著者
熊井 清雄 服部 育男 福見 良平 バイヨボ トーマス B. 滝沢 登志雄
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.212-217, 1995
参考文献数
20
被引用文献数
1

登熟期別二条オオムギサイレージを調整した。乳熟期の材料は無予乾と予乾とした。糊熟期と黄熟期の材料は1)無処理,2)乳酸菌剤(LAB),3)セルラーゼ(AC)高水準,4)LAB+AC低水準,5)LAB+AC高水準の処理を行った。全サイレージは保蔵が良好でpHが低く,総酸が高かった。LABとAC高水準の組み合わせは乳酸と総酸の含量が高く,相乗効果が認められた。サイレージの粗蛋白質,粗脂肪および粗繊維の各消化率は登塾につれて低下し,NFEは逆に向上した。また,DCP含量は乳熟期サイレージで,TDN含量は黄熟期サイレージが高かった。酵素添加は乳酸菌剤の有無に拘らず,TDN収量を顕著に高めた。
著者
カーター ハリーR. 長谷川 雅美 ブリット グスタフB.バン 小野 宏治 フリーズ ジョンN. 長谷川 博 植田 睦之 樋口 広芳 モイヤー ジャックT. チャン リーオチクボ フォレスト リーN.デ
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.61-87_1, 2002
被引用文献数
10

我々は伊豆諸島におけるカンムリウミスズメの繁殖や保全について、さまざまな資料を集めて検討した。1835年に種が記載された後、伊豆諸島では1877年にはじめて収集され,1901年に繁殖が初記載された。20世紀以後これまで,カンムリウミスズメは11の島々(鵜渡根島,新島,式根島,早島,神津島,恩馳島,祗苗島,三本岳,元根,小池根,鳥島)で繁殖が確認され,7つの島(大島,利島,地内島,三宅島,御蔵島,八丈島,八丈小島)では繁殖していないと思われた。一方,7つの島(銭洲,藺灘波島,青ヶ島,ベヨネーズ列岩,明神礁,スミス島,孀婦岩)では調査がおこなわれていない。個体群は鵜渡根島と三本岳の間,伊豆諸島北部を分布の中心としている。かつて伊豆諸島は本種の最も主要な繁殖地であると思われたが,20世紀半ば以降,個体群はつぎのような点から大きく減少してしまったと見ることができる。a)式根島や神津島ではすでに繁殖していないこと。b)三本岳ではいくつかの営巣環境が失われていること。c)20世紀初頭において鵜渡根島や早島,三本岳における卵採集者によって伝えられたような大規模な営巣はもはや認あられないこと。d)大島~新島間のフェリー航路からの観察で,カンムリウミスズメは1983~89年と比べて,1990~95年には出現頻度がより低下したこと。現在,伊豆諸島では計350-850つがいが繁殖していると思われる(カンムリウミスズメ全体の推定個体数4,000~10,000羽,あるいは2,000~5,000つがいのうちの7~43%に相当)。そのうち主要な繁殖地は祗苗島(100~300つがい),恩馳島(75~150つがい),三本岳(75~100つがい),そして小池根(20~30つがい)である。最近の推定はないものの,このほかに,100~300つがいがその他の島々(鵜渡根島,新島,早島,鳥島)で営巣しているものと思われる。保全上の問題はつぎのことがあげられる。人間の居住,過去におこなわれた卵の採取,離礁でのレクリエーションフィッシング(磯釣り),移入動物による捕食,三本岳における爆撃演習による繁殖場所消失,人間活動による繁殖地の破壊,火山噴火による営巣環境の消失,カラス類やヘビ,ハヤブサによる相対的に高レベルでの捕食,そして刺し網漁業による死亡である。カンムリウミスズメは日本周辺に分布が限られており,ウミスズメ類のなかではもっとも希少であることから,伊豆諸島においてはさらなる調査やモニタリング,そして保全上の問題に対する評価をおこなっていくことが急務である。
著者
沼野 藤夫 GRANDOS Juli PARK Y.B HOFFMAN Gray REYESーLOPEZ ペドロエー ROSENTHAL Ta ARNETT Frank MECHRA N.K. SHARMA B.K. PREEYACHIL C SUWANWELA Ni 角田 恒和 能勢 真人 松原 修 木村 彰方 長沢 俊彦 西村 泰治 CHARAOENWONGSE P. REYES-ROPEZ P.A. GRANDOSE J. PEDRO A Reye FRANK C Arne YACOV Itzcha N.K Mehra B.K Sharma NITAYA Suwan Y.B Park
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

高安動脈炎は非特異性血管炎であり、その成因は不明で、我国では難病の1つに指定されている。長年の研究の結果、この血管炎の発生に自己免疫機序の関与が示唆されるが、まだ十分解明されるまでには至っていない。本症は、臨床的にもいくつかの特徴が明らかにされており、(1)若年女性に多発し、(2)アジア諸国に多く、欧米に少ない種属差が知られている。我々は、本症の成因に遺伝要因の関与を想定し、現在までにHLA A24-B52-DR2のhaplotypeが本症患者に有意に高い頻度で出現していることを確認し、この事実がアジア諸国に多発する本症の謎と解きあかす鍵と考えられた。なぜならばB52の高い出現頻度を示しアジア諸国、アメリカインディアン、南米と本症の多発地域とが一致するからである。その後の検索で南米、韓国、インド等に於いても、本症患者にB-5 or B-52が有意に高い頻度を示すことが明らかにされてきている。そこで本症の病態につき国際研究を開始したが、この国際比較に於いていくつかの新しい事態が明らかにされた。その1つは、各国によって男女比が異なることである。我国では、女性が圧倒的に多い事実に対して西方にゆくに従って、その比率が減少し、イスラエル、トルコでほぼ6:4の割合までにゆくことである。もう1つは種属によりその臨床病態が異なり、我国では上行大動脈より大動脈弓部にかけての病変が多いのに対し、インド、タイ、南米(メキシコ、ペル-)ではむしろ腹部大動脈に病変が多いという差が明らかにされた。特にインド等では腹部大動脈に限局した患者もかなり認められた。このことから病態の分類に腹部大動脈の病変のみを含めた新しい体系を国際間で取り決め、この新分類に従った患者の実態を目下明らかにしつつある。このことはHLAの研究に於いても新たな展開を開かしめた。我々の研究に於いてHLA B-39の存在が健康日本人に比し有意に高い統計上の成績が得られたが、実数はわずか10名に満たぬ程であった為に放置しておいたが、そのDNAレベルの研究から、本症患者にのみ認められるB-39-2という新しいタイプの存在が発見された。そしてこのB-39は南米や東南アジア諸国に於いてはB-52より高い出現頻度を示しており、B-39と連鎖不平衡を示す遺伝要因が改めて注目されるようになっている。目下、各国に於いてB-39の出現頻度とその臨床病態との比較が新たなテーマとして取り上げられ、目下検討が成されつつある。このDNAレベルの解析は、各国より送ってもらった血液にて当大学で目下行いつつある。
著者
Jeff Z. Chen Hisashi Sawada Jessica J. Moorleghen Mackenzie Weiland Alan Daugherty Mary B. Sheppard
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Reports (ISSN:24340790)
巻号頁・発行日
pp.CR-18-0012, (Released:2019-04-27)
参考文献数
32
被引用文献数
24

Background:High-frequency ultrasound has facilitated in vivo measurement of murine ascending aorta, allowing aortic strain to be determined from 2-D imaging. Thoracic aortic aneurysms associated with mutations infibrillin-1(FBN1) display elastin fragmentation, which may affect aortic strain. In this study, we determined the relationship between elastin fragmentation and aortic circumferential strain in wild-type (WT) and fibrillin-1 hypomorphic (FBN1mgR/mgR) mice.Methods and Results:Luminal diameter of the ascending aorta from WT andFBN1mgR/mgRmice was measured in systole and diastole. Expansion of the ascending aorta during systole in male and female WT mice was 0.21±0.02 mm (16.3%) and 0.21±0.01 mm (17.0%), respectively, while expansion in male and femaleFBN1mgR/mgRmice was 0.11±0.04 mm (4.9%) and 0.07±0.02 mm (4.5%), respectively. Reduced circumferential strain was observed inFBN1mgR/mgRmice compared with WT littermates. Elastin fragmentation was inversely correlated to circumferential strain (R2=0.628, P=0.004) and significantly correlated with aortic diameter (systole, R2=0.397, P=0.038; diastole, R2=0.515, P=0.013).Conclusions:FBN1mgR/mgRmice had increased aortic diameter, reduced circumferential strain, and increased elastin fragmentation. Elastin fragmentation inFBN1mgR/mgRand their WT littermates was correlated with reduced circumferential strain.
著者
三宅敏之・B.Bowonder Bowonder B.
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.346-354, 1987
被引用文献数
4

<p><tt><b>1984年12月2日,インド中部の都市ボパールで,ユニオンカーバイドインド社から,イソシアン酸メチルが多量に漏えいし,死者2000人以上を出す今世紀最大のプラント事故が発生した、 ボパール事故の背景には数多くの安全管理上の問題点が見られる, 本稿では事故の詳細を明らかにするとともに,事故の問題点を四つの観点(すなわち,テクノウェア(technoware),ヒューマンウェア(赴umanware),インフォウェア(in{orw玖re)およびオーガウェア </b></tt><tt><b>(orgaware))に立って解析した. </b></tt></p>
著者
丸山 公明 M.B. ソロモン J.A. プラウドマン
出版者
明治大学
雑誌
明治大学農学部研究報告 (ISSN:04656083)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.37-46, 2002-09-25

ソマトスタチンの分泌阻害剤であるシステアミンをラージホワイト種♂七面鳥に投与した場合の血漿中成長ホルモン濃度,成長速度,体組成に及ぼす影響を探索した。システアミンの成長ホルモン分泌への影響を調べるために,システアミン塩酸塩を300mg/kgの用量にて,〓嚢にストマックチューブを用いて投与したが,投与後24時間では血漿成長ホルモン濃度には変化が見られなかった。食餌中のシステアミンの成長速度と体組成への影響を調べるために,8週令でシステアミン塩酸塩を基礎飼料中に0%,0.12%,0.24%の割合で添加し,16週令まで体重と飼料摂取量を各週測定した。血漿中成長ホルモンは8週令,12週令,16週令で測定し,16週令で七面鳥を屠殺し,体全体,胸,腿,脛の化学組成を決定した。食餌中のシステアミンは16週令で血漿中の成長ホルモンを増加させ(P<0.05),飼料摂取量を減少させた(P<0.05)。体組成では,脂肪は減少し(P<0.05),水分が増加したが(P<0.05),タンパク質には変化がなかった。胸,腿,脛の化学組成には変化は認められなかった。
著者
Janaina C. O. Sardi Cristiane Duque Flávia S. Mariano Iza T. A. Peixoto José F. Höfling Reginaldo B. Gonçalves
出版者
Nihon University School of Dentistry
雑誌
Journal of Oral Science (ISSN:13434934)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.177-185, 2010 (Released:2010-06-25)
参考文献数
64
被引用文献数
27 53

Although the main reservoir of Candida spp. is believed to be the buccal mucosa, these microorganisms can coaggregate with bacteria in subgingival biofilm and adhere to epithelial cells. Such interactions are associated with the capacity of Candida spp. to invade gingival conjunctive tissue, and may be important in the microbial colonization that contributes to progression of oral alterations caused by diabetes mellitus, some medications, and immunosuppressive diseases such as AIDS. In addition, immune deficiency can result in proliferation of Candida spp. and germination of forms that are more virulent and have a higher capacity to adhere to and penetrate cells in host tissues. The virulence factors of Candida spp. increase host susceptibility to proliferation of these microorganisms and are likely to be important in the study of periodontal disease. Herein, we briefly review the literature pertaining to the role of Candida spp. in periodontal disease, and consider the main virulence factors, the host immune response to these microorganisms, and the effect of concomitant immunosuppressive conditions. (J Oral Sci 52, 177-185, 2010)
著者
B. Koto
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.23, no.279, pp.95-127, 1916-12-20 (Released:2008-04-11)
被引用文献数
10 13
著者
Seo Eun-Seong Kandra Lili Gyémánt Gyöngyi Janecek Štefan Haser Richard Aghajari Nushin Hachem Maher Abou Svensson Birte Andersen Joakim M. Nielsen Morten M. Vester-Christensen Malene B. Christiansen Camilla Jensen Johanne M. Mótyán Janos A. Glaring Mikkel A. Blennow Andreas
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.157-162, 2010
被引用文献数
3

Two carbohydrate binding surface sites (SBSs) on barley &alpha;-amylase 1 (AMY1) of glycoside hydrolase family 13 (GH13) displayed synergy in interactions with starch granules, thus being pivotal for hydrolysis of supramolecular substrates. Mutational analysis showed that SBS1 is more critical for the conversion of starch granules, while SBS2 has higher affinity than SBS1 for &beta;-cyclodextrin (&beta;-CD). Noticeably, the binding preference of &beta;-CD to SBS2 differed distinctly from that of maltooligosaccharides to the catalytic nucleophile mutant D180A AMY1. Binding energy maps at subsites -8 through +4 of the active site indicated remarkably elevated affinity due to the Y380A mutation at SBS2. The high-yield AMY2 expression variant A42P, made it possible to show that Tyr378&mdash;corresponding to Tyr380 in AMY1&mdash;has a role in interactions with starch granules, but not in &beta;-CD binding. Besides SBSs, dedicated starch binding domains (SBDs) mediate binding to starch granules. SBDs are currently categorised into 9 carbohydrate binding module (CBM) families. A novel CBM20 subfamily encountered in regulatory enzymes possesses characteristically low affinity for &beta;-CD. Although &alpha;-amylase is essential for starch mobilisation in germinating barley seeds, efficient degradation requires the concerted action of &alpha;-amylase, &beta;-amylase, limit dextrinase (LD) and possibly &alpha;-glucosidase. Limit dextrinase (LD) is encoded by a single gene and represents the sole debranching activity during germination. Recent expression of functional LD in <i>Pichia pastoris</i> makes biochemical and biophysical characterisation of this GH13 enzyme possible. An endogenous limit dextrinase inhibitor was cloned and produced recombinantly and demonstrated to have sub-nanomolar affinity for LD.
著者
Klaus B. Hendriks 河野 純一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.117-126, 1989-04-28 (Released:2011-08-11)
被引用文献数
1

障害をうけたり, 変色してしまった, ネガやポジプリントなどの写真画像は, 種々の方法で修復することができる。これのら方法のうちで最も一般的なのは, ポジプリントのコピーあるいは透過材料のデュープを作ることである。コピーを取る前か後にレタッチすることも有効である。版画や絵画の保存の分野で開発された伝統的な手法も写真の修復に序々に応用されつつある。また, とくに写真画像に対して開発された数々の技術も知られている。こうした例としては, 割れたガラスプレートネガを修復したり, 画像を担持しているゼラチン層を劣化した支持体から新しい安定な支持体へ移すことが挙げられる。さらには, 黄変したり, 変色した白黒写真を化学薬品の溶液で処理することもできる。本論文ではここ2-3年の間にカナダ国立公文書館で実際に行なわれた, 変退色した写真プリントの復元に関する実験研究について述べることにする。画像形成している銀粒子の劣化機構についても調べた。修復の過程で, 写真を構成する各種素材に対する種々の化合物の効果を注意深く調べる実験について, 特に詳しく述べた。処理浴の最終段にセレン調色浴を施すことによって, 修復された写真プリントの保存安定性はさらに向上する。本論文で述べる方法は全ての印画紙プリントに適用できるという訳ではないので, その制約については良く理解しておいて頂きたい。