著者
中浜 信子 茂木 美智子 山本 誠子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.302-307, 1971-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

Experiments were performed to investigate the rheological properties of starch gel. The effects of kinds of starch, the temperature of gel preparation and additives on starch gel were examined by determining several rheological properties.The results obtained are as follows : (1) The apparent modulus and jelly strength of the starch gel depend on the temperature of gel preparation and on the kinds of starch.(2) The mechanical model of the starch gel corresponds to six-element model. However the strain of Newtonian viscous part is very small.(3) The apparent modulus and jelly strength increase as the amounts of sugar and also sorbitol added to the starch gel increase. No remarkable differences are noticed in rheological properties of the starch gel even if glycerol is added to it.(4) The apparent modulus increases when inorganic salts were added to starch gel, the order of increasing the modulus being NaSCN<NaCl<Na2SO4. However the jelly strength is not affected by the addition of these inorganic salts.
著者
藤原 康晴
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.493-499, 1986-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15

被服の選択や着用についてのさまざまな観点からの関心度と自己概念, 自尊感情との関連を女子経生251名を対象として調査研究した・被服の関心度と自己概念, 自尊感清はいずれも多様な側面をもっているので, これの関連性を分析するにさいして, まず, それぞれについて因子分析を行い, 数個の因子を抽出し, 次にこれらの因子が互いにどのように結び付くかを正準相関分析して検討した.被服の関心度と自己概念との関係では, 自我強度の小さい人は保守的な服装をすること, 外向的な人は仲間に同調した服装をする傾向のあることがわかった.また, 被服の関心度と自尊感情との関係では, 社会的場面で不安をおぼえる傾向の強い人は, あまりおしゃれをしないこと, 他者からの評価を気にする程度の強い人は保守的な服装をしがちであることがわかった.
著者
松元 文子 松本 ヱミ子 高野 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.348-352, 1960-11-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

1, 手ごねドウとミキシングドウを、ファリノグラム及びエキステンソグラムで比較すると、本質的な根違は別として、電力ごねの力は大きく、手で“よくこねた”場合(200回)においても、その力ははるかに小さく、また、手ごねの場合は、一応均質化されたかに見えるドウについても相当に違いのあることがわかった。ミキサー使用の場合でも、ファリノグラフにおいては、その回転速度によって、著しく製品の質に相違をもたらすといわれているから、電力ごねと手ごねの間の混捏操作に著しい達いのあることを思えば、その相違が更に大きくなることも止むを得ないものと考えられる。1図における抵抗値の変化はミキシング間のドウの性質を示すものであることはいうまでもないから、手ごねにおいては、その出発点(ミキシングタイム0点)における抵抗値が手ごね結果を表わすものとしての意味が大きい。即ち、手ごね0のドウは、対照の30秒ぐらいのドウに相応じ、従って、その後のミキシングによって大いに上昇を示すこと、対照に準ずる。手ごね150、200回のドウ(両者の出発点は一致している)は、その出発点がすでに対照の最高抵抗値に近く、従って、その後のミキシングによる上昇は殆んど示さない。その他のこね回数をみると、大体、20、40は出発点がこね回数0に近く、60、100は200回に近いところから、こね回数60回くらいで一応ドウの均質性を得られるもののように考えられる。手で “ざっとこねる” とは、手ごね60回以前の、まだ均質化されないドウの場合であろう。こね回数と0点における抵抗値の順位に狂いがあるのは、一定基準を保ったとはいえ、手ごねの操作上の違いと本機の再現性の弱さによるものと思われる。又、手ごねに対応するミキシング時間は、ファリノグラムとエキステンソグラムの問では、必ずしも一致しない。これは両者が何れもドウの性格を表わすものであるとはいえ、前者は混捏中のドウの抵抗値を示すものであり、後者はドウの伸張抵抗(いわゆる腰)と伸張度(いわゆる足)を示すもので、それぞれドウのちがう面を表わすものであるからであろう。2.ドウの“ねかし”を軟化による扱い易さの点から、エキステンソグラムでみると、一応まとまる程度にこねたドウでもねかしにより、充分軟化することができ、“こね”と“ねかし”の本質的な相違はあるとしても、ねかしはこね回数を節約することができ、30分までが最も効果的であった。しかし、ねかしにより、一旦軟化したドウは再びこねることで硬化し扱いにくくなるから、ねかし後の成形には注意を要する。実用の場合、ねかし時間の長いもの、成形後に放置するものなどのねかしの効果はドウの本質的な質向上や、製品の組織への影響をねらったものと思われる。
著者
吉田 レイ 唐沢 恵子 小黒 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.230-234, 1975-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

家庭用冷蔵庫を用いて手軽にパンを作るための, イースト量, 発酵温度, 発酵時間の諸条件を検討し, 常温発酵との比較を行ない次の結果を得た.1) 発酵試験では一次発酵温度は低温ほど, イースト量は1.7%添加群の方が生地の最適状態の持続は長い.2) 製品の成績については一次発酵温度は5℃と低温ほどよく, 発酵時間は16~24時間までは大差ない.二次発酵時間は1.0時間, イースト量は1.7%がよい.以上の条件では常温発酵パンと変わらない良いパンができる結果を得た.
著者
赤沢 典子 鷹觜 テル
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.846-853, 1984-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
22

タンパク質摂取量とVEの有無が生体, とくに肝機能に及ぼす影響を明らかにする目的で, 離乳直後の幼若ラットを用い, 4群に分けて, それぞれ (1) 20%カゼイン・VE添加群, (2) 20%カゼイン・VE欠乏群, (3) 10%カゼイン・VE添加群, (4) 10%カゼイン・VE欠乏群とし, 9~13週間飼育し, 溶血率, 血清中の過酸化脂質, トコフェロール, GOT, GPT, A/G比, CPKおよび尿中クレアチンを測定するとともに, 肝臓の組織学的検索を行い, 次の結果を得た.1) 10%カゼイン・VEを与えた群のラットの発育は著しく遅滞したが, 体重当りの組織重量には大きな変化は認められなかった.2) 10%カゼイン・VE欠乏群のラットは実験開始後5週ごろから急死するものが現れた.3) VE欠乏群では, 溶血率の上昇, 血清トコフェロールの著しい減少と血中および肝臓の過酸化脂質の著しい増加が認められた.摂取タンパク量の違いによる変化は少ないが, 低タンパク・VE欠乏群の死亡直前のラットではとくに高い値を示した.4) GOTおよびGPT値はVE欠乏群で高い値を示し, 低タンパク・VE欠乏群ではさらに増加した.A/G比は, VE欠乏群, 低タンパク群とも著しく低い値を示した.5) VE欠乏群の肝臓では, 肝細胞や星細胞にリポフスチンやライソゾームの蓄積が認められた.低タンパク群では肝細胞に著しい脂肪化が認められ, 高度の脂肪肝を呈した.低タンパク・VE欠乏群でに肝細胞の脂肪化と壊死が認められた.低タンパクとVE欠乏によって死亡したラットおよび死亡直前のラットでは, 肝臓に広範な壊死巣が認められた.したがって低タンパク・VE欠乏による死亡原因は広範な食餌性肝壊死によるものと考えられる.
著者
稲葉 ナミ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.298-303, 1960

今後、尚研究をつづけて結論を得たいが、本考察によって<BR>1.家事労働のうちで最も多くの時間を要するものは炊事で、家事労働時間が短縮してもそれに応じて短縮できないので、家事労働時間中にしめる割合は増加している。<BR>2.主婦の家事労働時間の長短の調節的役割を果しているものは裁縫で、一般に教員より労働者、関東より関西の方がその時間が長い。<BR>3.アメリカの主婦の家事労働の時間とその内容についてみると、都市は農村に比べて、家事労働時間が短かく、家事労働のうちでは家族の世話と「その他の家事」が農村より多く、炊事・掃除・洗濯などの家事労働は農村より少ない。<BR>4.東京都の教員の妻の家事労働の傾向はアメリカの都市型に、大阪市のアパート住いの主婦はアメリカの農村型に近い傾向をもっている。
著者
支倉 サツキ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-14, 1977-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
69
被引用文献数
2
著者
岡村 浩 久保 知義 白山 琢持
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.135-141, 1980-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

1977年度ヨーロッパ諸国から入手した中小牛クロム甲革, 計50点を試料革とし, 化学分析値, 機械的性質および物理的性質を比較した結果, 大要次のようになる.1) 西ドイツのクロム甲革 (主としてボックス仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞍剤による再鞣処理程度が少なく, イダリアおよびフランスのクロム甲革 (アニリン仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞣剤による再鞣処理が十分に行われていることが認められた.シュリンク革は, 銀面の平滑なクロム甲革の化学分析値と比較して大きな差がない.スエード革は, 一般クロム甲革に比較して全油分の含有量が多く, 結合性加脂剤が多く使用されているものと考えられた.2) イタリア, フランス製のクロム甲革は, 1kg/mm2荷重時の伸びが大きく, 7mm高および銀面割れ時の荷重が小さい柔軟な革である.これと逆に日本製クロム甲革は, 引裂強さ, 7mm高および銀面割れ時の荷重が最高値を示し, 銀面が硬い柔軟性に乏しい傾向にあった.シュリンク革は, 銀面割れ時の高さが低く, スエード革は国別の差異は見いだされず, 一般クロム甲革に比較して機械的性質が劣っていた.3) 物理的性質では, 一般クロム甲革の耐水性と吸水度 (30分間) に差が見られ, とくに日本製のクロム甲革の耐水性は低かった.シュリンク革は, 一般クロム甲革に比較して, 耐水性が高く, 吸水度 (30分間) が低い値を示し, また耐屈曲性に劣る.スエード革では, 耐水性が著しく低く, 透湿性が比較的高い.
著者
桜井 映子 朝倉 富美子 伊東 清枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.689-695, 1985-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
18

淡雪かんの調製方法として, 卵白に90℃の寒天・ショ糖液を混合する場合の卵白タンパク質の熱変性の状態について, 電気泳動法を用いて検討した.あわせて, 卵白泡の性状および淡雪かんの安定性についても調べた.1) ショ糖無添加の寒天液を卵白泡に混合した場合には, 混合開始温度が70~90℃では, オボアルブミン, オボムコイド, グロブジン, コンアルブミン, リゾチームの各タンパク質に, 熱変性が認められた.2) ショ糖添加の場合には, ショ糖が20%以上含まれると, 90℃で混合を開始しても, 上記5種類のタンパク質には, 熱変性は認められなかった.3) 混合開始温度が90℃で, ショ糖濃度が高い場合には, 比重が小さく舌ざわりが軽く, また離漿率が少ない安定性の高い淡雪かんができるごとがわかった.
著者
大村 公仁子 赤羽 ひろ 中浜 信子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.22-27, 1978
被引用文献数
8

寒天ゲルの破断特性を検討するため, 定速圧縮破断試験により, 応力-ひずみ曲線を得, 破断ひずみ, 破断応力, 破断エネルギーを求めた。また, レオロメーターによるテクスチャー特性値およびカードメーターによるゼリー強度の測定を行い, 次のような結果を得た。<BR>1) 寒天ゲル, 砂糖-寒天ゲルの応力-ひずみ曲線は, ほぼS字状曲線となり, 破断点と降伏点が一致した.また, その破断状態は脆性破壊を示した.<BR>2) 寒天ゲルの破断ひずみは0.25~0.35であった.寒天濃度の増加に従い破断ひずみは増加したが, 比較的変化は少なかった.<BR>3) 寒天濃度0.8~2.0g/100ml, 圧縮速度0.4~4.0cm/minの範囲で, 寒天ゲルの破断応力は0.55×10<SUP>5</SUP>~4.34×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>であった.同様の測定範囲で破断エネルギーは0.52×10<SUP>4</SUP>~5.77×10<SUP>4</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であった.ともに寒天濃度の増加および圧縮速度の上昇に伴い著しい増加が認められた.<BR>4) 砂糖-寒天ゲルの破断ひずみは寒天濃度1g/100ml, 砂糖濃度0~60%の範囲で0.27~0.39であり, 砂糖濃度の増加に従い直線的に増加した.また, 同様の測定範囲で破断応力は1.08×10<SUP>5</SUP>~3.47×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, 破断エネルギーは1.05×104~5.07×10<SUP>4</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であり, ともに砂糖濃度の増加に従い著しい増加が認められた.<BR>5) 破断ひずみは凝集性と有意の相関を示し, 破断応力は硬さ, ゼリー強度, もろさと有意の相関を示した。破断エネルギーは硬さと有意の相関を示し, 破断応力, 破断ひずみに対しても有意の相関を示した.<BR>6) 寒天ゲル, 砂糖-寒天ゲルについて, 破断応力と破断エネルギーとの間の回帰式が得られた.魚肉ソーセージ, バナナの破断応力と破断エネルギーはこの回帰式からかなり離れた点に位置した.食品の性状により破断ひずみ, 破断応力, 破断エネルギーの関係はかなり異なるものと思われる.
著者
斎藤 洋子 和泉 真喜子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.351-353, 1985-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5
著者
吉沢 優子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.596-602, 1979

道明寺粉のもどし方法について, 主としてテクスチュアーの面から実験を行い次のような結論を得た.<BR>1) 水浸時にたっぷりの水 (試料重量の3倍) を用いる場合は, 「常温水に10分間水浸」の条件が, 餅のテクスチュアーに好ましい影響を与える.<BR>2) 蒸すことはでんぷん粒の膨潤を早めるため, 付着性, 凝集性, ガム性を大きくし, 食味を向上させることに役立っ.<BR>3) 水浸時の水量が増し, 水浸時間が長いほど硬さ, ガム性, 弾性率および粘性率は小さくなる.<BR>4) 好ましい食味の餅を得るには, 道明寺粉を約1.5倍 (重量倍率) の常温水に20分間以内水浸させ, 20分間強火で蒸すのが適当な方法と考えられる.<BR>終わりに, レオメーター使用にあたりご助言をいただきましたサン科学斉藤裕昭氏ならびに, 官能検査に協力して下さった方々に厚くお礼申し上げます.
著者
泉谷 秀子 大野 庸子 島田 裕子 志水 暎子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.808-813, 1985

本研究は, 名古屋市内の民間企業の供給するマンションの管理の実態と居住者の意識を調査し, よりよい管理のあり方を確立するための基礎資料とするために調査を行い, 管理形態や業務の実態は, マンションのカ所数を単位とし, 意識については, 居住者個人を単位として集計し, 次の結果を得た.<BR>1) 管理形態は, 自主管理2割, 会社管理8割弱であり, 101戸以上の大規模では, 8割強が会社管理である.<BR>2) 実働管理希望は, 3.5割で, 年収が高くなるにつれて低くなる.<BR>3) 管理人のいるマンションは7.5割.管理費が高くなるにつれて, 管理人への不満が高くなる.<BR>4) 修繕積立金は, 8.5割がしており, 1戸あたり月額500円前後と, 1,000円前後が多い.積立金については, いまのままでよいとする者が多く, 転居希望者は積立金についての意識が低い.<BR>5) 個々のマンションの規模, 居住者の社会的属性などによって, 管理方式の最適化はさまざまであろうが, よりよい管理とは何かについての最大公約数は, まず居住者による管理組合を結成し, 維持管理について自分たちで可能な仕事と, 専門業者に委託すべき, あるいは委託したほうがよい仕事を明確にし, 業者を選定して委託し, その分担範囲によって, 適正管理費を算定することと考えられる.大修繕および将来の建替えまでも見通した計画的な資金づくりのため, 積立ての実行, またこれらの話合いを積み重ねることによって, おのずとコミュニティが醸成され, 共同生活のルールもつくられていくことであろう.<BR>しかし, 居住者レベルでは, 方向を見いだしにくい問題もあるので, 必要に応じて正確な情報が入手できるように, 行政や第三者機関など専門の相談窓口を設けることも必要である.
著者
伊東 きぬゑ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.229-232, 1962-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

各種調理形態に於ける基本調理を施した塩魚の消化率が最低で著しく低かったところから食塩がどの様に魚肉蛋白の消化率に影響を及ぼすかを検討するために、塩分濃度0、1、2、4、8、16%の食塩で処理した魚肉(鮒)を用いて、Pepsin及びPancreatinによる人工消化試験を行った。その結果A Pepsin消化について1) 全消化時間通じて、塩魚は生魚に比して、消化率が著しく、低く其の消化順位は、生魚1、2、4、8、16%塩魚の順で16%塩魚が最低であった。2) 生魚と1%塩魚間の消化率の低下度が他の濃度別間の低下に比して、著しく大であった。3) 塩魚に於ける各濃度別間の差はほぼ同様であった。B Pancreatin消化について1) 消化率の順位は全消化時間を通じて、生魚、1、2、4、8、16%塩魚の順で、生魚が最高で、食濃塩濃度の大なもの程消化率は劣っていた。2) 可溶性窒素とアミノ態窒素の生成率に於いて、生魚に比して、塩魚は著しく劣っていた。特に生魚と1%塩魚の間の著しい差は注目すべきものがあった。其他の各濃度別の個々の差は生魚と1%塩魚の差に比しては比較的小であった。3) ペプトン態窒素の生成量は、Pepsin消化の場合と異り食塩濃度の大なもの程大であった。このことからPancreatin消化に於いては、食塩がペプトン態窒素からアミノ態窒素への分解に大きい影響を与えるという事が考えられる。これは注目すべき現象である。
著者
Hideo MOROOKA Mariko UEMATSU
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.104-110, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

This paper aims to clarify the properties of some factors relating to Shari Hand Value of woven fabrics which is one of good feelings for summer wear in Japan.The results are obtained as follows : 1) The rustring sound of high Shari Hand Value (8-10) have special frequency response, that is, the sound pressure within 1 kHz have about 70-90 dB, among from 1 kHz to about 6 kHz do below about 50 dB and among from about 6 kHz to 10 kHz do 50-60 dB, and it is experimentally clarified that the high sound pressure within 1 kHz results chiefly from the yarn (high twisted one) and the one over 1 kHz results from the fabric's construction.2) In this experiments of the frictional property of fabric-to-fabric, the mean frictional coefficient μ and the variation of frictional coefficient μcv, could not be recognized to be closely correlated to Shari Hand Value.3) Fabrics of high Shari Hand Value (6-10) have special constructions, that is, high twisted yarn such as 13-35 turn/cm in warp and 13-27 turn/cm in weft, yarn density such as 35-60 picks/cm and 35-50 ends/cm, and the crimp ratio such as 8-16% in warp and 6-18% in weft are used.
著者
Teruko OHCHI
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.167-175, 1983-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

スカートが歩行中に帯電のために足にまつわりつくことは不快を感ずるばかりでなく, 外観上も好ましくない.これを防止するための被服製作上の問題点を検討する目的で, 種々のスカートを製作して歩行中の帯電電位を測定し, 次の結論を得た.1) スカートの種類の影響歩行中のスカートの裾付近の表面の帯電電位は, 側面と前面が後面に比べて増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなるが, 裾幅が狭いものや, ひだがあるものは, 裾幅が広いものや, 裾幅は狭くても歩行中に裾が割れるものよりも帯電電位の増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなる.また, 裾回り寸法が同寸の場合, 前にひだがあるスカートは, 前面と側面において, 後にひだがあるスカー歩行時におけるスカート表面の帯電の傾向についてトよりも高くなる.2) 裏地の影響表地ポリエステルに, 裏地キュプラまたはポリエステルをつけたものは, 裏なしのものに比べて帯電電位の増え方が緩やかで, 平衡帯電電位が低い.また, ひだスカートに裏地をつける場合は, 表地と裏地とを重ね合わせて一緒にひだを折りたたむ方法が最も帯電が少ない.3) ナイロンストッキングの着用の影響ポリエステルのスカートは, ナイロンストッキング着用時には, 素足の場合に比べて帯電電位の増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなる.4) まつわりつき状態の傾向まつわりつきが生ずる場合には, 次の傾向がある.まつわりつきは, 素足の場合には少なく, ナイロンストッキング着用時に多い。また, 前面や側面の帯電電位が高くなる種類のものは, まつわりつきが多い.裏地をつけるとまつわりつきが減少し, 裏地としては, ポリエステルよりキュプラのほうが効果的である.以上まとめると, スカートの帯電を少なくするためには, 表地と足との接触を少なくし, できるだけ摩擦を避けることが必要である, すなわち, 裾幅を広くし, ひだは後にとり, 裏地をつけたほうがよい.さらに裏地には親水性繊維を用い, ひだの部分は表地と一緒に折りたたむことがよいと考えられる.
著者
浅見 雅子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.567-570, 1973-11-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

In the Heian era, all kinds of implements were called “chodo.” This paper is for showing pilologically how the meaning of implements changed in the Edo era.According to the dictionaries or the documents published in the period, we can know that the word implements involves two different kinds of the meaning in it; that is, we can call one “chodo” and the other “kizai” or “kiyo.” In the Edo era, “chodo” means the industrial art objects ornamented by gold or silver lacquer. On the other hand, “kizai” or “kiyo” means what we call functional implements.The most typical “chodo” of the Edo era is daimyo's “choddo” involving the wedding one for daimyo's daughters, which exists even now as a cultural inheritance. “Kizai” or “kiyo” as functional implements, which was made use of mainly by the common people, little exists for it was dealt with as expendable one.We can clearly distinguish between the meaning of “chodo” and that of “kizai” or “kiyo” in the Edo era. Nowadays the word “chodo” is used as a kind of pronoun given to luxurious furniture.