著者
宮島 郁夫 Mata Diego 小林 伸雄 Facciuto Gabriela Soto Silvina Hagiwara Juan Carlos Serpa Juan Cruz Escandon Alejandro
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.137-139, 2004-03-15
被引用文献数
3

ジャカランダ(Jacaranda mimosifolia)の簡便で実用的な挿し木方法を検討した.生育がほぼ停止した熟技を挿し穂にした場合には発根しなかったのに対し,伸長開始後まもない緑技を挿し穂にすると高い発根率が認められた.緑技挿しではIBAの有無にかかわらず挿し木の成功率は86%以上であった.緑技挿しの根は健全で挿し木の開始から2ヶ月後には5 10cm程度に伸長した.このことから,伸長開始後間もない緑技を用いた挿し木はジャカランダの増殖にきわめて有用な技術となることが示唆された.
著者
坂本 辰馬 奥地 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.107-114, 1970
被引用文献数
2

1. 温州ミカン果汁の酸の変化, とくに集積, 稀しやく, 減少に及ぼす夏秋季の土壌乾湿の影響を解析するため, 早生温州ミカン幼木についてポット試験をおこなつた。<br>2. 結果量が多かつた4年生樹についての8~9月の土壌乾湿実験では, この期間における20日ないし30日間の乾燥によつて, 果肉の肥大生長が抑えられ, 果汁の酸濃度は高くなり, 果肉中の酸含量は減少した。9月10日ごろまでの乾燥では, 乾燥直後の5日間の灌水によつて果肉中の水分が急増し, これにともなつて酸濃度が急減したが, 逆に果肉中の酸含量は増加した。しかし, 9月20日すぎまでの乾燥では, 以上の傾向があまり認められなかつた。<br>3. 果汁の酸濃度は8月中旬にはすでに減少の過程にあるが, 果肉中の酸含量は9月20日ごろから下旬にかけて最高になつた。この時期を前後にして, 生成および分解からみた酸の変化が, 集積と減少の過程に区別できた。<br>4. 上述の乾燥直後の灌水による酸濃度の減少および酸含量の増加に, 時期による著しい差があつたのは, それぞれの時期が酸の集積過程と減少過程とにあつた違いのためとみられ, この時期を境いにして, 果肉の生長, 果肉内の物質代謝に大きな変化があると推察された。<br>5. 結果量が少なかつた5年生樹についての9~10月の土壌乾湿実験では, 多湿のときに10月になつても果実の肥大生長が著しく, やはり果汁の酸濃度が低くなつた。収穫前約1か月間の酸の変化をしらべると, 乾燥のときに酸の減少量 (実質的な消失量, または分解量と生成量との差) が多くなり, 多湿のときに稀しやくが著しく多くなつた。<br>6. 夏秋季の土壌水分の多少の影響に関して, 収穫時の温州ミカン果汁の酸および可溶性固形物濃度の高低は, とくに9月中~下旬以降の多湿または乾燥とに密接に関係し, とくに多湿の場合には果肉中の水分増加による稀しやくの強い影響があるのをあきらかにした。
著者
別府 まゆみ 北島 宣 長谷川 耕二郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.83-88, 2001-01-15
被引用文献数
3 19

'水晶文旦', '晩白柚', '晩王柑', ブッシュカン, '興津早生'ウンシュウミカン, コウジおよび'ダンカン'グレープフルーツの幼葉を用いて, 酵素解離法により染色体標本を作製し, (1)ギムザ, (2)クロモマイシンA_3 (CMA), (3)キナクリンマスタード(QM)で順に染色し, 染色体長の調査およびCMAバンドパターンに基づく染色体の分類を行った.染色体構成は, '水晶文旦'では3A+3C+3D+9E, '晩王柑'では2A+1B+3C+3D+9E, ブッシュカンでは2B+8D+8E, '興津早生'では1A+1C+8D+8E, コウジでは1C+8D+9E, 'ダンカン'では2A+1B+1C+6D+8Eであった.'晩白柚'では17本の染色体構成は1A+2B+2C+4D+8Eであり, 残る1本はA型またはB型のいずれであるか判別できなかった.ブッシュカンを除く種および品種において, A型からE型のいずれかで染色体数が奇数であり, 部分相同染色体を含んでいることが示唆された.ブッシュカンやマンダリンは, 比較的早く分化したと考えられており, ブッシュカン, '興津早生'およびコウジでは, 染色体構成が単純でD型およびE型染色体が多くの割合を占めたことから, D型およびE型染色体がカンキツ染色体の基本型である可能性が示唆された.
著者
Park So-Young Song Jin-Su Kim Hyoung-Deug Yamane Kenji Son Ki-Cheol
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.447-454, 2008-10
被引用文献数
4

Case studies were performed in two high schools (designated K and J) in Seoul, Korea in order to examine how in-class plantscapes consisting of ornamental plants affected the indoor environment and the stress level of students. Forty-two healthy female students, 16 to 17 years old, were assigned to classrooms with or without plantscapes. Although the differences were small, plants lowered the temperature, raised the relative humidity in the classrooms, and reduced the amount of airborne fine particles. Positive descriptors such as 'clean', 'soft', 'comfortable', and 'fresh' were used by the students to describe the classrooms with plants in both schools after installation of the plants. The stress level of the students was lower in rooms with plants than without in school K and but not in school J; students in control rooms in both schools did not show a significant change in stress. Saliva cortisol content, a physiological indicator of stress, was not reduced by the presence of plants in either school; however, the number of visits to the infirmary was lower for students in rooms with plants than in the control rooms at both schools. The results indicate that the presence of plants improved the physical environment, the general ambience (i.e., appropriate place for classes' and 'relaxed place'), and reduced the level of stress among the students. The role of the interior plantscapes in living spaces is discussed.
著者
鈴木 鉄男 岡本 茂 片木 新作
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.323-328, 1977
被引用文献数
3 1

温州ミカン幼樹を供試して, 5月から8月にかけてチッ素施用量を変えることにより, 葉中N含量に差をつけた場合の, 果実の肥大•品質に及ぼす影響を調査し, 品質向上の面からみた夏秋季の適正なる葉中N含量を明らかにしようとした.<br>1. チッ素施用後, 葉中N含量に変化が現われるのは10~15日後であつた. そして5月下旬以降12月上旬にかけて, 葉中N含量はチッ素施用量をよく反映し, 9月3日の葉分析では, N<sub>0</sub>区2.08%, N<sub>1</sub>区2.78%, N<sub>2</sub>区3.21%, N<sub>3</sub>区3.40%, N<sub>4</sub>区3.73%を示した. K含量はN<sub>0</sub>区で明らかに高く, Nと拮抗的関係がみられた. CaとMg含量は高N区で低い傾向があつた. なお, 9月11日に果実中N含量を分析したところ, 葉分析の結果と全く同じ傾向が得られた.<br>2. 葉色指数に差が現われたのは6月上旬からであり, 7月上旬頃からその差が明確となり, N<sub>0</sub>区は淡緑色で, N<sub>3</sub>, N<sub>4</sub>区は濃緑色を呈した. そして, N<sub>0</sub>区では8月上旬頃から古葉の黄変, 落葉が始まり, 幼果の果皮も淡緑色を呈し, 樹勢は著しく衰弱した. なお, 葉色指数と葉中N含量の間には高い正の相関 (<i>r</i>=0.823**) があり, 葉中N含量とクロロフィル含量の間にもかなり高い正の相関 (<i>r</i>=0.695**)があつた.<br>3. 果実収量はN<sub>3</sub>区が最もすぐれ, N<sub>4</sub>, N<sub>2</sub>区がこれに続き, N<sub>0</sub>区は明らかに劣り, 平均果重でも同様の傾向があつた. 果形指数は区間に差がなかつた. 果皮の着色指数はN<sub>1</sub>, N<sub>2</sub>区で最高を示した. これに反してN<sub>0</sub>区では着色は早くから始まつたが, その後, 次第にチッ素施用区に追いつかれ, 橙色に乏しく, 採収果の着色指数も低かつた. 果皮歩合はN<sub>0</sub>区で低く, チッ素施用量が増すにつれて高くなつた. 果汁中の可溶性固形物含量はN<sub>0</sub>, N<sub>1</sub>区で明らかに高く, N<sub>2</sub>以上では低下するようであつた. クエン酸含量には有意差は認められなかつたが, 傾向としてはN<sub>0</sub>とN<sub>1</sub>区でやや高かつた. 甘味比には差がなつた.<br>以上の結果から, 品質向上の面からみた夏秋季の葉中N含量の適正値は, N<sub>1</sub>区での2.6~2.8%付近にあると考えられる.
著者
中村 正博
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.265-271, 1992
被引用文献数
1 4

クリ'大和早生'を供試して花柱突出直後から3~4日間隔で人工受粉を行い, 収穫時における着果率を調べるとともに, 花柱および胚珠の発育との関係を調査した.<BR>1. 7月下旬までの早期落果率は, 花柱突出始めの6月19日受粉区で高く, 以後漸減して, 6月26日以降の受粉区ではいずれも15%以下であった. 一方,後期落果はいずれの区においても8月25日以降に始まり, 8月28日から9月1日にかけて最も激しかったが, 7月17, 21,24日の各受粉区ではそれぞれ20,35, 50%にとどまった.<BR>2. 9月11日の収穫時におけるきゅう果の着果率は, 7月17日受粉区が80%と最も高く, 7月21,24日受粉区が65, 35%と続いた. きゅう果中の肥大果実数は, 7月14日までの受粉区では1個のものが多かったが, 7月17, 21日受粉区では2個のものが増加するとともに3個のものが出現した. しかし, 7月24日受粉区では3果きゅうは見られなかった. 以上から, 受粉適期は7月17~21日と考えられた.<BR>3.中心子房では6月19日ころから, 側子房では同23日ころから花柱が突出, 伸長し始めた. 7月7日にはいずれの花柱も外側に広がり始め, 7月14日には約4mmの長さでその伸長を停止した. したがって, 受粉の適期は, 花柱が伸長を停止した3~7日後に, また, 総ほうのりん片が尖頭状に変化して外側に開き始めた時期に相当した.<BR>4.7月28日以降, すべての胚珠で外珠皮, 内珠皮, および珠心の分化が認められた. また, 最大胚珠では8月4日に胚のうが認められ, 同11日ころから珠心が消失した.
著者
青木 宣明 吉野 蕃人
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.450-457, 1984
被引用文献数
6 1

ボタンの接木二年生株′花競′を用い, 促成システムを確立する目的で, まず花芽の発育経過を調べた. 次に冷蔵期間が促成に及ぼす影響について調査した.<br>1. 花芽分化の調査を開始した8月27日には葉分化はすでに終了し, 花弁の分化が始まっていた. 9月27日になると, 雄ずい分化中の個体が観察され, 10月18日では大半の個体が雌ずい形成中であった.<br>2. 冷蔵期間が長いほど芽期及び開花期が早くなった. しかしながら5~7週間冷蔵処理の3処理区では, 萠芽期から開花期までの到花日数, 及び積算温度が類似した.<br>3. 開花率については, 5週間冷蔵処理区が75%で最も高く, 7週間冷蔵処理区は50%で最も低かった.<br>4. 切花重や花弁数では処理区間に有意差が生じなかった. しかしながら, 冷蔵期間が短くなるほど花は大きくなる傾向を示し, 葉は逆に小さくなって葉面積は激減した. すなわち冷蔵期間が短くなるほど下位葉の展葉が阻止された.<br>5. 切花としての草姿は, 6~7週間冷蔵処理区が適当であった.以上の結果から, 花芽の発育程度と冷蔵温度, 期間がボタン促成の開花期, 開花率, 切花品質に大きな影響を与えるものと考えられる.
著者
松島 二良 原田 学
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.242-246, 1966
被引用文献数
2

温州ミカン, ハッサク, ナツダイダイを連続通気方法によつてSO<sub>2</sub>くん蒸を行ない, SO<sub>2</sub>の吸収量すなわち葉内S含量の増加と落葉率ならびに他の葉内成分含量におよぼす影響を調査した。<br>1. 冬季毎日2時間あて34日間, 5, 1, 0ppmの濃度のSO<sub>2</sub>でくん蒸した結果, 煙斑の発生は認められなかつたが, 落葉率はいずれの種類も処理によつて有意的に増大したが, 濃度間では有意差はみられなかつた。一方葉内S含量は各種類ともSO<sub>2</sub>濃度の増加とともに増大し, 落葉率と関係があることを示した。SO<sub>2</sub>濃度とK含量との関係は, 0, 1ppm両区では明らかな関係はなく, 5ppm区では両区に比べ減少の度合がわずかであつた。また5ppm区ではいずれの種類もCaの減少の度が大であつた。N, P, Mgは処理に影響されなかつた。<br>2. 生育期間中のくん蒸の結果でも葉内S含量の増加と落葉率とは平行的な関係が認められたが, S含量の増加は冬季より大であり, またくん蒸期間が長いほど顕著であつた。冬季の実験に比べCa含量に対する影響は明らかでなかつたが, Kは処理区が常に高かつた。<br>3. SO<sub>2</sub>の吸収量はハッサク, ナツダイダイは温州より大きかつたが, 落葉率は温州が最も大であつた。<br>4. 120ppm-hour の同一積算量において濃度と時間を組合わせた場合, 高濃度短時間処理のほうが低濃度長時間処理より著しく被害が大であつたが, S含量はくん蒸区の間に大差はなかつた。
著者
大塩 裕陸 仁井 文夫 浪岡 日左雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.231-238, 1981
被引用文献数
2 5

くん炭の物理的, 化学的性質を調べ, 養液栽培用培地としての適性について論じた.<br>くん炭内部は多孔質構造を有し, 軽量性, 通気性, 保水性に大きく寄与することが推察された. くん炭の粒度分布, くん炭培地の三相分布を測定し, 粒の崩壊さえ防げればくん炭は優れた養液栽培用培地であることを確認した.<br>焼成温度を変えて得られたくん炭の化学的性質, CECイオン吸着能, 最大容水量を調べ, 500°Cを起える焼成温度が好ましいことが示された. また, くん炭焼成温度の上昇につれてpHと水溶性カリの増大が顕著に認められた.<br>くん炭の水浸漬試験の結果, pHは比較的短時間で安定するが, ECおよび水溶性カリは浸漬時間の経過につれて徐々に増加し, くん炭中のカリは比較的難容性であることが示唆された.<br>くん炭培地における尿素のアンモニア化成と硝酸化成を調べると, 新しいくん炭中ではアンモニア化成は認めれらたが硝酸化成は認められなかった. しかし培地として使用後のくん炭では硝酸化成能が認められた.
著者
伊東 卓爾 佐々木 勝昭 吉田 保治
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.629-635, 1997-12-15
被引用文献数
12

近畿大学附属農場湯浅農場 (和歌山県湯浅町) においてハウス栽培されたマンゴー'Irwin'の果実発育中および追熟中の呼吸量, 糖質および有機酸含量の変化について調査した. 発育中の調査には, 6月14日から8月21日までの果実を用いた. 追熟中には, 8月2日, 8月8日および8月21日に採取した果実を用い,25°C下に貯蔵した.<BR>果実の肥大は, 内果皮の硬化が始まるまでは速やかであったが, 硬化後 (7月19日) は非常に緩やかとなった.<BR>呼吸量は7月19日までは急速に低下したが, 内果皮が硬化した後はほぼ一定であった. 追熟中は, クライマクテリックライズが始まった後1~2日目に呼吸量が最大となった. 呼吸量がピークに達した時, 果皮の着色と果肉の軟化が始まった. 芳香は, 果皮の着色開始から数日遅れて発生し始めた.<BR>遊離糖として, 果糖, ブドウ糖およびショ糖が検出された. 内果皮が硬化した後, 果糖およびショ糖含量は増加し, 8月21日にはそれぞれ3.4g•100g<SUP>-1</SUP>FWおよび1.9g•100g<SUP>-1</SUP>FWに達した. 逆に, ブドウ糖含量は減少し続けた. 発育中は, 果糖が主要糖であった. デンプン含量は, 内果皮が明らかに硬化した7月19日には2.1g•100g<SUP>-1</SUP>FWであったが, その後急増し8月21日には11.7g•100g<SUP>-1</SUP>FWに達した. 追熟後は, デンプンはほとんど検出されなくなり, ショ糖含量の増加が著しく, 果糖含量はわずかに増加した.その結果, ショ糖が主要糖となり, 還元糖の大部分を果糖が占めた. デンプンの蓄積量が多い果実で, 全糖含量が多くなった.<BR>有機酸としてクエン酸およびリンゴ酸が検出されたが, 大部分はクエン酸であった. クエン酸含量は内果皮が硬化し始める頃に1.4g•100g<SUP>-1</SUP>FWに達したが,その後減少し続け, 8月21日の含量は0.6g•100g<SUP>-1</SUP>FWであった. 追熟後は, クエン酸含量はさらに減少した.<BR>樹上で果皮が赤または黄色に着色し始める段階が,和歌山県有田地方においてハウス栽培された'Irwin'の収穫適期であると考えられる.
著者
佐野 泰
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.84-90, 1974
被引用文献数
1

球根アイリス•ウエジウッドの花芽分化, 発達におよぼす温度の影響を知るために実験を行なつた. 使用した球根はいずれも新潟県産のものである.<br>1. 8月12日より35日間, 8°Cまたは13°Cで低温処理を行なつたのち, 15°C, 20°C, 30°Cに移してその後の花芽分化, 発達を調べたところ, 13°C後15°C区が最も早く, ついで8°C後15°C区で, 8°Cまたは13°C後20°C区はややおくれたが, 8°Cまたは13°C後30°C区は花芽分化しなかつた. 連続20°Cに置いたものはおくれて花芽分化した. これらの葉数は連続20°C区が最も多く, ついで13°C後20°C区, 13°C後15°C区, 8°C後20°C区, 80°C後15°C区の順であつたが, 8°Cおよび13°C区とも30°Cに移したものは葉分化が進まなかつた. 第1葉の伸長は低温処理後20°Cに移したもので大きく, 15°Cで小さかつた. また30°Cに移したものは伸長が停止した.<br>2. 球根を8月9日から13日間, 35°C, 30°C, 20°Cおよび13°Cにおいたのち, 13°C40日間の低温処理を行ない, その後20°Cに移して花芽分化, 発達を調べたところ, いずれの区も花芽分化し, その発達は13°Cまたは20°C区が, 30°Cまたは35°C区よりやや早かつた. 葉数はほとんど差がなかつたが, 第1葉長および花茎長はともに高温区より20°Cまたは13°C区のほうが大きくなつた.<br>3. 13°C30日または45日の低温処理を行なつた球根を, 35°Cに0, 2, 4, 8または16日間おいたのち, 20°Cに移してその後の花芽分化, 発達を調べたところ, いずれの区もすべて花芽分化した. このうち低温30日処理区では高温8日以上のもので, また低温45日処理区では高温16日以上のもので花芽の発達がおくれたが, その程度は高温に置かれた日数程度であつた. しかしこれらの葉数は増加していた.<br>4. 以上の結果より, 球根アイリス•ウエジウッドの花芽分化は, 8°Cから13°Cの低温によつて促進されるが, その作用は後作用として働き, 花芽分化時にこれらの低温である必要はない. また低温処理前の高温処理は, 休眠が終了するころであれば必しも花芽分化を促進しない. 低温処理後の高温は, 花芽分化を多少おくらせるが, 低温処理の効果を著しく減少させるものでないことが明らかとなつた.
著者
佐野 泰
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.170-174, 1973

球根アイリス•ウエジウッドの休眠期間と発芽適温を知るために実験を行なつた.<br>1. 信州大学農学部実験ほ場に植え付けた球根を, 5月10日より10日ごとに堀り上げて分化葉数を調べたところ, 6月12日に2.5枚となつたのち8月11日まで葉数の増加はみられなかつた. しかしその後再び葉数を増加し, 花芽分化した.<br>2. 京都大学農学部実験ほ場で栽培した球根を6月19日に掘り上げ, 7月6日より20°Cに貯蔵したものについて葉分化を調べたところ, 8月3日までは葉数の増加がみられなかつたが, その後葉数を増加した. 8月3日より15°Cおよび10°Cに移したものも葉数を増加したが, 30°Cに移したものは8月31日においても増加はみられず, その後10月26日におくれて増加しているのがみられた.<br>3. 20°Cに貯蔵した前と同じ材料を用いて, 7月6日, 8月3日, 8月31日, 9月28日および10月26日の5回にわたつて球根を植え付け, 20°Cで発芽を調べたところ, それぞれ9月9.6日, 9月8.6日, 9月15.6日, 10月7.8日および10月31.0日に100%発芽に達した. 子球についても同じ傾向が認められた.<br>4. 同じ材料について8月3日と9月28日の2回, 球根を10°C, 15°C, 20°C, 25°Cおよび30°Cに植え付けて発芽を調べたところ, 8月3日植え付けでは100%発芽に達するのは15°Cが最も早くて28日, ついで20°Cの36日, 10°Cの37日で, 30°Cは65日, 25°Cは73日と著しくおくれた. しかし9月28日植え付けでは10°Cがわずかにおくれたほかは, いずれも10日前後で発芽した. 子球についてもほぼ同じ傾向がみられた.<br>5. 以上の結果より, 球根アイリスは6月中旬より休眠に入り, 8月中旬までつづくが, 休眠末期には15°Cで最も早く発芽し, 25°Cおよび30°Cでは発芽しない. しかし休眠が完全に終了すれば発芽温度の幅が広がり, 10°Cから30°Cまでのいずれの温度でもよく発芽するようになることが明らかとなつた.
著者
中条 利明 片岡 正治 山内 勧 葦澤 正義
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.339-343, 1972
被引用文献数
5

鉢植えの5年生の富有カキについて, 8月上旬~9月中旬 (果実肥大の第II期と第III期の初期) における夜温および昼夜恒温の処理が, 果実の肥大ならびに品質に及ぼす影響を調べた.<br>1. 8月3日~9月21日の夜温処理 (150°, 20°, 25°および30°C) における, 処理終了時の果重は, 30°Cでとくに劣つた以外は各区の間で, はなはだしい相違がなかつた. 果皮の着色は25°Cおよび30°C区でいちじるしく進み, 淡黄緑色を呈し, クロロフィル含量は少なく, その傾向はとくに25°C区でいちじるしかった. 可溶性固形物含量もこれらの区で多かつた. しかし, これらの果実を11月10日に収穫すると, 果重, 果色および可溶性固形物含量の点よりみて, 形質の最もすぐれたのは25°C区であり, 最も劣つたのは30°C区であつた.<br>2. 8月6日~9月18日の間, 昼夜恒温の処理 (15°, 20°, 25°および30°C) をした結果, 処理終了時の果重および果皮の着色度は15°C区で最もすぐれ, ついで, 20°, 25°, および30°C区の順となつた. とくに30°C区では果重がいちじるしく劣り, 果皮も緑色であつた. 可溶性固形物含量も30°C区で最も劣つた以外に, 各区の間でいちじるしい相違がなかつた. 全糖に対する非還元糖の含量割合は, 処理温度の上昇につれて増加した. 10月25日の採取時には, 果重, 果色, かつ斑の発現, 可溶性固形物含量および全糖含量の点よりみて, 果実の形質は20°C区で最もすぐれ, 30°C区で最も劣つた.
著者
川俣 恵利
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.15-23, 1976
被引用文献数
1

当場果樹園に栽植中のナシに光化学スモッグによる被害と思われる症状が見られたので, その被害症状について環境バクロ室で発生した被害を参考にして調べた.<br>1. ナシの徒長枝上の生育旺盛な葉にクロロシス, 褐変およびネクロシス (壊死) の症状が認められた.<br>2. 被害を受けた葉は全クロロフィル, クロロフィルbが著しく減少した. また, 軽症葉ではデンプンが蓄積し, 被害が進行するにつれデンプンは徐々に崩壊した.<br>3. 軽症葉ではO<sub>3</sub>吸収量は著しく増加したが, CO<sub>2</sub>放出量はやや増加した程度で, RQは健全葉より低かつた. 重症葉でもO<sub>2</sub>吸収量は増加したが, CO<sub>2</sub>放出量が減少したため, RQは健全葉の1/2程度であつた.<br>4. 被害葉の無機成分含量は全般的に減少しており, なかでもNおよびMgは軽症でも著しく減少していた. しかし, 重症になるとP, K, Mgはあまり変化がみられなかつたのに対し, NとCaは減少が続いた.<br>5. 被害により著しく減少したRQと全クロロフィル, クロロフィルaおよびbとの間には極めて高い正の相関がみられた. またNと全クロロフィル, Caと全クロロフィル, NとRQ, CaとRQとの間にも0.1%レベルの正の高い相関が認められた.<br>6. 被害症状はオゾンないしPANによるものと類似しているように思われたが, 東京の光化学スモッグは亜硫酸ガスおよび粉じんが多く含まれ, 一酸化炭素や窒素酸化物が低い傾向にあり, 光化学反応のメカニズムが解明されていない現状では, 原因物質について明らかな確証を得るまでには至らなかつた.
著者
稲葉 昭次 山本 努 伊東 卓爾 中村 怜之輔
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.132-138, 1980
被引用文献数
2 3

トマトの樹上成熟果実と追熟果実の成熟様相と食味の比較を行った.'強力五光'については成熟の様相を, また'強力東光'についてはそれに加えて食味面からの検討も行った.<br>mature green stage からの追熟果実の炭酸ガス排出量及びエチレン発生量は,'強力五光'果実では全期間を通じて樹上成熟果実より低く,'強力東光'果実では成熟の開始に伴う増加が遅れた. turning 及び pink stage からの追熟果実では, いずれの品種ともに樹上成熟果実と大差は認められなかった.<br>'強力東光'果実の遊離のABA含量は, mature green stage からの追熟では, 成熟期間中ほとんど増加しなかったが, turning stage 以後の追熟では樹上成熟よりもむしろ多くなった.<br>full ripe stage における食味テストでは, 果色についてはいずれの熟度からの追熟果実も樹上成熟果実と差はなかったが, 肉質, 風味, 甘味及び酸味の評価は mature green stage からり追熟果実は明らかに樹上成熟果実よりも劣っていた. turning stage からの追熟果実では,酸味の評価のみが樹上成熟果実より劣っていたが, pink stage からのものではすべての面でまったく差は認められなかった. このような甘酸味の食味評価の差異は, 果肉部のグルコース及びフラクトース含量ならびにゼリー部のクエン酸含量における差異とよく一致していた.<br>以上のことより, トマト果実は内的及び食味構成面からみて, mature green stage では追熟に対する条件がまだ十分には整っておらず, turning stage になるとそれらがほぼ完全に整うように思われた.
著者
小杉 清
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.50-54, 1953

(1) 1951年及び1952年に東京に於いて, つばぎ4品腫-はぐほう(早), しらたま(早), わびすけ(中), 赤色八重 (晩) 及びさざんか1種の花芽分化期並びに花芽の発育経過を調べた。<br>(2) つばき及びさざんかの花芽分化期は, 6月中旬~7月上旬で, 早生種は晩生種より多少早く分化したが, その差異は比較的少かつた。<br>(3) 花芽の発育は, 胚珠の形成期までは早, 中, 晩の差異が比較的少かつたが, 花粉の形成期に於いて大きく差異が認められた。<br>(4) 開花始は, しらたま10月8日, はくほう10月18日, わびすけ12月9日, 赤色八重3月28日, さざんか11月10日であつた。
著者
伴野 潔 林 真二 田辺 賢二
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.15-25, 1985
被引用文献数
6 21

ニホンナシの花芽形成の機構を探る目的で, 花芽の着きにくい品種'新水'及び着きやすい品種'豊水'を用いて, 新梢上における花芽形成と新梢の各部位における栄養成分並びに内生生長調節物質との関係について比較検討した.<br>1. '豊水'では6月30日にほぼ新梢生長が停止したのに対し, '新水'では'豊水'よりも20日遅れ7月20日に停止した.<br>2. '豊水'の腋芽では, 新梢生長停止後急速に節数が増加し, 花芽が分化•発達した. 一方, '新水'の腋芽では'豊水'よりも20日遅れて7月30日に花芽分化の徴候がみられたが, その後の分化•発達はほとんど認められなかった. また, 最終的な花芽形成率は'新水'で15.5%, '豊水'で79.0%であった.<br>3. 両品種の腋芽において, 全窒素含量にはほとんど差異は認められなかったが, 全糖含量, でんぷん含量及び C/N 率は'新水'の方が'豊水'よりも高く推移した.<br>4. '新水'の茎頂では'豊水'に比べ, 特に生長の盛んな時期にIAA含量及びジベレリン含量が高かった.<br>5. '豊水'の腋芽では, 生育期間を通して'新水'よりもジベレリン含量及びABA含量が低く, 逆にサイトカイニン含量が高かった.<br>以上の結果から, ニホンナシの花芽形成は芽において12枚のりん片が形成された後, 節数が急速に増加するかどうかによって決定されること, さらにこの過程には内生生長調節物質が密接に関連しており, そのうちでも特にジベレリンとサイトカイニンが重要な役割を果たすものと推察される.
著者
勝谷 範敏 池田 好伸
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.121-131, 1997-06-15
被引用文献数
10 7

デルフィニウムを毎月上旬に播種し,定植後は年間を通じて無加温室で栽培し,開花反応の季節的変動を調べた.また,花芽形成過程を観察し,分化と抽台の関係などを検討した.さらに,ファイトトロン内で温度が抽台および開花に及ぼす影響,ならびに自然日長条件で加温栽培した時の抽台に関する品種の特性を検討した.<BR>1.無加温ハウスで栽培すると,デルフィニウムの花芽分化はほぼ周年にわたって認められ,広い温度域で分化した.播種から花芽分化までの期間は,定植後から高温となる時期は短く,定植後から気温が低下する時期は長くなり,花芽分化は高温によって著しく促進された.<BR>2.20°C以上の高温では幼若期が短縮され展開葉が5枚になると抽台を開始したが,15°Cでは幼若期が著しく延長されるとともに,ほぼ半数は抽台しないでロゼット状態となった.<BR>3.節数と小花数の相関は高く,定植後から高温となる3~7月播種は低節位で小花が分化し,小花数が少ない貧弱な花穂であった.定植後から低温となる8~2月播種では節数が多く,小花数の多いすぐれた切り花が得られた.<BR>4.低温は花芽分化を誘導するバーナリゼーションとしてではなく,ロゼット打破として作用した.すなわち,生長活性が回復して高くなり,生育できる低温の限界温度を拡大させるものとして作用した.<BR>5.デルフィニウムは花芽分化に伴って抽台を開始し,抽台時にほぼ小花数が決定されるので,品質の劣る早期抽台苗を早期に判別することができる.<BR>6.冬季に自然日長で加温栽培すると,品種によってはロゼット化する株が多く発生し,ロゼット化すると抽台が遅れるとともに,後になって抽台した花穂は奇形化して商品性がなくなった.
著者
小林 伸雄 竹内 理恵子 半田 高 高柳 謙治
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.611-616, 1995-12-15
被引用文献数
8 12

本研究では, 一般にDNA抽出が困難とされる木本性植物のツツジ属からのDNA抽出について検討を加えた後, 最近多くの植物で利用されているRAPD (Random Amplified Polymorphic DNA) 法を用いたツツジ品種の同定を試みた.<BR>ツツジ亜属の種群および同亜属を母種とするッッジ品種ではSDS法およびCTAB法によるDNA抽出が困難であったが, 改変CTAB法では全種からDNA抽出が可能であった.<BR>RAPD分析では, 100種のプライマーについて検索したところ, 16種で鮮明な多型バンドが得られ, 特に多くの多型を検出できた2種のプライマー (OPK-19, 20) を品種同定に用いた. 江戸キリシマ (9品種) およびクルメツツジ (14品種) の品種群では, これらのプライマーで得られた多型バンドにより, すべての供試品種を識別できた. また, サツキ品種では'晃山'とその枝変わり品種との識別が可能であった.以上のような結果から, ツツジ品種の同定技術としてRAPD法を適用できることが示唆された.
著者
古平 栄一 森 源治郎 竹内 麻里子 今西 英雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.373-380, 1996-09-15
被引用文献数
5 2

1.<I>Allium unifolium</I>の第1花序の分化は,無加温ハウスでは11月中旬に茎頂で始まり,12月中旬には小花原基形成期,翌年の1月中旬には第1小花が内雄ずい形成期,2月上旬には雌ずい形成期に進み,4月上•中旬に開花した.また,第1花序を着けている茎軸の下位3~4の葉えきのえき芽の茎頂にも花序を分化したが,これは第1花序より約1~2週間遅れて開花した.<BR>2.10月上旬にりん茎を植え付けた後,最低20°Cの加温室で栽培すると,一部の株で開花が見られず,開花しても花茎長が著しく短かったが,無加温室あるいは最低10°Cの加温室で栽培すると,すべての株が正常に開花した.<BR>3.8月1日から9°,15°,20°,25°および30°Cと温度条件を変えて2ヵ月間貯蔵したりん茎の第1花序の発育は低温区ほど進んでいた.これらのりん茎を最低夜温10°Cの加温室で栽培したところ,低温区ほど開花は早くなったが,開花花序数は少なくなった.<BR>4.貯蔵開始を1ヵ月早め7月5日から5°,10°,および15°Cの温度を組み合わせて3ヵ月間貯蔵したところ,貯蔵終了時の花芽の発育段階は10°Cに連続しておいた区が最も進み,開花も早かった.<BR>5.ハウス内で栽培した株から収穫したりん茎を用いて10°Cで3ヵ月間貯蔵したのち,最低夜温を10°Cに維持したハウス内で栽培すると,開花は12月下旬まで早まった.