著者
堀 千明 吉田 誠 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.173-188, 2019-10-25 (Released:2019-11-02)
参考文献数
83

木材腐朽菌は植物細胞壁の主要成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニン)を効率的に分解する。この特徴的な分解能力やその機能を担う酵素について,これまで様々な応用を見据えて精力的に研究がなされてきた。最近では次世代シーケンサーの登場により,すでに250種以上の菌類のゲノム情報が取得され,それに基づく多様な腐朽菌が保有する木材分解メカニズムの解析について新しい知見が報告されている。本稿では,まず腐朽菌による木材分解現象に関するこれまでの研究の経緯を説明した上で,最近の比較オミックス解析で明らかにされた腐朽形態の違いの要因となる分子メカニズムについて紹介し,さらに分子時計解析から見えてきた木材腐朽菌の起源や進化について考察を行った。
著者
鮫島 正道 大塚 閏一
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.29-38, 1984-08-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

18目42科105属147種(亜種を含む)353個体の日本産および外国産の成鳥と推定した鳥類の晒骨標本を作成し,胸椎について胸椎数とnotariumの形成様式を検索した.(1)胸椎は6-12個と変異に富んでいた.椎骨数は同一科内,同一種内でも変異が大きかった.(2)Notariumは9目12科42種103個体の鳥類に存在した.(3)Notarium の存否,それを形成する胸椎の数や位置,胸椎の synsacrum への参加数は胸椎数と同様に同一科内,同一種内においても変異が大きかった.(4)Notarium は飛翔力の弱いキジ目の全種に存在する一方ゴハト科,ハヤブサ科,ツル科そしてフラミンゴ科などにも存在するので notarium の存否を飛翔と短絡的に関係づけることはできないと推察された.
著者
清水 美雪 頼 紘一郎 鮫島 正 野々山 良介 神野 誠
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.433-439, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

Aim: The commercialization of cellular products for the regenerative medicine business has already begun. However, the profitability between the regulated aseptic production cost and insurance reimbursement price might be a major hurdle. Automated culture devices are developed for improving the cultural- and cost-efficiency. In this study, we investigated the automated culture devices to discuss the approach to overcome the existing problems and simulated the reduction of operating time with culture assist devices.Method: Web and literature surveys were performed to investigate the automated culture devices and their functionalities. Based on the investigation, the simulation was conducted by integrating the operation time in each culture steps via culture assist devices.Result: Automated culture devices for adherent cells, floating cells, and liquid handlers were developed. In Japan, the devices for adherent cells were majorly produced, and these devices used single- or double-arm robots for complete automation. A reduction of 22.5 min in the medium replacement step was achieved after simulation with the culture assist devices for injection and drainage.Conclusion: Since the present cellular products were approved of working with humans, the culture assist device for working with human is preferable and can contribute in reducing the working hours and cost.
著者
鮫島 正道 酒匂 猛
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.267-271, 1978

1.小型, 中型, 大型の鳥類各7例について, メトミデート平均投量20mg/kgによる体温・呼吸の経時的変化を観察した.<BR>2. 12目13科29種180羽, 体重12g~10kgの鳥類にメトミデートを投与し, その安全と思われる平均値の実験を行なった.<BR>3. 長崎県パーキングガーデンにおいて鳥類19例についてメトミデート麻酔により手術および各種処置を行なった.
著者
鮫島 正洋 溝田 宗司
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.693, pp.144-149, 2012-06

鮫島正洋(さめじま・まさひろ):1985年4月に藤倉電線(現フジクラ)に入社し、電線材料の開発などに従事。弁理士資格を取得後、日本アイ・ビー・エムに入社し知的財産管理業務に従事。弁護士資格の取得と法律事務所での勤務を経て、2004年7月に内田・鮫島法律事務所開設。製造業の知的財産権法を中心とした技術法務や知財経営に関するコンサルティングを中心に活動している。
著者
鮫島 正樹 松尾 徳朗
雑誌
電気学会研究会資料. IS, 情報システム研究会
巻号頁・発行日
vol.2012, no.22, pp.83-86, 2012-07-19
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
松尾 徳朗 鮫島 正樹 橋本 喜代太
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and Systems Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.133, no.3, pp.562-566, 2013-03-01
被引用文献数
1

This article describes innovations in tourism information systems and their changing after the Internet technologies have appeared. Airline companies in United States started to provide computer reservation system to be made air ticket reservation and to be confirmed their seats in the aircraft. These systems were provided to travel agency to help their business. After around 2000, as the Internet develops, the tourism information systems have been becoming an increasingly development for B2C. Recent research contributions are including innovative user support; user preferences on the web can be analyzed by data mining technology; and the system make a travel plan based on users' preferences.
著者
木根 啓太 砂川 直輝 石田 卓也 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩 金子 哲
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
バイオマス科学会議発表論文集 (ISSN:24238333)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.157-158, 2017

<p>Two α-L-arabinofuranosidase genes classified in Glycoside Hydrolase (GH) family 51 from the basidiomycetes Phanerochaete chrysosporium and Flammulina velutipes were cloned, and the recombinant enzymes expressed in the yeast Pichia pastoris were characterized. When p-nitrophenyl-α-L-arabinofuranoside was used as a substrate, two enzymes showed acidic pH optima at pH 3. The two enzymes released L-arabinose from rye arabinoxylan, wheat arabinoxylan, sugar beet arabinan and debranched arabinan, but not from arabinogalactan.</p>
著者
福澤 寧子 鮫島 正樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.134, no.6, pp.756-759, 2014 (Released:2014-06-01)
参考文献数
13

In developing Cyber Physical Systems such as smart grid and smart cities, risk management technologies plays an important role on providing safe and secure service. In this paper, focusing on changes of recent threats, we show that an approach by the information security psychology is valuable for the risk management of the system.
著者
五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.218-222, 2014-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

植物資源からの燃料や化成品生産を実現するためには,セルロースの効率的な分解が必須であると考えられているが,セルラーゼによるセルロースの加水分解速度は非常に遅く,セルロース系バイオマス変換プロセスのボトルネックとなっている.そこで筆者らは,プロセッシブなセルラーゼによる結晶性セルロースの分解メカニズムを明らかにするために,1秒未満の時間分解能およびナノメートルの空間分解能を有する高速原子間力顕微鏡を用いたセルラーゼの単分子観察を行ったところ,トリコデルマ菌由来セロビオヒドロラーゼIの分子が,結晶セルロースの表面に沿って一方向にスライドするように観察された.また,その動きは活性をなくした変異酵素では見られなかったことから,本酵素がセルロースを加水分解しながらプロセッシブに進んでいるというこれまでの生化学的な結果が,初めて分子レベルで証明された.個々の分子の動きは「動く」ステップと「止まる」ステップを繰り返していたが,時間とともにセルロース表面における酵素分子の渋滞が生じ,セルロースの分解速度が遅くなることが明らかとなった.
著者
中村 彰彦 石田 卓也 鮫島 正浩 五十嵐 圭日子
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.59-65, 2015-02-28 (Released:2015-03-05)
参考文献数
7

Structural analysis including hydrogen position is important for estimating the reaction mechanism of hydrolases. We applied neutron and X-ray structural analysis to a mysterious β-1,4 glucanase from a fungi Phanerochaete chrysosporium (PcCel45A). The joint analysis of neutron and X-ray structures showed that PcCel45A utilizing an imidic acid form of asparagine residue as a general base instead of typical acidic residues.
著者
鮫島 正道 大塚 閏一
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.129-144, 1987-06-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 4

19目44科111属162種(亜種を含む)430個体の日本産および外国産鳥類の成鳥の晒骨標本を作成し,方骨について,形状,方骨と隣接骨との連結方法,含気孔の位置と数などを主眼として検索し た.1)方骨の形状は,鳥類分類上の目•科内ではほぼ一致した.しかし,一部の目で目内変異が認められ,カワセミ科では科内変異が顕著であった.2)方骨と隣接骨の連結方法も鳥類分類上の目内でほぼ一致したが,一部に目内変異•科内褒異が認められた.3)方骨と隣接骨との四つの関節状態はそれぞれ相関関係がみられ,一つの関節が強い関節状態を示せば他の三つの関節も強い関節を示し,弱い関節のものは,他も弱い関節を示す傾向がみられた.4)方骨の各部位の観察で変異が最も少ないのは,含気孔の位置と数の形質であった.5)方骨の形状は生活型分類での鳥類の嘴の適応諸型との関連性が強く,目の異なるカツオドリとカワセミ,フクロウ類とワシタカ類などはそれぞれ非常に類似する方骨を有した.
著者
石野 貴久 寺田 珠実 鮫島 正浩 鴨田 重裕
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.45-58, 2012-02-25

イチイ属樹木特有の抽出成分として知られるタキソールは,幅広い癌に効果のある強力な抗癌剤であるが,供給不足のため依然として高価な薬剤である。この供給不足解消の新たな手段として,内生菌の利用に着目した。イチイに加え,同じイチイ科であるカヤの内生菌の単離同定を行い,そのタキソール生産可能性についてタキソール生成酵素遺伝子の有無という観点から検討を行った。まず,イチイからは一Phomopsis属を中心に10種類の菌が,カヤはXylaria属を中心に11種類の菌が単離された。次に,既知のタキソール生合成関連酵素の内,特に利用性の高いTXS(taxadienesynthase), BAPT(3-amino-3-phenylpropanoyl-13-O-transeferase),TαH(taxadiene 13α hydroxylase)という3つの酵素遺伝子の存在可能性を,ドットプロットハイブリダイゼーション法を行うことで調べ,一次スクリーニングとした。その結果,イチイ内生菌[Collelotrichum gloeosporioides],[Paraconiothyrium microdiplodia],カヤ内生菌[Xylariaceae sp, Cordyceps diplerigene],[Sordariomycete]の4菌種において,3種全てのプローブでハイブリダイズした。このうち,カヤ内生菌のCordyceps dipterigeneに注目して,サザンハイブリダイゼーションを行ったところ,上記3種の酵素のプローブでバンドが確認できた。その部分をゲル抽出してテンプレートとし,PCRを行い,塩基配列を読んだところ,上記3つの酵素遺伝子と95%以上の高い相同性を示し,タキソール生成酵素遺伝子を有する微生物を初めて発見することができた。