著者
大村 敏昭 濱津 友紀 山内 務巨 高橋 豊美
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.430-439, 2006-05-15
被引用文献数
5 5

夏季の北海道太平洋沖陸棚斜面のキチジ小型魚は主にヨコエビ類が高密度で生息する襟裳岬東沖水深 550~750 m に,中型魚は調査海域の中ではフタトゲエビジャコの密度が高い浅い水深帯に集中していた。大型魚は調査海域に広く分散しており,この行動は餌をめぐる種内・種間関係を軽減させ,餌を効率よく獲得する戦略であることが示唆された。深い水深帯ほど肥満度 K と肝臓重量指数 HSI が低かったのは,主要餌種の栄養価の違いに起因すると考えられた。中型魚の K と HSI が低かったのは,体長増加の急な時期であるためと推察された。
著者
渡部 俊広 北川 大二
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.297-303, 2004-05-15
被引用文献数
4 8

調査用トロール網の漁獲からズワイガニ類(ベニズワイガニとズワイガニ)の現存量を正しく推定するために,袖先間隔を基準とした調査用トロール網の採集効率を推定した。調査は,太平洋東北沖において2000年6月に,曳航式深海用ビデオカメラを用いてズワイガニ類の生息密度を観測後,トロール網の操業を行った。トロール網の採集効率は,生息密度に対するトロール網の掃過面積と漁獲個体数から求めた密度との関係から回帰分析によって求めた。調査用トロール網の採集効率を0.30,その95%信頼区間を0.23〜0.37と推定した。
著者
山本 昌幸 栩野 元秀 山賀 賢一 藤原 宗弘
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.362-367, 2002-05-15
被引用文献数
5 5

1997年4月から1998年9月に瀬戸内海中央部において,たも網により1661塊の流れ藻をすくい,それに随伴していた幼稚魚22科34種10816尾を採集した。流れ藻1塊あたりの幼稚魚の採集尾数と採集された魚類の種数は春に増加し,6月に最高値を示し,秋冬に減少した。春の優占種はクロソイ,メバル,クジメ,夏はアミメハギ,ヨウジウオ,ウマヅラハギ,カワハギ,秋はニジギンポ,アミメハギ,ヨウジウオ,冬はクジメであった。これまでの報告と比較した結果,本海域の幼稚魚相は太平洋より日本海に類似していた。
著者
高田 芳博 園田 武 中村 幹雄 中尾 繁
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.678-686, 2001-07-15
被引用文献数
4 11

島根県宍道湖の2水域(斐川, 玉湯)で, ヤマトシジミCorbicula japonicaの成長と着底稚貝出現状況を検討した。殻表のリングは年齢形質と認められ, リング数は玉湯で6本, 斐川では3本であり, 斐川では0本群が卓越していた。殻長は1本目のリング形成時に斐川側が大きく, その後の平均殻長にも差が認められた。殻成長は春から秋にかけて大きく冬期間は停滞した。一方, 軟体部成長はリング数2本・3本群で6月から9月にかけて多く, 冬は少なかった。着底量に水域間で明瞭な差は認められなかったが, 斐川では着底後の減耗が著しいことが示唆された。
著者
木村 稔 三上 加奈子 干川 裕 森 立成 笠井 久会 吉水 守
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-5, 2006 (Released:2006-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
11 13

ウニ内臓からの腸炎ビブリオ Vibrio parahaemolyticus(以下本菌)除菌を目的に,ウニを電解海水で蓄養し,生殖巣,消化管及び内容物を含む内臓の本菌生菌数ならびに一般生菌数を測定した。本菌を 3 % 食塩水に懸濁し電気分解した場合,有効塩素濃度が 0.23 mg/L,1 分間の処理で 99.99% 以上殺菌された。有効塩素濃度 0.76 mg/L の電解海水でキタムラサキウニ Strongylocentrotus nudus を 1~2 日間蓄養した場合,大量の糞が放出され,本菌生菌数や一般生菌数が一桁以上減少した。
著者
木村 喬久 吉水 守
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.1173-1183, 1981
被引用文献数
1 8

The application of a coagglutination test using staphylococci specifically sensitized with antibody against the bacterium causing bacterial kidney disease to the diagnosis of this disease in salmonids was studied. This method proved to be a simple, rapid and reliable diagnostic test suitable for use in the laboratory or field, and requires no special apparatus. It was found to be highly specific and more sensitive than the immunodiffusion test. In a study of 758 fish from 24 farms suspected in outbreaks of bacterial kidney disease the rate of detection of the disease with the coagglutination test was as high or highter than the rates obtained by Gram staining or clinical examination.<br> The procedure of this method is summarized as follows:<br> 1) Kidney sample from diseased fish is homogenized with four to nine volumes of PBS, and heated in a boiling water bath for 30min.<br> 2) The supernatant is collected after centrifugation at 4000 rpm for 20min. This may be omitted if a centrifuge is unavailable.<br> 3) One drop of the supernatant and one drop of anti-BKD antibody sensitized staphylococci suspension are mixed on a glass slide and incubated at room temperature. The slide is examined after 30, 60 and 120min.<br> 4) If positive coagglutination is observed, the infected fish should be examined microscopically to confirm the diagnostic results.
著者
前田 辰昭 高橋 豊美 上野 元一
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.741-746, 1981
被引用文献数
2 7 7

Once a month from February 1974 to February 1975, adult Alaska pollack <i>Theragra chalcogramma</i> (PALLAS) were caught by bottom gill nets at four definite stations in the adjacent waters of the Funka Bay, Hokkaido. The authors examined several biological factors of the Alaska pollack, density of the fish shoal, and distribution fo the eggs. As a result, the annual life cycle of the adult Alaska pollack from February 1974 to February 1975 was diveided into four periods as follows.<br> 1) Spawning period, judging from the value of gonad index and the maturation stage of the adult Alaska pollack, was from December to March, and the peak in the period was from December to February.<br> 2) Feeding period, judging from the value of feeding index, percentage of empty stomach and the value of liver index, was from May to October, and the peak was during July and August.<br> 3) As the transitional periods, the terms from the end of spawning period to the beginning of feeding period and from the end of feeding period to the beginnign of spawning period were assigned. The former was from the last of March to the last of April, and the latter was from the last of October to the last of November.
著者
山崎 慎太郎 日向野 純也 渡部 俊広
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.368-373, 2002-05-15
被引用文献数
1 2

貝桁網で漁獲された二枚貝にみられる足部の欠損(舌食い)の発生を低減するため,チョウセンハマグリの舌食いの発生機構について検討した。舌食いの発生率は水温の高い時期に高く水温の低い時期に低くなり,曳網速力の増大と共に高くなった。行動観察から,舌食いは貝が足部を伸張した状態で貝桁網の爪と砂に殼を圧迫されて発生すると考えた。潜砂している貝を引き上げてから底質へ潜入を開始するまでの時間は水温の高い方が短かく,潜砂深度は水温の高い方が大きかった。水温の高い時期には潜砂深度の増大と活発な潜砂行動により舌食いの発生率が高くなると考えた。舌食いの発生を抑えるには,曳網速力の低減が最も有効な方法である。
著者
胡 夫祥 志賀 未知瑠 横田 耕介 塩出 大輔 東海 正 酒井 久治 有元 貴文
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.33-38, 2005-01-15
被引用文献数
4 9

海鳥類の偶発的捕獲の回避を目的として,まぐろ延縄漁船現用の枝縄30数種類を調査し,その内の10種類と,釣元素材,釣元先端へ付加する錘重量を変えた枝縄の投縄後の釣針沈降特性を調べた。現用の枝縄における深度10mまでの釣針平均沈降速度は0.16m/s〜0.23m/sであり,鳥嚇しラインの有効範囲である船尾から150m以内で釣針が深度10m以上に沈むものはなかった。一方,釣針の沈降速度は釣元にフロロカーボンを使用した場合では約1.6倍に,釣元先端に45gwの錘を付加した場合では約2倍に改善された。
著者
清木 徹 伊達 悦二 岡田 光正
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.678-687, 2008-07-15
被引用文献数
1 5

干潟及び沿岸海底の脱窒と窒素固定が環境水中でのN収支に果たす役割を調べる目的で,それらの現場速度や環境因子との関係を検討した。定期的に調査した島しょ部の干潟では両プロセスの物質収支がNソースとなっていたが,不定期測定を行った他の干潟ではNシンクのものの方が多く,干潟により両速度の相対的関係は異なっていた。一方,湾海底は全地点シンク作用を示した。また,両速度とも水温と有意な相関が認められ,脱窒速度は水温以外に水中の硝酸濃度及び底泥中のベントス現存量とも有意な相関を示した。脱窒速度とベントスとの関係は,底泥に棲息しているベントスが脱窒菌に何らかの影響を及ぼし脱窒活性を高めている事を示唆していた。
著者
吉水 守 木村 喬久 坂井 稔
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.863-873, 1976
被引用文献数
2 9

A total of 92 masu salmon (Oncorhynchus masou) which had developed silvering were divided into 4 groups. Three of these groups were transplanted from fresh water. The feeding conditions varied with the group. Viable counts were determined in the intestinal contents or slime of these salmon, in their ambient waters and in their diets. Over 1500 strains were isolated from the above samples. The composition of the microflora was determined according to the scheme of Shewan <i>et al</i>. (1960).<br> The results are summarized as follows:<br> 1) Microbial viable counts in the intestinal contents or slime of the fish which were transplanted under normal feeding conditions were nearly constant while those which were transplanted without being fed decreased rapidly. This decreasing tendency was found in both fresh and sea water reared non-feeding fish.<br> 2) The predominant genus in the intestinal microflora of the fresh water fish was <i>Aeromonas</i>, while in sea water fish it was <i>Vibrio</i>. Upon transplanting the fish from fresh water into sea water fish it was Vibrio. Upon transplanting the fish from fresh water into sea water, <i>Aeromonas</i> of the terrestrial type was gradually replaced by <i>Pseudomonas</i> as the proportion of sea water in the rearing water increased. This was followed by further replacement by <i>Vibrio</i> of the halophilic type which became predominant in the intestinal microflora.
著者
清家 暁 岡部 正也 佐伯 昭 海野 徹也 大竹 二雄 中川 平介
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.852-858, 2002-11-15
被引用文献数
4 5

高知県伊尾木川および物部川で捕獲されたアユの由来判別を耳石Sr/Ca比を用いて行った。両河川に放流された人工海産アユは発育初期の飼育水の塩分濃度が低く,かつ,淡水への馴致期間も天然魚に比べて短いことから耳石Sr/Ca比により天然,人工海産および湖産アユの判別が可能であった。1998年および1999年の伊尾木川の29個体,1999年度の物部川の56個体について耳石Sr/Ca比と標識痕による由来判別を行った結果,両者の結果が一致しなかったのは全体の12%,わずか10個体であった。この結果は耳石Sr/Ca比によるアユの由来判別が従来の標識方法と同等に有効であることを示唆するものである。
著者
増田 育司 酒匂 貴文 松下 剛 白石 哲朗 切通 淳一郎 神村 祐司 小澤 貴和
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.709-716, 852, 2003-09-15
被引用文献数
5

鹿児島湾産アカカマス1631尾の耳石横断薄層切片をもとに,本種の年齢と成長を検討した結果,縁辺成長率の経月変化および優勢ないし劣勢年級群の経年出現状況から,用いた耳石輪紋(不透明帯内縁)は年輪であることが立証された。6月1日を誕生日と仮定して,輪紋数に応じて個体毎に年齢を割り振り,Bertalanffyの成長式を当てはめた結果,雄はL_t=304.6{1-exp[-0.433(t+3.385)]},雌はL_t=337.5{1-exp[-0.421(t+2.972)]}で表された。両式は有意に異なり,いずれの年齢においても雌は雄より大きい体サイズを示した。最高年齢は雄で11歳,雌で8歳であった。
著者
西川 哲也 堀 豊 長井 敏 宮原 一隆 吉田 陽一 小玉 一哉 酒井 康彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.388-394, 2000-05-15
被引用文献数
5 1

播磨灘においてノリ養殖に有害な大型珪藻Coscinodiscus wailesiiについて, 1995,1996,および1997年の3年間における同種の発生と水質, 気象要因等との関係を調べた。C.wailesiiは, 11月から翌年2月頃の比較的低温で日射量が低く, また海水の鉛直安定度の低い時期(鉛直混合期)に出現し, また, DIN(溶存無機態窒素), DIP(溶存無機態リン), DSi(ケイ酸態ケイ素), およびDIN×DIPが高く, DIN : DIP比やTN(全窒素)×TP(全リン) : DIN×DIP比(栄養塩利用強度)の低い水域(年または月)にやや高密度(20-200 cells/l程度)で出現する傾向が強かった。
著者
山羽 悦郎 水野 寿朗 松下 健 長谷部 優
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.709-717, 1999-07-15
被引用文献数
5 17

キンギョの胚操作の指標となる嚢胚期以前の発生段階を, 組織学的, 細胞学的, 発生遺伝学的な視点から検討を加えた。20℃の培養下で同調卵割から非同調卵割への移行(中期胞胚期遷移)は, 9回の同調卵割の後の受精約6時間に起こり, この時期以降を中期胞胚期と定めた。中胚葉分化の指標となるgoosecoidとno tailの発現は受精後8時間に観察され, この時期以降を後期細胚期と定めた。胚盤周囲の卵黄多核層の形成と深層細胞の運動は中期胞胚期に, 胚盤中央部の卵黄多核層の形成と深層細胞の自律的な混合は, 被いかぶせ運動以前の後期胞胚期に観察された。
著者
宮嶋 俊明 岩尾 敦志 柳下 直己 山崎 淳
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.8-17, 2007 (Released:2007-02-06)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

京都府沖合海域において,駆け廻し式底曳網に仕切網と選別網(目合 600 mm)を取り付け,ズワイガニを網外に排出し,カレイ類を漁獲するための漁具の開発を行った。漁獲物とズワイガニの分離は選別網で行い,効率的な分離を行うためには,底網から選別網までの高さを維持することが重要であった。本漁具を用いた試験操業では,ズワイガニの 74~98% を網外に排出し,アカガレイの 67~88%,ヒレグロの 57~70% を漁獲することができた。本網は甲幅 100 mm 以下のズワイガニの分離に対して有効であった。
著者
今 攸 安達 辰典
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.673-680, 2006 (Released:2006-07-27)
参考文献数
42
被引用文献数
4 3

若狭湾沖に生息する最終未成体齢と若い成体(最終脱皮後<4 年)のズワイガニが持つ卵巣卵数は,共に甲幅と正の相関にあり,前者の卵数は後者の 62.8% と少なかった。これは卵巣発達時における体サイズの違いが原因しているとみられる。初産ガニと若い経産ガニ(1.5~<4 年)が持つ腹肢付着卵数も,共に甲幅と正の相関にあったが,前者の付着卵が未成体の卵巣に,後者の付着卵が若い成体の卵巣に由来していることから,前者は後者の 66.3% であった。高齢の経産ガニ(>4 年)が持つ両卵数は,甲幅との間に有意な関係が認められないうえ少なかった。