著者
元村 直靖 豊田 勝弘 堺 俊明 井上 典子 澤田 徹
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.1056-1064, 1986 (Released:2006-08-04)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

The incidence and nature of verbal perseveration occuring after cerebrovascular disease were investigated. Out of 59 cases, verbal perseveration was found in 21 of 23 aphasic patients. The perseverative errors were classified into two types;clonic and intentional perseveration. Furthermore, intentional perseveration was divided into two types;immediate and delayed type according to temporal relation of a response to the original stimulus.    Clonic perseveration was found in 5 cases;one in naming and repetition tasks, 5 in series tasks. Intentional perseveration was found in 19 cases ; 17 in naming, 10 in repetition, and 19 in series teasks. There was no correlation between the duration of cerebrovascular disease and perseveration. On CT findings the lesions of frontal lobe, temporal lobe, parietal lobe, thalamus, and basal ganglia were detected. And there were tendencies that the larger the lesion was, the more frequent verbal perseveration was. The hypotheses of mechanism for producing perseveration were reviewed and verbal perseveration was supposed to be related with the disinhibition of memory trace.
著者
渡辺 俊三 田崎 博一 北條 敬 小泉 明 佐藤 時治郎 J. B. Baron F. Lhermitte
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.328-333, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
23

Musicians and nonmusicians were tested in the recognitions of four kinds of dichotically presented music stimuli : recorded tones, chords, rhythms and melodies. Nonmusicians were 18 subjects (A), who worked in fireman's agency in Paris, France, whose ages ranged from 18 to 28 years (average : 20.2 years) and whose years of musical experiences ranged from 0 to 5. Musicians were 8 students in musical college (Conservatoire national supérieur de Musique de Paris): 5 right-handed (B) and 3 left-handed persons (C), whose ages ranged from 18 to 25 years (average : 21.8 years), whose years of musical experiences ranged from 10 to 18 (average: 12.8 years).    1) In the tone test, the mean score for right and left ears were nearly the same for both A and B.    2) The chord test revealed a significant left ear superiority for A, and the tendency of the higher score in left ear was seen for B.    3) In the rhythm test, the score for the right ear had a tendency to be higher than the one for the left ear, both in A and B.    4) In the melody test, the score showed a tendency of left ear superiority for A, but the tendency of right ear superiority was seen for B.    Bever and Chiarello (1974) found a right ear reference in the detection of musical stimuli when they used musicians as subjects. Johnson made the dichotic listening task involving violin for musicians and nonmusicians. The musicians demonstrated a right ear superiority, while the nonmusicians performed better with the left ear. He interpreted that musicians mainly used the left hemisphere to process musical stimuli, while nonmusicians used the right hemisphere.    The results of Bever and Chiarello, and Johnson nearly agree with the results of our musical dichotic listening test for nonmusicians and musicians in France as well as the results of our former studies for pupils of chorus club in elementary school, stdents of philharmonic club in senior high school and students in musical college in Japan.
著者
大槻 美佳 相馬 芳明
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.182-192, 1999 (Released:2006-04-25)
参考文献数
21
被引用文献数
6 3

音韻性錯語と語性錯語の出現と病巣の関連を検討した。音韻性錯語については呼称と復唱で,その出現率を比較した。左中心前回損傷群ではその出現率に差異は認めず,左後方領域損傷群 (側頭-頭頂葉) では復唱よりも呼称でその出現率が有意に高かった。このことより,音韻性錯語は,音韻の取り出し・再生・実現のさまざまな過程の障害で出現し得ること,さらに,左中心前回損傷群ではモダリティーの違いに左右されない音韻実現過程の障害,また左後方領域損傷群では復唱で与えられる音が手がかりとなるような音韻の取り出し・再生過程の障害である可能性が示唆された。語性錯語については,意味性錯語と無関連錯語の出現頻度を検討した。左前頭葉損傷群では両者の出現率に有意差は認められなかったが,左後方領域損傷群 (側頭-頭頂-後頭葉) では意味性錯語の出現率が無関連錯語の出現率より有意に高かった。この傾向は重症度や検査時期に依存しなかった。このことは左前頭葉損傷群では目標語近傍の意味野へ適切に access する過程の障害,また左後方領域損傷群では目標語近傍の意味野への access は可能だが,さらに厳密な目標語の選択・障害の過程に障害があると推測された。
著者
毛束 真知子 河村 満 岸田 修司
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.278-282, 1995 (Released:2006-06-02)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

右半球病変により著明な失文法症状を呈した症例 (74歳,大卒の男性,右利き) の聴覚的文法理解を検討した。神経学的には左同名性半盲,左半身運動・感覚障害,神経心理学的には失語,左半側空間無視,構成障害が認められた。失文法症状は発話で明らかで,それ以外に復唱,音読,書字にも認められた。 ラジオの聴取に不便はなく聴覚的理解力の検査 (WAB ; トークンテスト) もほぼ満点であったにもかかわらず,われわれの考案した聴覚的文法理解 (主語判断課題) の成績は,同じ構文でも単語の意味的な関係により変動した。聴覚的理解が一見正常にみえるのは,本症例が蓋然性を手がかりにして単語の意味関係を理解することができるためであり,これは右半球病変による失文法症例の特徴である語彙能力が保持されていることと関係していることが推察された。さらに本症例では,一部の助詞 ( “で” など) の聴覚的理解が可能であった。これはこれらの助詞が,動詞の意味理解が可能であれば理解可能な助詞であるためと思われた。
著者
渡辺 真澄 種村 純 長谷川 恒雄 佐々木 浩三 辰巳 格
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.206-215, 2001

新造語発話における機能範疇の使用状況を調べるため,新造語発話の多い流暢性失語症1例を対象に,動作絵を用いて動詞を発話させ,活用を調べた。活用形には,基本形,テ形,命令形の3種を選んだ。それぞれの課題における反応語の語幹は,約半数が新造語となった。これらの活用語尾と語幹末音素を検討したところ,新造語であるにもかかわらず活用語尾には動詞の語尾だけが現れた。さらに,基本形,命令形では,ほぼ動詞の語幹末音素だけが出現した。しかし,テ形では,逸脱例が多く出現した。これらの結果は,英語圏における,新造語発話に関する研究,および脳の損傷部位と規則・不規則動詞の過去形生成に関する先行研究の結果とほぼ一致し,日本語の新造語発話においても機能範疇が保たれる場合のあることを示している。さらにこれらの結果は,語彙範疇と機能範疇の使用頻度の差,という視点から説明される可能性を示した。
著者
仲秋 秀太郎 吉田 伸一 古川 壽亮 中西 雅夫 濱中 淑彦 中村 光
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.293-303, 1998 (Released:2006-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1

軽度の Alzheimer型痴呆 (DAT) 9名と中等度の DAT 9名を対象に遠隔記憶の検査成績を検討した。自伝的記憶の検査 (autobiographical incidents memory, personal semantic memory) は Kopelman ら (1989) の検査課題を一部修正して用いた。また,社会的な出来事の検査として Kapur ら (1989) の考案した Dead/Alive test を本邦でも使用可能となるように修正し用いた。その結果,自伝的記憶の検査および Dead/Alive test の検査の双方とも,近い過去に比較して遠い過去に関する記憶の検査成績が良好であるような時間的な勾配が DAT の2群に認められた。一方,自伝的な記憶の検査においては軽度と中等度の DAT の検査成績に乖離が認められたが,Dead/Alive test においては DAT の2群の成績に乖離を認めなかった。この結果には,自伝的記憶と Dead/Alive test の解答方法の相違 (再生と再認) が関与しているだけではなく,複雑な階層構造を持つ自伝的記憶が軽度のDATに比較して中等度の DAT においてより障害されやすいことも関連すると考えられた。
著者
山根 茂 菅生(宮本) 康子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.119-127, 2001 (Released:2006-04-25)
参考文献数
10

顔に特有な処理を行っている顔ニューロンが少数ながらサルの下部側頭葉に存在する。顔にしかない目と口の間や,目の間の距離を脳が測っているのは顔固有の処理と考えられる。であるから,ヒトの脳でも顔固有の処理を行う場所が存在する可能性は大きいと示唆される。複合したさまざまな情報を持つ顔の時間的処理は,サル・人・図形というおおまかな情報をまず表し,それより遅れて表情・個体という詳細情報を表していることが情報量解析で明らかになった。
著者
渡辺 象 上嶋 権兵衛 鈴木 美智代 大塚 照子 中野 清剛
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.217-223, 1990 (Released:2006-07-06)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

多国語習得者の失語症の一例を報告した。症例は68歳,女性。9歳より26歳までシンガポールで生活したため英語が堪能となった。 58歳まで貿易会社に勤め,その後自宅で学生に英語を教えており英語を使用する機会は多かったが日常会話は日本語であった。 69歳時,脳梗塞により失語症となった。発症当初,発語は全く認められなかったが,回復するに従って英語が日本語よりも良好な結果を示した。多国語習得者の失語症については,欧米では多くの報告があり,その回復の過程において母国語から回復するというRibotの説,日常語が良好とするPitreの説,感情的要因を重視するMinkowskiの説が有名であるが本例ではこのいずれにも当てはまらず,母国語でもなく日常語でもなく特に感情的要因が強かったとも考えられない英語の方が良好な回復を示し,日本語の失語症と欧米の失語症とは回復の過程において異なる要因が存在する可能性があると考えられた。
著者
伊澤 幸洋 宇野 彰 小嶋 知幸 加藤 正弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.225-233, 1998 (Released:2006-04-26)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

Brown (1979) ,Kertesz (1982) が報告したマンブリングジャルゴンに該当する特異な発話症状を呈した失語症例を経験した。症例は,発症当時 63歳の右利き女性である。本研究では発話行動のモニタリング機能,発声の意図的な運動制御という運動的な側面,コミュニケーション行動に影響を及ぼす人格的側面の以上3点を中心に本症例の発話障害の機序について検討した。その結果,聴覚的理解は良好であり本症例におけるジャルゴン症状は聴覚的フィードバックによる従来のモニタリング障害説では説明困難と考えられた。本症例におけるジャルゴン症状は,人格的側面からは,事物に対する固執傾向,焦燥感,落ち着きのない態度が結果としてジャルゴンを形成する一要因となっていると考えられた。発話機能面からは,本症例に特有の構音 (発声) 運動の抑止困難が中心的な要因になっていると考えられた。また,以上の2要因に加えて統語・意味・音韻など各水準における内言語障害の複合的要因も関与していると推測された。
著者
大田 めぐみ 小嶋 知幸 加藤 正弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.215-224, 1998 (Released:2006-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

伝導失語2例の改善過程について,1) 発話に現れる音韻の誤りの経時的変化,2) 聴覚言語性短期記憶 (以下 STM) 検査成績の経時的変化,の2点について観察し,得られた結果をもとに伝導失語の障害メカニズムについて考察を行うことを目的とした。その結果, (1) 呼称,漢字単語の音読,仮名単語の音読,単語の復唱の発話4モダリティーにおいて誤反応の減少に伴い,誤り内容は類推困難な反応や省略・付加の割合が減少し,部分正答,置換,転置が中心となった。また, (2) STM 検査成績は,時点を追うごとに成績が向上した。以上より伝導失語の経時的変化は発話4モダリティーに共通であり,音韻想起自体の障害から,音韻の選択・配列の障害を経て回復に至ると考えられた。また発話の改善と並行して STM 検査成績も上昇したことから,本症例の障害の根底には音韻の符号化 (選択・配列) 障害があり,現象面で STM の低下として観察された可能性があると考えた。
著者
志塚 めぐみ 小嶋 知幸 加藤 正弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.306-315, 2002 (Released:2006-04-25)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

約10年間で経験した8例の伝導失語症例について報告した。8例における利き手および大脳損傷半球の内訳は,右手利き5例,非右手利き3例,大脳左半球損傷例6例,右半球損傷例2例であった。8症例における病巣の画像所見,言語以外の高次脳機能所見について調査した結果,右手利き左半球損傷例5例における共通病巣は縁上回であり,通常の半球側性を有するヒトにおける音韻の選択・配列機能は左縁上回に局在していると考えられた。一方,変則的な半球側性が疑われる非右手利き症例の場合,言語情報処理過程の中で音韻の選択・配列にかかわる機能のみが独立して一側の半球に局在する場合のあることが示唆された。また,全例に口部顔面失行を認めたことから,流暢型失語に伴う高次口部顔面動作と音韻の選択・配列機能は,大脳における局在という点で親和性が高いことが示唆された。
著者
栗崎 由貴子 能登谷 晶子 小山 善子 鈴木 重忠 藤井 博之
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.308-313, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
10

右被殻出血により,失語症と左片麻痺を呈した生来右利きの一症例を報告した。症例は発症時 49歳,男性。当科初診の発症から 16ヵ月経過時の言語症状は,軽度の言語理解障害および音韻性錯語を中心とした表出面の障害であった。とくに復唱障害が著しかった。発症から 40ヵ月経過時には,表出面で自発語や音読の改善は良好であったが,復唱の際に文レベルで,助詞が他の助詞に置換される障害が認められた。この傾向は発症から 55ヵ月時も同様であった。本例の復唱障害の誤り方は,波多野(1991)の錯文法性錯語を主症状とした伝導失語例に類似していた。
著者
春原 則子 宇野 彰 金子 真人 加我 牧子 松田 博史
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.122-129, 2002 (Released:2006-04-24)
参考文献数
14

言語性の意味理解力障害を認める小児の臨床像について検討した。言語性意味理解力障害が疑われた15名を対象に,各種神経心理学的検査とSPECTによる局所脳血流量の測定を行った。その結果,神経心理学的検査では言語性の課題において同年齢の健常児に比して低得点であった。また,非言語性の意味理解は可能であったが,言語性の意味理解力に障害を認めた。意味理解力障害は聴覚的過程,視覚的過程のいずれにも生じていた。復唱や音読といった音韻処理課題は良好であっても意味理解力が低下していたことから,音韻処理能力と意味処理能力に乖離があると考えられた。   各症例に共通した局所脳血流量の低下部位は左大脳半球側頭葉だった。左側頭葉損傷による成人失語症例においても言語性の意味理解力障害が生じることが知られており,後天性の損傷例の病巣と類似した部位の機能低下によって言語性の意味理解力障害が出現していることが示唆された。
著者
伊藤 元信
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.233-237, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

本稿では,まず,AOSの訓練原理について解説した。ついで,自験例を含め,詳しい訓練経過報告がなされている症例報告をとりあげ,訓練技法を紹介し,最後に,訓練効果について述べた。
著者
中野 明子 中島 健二 小林 恒三郎 塚原 ユキ 佐藤 睦子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.351-357, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

Disorders of speech and other mentalfunctions in eight patients with left thalamic hematoma were examined, both in their acute and chronic stage. The examinations in the acuts stage revealed a decrease of vigilance in 7 cases, fatiguability in 6 cases, a paucity of spontaneous speech in 6 cases and small vocal volume in 5 cases. In addition, 6 out of cases exhibited some speech disorders, inluding paraphasia, word-finding difficulties, circumlocution. The other two cases showed memory dis turbance and / or disorientation. Fluency, repetition and comprehension were well preserved in all cases. And, in the chronic stage, disor ders of speech and other mental functions almos disappeared in 7 cases out of the 8.    Those defects were not considered as being aphasia, but as a lack of activation of higher mental functions in the dominant hemisphere.
著者
大東 祥孝
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.965-971, 1986 (Released:2006-08-04)
参考文献数
30
被引用文献数
2

1 0 0 0 OA WAB失語症検査

著者
杉下 守弘 亀和田 文子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.222-226, 1987 (Released:2006-11-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2
著者
松田 実 姉川 孝 原 健二
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.239-246, 1992 (Released:2006-06-23)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

経過中に再帰性発話 (RU) がreal word RU (RWRU) からnon-meaningful RU (NMRU) に移行した特異な症例を報告した。症例は73歳の右利き女性。脳梗塞で右片麻痺と全失語を呈した。初期には,「あんた」という発語を繰り返したが発語量は多くなかった。 50病日頃より発語量が多くなるとともに,発語パターンは「あんた」が徐々に減少し,「ツツツ……」「夕夕夕……」「ツツターン」「ツターン」「タンターン」という何種類かの発語を認める時期を経過して,「タンターン」「タンタン」に収束した。 CT, MRIでは基底核,放線冠と頭頂後頭領域の皮質皮質下に梗塞巣を認めたが,SPECTではより広範な左半球ほぼ全域にわたる血流低下が認められた。著しく機能低下した左半球の音声学的システムが右半球発語であるRWRUを修正した結果, RWRUからNMRUへの移行が生じたと考え,RUの成立機序や責任病巣についての私見を述べた。