著者
里口 保文 山川 千代美 高橋 啓一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.Supplement, pp.S70-S78, 2012-08-15 (Released:2013-02-21)
参考文献数
51
被引用文献数
2 2

近年,第四紀が正式な地質年代区分の一つとしてその定義が国際地質学連合(IUGS)に承認された.第四紀の始まりは更新世の始まりでもあり,地層としての第四系の下限は,鮮新−更新統境界という意味でもある.鮮新−更新統境界の新定義は1980年代に決められた旧定義より下げられ,年代的には約80万年古くなった.本コースでは,近畿地方において旧定義と新定義における鮮新−更新統境界の両方が観察できる古琵琶湖層群において,両者を露頭観察するとともに,陸域における地層にとっての鮮新−更新統境界の意味を考える.
著者
小平 秀一 富士原 敏也 中村 武史
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.9, pp.530-534, 2012-09-15 (Released:2013-01-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2

2011年東北地方太平洋沖地震では,海溝軸周辺までの断層破壊に伴う海底変動が大きな津波の原因と考えられているが,地震に伴う断層運動の上限は正確に見積もられておらず,巨大津波の成因は未解決のままであった.そこで,海溝軸周辺の海底地形変動を明らかにするため,地震発生直後にマルチナロービーム音響測深機により取得した海底地形データを,地震前の海底地形データと比較した.その結果,海溝陸側で海溝軸まで及んだ大きな偏差が確認された.この偏差から地震に伴う海底変動を見積もったところ,海溝陸側が東南東方向に50 m水平に移動して,10 m隆起していると推定された.この大きな水平変動によって,海溝軸陸側の急斜面では,実効上10−20 mの大きな隆起をもたらし,数値モデリングによると,この変動が今回の地震に伴う巨大津波の原因と考えられる.
著者
鈴木 慶太 酒井 邦裕 太田 亨
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.205-216, 2013
被引用文献数
6

本論では,楕円フーリエ–主成分解析,mPD法フラクタル次元を用いて砕屑物粒子の形状を定量的に評価し,河川,前浜,氷河堆積物を形状から判別することを試みた.楕円フーリエ–主成分解析によって,粒子の伸長度(EF1)と突起度(EF2,EF3,EF2 + EF3)など全体的な形状を表す指標が,mPD法フラクタル次元では,表面構造(FD,FDCv)を示す定量的な指標が得られた.この結果に基づくと,砕屑物粒子は氷河,前浜,河川堆積物の順に円形から棒状に変化する.また,氷河,河川,前浜堆積物の順に表面構造が滑らかになり,かつ,滑らか度の標本ばらつきが少なくなる.これらの指標の中で,堆積場ごとの値の違いが顕著であるのはFD,次いでEF1であり,楕円フーリエ–主成分解析とフラクタル解析の結果を統合的に用いることによって,各堆積環境を明瞭に判別することが可能となった.
著者
松本 良
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.902-924, 1995-11-15
参考文献数
117
被引用文献数
7 33
著者
竹下 欣宏
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.158-174, 2004 (Released:2005-01-07)
参考文献数
31
被引用文献数
12 8

古期御岳火山の降下テフラおよび火砕流堆積物を記載し, 降下テフラの重鉱物組み合わせ, 重鉱物の主成分化学組成を明らかにした. 降下テフラの記載岩石学的特徴と年代値の明らかな溶岩層およびテフラ鍵層との層序関係に基づき, 古期御岳火山の詳細なテフラ層序を確立した. テフラの層序および重鉱物組み合わせに基づき, 古期御岳火山テフラステージを下位より, Hサブステージ (主に緑色角閃石を多く含む降下テフラを噴出する活動が盛んな時期 ; 約0.78 Ma以前), PHサブステージ (主に褐色角閃石, 斜方輝石, 単斜輝石を含むテフラを噴出する活動が盛んな時期 ; 約0.78-0.70 Ma), OPサブステージ (主にかんらん石, 単斜輝石, 斜方輝石を含むテフラを噴出する活動が盛んな時期;約0.70-0.64 Ma) に区分した. この区分は, 古期御岳火山の山麓全域において年代値の明らかな溶岩層やテフラ鍵層との層序関係と矛盾なく確認された.
著者
酒井 治孝
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.701-716, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
91
被引用文献数
2 8

私達の研究により,ヒマラヤの変成岩ナップは~14 Maに出現し,11~10 Maに前進を停止し,1 Maにはヒマラヤの前縁山地が上昇したことが判明した.また11 Ma以前に,ヒマラヤは現在の高度以上になっていたことが明らかになった.またチベット高原からヒマラヤにかけて分布する東西引張り性の正断層群の形成時期,チベット高原から産出した中期中新世の植物化石や酸素同位体を使った古標高の推定結果は,いずれも山塊が14 Ma頃までに現在の高度に達していたことを示す.モンスーン開始の証拠とされた10~8 Ma頃の湧昇の活発化は,インド洋のみならず太平洋や大西洋からも報告されており,南極氷床の拡大とリンクしている可能性もある.今後はチベット高原の中部地殻が広く部分溶融しているという新しい知見を取り入れながら,ヒマラヤ・チベット山塊の進化と上昇,およびそのモンスーンシステムの発達との相互因果関係を解明して行かなければならない.
著者
斎藤 眞 中川 充
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.105-114, 2014-03-15 (Released:2014-07-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

山本ほか(2011)は鹿児島県薩摩半島の八瀬尾地域に分布する蛇紋岩の産状を示し,四万十帯の白亜紀堆積岩の上に重なるクリッペとみなした.しかしながら,我々の調査によって,この蛇紋岩体は,過去の報告にあるように,白亜紀の堆積岩類に垂直ないしは高角で南北に延びた岩脈状に迸入したことが明らかになった.その根拠は,彼らが低角境界で堆積岩類に重なるとした尾根上の蛇紋岩体と白亜紀の堆積岩との間に高角~鉛直の境界が存在すること,彼らが指摘した谷沿いに分布する蛇紋岩の孤立岩塊,岩屑堆積物は,明らかな蛇紋岩露頭であることなどの明確な産状による.さらにそれら蛇紋岩の露頭は,谷間で小さな滝を作り,山腹では急崖を作る.この蛇紋岩体は徳之島,四国西部で認められる蛇紋岩に対比され,白亜紀末~暁新世初頭に迸入したものと考えられる.
著者
吉田 晶樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.429-445, 2015-12-15 (Released:2016-03-15)
参考文献数
78
被引用文献数
1 2

プレートテクトニクス理論確立後の1970年代半ばに,プレートに働くさまざまな力が分類され,それらの大きさについて定量的な議論が行われるようになった.この研究はプレート運動を球面上の剛体的な回転運動として扱うことで可能であり,地表のテクトニックな情報のみを用いた理論解析の結果,スラブ引っ張り力がプレート運動の主要な原動力の候補とされてきた.しかし実際のプレートは有限の粘性率を持つので,完全な剛体運動をするのではなく,内部変形をしながら運動しているはずである.最近のマントル対流の数値シミュレーション結果や大規模地下構造探査による地震学的証拠から,プレート直下のマントルの流れが生み出すマントル曳力もプレート運動や大陸移動の主要な原動力となり得ることが明らかになってきた.その場合,プレート運動や大陸移動の原動力として,スラブ引っ張り力とマントル曳力のどちらが大きいのかという新たな難題が生まれる.
著者
酒井 治孝 今山 武志 吉田 孝紀 朝日 克彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.403-421, 2017-06-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
138
被引用文献数
3

ヒマラヤの4つの地質帯を画するプレート境界断層の活動が,北から南へと移動するのに伴い山脈は上昇・隆起してきた.大陸衝突以前に深度100kmを超えるマントルまで沈み込んだテチス海の海洋プレートがslab break-offしたことにより,約50~35Maにチベット前縁山地が急激に上昇した.次にインド亜大陸の北縁の上部原生界の地層が沈み込み,地下約40kmに達し中圧型の変成作用を被ったが,デラミナーションを起こし,22~16 Maに急激に上昇した.約15Maに地表に露出した変成帯は上昇を続け,南方のレッサーヒマラヤを構造的に覆い変成岩ナップを形成したが,その運動は11~10Maに停止した.それ以降ナップと下盤の弱変成したレッサーヒマラヤ堆積物は,その先端から北方に向け約10km/Myrの速度で冷却した.また運動停止後,その前縁に生じたMBTに沿ってインドプレートの沈み込みが始まり,3~2.5Maには南方のMFTに移動し,それによってヒマラヤ前縁山地とシワリク丘陵が誕生した.
著者
小田原 啓 工藤 茂雄 井龍 康文 佐藤 時幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.313-331, 2005 (Released:2005-10-01)
参考文献数
69
被引用文献数
9 6

沖縄本島中部の読谷村には,主に第四紀更新世のサンゴ礁堆積物からなる琉球層群が広く分布する.同層群は先第三系の名護層と上部新生界の座喜味層を不整合関係で覆う.本地域の琉球層群は,伊良皆層と楚辺層よりなる.伊良皆層は伊良皆付近で掘削されたコア試料のみに認められ,溶解・浸食を受け赤色化したサンゴ石灰岩・砕屑性石灰岩および礫岩からなり,層厚は11 mを超える.伊良皆層は楚辺層に不整合関係で覆われる.楚辺層は5つのユニットの累重体であり,個々のユニットは低海水準期の浅海相であるサンゴ石灰岩から高海水準期の沖合相である石灰藻球・Cycloclypeus-Operculina・砕屑性石灰岩へと上方深海化する整合一連のシーケンスよりなる.本層の分布高度は80 mに及び,層厚は70 mに達する.楚辺層の年代は,石灰質ナンノ化石より0.41-0.85 Maである.層位学的位置および年代より,楚辺層は徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄本島南部,宮古島の琉球層群主部の一部と対比される可能性がある.
著者
佐藤 時幸 中川 洋 小松原 純子 松本 良 井龍 康文 松田 博貴 大村 亜希子 小田原 啓 武内 里香
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.38-50, 2004-01-15
参考文献数
25
被引用文献数
5 10

沖縄本島南部のうりずん露頭とそれに近接する守礼ゴルフ場露頭における知念層の石灰質ナンノ化石および浮遊性有孔虫化石生層序を検討した.その結果,知念層基底の地質時代は両露頭とも1.97 Maよりやや古い鮮新世末に対比されるが,うりずん露頭における知念層の基底の地質年代は,守礼ゴルフ場露頭の同基底年代よりやや古い.また,うりずん露頭および守礼ゴルフ場露頭のいずれにも時間間隙が認められたが,うりずん露頭では知念層下部に約30万年の時間間隙が,守礼ゴルフ場では新里層と知念層の境界に若干の時間間隙が推定され,両露頭は近接するにもかかわらず,時間間隙の層準および規模が異なることが明らかとなった.本研究の結果は,琉球列島が現在のようなサンゴ礁の広がる海域へと姿を変えた過程を復元するためには,知念層およびその上下層の岩相層序と微化石層序との関係を解明することが,重要であることを示唆している.
著者
安藤 寿男
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.84-97, 2006-01-15
参考文献数
95
被引用文献数
3 8

関東平野東端には下部白亜系銚子層群, 最上部白亜系那珂湊層群, 古第三系大洗層が孤立して分布し, 東北日本, 西南日本の地帯構造を考える上で重要な情報をもたらす.3つの地層群の研究の現状をまとめた上で, それらの地質学的意義を考察した.東北日本の蝦夷堆積盆の北上および常磐亜堆積盆における上部アプチアン以上の白亜系〜古第三系には, 時代・層序・堆積相の上で3地層群に比較可能な地層は見られない.銚子層群は層序分布から関東山地北部の西南日本外帯秩父帯の山中白亜系の東方延長と見なされる.那珂湊層群は西南日本内帯南縁の和泉層群との共通性が高い.大洗層は礫の放射年代, 植物化石などから白亜系ではなく古第三系の可能性が高い.那珂湊層群と大洗層は棚倉構造線の南方延長の破砕帯に含まれた古期岩類の断層隆起地塊をなしており, 西南日本の要素と見なされる.大洗層は, 関東山地北部の寄居層および神農原層とに対比できる可能性がある.
著者
西村 祐二郎 廣田 佳子 塩崎 大介 中原 伸幸 板谷 徹丸
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.372-383, 2004-06-15
被引用文献数
5 17

長崎県茂木地域の長崎変成岩類は,茂木スラスト(新称)を介して,ユニットIとIIに区分される.ユニットIはスラスト上盤に相当し,千枚岩から無点紋片岩,変斑れい岩および変花圈岩からなる.ユニットIIはその下盤にあたり,点紋帯の片岩で構成されている.前者はパンペリー石-アクチノ閃石相から緑色片岩相の緑泥石帯に,後者は緑色片岩相の黒雲母帯に相当する.泥質変成岩中の炭質物d_<002>値はユニットIが3.550-3.414Å(broad)を,ユニットIIが3.3619-3.3569Å(sharp)を示し,白雲母K-Ar年代は前者が214-162 Maを,後者が87-86 Maを示す.以上のデータから,茂木スラストは野母半島南西部地域の脇岬-深堀スラストの延長であり,ユニットIが内帯の周防帯に,ユニットIIが外帯の三波川帯にそれぞれ帰属すると結論される.また,茂木スラストと脇岬-深堀スラストを一括して,野母構造線と新称し,古中央構造線に対比する.

1 0 0 0 OA 立山火山

著者
中野 俊 奥野 充 菊川 茂
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.Supplement, pp.S37-S48, 2010 (Released:2012-01-26)
参考文献数
58
被引用文献数
1 4

立山火山は20数万年前に活動を始めた複合火山である.現在,北東端の地獄谷で活発に噴気活動が続く.火山噴出物の分布域から見ると地域的には弥陀ヶ原地域と五色ヶ原地域に大別され,両者の間を浸食カルデラの立山カルデラが隔てる.カルデラ内では1858年飛越地震により山体崩壊が発生し,その未固結堆積物は日常的に崩壊が著しく,土砂流出を防ぐための大規模な砂防工事が明治時代以来盛んに行われている.日本地質学会主催による立山火山あるいは立山カルデラに関する見学旅行は,近年だけでも1966年,1990年,2001年に実施されている.今回は,交通の便がよい弥陀ヶ原地域を巡って火砕流・溶岩流・テフラ層の観察を行なう.特に称名滝火砕流堆積物のさまざまな岩相,また,水蒸気爆発による完新世テフラを観察する.カルデラ縁の展望台からは,カルデラ及び五色ヶ原地域の噴出物を遠望する.
著者
荒井 晃作 岡村 行信 池原 研 芦 寿一郎 徐 垣 木下 正高
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.749-759, 2006-12-15
参考文献数
30
被引用文献数
2 8

フィリピン海プレートの沈み込み境界である南海トラフ東部の前弧斜面上部の音波探査を実施した結果,大陸棚および陸棚斜面に正断層帯が存在していることが明らかになった.これらの断層は,すべて北落ちで最大変位量は0.2秒(往復走時)に達する.音波探査断面の解釈から,これらの断層は中期更新世以降に活動的で,最終氷期以降も活動していると考えられる.断層の活動履歴を検討するために,断層の上盤および下盤側のピストンコア試料を採取した.調査を行った断層群は特に下盤側の堆積速度が小さいために,活動履歴は明らかにならなかったが,一連の研究でその平均変位量は数10cm/千年であることが分かった.断層の形成は前弧斜面上部の傾動隆起と同じ時期に活動を開始していること,傾動隆起量の大きい海域で断層変位量が大きいことから,断層群の形成は前弧斜面上部の傾動隆起を伴うテクトニクスと密接に関連していると考えられる.
著者
奈良 正和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.710-721, 2003-12-15
参考文献数
60
被引用文献数
1 4

四国南西部に分布する中新統三崎層群竜串層から,多数のLockeia siliquaria James 1879を発見した.この生痕化石は,層理に平行な断面では,長径9-22mm,短径2.5-11mm程度の楕円型あるいはアーモンド型の形態をとり,砂岩の上面では窪み,あるいは,台状の隆起部に見え,底面ではやや突出した隆起部となる.その形態ならびに内部構造の検討そして母岩の堆積相解析から,この生痕化石は,砂質網状河川システムのうち,小規模なポイントバーで形成された二枚貝類の逃避痕であることがわかった.この生痕化石は,多くの場合,高い密度で産出し,かつ,層理面上において,定向配列する.これは濾過食の二枚貝類が,一方向の流れに対して呼吸や摂餌に最適な体の向きを取っていたためと考えられる.これを応用すると,この生痕化石の定向配列から地層形成時の古流向を知ることができる.