唆された。今後、この成果をフィールド実験に展開することで、効果的な環境色彩の導入・普及に繋げていけよう。
著者
久野 覚 高橋 晋也 古賀 一男 辻 敬一郎 原田 昌幸 齋藤 輝幸 岩田 利枝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

快適性には、不快がないという消極的(negative)な快適性と、面白い・楽しい・気持ちいいという積極的(positive)な快適性の2種類がある。後者の快適性はプレザントネス(pleasantness)とも呼ばれている。現在の技術の下で、建築環境工学的諸問題の多くが解決され、ほぼ不快のない空間の達成がなされていると言っていい。しかし、このような状態では、暖かいとか涼しいといったプレザントネスはない。本研究の目的は、オフィス環境における温熱環境と照明視環境を中心にプレザントネス理論を応用した新たな環境調整法を検討し、その評価手法を確立することである。得られた成果は以下の通りである。1)温熱環境:被験者実験により、低湿度空調のプレザントネス効果および屋外から室内への移動(環境変化)に伴う生理心理反応とプレザントネス性の関係について明らかにした。さらに、パーソナルコントロールが可能な天井吹き出しユニットを用いた空調方式のプレザントネス効果について研究を行った。他の研究者によって行われている研究との違いは、アンビエントつまり周囲気温を中立温度ではなく不快側に設定する点である。2)視環境:・高輝度窓面をシミュレートする調光可能な光源装置を作成し、オフィス環境実験室でアクセプタブル・グレアの実験を行った。高輝度面に対する被験者の向き、机上面照度、高輝度面の立体角のの影響などについて明らかにした。また、視覚刺激生成器(VSG)を用いた色知覚の研究、光とヒトの生体リズムの研究を行った。3)以上の結果をもとに、オフィス環境におけるプレザントネスについて総括した。