著者
山下 謙一郎 若生 忠幸 小原 隆由 塚崎 光 小島 昭夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.444-450, 2005-11-15
参考文献数
27

ネギのさび病抵抗性を改良するため, '聖冬一本', '岩井2号', '長寿', 'せなみ', '冬扇一本', '豊川太'の6品種を育種素材(C_0)として循環選抜を行った.循環選抜の1サイクルは2段階からなり, 最初の年に自殖および自殖系統選抜を行い, 2年目に相互交配および母系系統選抜を行った.2サイクルの循環選抜により, 10母系系統からなる改良集団(C_2)を得た.さらに, 2世代の自殖と自殖系統選抜を行い, 13のC_2S_2系統を得た.実施した循環選抜の効果を評価するために, 2回の接種検定により上記の選抜で得られた全世代のさび病抵抗性の程度を比較した.春季および秋季の接種検定において, 発病程度の指標であるarea under the disease progress curve (AUDPC)の値は循環選抜が進むにともない明らかに減少し, 抵抗性の向上が認められた.C_1からC_2世代にかけて抵抗性の変化は小さかったものの, C_2S_2世代では大幅な向上が認められ, C_2S_2系統のAUDPCは素材品種の約38%となった.以上の結果, ネギのさび病抵抗性の改良に循環選抜は有効であることが実証された.
著者
浅尾 俊樹 北澤 裕明 伴 琢也 Pramanik M. H. R. 松井 佳久 細木 高志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.247-249, 2004-05-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 21

8種の葉菜類の自家中毒物質を探索するために水耕葉菜類に用いた活性炭に吸着された物質をGC-MS法で分析した.その物質は乳酸,安息香酸,m-ヒドロキシ安息香酸,p-ヒドロキシ安息香酸,バニリン酸,アジピン酸およびコハク酸であった.同定された物質の中で,顕著に生育抑制を引き起こす物質を探るため各葉菜類の苗を使ったバイオアッセイを行った.その結果,パセリではアジピン酸,セロリでは乳酸,ミツバでは安息香酸. p-ヒドロキシ安息香酸およびコハク酸,レタスではバニリン酸,葉ゴボウではコハク酸,シュンギクでは安息香酸,m-ヒドロキシ安息香酸およびコハク酸,チンゲンサイでは安息香酸およびp-ヒドロキシ安息香酸,ケールでは安息香酸,p-ヒドロキシ安息香酸およびアジピン酸が生育抑制を顕著に引き起こす物質として認められた.
著者
加藤 松三 清水 弘子 久松 完 小野崎 隆 谷川 奈津 池田 廣 市村 一雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.385-387, 2002-05-15
被引用文献数
2 19

カンパニュラメジウム切り花の受粉花と未受粉花の老化とエチレンとの関係を調べた.カンパニュラの小花の老化はエチレン処理により促進された.受粉により花弁の老化は著しく促進されたが, 柱頭の圧砕ならびに柱頭を含む花柱の除去は老化を促進しなかった.未受粉花では小花全体, 花弁および雌ずいのエチレン生成量は非常に低い値で推移したが, 受粉によりこれらの器官からのエチレン生成量は著しく増大した.エチレン作用阻害剤であるチオ硫酸銀錯塩処理は未受粉花の老化を著しく抑制した.以上の結果より, カンパニュラメジウムの花はエチレンに対する感受性が高く, 受粉はエチレン生成を増加させ, 花弁の老化を促進するが, 未受粉花では老化に対するエチレンの関与は少ないと考えられた.
著者
寺岸 明彦 神原 嘉男 小野 浩
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.715-720, 1998-09-15
参考文献数
12
被引用文献数
4 1

イチジク(品種'桝井ドーフィン')の穂木を12月1日に挿し木し, 加温したガラス室内またはファイトトロン内で異なる光強度下において45日間育苗した.1月15日に底面吸液と潅水チューブによる給液を併用した非循環閉鎖型養液栽培システムに定植した.挿し木1年目から果実生産を行う方法を検討するため, 苗質が着果, 生長ならびに果実品質におよぼす影響を調査した.育苗期間中にファイトトロン内で8.5klxの照明による14時間日長処理を行うことにより, 定植時における葉のクロロフィル含量が増加し葉色値が高くなった.定植時において第3葉の葉色値が25以上の株では5節目までにおける着果数が増加した.しかし, 17klxの照明による処理を行っても葉色値および着果数は8.5klx照明区と差はなかった.ガラス室内で日没後に0.2klxの照明による14時間日長処理を行っても葉色値および着果数は無処理区と同程度であった.収穫は5月27日から始まり, 7月10日までに全着果数の約85%の果実が収穫できた.ファイトトロン内で育苗した区はガラス室内で育苗した区に比較して定植後の栄養生長が促進され, 6月上旬までは果実肥大も促進されたが糖度はやや低かった.両区とも6月中∿下旬の梅雨期間中は光合成速度が低下した.しかし, 蒸散速度と吸液量は低下せず, 果実肥大にも影響はなく, 糖度は著しく低下した.7月には, フアイトトロン内で育苗した区の光合成速度はガラス室内で育苗した区よりも高かったが, 糖度は逆に低かった.
著者
黒田 治之 千葉 和彦
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.91-99, 2006-01-15
被引用文献数
3

無剪定状態で管理した樹齢11〜13年生のわい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹を用いて, 根の成長に及ぼす栽植密度の影響について検討した.330樹/ha区の根系は太い側根と下垂根で構成されていたが, 3178樹/ha区では主に側根であった.根系幅は栽植密度の増加に伴って減少したが, 隣接樹の根系における交差深度は増加した.3178樹/ha区では隣接樹の根系間で根組織の癒着現象が観察された.根系幅/樹冠幅比は栽植密度の増加に伴って減少し, 根系幅の方が樹冠幅より密度効果を受けやすいことが示された.根重の垂直分布比率は栽植密度による影響が認められなかったが, 1樹当たり根重は各層とも栽植密度の増加に伴って減少し, その減少は0〜30cm層の大根で著しかった.1樹当たり根重(R)は各台木樹とも, 栽植密度(ρ)の増加に伴って減少した.Rとρの関係は, 次の逆数式によって表された.1/R=A_<Rρ>+B_R (1)ただし, A_RとB_Rは樹齢や台木によって変化する係数.幹断面積(θ)と1樹当たり根重(R)の関係は各台木樹とも, h>1である次の相対成長式で表された.R=Hθ^h (3)ただし, Hは台木によって変化する係数.1 ha当たり根重は1樹当たり根重と異なり, 各層とも栽植密度の増加に伴って増加し, その増加は小・細根で顕著であった.1 ha当たり根重(R^^-)は各台木樹とも, 栽植密度(ρ)の増加に伴って増加した.R^^-とρの関係は, 式(3)のR=Hθ^h, 式(4)の1/θ=Aρ+Bおよび式(5)のR^^-=Rρから導かれる式(6)によく当てはまった.R^^-を最大にする栽植密度(ρR^^-_<pk>)は式(7)で与えられる.R^^-=Hρ/(Aρ+B)^h (6)ρR^^-_<pk>=B/A(h-1) (7)ただし, AとBは樹齢や台木によって変化する係数.以上の結果から, 1 ha当たり根重は栽植密度の増加に伴って増加するが, ρR^^-_<pk>において減少に転じることが示された.
著者
片岡 郁雄 杉山 明正 別府 賢治
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-6, 2003-01-15
被引用文献数
1 57

光感受性の高いブドウ品種'グローコールマン'果実のアントシアニン蓄積における紫外線の関与について,成熟開始期の果実切片を用いて調査した.果実切片を太陽散乱光のもとで各種の資材;ガラス板,ポリオレフォンフィルム,ポリ塩化ビニール,紫外線除去塩化ビニールフィルム,エチレンテトラフルオロエチレンフィルム,ポリカーボネート樹脂板,ガラス繊維強化アクリル板で被覆して,72時間培養した.果皮のアントシアニン含量は,紫外線透過率の低い資材で被覆した場合,大きく減少した.人工的な紫外線照射(ピーク波長352nm)はアントシアニン蓄積を著しく促進させた.UV-A領域(320-400nm)での0.4W・m^<-2>までの紫外線照射によりアントシアニン含量は急増し,2.3W・m^<-2>まで高いレベルで平衡状態を保った.一方,白色光も8.5W・m^<-2>までの照射はアントシアニン含量を緩やかに増加させた.紫外線に4.1W・m^<-2>の白色光を組み合わせて照射した場合,アントシアニン含量はさらに増加した.以上の結果から,ブドウブローコールマン'果実のアントシアニン蓄積には紫外線成分が関わっており,施設の被覆資材の選択には,紫外線透過特性を考慮する必要があることが示された.
著者
市村 一雄 上山 茂文 後藤 理恵
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.534-539, 1999-05-15
被引用文献数
5 6

バラ切り花における可溶性炭水化物, 特にミオイノシトール, メチルグルコシドおよびキシロースの役割を調べるため, 30g・liter^<-1>スクロースと200mg・liter^<-1>8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)の連続処理によるバラ切り花の器官別の炭水化物含量の変動を調べた.この処理により, 品質保持期間は延長し, 切り花全体の新鮮重は高く維持された.これは花弁の新鮮重の増加によっていた.花弁では, 収穫時にはフルクトース, グルコースおよびスクロースが主要な構成炭水化物であった.キシロース濃度は収穫時には低かったが, 収穫後3日目には著しく増加した.処理の有無によりそれぞれの炭水化物濃度に著しい差はなかった.花弁を除いた花器では, グルコース, フルクトースおよびスクロースが主要な炭水化物であったが, 処理により著しく変動することはなかった.茎ではスクロース, フルクトース, メチルグルコシドが主要な炭水化物であった.これらの炭水化物濃度は時間の経過にともない減少したが, スクロース処理はこの減少を抑制した.葉ではスクロースが最も多く, ミオイノシトールがこれに次いだ.スクロース濃度は収穫後著しく減少したが, 処理によりこの減少は抑制された.ミオイノシトールは処理の有無による変動はほとんどみられなかった.つぼみに各種炭水化物を処理したところ, メチルグルコシドとキシロースは開花を促進したが, ミオイノシトールは促進しなかった.以上の結果より, メチルグルコシドとキシロースはバラ切り花において代謝糖として機能していることが示唆された.
著者
矢野 隆 新開 志帆 井上 久雄 森口 一志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.711-717, 2000-11-15
被引用文献数
4 3

ユスラウメ台木を用いたモモ栽培においては, '川中島白桃'では衰弱症状が発生しやすいが, 'あかつき'は衰弱症状の発生が少ない.そこでユスラウメ台木樹における衰弱症状発生に関わる要因を炭水化物栄養の面から明らかにするため, 普通台木とユスラウメ台木に接いだ両品種について, 細根, 1年生枝, 新梢, 葉のデンプンと可溶性糖類の季節的消長を比較した.休眠期のデンプン, 可溶性糖類の消長は, 同じ台木では, 品種による明らかな差はみられなかった.ただし, 両品種ともにユスラウメ台木樹では開花前の細根のデンプン含量が普通台木樹の半分程度であった.果実生育期のユスラウメ台木の'川中島白桃'における細根, 新梢のデンプン含量は果実生育期間を通じて普通台木のものより低かった.これに対して, 'あかつき'の細根, 新梢のデンプン含量は両台木間で顕著な差はみられなかった.これと同様な傾向は細根の総糖およびソルビトール含量についてもみられた.なお, 新梢の糖含量や1年生枝, 葉のデンプン, 糖含量等については, 両品種間で樹勢衰弱につながる顕著な差は認められなかった.これらの結果から, ユスラウメ台木の'川中島白桃'で衰弱症状が発生しやすい一つの原因は, 果実生育期における細根のデンプンおよびソルビトールや, 新梢におけるデンプンの欠乏によるものと考えられる.
著者
文室 政彦 上田 和幸 沖嶋 秀史
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.364-372, 1999-03-15
被引用文献数
4 6

1995年に, 被覆条件下の根域制限ベッド(培地量160 liter/樹)に植栽した5年生ニホンナシ'幸水'と'豊水'を供試し, 乾物生産および分配の季節的変化を検討した.11月初旬の1樹当たり全樹体新鮮重は, '幸水'が約18 kg(82t/ha), '豊水'が約21 kg(96 t/ha)であった.収量は'豊水'が'幸水'より多かった.2品種とも生育が進むにつれて, 器官別乾物増加量が有意に増加し, 1年間の1樹当たり乾物生産量は, '幸水'が約3.37 kg(15 t/ha), '豊水'が約3.75 kg(17 t/ha)であった.単位葉乾物重当たりおよび単位葉面積当たり乾物生産量は, 生育が進むにつれて有意に増加した.1年間の単位葉乾物重当たり乾物生産量は, '幸水'が約6.33 kg・kg^<-1>, '豊水'が約6.59 kg・kg^<-1>, 1年間の単位葉面積当たり乾物生産量は, '幸水'が0.54 kg・m^<-2>, '豊水'が0.53 kg・m^<-2>で, いずれも品種間差異はなかった.2品種とも生育初期には, 新梢, 葉および細根への分配率が高く, 果実肥大期には果実への分配率が高かった.収穫後は旧枝への分配率が増加した.1年間の乾物分配率については, 品種間差異はなく, 果実に31%前後, 新梢に18%前後, 旧枝に16%程度, 葉に15%程度, 台木部に19%前後であった.2品種とも1日間の単位葉乾物重当たり乾物生産量は生育初期から9月初旬まで高く, その後は徐々に低下した.1日間の単位葉面積当たり乾物生産量も7月初旬から8月初旬まで最も高く, その後は徐々に低下した.'幸水'では1年間の乾物生産量が7月初旬までに42%, 9月初旬までに79%, '豊水'ではそれぞれ44%, 85%が生産された.
著者
大川 克哉 小原 均 栗田 由紀 福田 達也 Khan Zaheer Ulla 松井 弘之
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.129-134, 2006-03-15
被引用文献数
1

ジャスモン酸誘導体であるn-propyl dihydrojasmonate (PDJ)のニホンナシ'豊水'に対する摘果効果とその作用機構について調査した.1996年には,満開17日前,12日前,満開日および満開7日後の4時期に500,1000および2000ppm PDJを,1998年には満開18日および14日前の2時期に500および750ppm PDJを花そうに散布処理した.PDJ処理は落果を誘起し,摘果効果を示した.その摘果効果は処理時期が早いほど,また処理濃度が高いほど高く,500〜750ppmの濃度で満開17〜18日前に処理すると適度な摘果効果が得られた.これらのPDJを処理した果そうでは,果そうあたりの着果数が0〜2果の果そうの割合が約64%となり,無処理果そうの16%と比べて著しく高くなった.さらに,落下した果実の花序軸上の位置についてみると,PDJを処理した果そうでは,基部から1〜3番目の果実が落下しやすい傾向があり,特に1および2番目の果実では約90%の果そうで落下が認められた.果重,果肉硬度,糖度および酸含量には処理間で大きな差は認められなかった.花柱内での花粉管伸長はPDJ処理花と無処理花とで差は認められなかったものの,満開時における胚珠の発育状態について観察したところ,PDJ処理花では胚のうが萎縮した異常な胚珠が多く認められた.これらのことから,PDJはニホンナシ'豊水'に対して開花前に処理すると高い摘果効果を示すことが明らかとなり,摘果剤として実際栽培で利用できる可能性が示唆された.また,PDJが落果を誘起する原因は,胚珠の正常な発育を阻害することによる受精阻害に起因するものと考えられた.
著者
菊地 郁 金山 喜則 若本 由加里 金浜 耕基
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.446-448, 2000-07-15
被引用文献数
3 7

デルフィニウムの抽だいと花序の品質に及ぼす苗齢の影響を調べるため, 展開葉数2&acd;3, 4&acd;5, 6&acd;7枚の苗を, 8および24時間日長下で栽培した.抽だいまでの日数は長日下で短くなったが, 苗齢による一定の傾向はみられなかった.小花数は, 長日下では展開葉数2&acd;3枚の苗を用いた場合, 20花程度と少なかった.一方, 短日下での小花数は苗齢にかかわらず40あるいはそれ以上となった.次に, 抽だいおよび花序の品質に及ぼす温度と日長の組み合わせ処理の影響を調べた.温度・日長処理は昼温/夜温が24/19および17/12℃に設定されたファイトトロン内で, 8&acd;24時間日長下において18週間行った.抽だいと開花までの期間, 抽だい時の葉数はいずれの温度区においても短日下で増加したが, 日長の影響は24/19℃に比べて17/12℃において著しかった.24/19℃では16時間以上の日長下で抽だい率が100%に達した.一方, 17/12℃では16時間日長による抽だい率は50%にとどまったが, 20時間以上の長日下では100%に達した.16&acd;20時間の日長下で, 小花数においては日長の影響は小さかったが, いずれの日長でも24/19℃に比べて17/12℃で多かった.
著者
上田 悦範 池田 英男 今堀 義洋
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.446-452, 1998-05-15
被引用文献数
5 1

夏季および冬季に養液栽培(Nutrient Film Technique : NFT)されたホウレンソウの品質および貯蔵性を調べた.1. 温暖地の高温期においてもホウレンソウの高温条件に適応する品種を選ぶことと, 培養液温度を冷却すること等により十分な生長が期待できた.2. 夏・冬季栽培ホウレンソウの収穫時のアスコルビン酸含量, クロロフィル含量とも差異はなかった.3. 貯蔵中(8℃)の外観よりみた鮮度の低下は夏季と冬季に栽培したものの間に差異はなく, 貯蔵12日程度で商品性の限界に達した.貯蔵中のアスコルビン酸含量は冬季で栽培されたものでは鮮度低下や, クロロフィルの損失に伴って徐々に低下するが, 夏季のものの貯蔵中のアスコルビン酸含量は鮮度低下よりも速く, 短期間(5日以内)に低含量になった.
著者
張 偉 深井 誠一 五井 正憲
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.347-351, 1998-05-15
被引用文献数
3 1

日本産野生ギク7種(キクタニギク, シマカンギク, リュウノウギク, サツマノギク, アシズリノジギク, イソギク, ナカガワノギク)について頭状花序の分化・発達過程を走査型電子顕微鏡で観察した.頭状花序の分化は, 未分化, ドーム形成, 総包形成前期・後期, 小花原基形成前期・後期, 花冠形成前期・中期・後期の9段階に区別できた.頭状花序の分化時期, 発達スピードおよび開花時期は種によって異なった.筒状花の発達過程において, 雄ずいの分化前に花筒が閉じる種と分化後に花筒が閉じる種が見られた.
著者
矢羽田 第二郎 野方 仁
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.987-992, 1999-09-15
被引用文献数
3 6

イチジク果実の糖含量と糖組成比について, 秋果および夏果の品種間差異, 果実の部位, 結果節位による相違を検討し, 以下の結果を得た.1. 供試した普通型10品種の秋果と, サンペドロ型3品種および普通型1品種の夏果のすべてで, 小果の全糖含量に占める果糖, ブドウ糖の合計値の割合が90&acd;95%以上に達し, ショ糖の割合は低かった.しかし, 糖組成比の品種間差異はショ糖で顕著に認められた.2. '桝井ドーフィン'と'蓬莱柿'の秋果では, 成熟期に小果, 果托の果糖, ブドウ糖含量が急増するとともに, 全糖含量に占めるブドウ糖の割合が低下して果糖の割合が高まった.収穫期における糖組成比は, 両品種とも小果, 果托の間に有意な差がなかった.3. 小果, 果托の重量は, 収穫前の約2週間で急激に増加し, その際, '桝井ドーフィン'は果托, '蓬莱柿'は小果の重量が大きくなった.小果, 果托の重量から換算した部位別の糖含量は成熟期に急増し, とくに小果の重量が大きくなった'蓬莱柿'では, 小果の各組成糖の含量が果托に比べて顕著に多くなった.4. '桝井ドーフィン'と'蓬莱柿'の秋果では, 結果節位が高い果実で, 小果の全糖に占めるショ糖の割合が高くなった.結果節位の上昇に伴う糖組成比の変化には, 秋季の気温低下が影響していると考えられた.
著者
田尾 龍太郎 羽生 剛 山根 久代 杉浦 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.595-600, 2002-09-15
被引用文献数
8 12

ウメ(Prunus mume Sieb. et Zucc.)の多くの栽培品種は, 他の多くのバラ科果樹類と同様にS-RNaseの関与する配偶体型の自家不和合性を示す.しかしながら, 中には自家和合性の品種も存在し, これらの品種はいくつかの点で自家不和合性品種に比べて優れている.我々は, 以前の研究で, ウメの自家和合性形質の分子マーカーとして利用可能なS-RNase遺伝子(S_f-RNase遺伝子)を見い出した.今回は, 自家和合性品種である'剣先(S_fS_f)'と自家不和合性品種の'南高(S_1S_7)'のS-RNaseを比較検討することでS_f-RNaseの性質を明確にしようとして, 以下の実験を行った.'剣先(S_fS_f)'と'南高(S_1S_7)'の花柱からcDNAライブラリーを構築し, S_f-, S_1-, およびS_7-RNaseをコードするcDNAをクローニングした.これらcDNAより推定されるS_f-, S_1-, およびS_7-RNaseのアミノ酸配列にはT2/S型RNase特有の2つの活性中心とバラ科植物のS-RNaseに共通してみられる5種類の保存領域が存在した.RNAブロット分析を行ったところ, ウメのS-RNase遺伝子は, 他のPrunus属のS-RNase遺伝子と同様に葉では転写されておらず, 花柱のみで転写されていることが明らかになった.また, '剣先'のS_f-RNase遺伝子と'南高'のS-RNase遺伝子の転写産物量に差異は見いだされなかった.花柱粗抽出液の2次元電気泳動を行ったところ, S_f-RNaseは他のS-RNaseと同様の分子量や等電点, そして免疫学的特性を持つことが示された.本研究の結果は, ウメのS_fハプロタイプの個体の示す自家和合性はS_f-RNase遺伝子に強く連鎖したpollen-S遺伝子の作用によって生じている可能性を示唆するものであろう.
著者
藤岡 唯志 藤田 政良 宮本 芳城
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.117-123, 1999-01-15
被引用文献数
4 8

エンドウの試験管内での世代促進技術を開発するため, 種子を無菌は種して培養し, 開花率, 結莢率が高くなる培養容器, 容器の栓, 温度, 照度, 照明時間, 培地成分などの培養条件を明らかにした.1. 試験管内の培養条件においても, エンドウは生育, 開花に関して, ガラス温室で栽培した時と同じ品種特性を示した.早生で短節間である'美笹'など絹さや品種では開花率, 結莢(結実)率がともに100%であったが, 晩生で節間の長い'きしゅううすい'などの品種では, 開花率, 結莢率が低かった.2. 開花率, 結莢率が最も高くなる培養容器と栓は, '美笹', 'きしゅううすい'ともに, φ30×200mm試験管と綿栓であった.3. 25℃で培養した場合, 20℃区に比べて, '美笹'では, 開花および結莢が早くなった.'美笹', 'きしゅううすい'ともに, 10, 000lxの照明は3, 000lxに比べて, 開花率, 結莢率が高く, 開花が早くなった.また, 'きしゅううすい'では24時間照明は16時間に比べて, 開花率が高く, 開花が早く, 結莢率が高くなった.4. 'きしゅううすい'の結莢率が最も高くなる培地組成は, MS培地の窒素濃度が標準, ショ糖濃度が3%, ホルモンはNAA0.5mg・liter^<-1>添加又は無添加であった.5. 'きしゅううすい'の培養において, 培地へわい化剤ウニコナゾール10mg・liter^<-1>やアンシミドール10mg・liter^<-1>を添加することにより, 無添加に比べ, 茎長と節間長が短く, 節数が少なくなった.また, ウニコナゾール添加区は, 開花率, 結莢率が高く, 開花および結莢が早くなった.
著者
土師 岳 八重垣 英明 山口 正己
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.97-104, 2004-03-15
被引用文献数
19

日待ち性が異なる生食用モモ品種について,果実の肥大,成熟および老化の過程を通して果実重,果皮の地色のa値,果肉硬度,糖度,滴定酸音量,エチレン生成量の推移を調査し,熱度の指標の相互関係すなわち成熟特性の差異とエチレン生成特性との関連を検討した.溶質品種の'あかつき','櫛形白桃'および'長沢自派'はいずれも満開後日数の経過とともに果実肥大,地色の抜け,桧皮の上昇,滴定酸音量の低下が進み,特定の日以降収穫によりエチレン生成と軟化が明瞭に促進されるようになった後,樹上でのエチレン生成が認められるようになった.しかしエチレン生成と熱度の指標の進行との間には大きな品種間差異が見出され,'櫛形白桃'は果実肥大の途中で地色が残り,精度が急速に増加する前であってもエチレンを多く生成し軟化が進んだのに対して,軟化が遅延する'長沢自派'では果実肥大と植皮の上昇を終え地色が抜けた後にエチレン生成が始まった.また硬肉品種の'有明'ではエチレン生成と収穫後の軟化が認められず,樹上での果肉硬度は4.0kg前後までしか低下しなかったものの,果実肥大,地色の抜け,糖度の上昇,滴定酸音量の低下は溶質品種と同様に進んでいた.以上の結果から,モモでは果実の軟化特性とともに成熟特性にも大きな品種間差異が認められ,その発現にはエチレン生成開始時期の遺伝的差異が重要な働きをしていると考えられた.
著者
小森 貞男 副島 淳一 工藤 和典 小松 宏光 京谷 英壽 伊藤 祐司 別所 英男 阿部 和幸 古藤田 信博
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.73-82, 1999-01-15
被引用文献数
2 3

前報までに品種との対応のつかなかった(S_Ja, S_Jc), (S_Ja, S_Je), (S_Ja, S_Jf), (S_Jb, S_Jc), (S_Jb, S_Jd), (S_Jb, S_Je), (S_Jb, S_Jf), (S_Jd, S_Je)の各S遺伝子型に対応する品種・系統を選抜するため, 'はつあき', 'レッドゴールド'および'金星'のS遺伝子型の解析, 'はつあき'戻し交雑実生群, 'いわかみ'と'ゴールデン・デリシャス'の交雑実生群, '国光'X'紅玉'の交雑実生群の解析を行った.その結果, 以下に示した15種類のS遺伝子型に対応する品種・系統が決定された.そのうち下線を施した品種・系統のS遺伝子型が本報告で新たに判明したものである.(S_Ja, S_Jb)'ゴールデン・デリシャス' (S_Ja, S_Jc) <(4)-424>___-, <(4)-425>___- (S_Ja, S_Jd) '東光' (S_Ja, S_Je) <'レッドゴールド'>___-, <'金星'>___-, <カロ不明>___-, <レロ18>___- (S_Ja, S_Jf) <(4)-4186>___-, <(4)-4195>___- (S_Jb, S_Jc) <'はつあき'>___-, <盛岡52号>___-, <(4)-511>___- (S_Jb, S_Jd) <(4)-300>___-, <(4)-330>___-, <(4)-725>___-, <(4)-4189>___-, <(4)-4190>___- (S_Jb, S_Je) <(4)-150>___-, <(4)-743>___- (S_Jb, S_Jf) <盛岡53号>___-, <(4)-1>___-, <(4)-6>___-, <(4)-15>___-, <(4)-516>___-, <(4)-4187>___-, <(4)-4270>___-, <(4)-4271>___- (S_Jc, S_Jd) '紅玉', 'ひめかみ' (S_Jc, S_Je)'デリシャス', <(4)-161>___-, <(4)-247>___-, <(4)-267>___- (S_Jc, S_Jf) 'ふじ', <'新光'>___-, <イ-661>___-, <(4)-69>___-, <(4)-104>___- (S_Jd, S_Je) <東北5号>___-, <イ-172>___- (S_Jd, S_Jf)'千秋', 'いわかみ', <イ-687>___- (S_Je, S_Jf) '国光'
著者
松本 省吾 小森 貞男 北原 健太郎 今津 里美 副島 淳一
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.236-241, 1999-03-15
被引用文献数
3 30

リンゴ(Malus x domestica Borkh.) 13品種と'恵'後代10個体のS遺伝子型を, S複対立遺伝子群に特異的なPCR-RFLP解析法により同定した.また, 本解析法により, 'ガラ', 'ふじ'のS遺伝子型を再確認した.'金星'および'きざし'のS遺伝子型は両親から予想されるいずれの遺伝子型とも一致しなかった.'金星', 'きざし'の作出には, それぞれ, S_9, S_3遺伝子をもつ花粉親が用いられた可能性が示唆された.'あかぎ', 'つがる', '陽光'は花粉親が不明であるが, それぞれ, S_7, S_7, S_9遺伝子をもつ花粉親が作出に用いられたと考えられた.自家和合品種'恵'のS遺伝子型はS_2S_9と同定され, 両S遺伝子上に変異は見られなかった.'恵'とS遺伝子型の異なる'千秋'(S_3S_9)の正逆交雑により種子形成が見られたことから, '恵'の雌ずい, 雄ずいともに正常であることが判明した.一方, '恵'と同じS遺伝子型である'レッドゴールド'または'金星'との正逆交雑では全く種子形成が見られなかったことから, これらは, S遺伝子型に基づく不和合性を示したと考えられた.これらの結果から, '恵'の自家和合性はS対立遺伝子群の変異によって獲得されたものではないことが示唆された.
著者
近泉 惣次郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.306-311, 2003-07-15
被引用文献数
4 3

'清見'果実のこはん症の発生に及ぼす原因を明らかにすると共にその防止対策を確立する目的で本研究を行った.'清見'の貯蔵中の果実に発生するこはん症は,果実が樹上で受けた日射並びに日照が原因の一つであることを初めて明らかにした.すなわち,収穫時には肉眼的にみて健全な果実であるが,果実が樹上で受けた果面の陽光部に,貯蔵中にこはん症が発生し,日射を受けていない日陰の果実ではその発生がほとんど認められなかった.陽光部の果面温度は同じ果実の日陰部のそれより10℃以上高かった.快晴の日における果実からの蒸数量は陽光却で日陰部の3倍,夜間でも25%も高かった.このことから陽光部の蒸散量とこはん症の発生は密接な関係があるものと思われた.果皮の陽光部と日陰部における無機成分含量には有為な差は認められなかったが,デンプン含量と全糖含量はわずかであるが陽光部のブラベドで高かった.果皮のa^*値およびカロチノイド組成については,こはん症の発生した陽光部でわずかながら高かった.観察の結果,陽光部の果皮表面は滑らかであるが日陰部の果面は油脂と油脂の聞か陥没した粗い果面であり,果面の滑らかな部分に主にこはん症が発生し,果面の粗い果実にはその発生が少なかった.