著者
新谷 寿美子 堀 裕子 山内 知子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.271-276, 1975-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

ゼラチン・アガーゼリーについて, 寒天とゼラチンの濃度を各4水準とし, 二元配置法によって実験した. その結果, 次の点が明らかになった.1) 凝固温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の凝固温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなる. ゼラチン濃度が 4% になると, 寒天濃度 0.3% ではゼラチンの凝固温度に近くなり, 0.5~0.9% では寒天の凝固温度より低下した.2) 融解温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の融解温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなるが, ゼラチン濃度が 4% になると低下する.3) 透過率はゼラチンまたは寒天のみのゼリーの透過率より減少する. 各ゼラチン濃度で寒天濃度の増加とともに低下するが, ゼラチン濃度が 3~4% になると寒天濃度間の透過率の差はきわめて少なくなる.4) ゼリー強度は寒天とゼラチンの濃度の増加とともに大きくなり, 凹みの大きさは寒天濃度の低いほど, ゼラチン濃度の高いほど大きくなる. 軟かさは寒天とゼラチン濃度の増加とともに小さくなるが, 寒天濃度 0.7~0.9%ではゼラチン濃度間の差はほとんどみられない.5) たわみ率は寒天とゼラチン濃度の増加に伴い小さくなる.6) 離漿率はゼラチン濃度の増加に伴い減少するが, ゼラチン濃度 3~4% では寒天濃度間にほとんど差がない.7) 食味の評価が普通以上で, 120 分たっても変形しないゼリーは, ゼラチン 1% に寒天 0.7~0.9%, ゼラチン 2% に寒天 0.5~0.7%, ゼラチン 3% に寒天 0.5%をそれぞれ混合したものである. またゼラチン 1% に寒天 0.5%, ゼラチン 3% に寒天 0.3%, ゼラチン4%に寒天 0.3% のゼリーは形は保っているが変形しやすい状態である.
著者
村山 篤子 川端 晶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.265-271, 1980-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

卵, 牛乳, 砂糖を用いた攪拌カスタードについて, 卵として卵黄, 卵白, 全卵を使用し, 最終調理温度, 加熱時間の異なったカスタードを調製し, ハーケ社二重円筒形回転粘度計ロトビスコRV3型を用いて, とくに低ずり速度における流動特性について検討を行った.1) 卵黄, 卵白, 全卵を用い, 最終調理温度を78℃, 80℃, 82℃で調製したカスタードについておのおのの粘度を測定した. いずれも最終調理温度が高く, 加熱時間が長くなるにつれて粘度は高くなった. 3種間では, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に粘度は低くなっている. カスタードはいずれも非ニュートン流体で構造粘性を示した.2) 卵黄, 卵白, 全卵カスタードの流動履歴曲線は高ずり速度においてはずり速度流動化流動を示すが, 低ずり速度ではヒステレシスループを描く. 履歴面積からチキソトロピー特性値を求めたが, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている.3) 流動曲線から降伏値を求めた. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に降伏値は小さく, また最終調理温度が高いほど降伏値は大となっている.4) 一定ずり速度におけるずり応力-時間曲線から剛性率を求めた. いずれのカスタードもずり速度による大きな相違はない. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている. これは粘度, 降伏値と同様であった.また同種のカスタードでは最終調理温度が高くなるにつれて剛性率は増している.
著者
武田 満す 沖田 富美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.315-323, 1973-08-20 (Released:2010-03-09)

This study has a double purpose. One is to learn the actual housing situation of the family living in Tokyo in the standardized space provided by Japan Housing Corporation. The other purpose is to collect some data in order to better the living space of Japanese houses.The subject of the present investigation is housewives who live in Kameido, Jindai and Aoyama dwellings in Tokyo. The investigation was carried out at the beginning of March, 1971.Analyses are made to find out housewives' attitudes towards household chores and ways of spending leisure time, together with finding out the way of using house spaces according to their living activities.The results are summarized as follows : 1. The housewives take a great interest in household chores, although they try to cut down the time spent on them.2. About a half of the housewives investigated wish to spend leisure time rather conservatively, for instance by knitting and reading.3. The average length of time for housekeeping is 6 hr and 4 min per day, and this is about a half of “at-home” time. The leisure time is 4 hr and a half, daily.4. At any dwelling, housewives spend most of their time in the dining room and a room facing south. Especially, their stay in the dining room is longer than any other rooms. The dining room is used also for meal preparation.5. Although the housewives investigated in this paper can spend a large portion of their time in the south rooms doing their housekeeping, few of them count the rooms indispensable for the housekeeping among the rooms they want in the south if the area facing south is limited. They rather desire to have living room and children's rooms in the south.
著者
柏木 希介 近藤 憲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.258-262, 1971-07-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

In spite of long time storage over 1300 years, some of very old dyed textiles still seem to maintain beautiful color. Among others, red colored silk fabrics known as Horyujigire, which are believed to be the product of China in the 7th century, and the red string attached to a famous armor of the 12th century, both maintaining their clear red color, were examined with regard to the dyestuff and color as well.To identify the dyestuff used on these textiles, it is considered to be necessary to extract the dyestuffs directly from the dyed fabrics, not from plant tissue. In view of this we prepared silk cloths dyed with Rubeaceae roots, sapan wood, safflower, Rhizophoraceae wood and Texaceae wood.By paperchromatographic analyses we have found that the above two old fabrics would contain madder or chay root dyes. This conclusion seems to be in agreement with the result of the investigation by means of organic chemistry.Color fastness tests against the sunlight and washing on those cloths also showed that madder was more resistant than the others.
著者
山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.395-402, 1961-11-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
1

(1) 電気自動ホットプレート、鉄板、フライパンを2個重ねたものは、熱容量が大きく温度変化は比較的緩漫である。(2) ホットケーキは加熱器具の焼き面が高温のときに焼くよりも、130~140℃ぐらいのときに生地を流し、180℃をもって焼き上がりとするほうが間違なくよく焼ける。(3) 膨化率は130℃から180℃までの範囲の焼き温度では、温度の高低によってほとんど変化がない。(4) ホットケーキに適度の焦げ色がつく温度は160~180℃である。(5) 材料配合については、各材料が基準量以下のものは概して製品の成績がよくない。(6) ホットケーキの膨化効果に顕著に影響するものはB.P.のほか卵の量の多少で、量の多いほうが膨化が大である。砂糖は15gが最も膨化し、30gになると減少する。一般に行われるように、あとでシロップをかけて甘みを補うほうが合理的である。脂肪は添加すると膨化を減殺するが、味と口ざわりをよくする上には大きな効果がある。その使用量の増加によって膨化率が特に減少することはない。成績の上から10gぐらいが適量である。(7) ホットケーキの生地の流動状態は、小麦粉に水を120~130%加えたくらいがよく、砂糖、脂肪、卵は換水値により、牛乳はその水分を考えて割り出すと基準量では牛乳100~110ccくらいが適量である。(8) 生地は混合直後に焼くのが最もよい。混合後20minで膨化率は直後のものの87%に下がるが、生地の広がり方にはほとんど変りがないから、実用上はこの時間の範囲ならば一時に混ぜ合わせておいてもよい。
著者
長嶋 俊介
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.205-211, 1986-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

Household work have to be studied in behavioral sciences. We introduce new stand point of “subjective equilibrium” into the analyses of household work. We consider the applicability of the basic concept of Jevonsean marginal result utility and marginal pain, to household work studies which should contain non-market economy. Multiple steps for the evaluation of household work, such as that by the family members and surroundings, must be introduced to know real value of household work. Out-puts measurability study can combine our analysis. Marginal result utility concept is really effective to the above mentioned methods, both. We can also combine the mental and physical fatigue research to marginal pain concept. Considering the above mentioned results and using some figures, we know what is the difference between real value of and market evaluation of household work.
著者
原田 一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.286-291, 1970-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
30
被引用文献数
1
著者
品川 弘子 赤羽 ひろ 中浜 信子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.594-600, 1981-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

マヨネーズの材料配合比による流動特性を検討するため, Scheffeの3成分系の単純格子計画法2) に従い, E型粘度計を用いて実験を行った.試料マヨネーズとしては, 油68~86%, 酢5.5~23.5%, 卵黄8.5~26.5%の配合比をもつ10個を調製した.各試料の流動特性値およびpHより次の結果を得た.1) マヨネーズの流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られ, 各材料配合比に対するこれらの流動特性値とのあいだにそれぞれ2次の推定式および推定曲線が示された.2) 分散媒の流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られた.3) マヨネーズの降伏応力やみかけの粘性率の推定曲線を用いることにより適当な降伏応力やみかけの粘性率をもつマヨネーズの材料配合比を選ぶことが容易となると考える.4) マヨネーズのSibreeの係数hは, 油濃度に依存し, 最密充填状態ではほぼ1.30, 高油濃度では1.20, 低油濃度では1.49であることが認められた.5) 分散媒のpHは3.4~4.6で, マヨネーズのpHよりもわずかに低いことが認められた.
著者
藤村 淑子 大野 静枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.210-215, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

衣服のゆとり量を求めるために, 体操によって生じた体表面の最大変化量を, できるだけ正確にかつ迅速に, また被験者に疲労を与えずに測定する方法として, 伸縮性P. S.を全身に着用させ, 動作の変化量をP.S.に縫い込んだ未延伸糸から求める方法を考え, 以下の結果を得た.1) 皮膚の伸びと未延伸糸の伸びとの間には, γ=0.996の有意な相関性があり, 測定法としてきわめて有効であった.2) 体表面の面積変化量は, 部位によって異なり, 大きく変化する部位, 少ない部位, 微小に変化する部位に区分された.体幹前面では胸部より腹部の変化量が大で, 側方に向かうに従ってさらに大きく変化する. 後面は肩甲骨上, 胸囲線付近の変化が大きく, 肩関節の移動が大きく影響していることがわかる. また, 股関節部では臀溝上のみに限られた. 下肢部は膝関節部を除き一般には変化量は少ない.3) Vervaeck Indexと各基準線の変化量との関係は, 指数の大きいものほど大きくなり, 脂肪が沈着する腰部では顕著にあらわれた.4) 本実験から得られた体幹部の平面展開図と静止時体表面展開図との間には, 面積変化がよこ方向よりたて方向に顕著にあらわれた. 両者の面積差は, 363.2cm2であり, この値は体操に必要な最低面積ゆとり量といえる. また, 文化式パターンと比較すると, その差は25.9cm2できわめて少なく, 運動に要する最低ゆとり量の必要量からみて, わずかに7%しか満たしていないことがわかった.以上, ゆとり量を体表面との面積変化量から求め, 着衣実験を通して, 各部位に必要なゆとり量について考察してきたが, その結果から, 被服設計上, 次のようなことがいえる. すなわち, 下着など伸縮性布地に対して動作時に要求される変形量は, 面積変化量の最大値を容易にとりうるような材質であることが望ましく, また織物を素材に設計する場合は, 面積拡大率の大きな部位にゆとりを配置するように工夫する必要があろう. 一般に, 人間の動作から生じる体表面の変化量は, よこ方向よりたて方向に多くあらわれることが確認され, それに追従するためには図6に示すようなたて方向のゆとりが必要になる. このたて方向のゆとりを, よこ方向のゆとりにどこまで置換できるかを問題にするのが被服デザインということになる. この解決法として, 従来から, ゆるみ量がよこ方向にとられているわけである. なお, 本研究は, 皮膚の表面積の変化量そのものに限ったゆとり量として求めたものであり, 実際の着衣時における衣服地と皮膚とのずれがゆとり量の許容を排除することについては考慮しておらず, この点は今後の問題として考えていく予定である.
著者
安田 武 奥野 温子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.81-86, 1981-02-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19

寒天ゲルの凝固が果汁の添加によって妨げられる事実について, 主としてX線的に研究して, クエン酸が単位胞内に入って結晶生成を妨げネットワークが不完全となるものと推定した.
著者
晴山 克枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.880-884, 1985-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

じゃがいもの加熱における調味料の添加時期と硬さとの関係について, おもに食塩をとりあげて検討し以下のことが明らかになった.1) 食塩の添加時期を変えてじゃがいもを20分間加熱すると, 加熱当初に食塩を添加した場合にじゃがいもは水煮よりもやわらかくなったが, 加熱開始5分後, 10分後に添加した場合にじゃがいもは水煮とほぼ同程度の硬さを示し食塩の軟化効果はみられなかった.2) 食塩の添加時期とその浸透量の関係については, 添加時期により浸透量は変化せず, 硬さの変化との相関性は見いだせなかった.3) 食塩の添加時期によって, 加熱後のじゃがいものペクチン質の水溶性ペクチン区の割合が異なり, 加熱当初に食塩を添加したものの水溶性ペクチン区の割合は加熱開始5分後に食塩を添加したものよりも多く, このことと硬さとが関係していることが示唆された.4) 砂糖と酢酸の添加時期による硬さへの影響をみると, 砂糖は添加時期が早いほどじゃがいもを硬くし, 酢酸は加熱当初に添加するとじゃがいもを硬くするが, 添加時期が遅くなるにつれ硬化する効果はなくなった.以上のことから, 調味料の添加時期による硬さへの影響は, 調味料の種類によって異なり, じゃがいもの硬さは調味料を添加するときのペクチン質の状態と調味料の成分との関係で変化することが明らかとなった.
著者
河村 フジ子 中島 茂代 森 清美
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.295-298, 1977-07-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

ゼラチンゲルの特性に及ぼすタンニン酸の影響をみた結果を要約すると次のようになる。1) ゼラチンゾルに10鐙9%または100mg%のタンニン酸を加えてpH5 (等電域) に調整すると, ゾルの明度は低下し, ゲル化しにくくやわらかいゲルを形成するが, タンニン酸10mg%添加ゾルはpH3, pH6ともに, タンニン酸100mg%添加ゾルはpH3の場合はいずれも対照 (pH調整ビラチンゾル) よりゲル化しやすい.2) ゼラチンゾルがタソニン酸により沈殿する場合でも, 保温しつつ十分攪拌すると, 沈殿の一部が溶けて, ゲル形成が阻害されるのをある程度防ぐことができる.3) タンニン酸添加ゾルに砂糖を加えるとゲル化しやすく, 硬いゲルを形成する.ゾルのpHによるゲルの硬さの差は砂糖無添加の場合と同じ傾向を示す.4) リンゴ汁添加ゾルは糖やペクチンを含むが, pHが5に近く, タンニンを含むので, 対照ゲル (無添加ゼラチンゲル) とほぼ同程度のゲルを形成する.コーヒー液添加ゾルのpHも5に近く, 多量のタンニンを含むのでやわらかいゲルとなり, 紅茶液添加ゾルのpHは6に近く, タンニンも少ないので, 硬いゲルとなる.
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.525-532, 1977-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

1) 牛乳羮の調製にあたり, 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の硬さ, もろさが減少する.2) 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の凝集性が増加し, 離漿が減少する.これは牛乳羮の性状の安定性が増加するためと思われる.3) 牛乳羮の離漿には比較的多量のカゼインと少量の脂肪が含まれているので, やや青味がかった白色を呈する.4) 牛乳成分のうち, カゼインと脂肪は強固な結合状態を保ちながら牛乳羮の硬さに影響をおよぼす.5) バター, カゼイン添加試料による牛乳美の硬さ, もろさはおのおのの添加量に影響され, 特に, カゼインの場合は添加量が増えるほど硬さ, もろさは減少する.
著者
下村 道子 島田 邦子 鈴木 多香枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.484-488, 1976-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

魚肉 (マアジ肉) を純水, 2%食塩水その他の溶液中で30℃から100℃の間, 10度間隔の温度で加熱した場合の魚肉の変化を調べた.結果は次のようである.1) 加熱溶液へのたんぱく質の溶出は, 40℃から50℃にかけて増加し, 50℃から60℃では, あまり変らないか, また減少する場合も見られ, 60℃から70℃では再び増加がみられた 食塩水やしょうゆ水では, たんぽく質の溶出率が高くなり, 清酒を加えると, やや抑えられる傾向がみられた.2) 加熱溶液が水の場合, そのアミノ酸分析においてエキス分に含まれているアミノ酸とともに, 90℃で加熱した場合にはゼラチンに由来すると思われるアミノ酸が多く含まれていた.3) 加熱した魚肉の硬さは, 40℃から50℃にかけて著しく減少し, 50℃付近で最低となり, 60℃より100℃まで漸次増加した.調味料の影響はあまりみられなかった.4) 魚肉の凍結切片を水, 食塩水, 酒水および魚類用塩類溶液に入れ, 加熱し顕微鏡で観察したところ, 水では40~50℃で筋せんいの収縮が始まり, 70℃までさらに凝集がすすむのがみられた. 60℃をすぎると結締組織の溶解がみられた 食塩水に切片を入れると, 筋せんいは溶解したように拡がり, 加熱による変化はあまりみられなかった. 酒水では, 加熱しなくても筋せんいの収縮がみられ, 低湿でも変性が起こると思われた. 魚類用塩類溶液では, 食塩水に似た変化がみられた.
著者
大浦 律子 吉川 清兵衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-188, 1986-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

過酸化系漂白剤なかでも過炭酸ナトリウムの分解速度はpHにより大きく影響される.この現象をさらに検討するため本報では, 過酸化水素の分解速度, 漂白力とpHの関係を測定し, 過酸化水素に炭?ナトリウムを加えた系 (モデル過炭酸ナトリウム) との比較を行った.さらに, 洗剤中に配合されている無機ビルダー (硫酸ナトリウム, リン酸ニナトリウム, メタケイ酸ナトリウム) を共存させた系についても検討した.また, 過炭酸ナトリウムに, これらの無機ビルダーを共存させた系で, 無機ビルダーが分解速度におよぼす影響について検討し, つぎのような結果を得た.過酸化水素に炭酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムを加えると, 過酸化水素単独にくらべ, 分解速度は速くなり, これらの無機ビルダーは, 分解促進作用がある.しかし, 硫酸ナトリウムやリン酸ニナトリウムを加えても, 過酸化水素の分解速度には, ほとんど影響しない.過酸化水素に無機ビルダーを加えた場合の漂白力への影響は, 硫酸ナトリウムやリン酸ニナトリウムでは, 中性から弱アルカリ性域で, わずかに高くなるが, pH 11以上では, ほとんど変わらない.また炭酸ナトリウムでは中性~酸性域では相当の, また弱アルカリ域ではわずかの漂白効果の向上がみられた.またメタケイ酸ナトリウムを加えた場合は, 強アルカリ浴でも漂白力は低下しなかった.過炭酸ナトリウムにメタケイ酸ナトリウムを加えるとpH9.5までは分解が起こらず, 弱アルカリ浴では, 過炭酸ナトリウムの分解を抑制することが認められた.本研究の一部は昭和59年度日本家政学会年次大会 (第36回) で発表した.
著者
平山 静子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.309-312, 1970-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

1. 電子レンジ加熱の苺ジャムは、本実験の条件では、電熱器加熱のものに対して約1/2の加熱時間で仕上がった。加熱前にさとうによって果汁を浸出させる必要もなく、火力調節の手数もないが、原料の分量に対して、目的の砂糖濃度に仕上げるための加熱時間については、注意を払う必要がある。2. 電子レンジ加熱によるものは、官能テストの結果、電熱器によるものより好ましいという結果が得られた。3. 電子レンジ加熱によるものは、香りが良く、色調も美しい。4. 電子レンジ加熱によるものは、ゼリー化が少ない。しかしレモン汁を添加することにより、両加熱法とも、ゼリー化を高め、両加熱間の差は少なくなる。5. 電子レンジ加熱によるものは、やや酸性が強い。6. 電子レンジ加熱によるものは、蔗糖の転化率が少ない。
著者
妻鹿 絢子 三橋 富子 細見 博子 荒川 信彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.199-203, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

マリネ処理時間および酸濃度の食肉蛋白質におよぼす影響について検討し, あわせてマリネ処理肉の官能検査を行った.1) 浸漬時間の経過および, 酸濃度の増加にともないマリネ肉のpH低下, 重量増加がみられ, 切断応力が経時的に減少して肉がやわらかくなることが認められた.2) マリネ処理により生じた水溶性窒素化合物の総量は半日~1日経過で著しく増加した.3) 酸の浸透にともない筋肉蛋白質中のミオシン主鎖の切断がおこり, 150,000 dalton fragmentへ移行することが認められた.4) 浸漬日数の経過にともない官能的にも肉がやわらかくなると判定された.また, 酸味を感じるパネル数も増加した.
著者
本間 伸夫 塩崎 啓子 渋谷 歌子 石原 和夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.355-361, 1974-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14

The relationship between the flavor and the heating time of niboshi-soup (extract of dried small sardine) was examined by sensory evaluation. During the heating of niboshi-soup, it was observed from panel scores that the flavor turned to be more preferable.Volatile, neutral and basic components in the head space vapor of niboshi-soup were investigated by gas chromatography and thin layer chromatography. The volatile neutral components of unheated and heated niboshi-soup were identified as follows; paraffins (C4-C8), n-aldehydes (C2-C6), iso-butyraldehyde, n-alcohols (C1, C3, C4) and iso-alcohols (C3, C4). The volatile basic components were ammonia, dimethylamine and trimethylamine. The amounts of most of these volatile components decreased during the heating.It appears that the decrease of the low-boiling volatile components contributes to the increased flavor acceptability of the heated niboshi-soup.