著者
チャンドラー Jr. A・D
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.1-25, 1982-01-30 (Released:2010-11-18)
参考文献数
2
著者
LENG Ron A.
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.468, 2009-11-25 (Released:2010-05-25)

現在世界は,相互に関係し,作用しうる次の3つの危機に直面している : 気候変動,ピークオイル(安価なエネルギーの終末),そしてグローバルな資源枯渇.バランスの良い食事を心がけることはもちろんのこと,予想される将来の世界の人口に対しての食事を供給するために大きな変革が必要であることは言うまでもない.エネルギーに関連して,食料との関係を理解しなければならない.近代的な農業はエネルギー集約的な産業であり,エネルギー価格の高騰により影響を受けやすい.肥料の主要な原料は天然ガス(窒素肥料生産コストの70-90%)であり,生産資材の中で肥料は最大のエネルギーを使用する.安価な化石燃料により,食料や飼料(穀類がその80%を占める)は安価に生産することができた.しかし,原油は枯渇するに従って価格が上昇し,このような状況は大きく変化する.その結果,人の食料や企業的な畜産のための飼料の入手に大きな混乱を招きかねない.同時に食料や飼料生産のための肥沃な土地は多くの複合した問題のため収量の減少とともになくなりかねない.これらの問題とは : 気候変動による破壊的効果,農業用水の減少,土地の利用性と肥沃土の減少,バイオエタノール生産のための原料作物のための土地利用の拡大.ピークオイルの最悪の影響は気候変動による最悪の影響より早急に生じ,多くの国々における将来の畜産戦略に影響する主要な要因となりうる.畜産革命は,穀類の輸出国において発展したことと同様に,ブタや家禽,そして反芻家畜の生産をさせるために工業国から開発途上国に輸出される世界の余剰な(それ故安価な)穀類に基礎を置いている.しかしながら,もし人口が67億から90-100億に増加するならば,人が必要とする穀類(食料と工業原料)に対して余剰となるものは現在の発展シナリオとは異なるものとなり,家畜生産に利用しうる世界の穀類の量は高度に制限されると予想され,世界中における企業畜産の減少に繋がる.草食動物(主に反芻動物とウサギ)を基盤とする畜産業は,食料やバイオ燃料生産に使用されない幅広い農業副産物やバイオマスを活用することができるため,広範囲な発展が求められる.バイオマスの主要な資源として穀類のわらがある.これらは処理をすることで消化率を向上することができ,適正な栄養の添加により反芻家畜による利用性を高めることができる.人口が集中地に近いところで多様な産物を生産する地域毎に多様化した農業が将来の食料生産にとって最適と思われる.養分や水をリサイクルさせながら作物生産とともに反芻家畜と水産養殖の統合したシステムを開発しなければならない.投入資材と生産物が地元で加工されることが不可欠である.リグニンを多く含む副産物の処理のための省エネ型工場や高タンパク質副産物からバイパスタンパク質の地元での生産がそのような副産物をベースにした反芻家畜による肉生産や乳生産に必須である.作物の残さにより反芻家畜やウサギ,草食魚を飼育する統合システムが将来の動物性タンパク質生産として最も効率が良いと思われる.そのシステムは人口密度に応じて小規模農家あるいは大規模生産に適応させれば良い.反芻家畜の放牧は,農業副産物による家畜生産と同様の技術導入により生産を拡大しうる.また,環境にやさしい放牧管理技術の開発により土地の荒廃を解決しうる上,土壌中有機物として炭素固定を最適化しうる.反芻家畜生産の欠点として温室効果ガスであるメタンの排出がある.飼料の処理や,放牧草や副産物に補助飼料を加えることにより生産性を高めることができ,生産された畜産物あたりメタン産生を低減化できる.加えて,ルーメンにおける消化過程でのメタン産生を制限しうる研究も進められており,将来反芻家畜からのメタン産生を抑制することも可能かもしれない.
著者
テン・ハーフ ヘンク・A・M・J 五十嵐 靖彦
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.127-136, 2004-10-18 (Released:2018-02-01)

In the last three decades, euthanasia has been a topic of continuous debate in the Netherlands and elsewhere. I is obvious that euthanasia has medical, moral and legal aspects, but it also has cultural, social and political dimensions. In the Netherlands, after three decades of debate and practical experience, euthanasia is since April 2002 regulated as a legitimized medical intervention under particular conditions. However, the legal regulation of euthanasia does not mean that the practice has lost its controversial and contentious character. In this presentation I will focus on four issues. First, the legalization of euthanasia in the Netherlands, identifying the characteristics of the new law. Second, rules and regulations in European countries will be compared, especially the laws in Belgium and the Netherlands. It is also clear that the medical practice of euthanasia varies significantly among European countries, contrary to the implicit assumption that physicians in the Netherlands practiced openly what was hidden in other countries. Third, the issue of legalization, and the various moral and pragmatic arguments pro and con legalizing euthanasia, will be analyzed. Finally, different approaches to death and dying seem to emerge from the euthanasia debate. Three approaches are distinguished: controlled death, preventive death, and palliated death. The increasing focus on the patients' quality of life is an opportunity for the emerging approach of 'palliated death', going beyond the images of 'controlled death' and 'preventive death'.
著者
V. G. MIRONOV A. C. GALSWORTHY 矢崎 克己
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.341-363, 2007-06-30 (Released:2017-08-10)
参考文献数
6

台湾産カバナミシャク属Eupitheciaを再検討し,45種に整理した.これらの中には7新種(E. concava, E. flavimacula, E. lini, E. blandula, E. rhadine, E. lupa, E. pellicata)を含むほか,4種(E. proterva Butler ウスカバナミシャク,E. tricornuta Inoue セアカカバナミシャク, E. centaureata ([Denis & Schiffermuller]), E. albigutta Prout)の台湾未記録種を含む.また,台湾ならびに中国大陸より記載された数種を既知種のシノニムとしたほか,これまで一方の性しか知られていなかった数種について,反対の性の標本が得られたものでは,交尾器の記載も行った.
著者
ナウファル A.S.M.
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.225-247, 1988-12-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
32

スリランカ最大の内陸都市キャンディは,16世紀末から19世紀始めまで,シンハラ王国の首都であった。しかし, 1815年に同王国がイギリスの植民地の支配に降って首府が島の西海岸の主要港湾都市コロンボに移されたため,キャンディは旧王宮,仏歯寺,要塞などを残すだけの古都となった。後に,茶プランテーションの隆盛と共にその生産物集散地としての機能が付け加わる。 1948年の独立以降は,伝来の宗教・文化的機能の外に,地方行政,教育,商業,サービス関係の中心地として,活況をとり戻している。 この歴史過程で,キャンディはシンハラ人の外に幾つもの民族集団が市内で同居するようになった。これら異なった民族間の居住パターン,つまり「住みわけ」問題を分析するのがこの論文の目的である。その場合,分析の対象とする民族としてはシンハラ,タミル,ムスリムに限定し,また,その分析の基準としては特化係数 (Representation Ratio), 相違指数 (Index of Dissimilarity), 住みわけ指数 (Index of Segregation), 集中化指数 (Index of Centralization) を採用し, 1985年に行ったフィールド調査にもとついて分析した。 その結果明らかになったのは, (1) 市内全域でみた場合,優勢民族集団であるシンハラ人は,特定の集中居住地区を持つのではなく, 23区に分散して居住が見られるのに対して,少数民族集団であるタミル人及びイスラム教徒のムスリムの場合は都心の商業地区ないしそれに近い地区に集中居住するパターンが確認されたこと, (2) 居住地の空間分布は社会,経済的レベルによってそのパターンを異にすること,つまり高所得者層の居住地区では居住も生活の様式も非常に均質であり,また低所得者層の居住地区でも民族集団は混在し,明瞭な住みわけが確認できないのに対し,中間の所得者層の居住地区では相互に異質性,相違性が高く,住みわけが起こりやすいこと, (3) 客観的に観察できる相違度はシンハラとタミルの間で最も高く,次にシンハラとムスリムの間であり,タミルとムスリムの間では相違度が最も小さいことなどである。また, (4) 集中化指数を見た場合も,ムスリムとタミルが都心により近い地区に集中していることが明らかになった。
著者
河名 俊男 Paolo A. PIRAZZOLI
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.135-141, 1984-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

琉球列島の宮古諸島に分布するノッチおよびビーチロックの調査により,現海面が完新世の最高海水準を示すとの結論を得た。ノッチの後退点高度は潮間帯に位置し,ビーチロックは潮間帯あるいは,ほぼ潮間帯ビーチロックを示す。潮間帯ビーチロックの2ヵ所から, 425±70 y. B. P., 1520±60 y. B. P. (Loc. 13) および2120±75 y. B. P. (Loc. 31) の年代値が得られた。以上のビーチロックおよびノッチの諸特徴より,宮古諸島における後期完新世の海面は少なくとも2100年前より現在まで,現海面にほぼ近い位置に存在していたと推察される。上記の海面変動は,琉球列島の他の主軸諸島に見られる後期完新世の高海水準を示す海面変動と対照的である。以上の対照性は,後期完新世に宮古諸島が他の主軸諸島と異質の地殻変動地域であった可能性を示唆する。
著者
KUBO Sumiko K. Ch. V. NAGA KUMAR Gajji DEMUDU B. HEMA MALINI K. NAGESWARA RAO Ritesh AGRAWAL Ratheesh RAMAKRISHNAN A. S. RAJAWAT
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan series B (ISSN:18834396)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.66-75, 2018-01-06 (Released:2017-12-29)
参考文献数
44
被引用文献数
1 4

Comparative analysis of time series satellite images spread over the past four decades indicated significant changes in the mangrove environment of the Krishna-Godavari twin deltas along the east coast of India. We analyzed Landsat-MSS, TM and ETM images from 1977, 1990, and 2000, respectively, and Indian Remote Sensing Satellite images from 1992, 2001, and 2013, which indicated that the mangrove cover in the region increased from 35,058 ha in 1977 to 39,283 ha by 2013. In spite of loss of mangrove vegetation over 8,036 ha due to coastal erosion, deforestation, decline and aquaculture encroachments, several mangrove-restoration projects taken up during 1991–2008 led to an overall increase in its area. Various mangrove eco-reforestation techniques were adapted in the region.
著者
WILSON A. ALLEY
出版者
JAPANESE ECONOMIC ASSOCIATION
雑誌
The Economic Studies Quarterly (ISSN:0557109X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.206-215, 1993-09-20 (Released:2007-10-19)
参考文献数
11

This paper uses a behavioural approach to test the hypothesis that Japan's regional banking performance is primarily the result of efficiency and is best described by the efficient structure hypothesis as opposed to the structure-conduct-performance hypothesis. Our model allows us for the first time to estimate the degree of (implicit) collusion in the Japanese regional banking industry. This paper finds that significant collusion does occur. This result leads us to conclude that the structure-conduct-performance hypothesis better explains Japan's regional banking performance.
著者
A. CHATURVEDI TRAN VAN HOA GOVIND SHUKLA
出版者
JAPANESE ECONOMIC ASSOCIATION
雑誌
The Economic Studies Quarterly (ISSN:0557109X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.97-107, 1993-06-18 (Released:2007-10-19)
参考文献数
9

The paper investigates the effects of misspecifying the disturbances in a linear regression model as spherical on the efficiency properties of the Stein-rule estimators. Asymptotic distribution of the Stein-rule estimator based on the OLS estimator is derived when the disturbances covariance matrix is nonscalar. The effects of non-spherical disturbances on the dominance conditions of the Stein-rule estimator is also observed. The risks under quadratic loss function of the Stein-rule estimators based on the OLS and the FGLS estimators are compared under a Pitman drift criterion.
著者
良永 知義 木南 竜平 Kathryn A. Hall 小川 和夫
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.123-126, 2006 (Released:2007-05-11)
参考文献数
15
被引用文献数
11 18

2005年春に, 中国福建省から養殖種苗として輸入されたカンパチ幼魚にアニサキスの寄生が高頻度に見られた。この寄生虫は, 形態学的にはヒトアニサキス症の原因となるAnisakis I型幼虫と同定された。ITS1-5.8S rRNA-ITS2領域の塩基配列では, 広義のA. simplex を構成する種の一つであるA. pegreffii と極めて近縁であった。主な寄生部位は胃壁および胃漿膜であり, 腹部の筋肉に虫体は認められなかった。本症例は, 養殖魚におけるアニサキス寄生の初めての例である。
著者
本村 敏明 日高 哲志 秋濱 友也 片木 新作 BERFOW Mark a. 森口 卓哉 大村 三男
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.685-692, 1997-03-01
参考文献数
25
被引用文献数
6

カンキツ類縁種には病害虫抵抗性等の有用遺伝子を有するものが多く,育種素材としての活用が期待されている.しかし,カンキツとの類縁関係が遠くなると交雑は困難となる.これを克服する手段として細胞融合が考えられる.ここでは細胞融合法の適用限界を知るために,カンキッとカンツ類縁種の電気融合を行い,融合後の胚様体の発育について調査を行った.<BR>材料には,ミカン亜科カンキッ連のトリファシァ亜連,カンキツ亜連(カンキツを含む),バルサモシトラス亜連およびワンピ連のワンピ亜連とメリリア亜連内の種を用いた.<BR>一般的にカンキッと分類的に近縁な組合わせにおいて雑種個体の作出が容易であった.カンキッ連カンキッ亜連内のカンキッと他の種との電気融合では,多くの組合わせで融合後の胚様体形成,シュートの再分化,発根が容易であった.カンキツとカンキツ連バルサモシトラス亜連の電気融合では,比較的シュートの形成は容易であった.しかしながら,その発根は困難なために,接ぎ木したところ,一部は植物体にまで生長したが,奇形葉を呈するものも多かった.ワンピ連との組合わせの電気融合では,個体再生は極めて困難で,分化しても異常な個体しか得られなかった.カンキッとカンキッ連トリファシア亜連との電気融合では,カンキツとワンピ連よりも類縁関係が近いにもかかわらず個体再生は困難であり,体細胞雑種作出の可能性は低かった.