著者
寺元 芳子 塩田 育子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.384-388, 1966-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1. 完全糊化した澱粉糊は半糊化のものにくらべ、粘弾性、ゲル化速度が大で調理操作可能範囲が狭い。したがって、くずざくらは半糊化の澱粉糊で、あんを包み蒸して完全糊化させる方がよい。2. 半糊化にする方法は全体を半糊化にするよりも一部を完全糊化させ、残りを懸濁液のままで混ぜ合わせる方が調製しやすい。ただし馬鈴薯澱粉糊は流れやすいため、全体を半糊化にする方がよい。3. 単独澱粉では次のような欠点が認められる。くず澱粉…手に付着しやすい。馬鈴薯澱粉…流れやすく成形しにくい。玉蜀黍澱粉…くず澱粉に類似している。4. 単独澱粉の欠点を補うために澱粉を混合して用いることは効果がある。混合割合は、くずと馬鈴薯澱粉、玉蜀黍と馬鈴薯澱粉とも3:1がくずざくらに対しては実用的配合と考えられる。
著者
倉賀野 妙子 長谷川 美幸 和田 淑子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.307-314, 1984

クッキーについて, 定速圧縮破断による破断特性を明らかにするとともに, これらの基礎的物性値が硬さ, もろさなどの官能評価の客観的指標となりうるかどうかについて検討した.<BR>クッキーは小麦粉濃度を40, 45, 50%の3水準とし, バター, 砂糖, 卵の配合比はScheff&eacute;の3成分系の単純格子計画法に従って, おのおの9試料とした.応力-ひずみ曲線の測定はダイナグラフによった.<BR>1) みかけの応力-ひずみ曲線は材料配合比により著しく異なった.また, クッキーの破壊はみかけの破断ひずみが0.19~0.33cm/cmの少ない変形領域で発生し, みかけの破断応力は1.08~5.73×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, みかけの破断エネルギーは1.09~6.05×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であった.<BR>2) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>とみかけの破断エネルギーEnの間には高い相関が認められ, 回帰式<I>E<SUB>n</SUB></I>=-0.21+0.97<I>P<SUB>f</SUB></I>を得た.<BR>3) クッキーの材料配合比とみかけの破断応力, みかけの破断エネルギーとの間におのおの3次の推定式, 推定曲線を得た.<BR>4) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>と官能による硬さの評価値<I>S<SUB>H</SUB></I>, みかけの破断エネルギー<I>E<SUB>n</SUB></I>と官能によるもろさの評価値<I>S<SUB>B</SUB></I>との間に, おのおの<I>S<SUB>H</SUB></I>=6.33log<I>P<SUB>f</SUB></I>-2.47, <I>S<SUB>B</SUB></I>=-3.46log<I>E<SUB>n</SUB></I>+1.18を得た.定速圧縮破断時のみかけの応力-ひずみ曲線から, クッキーの硬さ, もろさで表せる官能特性の程度を同時に推測できることが示唆された.
著者
河村 フジ子 松崎 紀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.270-275, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

牛乳の熱凝固におよぼすキャベツ汁の影響をみた結果を要約すると次の通りである.1) キャベツの生汁は, 牛乳を凝固させやすく, 次に加熱汁, 加熱浸出液の順であった.2) キャベツは産地によって成分, 緩衝能に個体差がかなりあり, 汁にした場合のpHが低く, CaおよびMgの多いもの程牛乳を凝固させやすい.3) 緑色部の多いキャベツは, 汁のpHが低く, Ca およびMgが多く含まれているので牛乳を凝固させやすい.4) キャベツは, 包装して貯蔵すると鮮度が保持できて, 牛乳を変化させにくい.5) キャベツを煮る時, 細かく切ると, 短時間に成分が溶出し, ふたをして煮ると酸がふえて汁がにごり, 食塩を加えて煮ると, 酸は少ないがpHが低下し, Ca, Mgの溶出量が増加し, 汁の透明度は増す.6) キャベツ汁に牛乳を加えて加熱する時, 90℃以上で長く加熱すると, 牛乳は変化しやすい.
著者
田附 きつ 塚中 和恵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.93-101, 1985-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12

ヤマノイモ3品種群, 4種類の長薯, いちょう薯, つくね薯(大和薯)およびつくね薯(市販・静岡産)を用いた饅頭の皮を調製した.上記のほかに, 対照としてつくね薯(市販・静岡産)を専門店で調製させた.各種ヤマノイモは卸し金法で卸し液を調製し, あらかじめ回転粘度計で粘度測定した.饅頭の皮はレオロメーターで硬さおよび付着性を測定し, 10℃, 108時間保存後の変化も測定した.また膨化率を測定した.最後に順位法により官能検査を実施した.これらから次の結果が得られた.1) 3品種群とも卸し液流動特性は降伏値をもつ擬塑性であった.粘度の大きさはつくね薯, いちょう薯および長薯の順で, つくね薯はワイセンベルグ効果を示した.2) 饅頭の皮のテクスチャーにおいて, 硬さはAがもっともやわらかく, 次いでE, D, BおよびCの順であった.付着性はAが非常に大きく, B~Eはほぼ同程度であった.3) 長薯使用の饅頭の皮は108時間の貯蔵後硬さが著増し, 付着性が激減して保存性がよくなかった.この饅頭の皮は官能検査ではやわらかで, 弾力性がよく, また経済性の点からも有利であるにもかかわらず市販に使用されていないのはこの保存性の不良によると考えられる.4) 饅頭の皮の膨化率はDがもっとも高く, 次いでC, B, EおよびAの順で, これは粘度の大きさの順と一致した.このうちDはワイセンベルグ効果を示したが, 従来饅頭の皮にDの品種, すなわちつくね薯がもっぱら用いられてきたことの一端が解明されたと考える.5) 饅頭の皮の官能検査は気泡, ふくれ, やわらかさ, 弾力性, しなやかさ, ねばっこさおよびおいしさの7 項目について順位法で行い, その結果をKramerの検定およびStudentのt検定にかけた.両検定は大筋では一致するが, 後者のほうがより細密な結果がえられた.試料Eは“気泡”の出方が有意に少なかったのは割れ止め処理をしてあったためである. “ふくれ” では試料Dが有意に膨脹の度合が大きく膨化率の結果と一致した.試料Bは“ばね状”は大きいが, “こわさ”があり, “ねばり”が少なく総評的に悪かった.
著者
伊達 郁子 江後 迪子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.569-572, 1984

1) 野菜を切断後水浸することによりV.Cの損失が認められ, 組織の破壊度が大きいほど, 損失も大きかった.<BR>2) 野菜を切断後水浸することによって失われるTAA量は水浸10分間でそのほとんどが溶出した.<BR>3) だいこんを切断処理後室温に放置した場合は, 水浸したときに比べて残存率が高く, 放置した場合の空気による酸化よりも水溶液中への溶出が大きいことが認められた.<BR>4) 銅製おろし金と磁製おろし器の両者を用いて調製した, だいこんおろしのTAA量はほぼ同一であり, 今回用いた銅器具によるV.Cの損失はなかった.
著者
稲葉 ナミ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.129-135, 1957

1. 平日は他律的な勤務時間が長いそのため、何れの分類によつても、大差はあらわれず、第1報に報告したような夫妻間の差しかあらわれない。<BR>2. 休日は内職時間の多少によつて、その他の生活時間が構造づけられるが、内職時間の多いものは、1.子供の数が3人の家庭、2.家族員数の多い家庭、3.夫の年齢が40歳代の家庭、4.妻の年齢が40歳代の家庭、5.夫の学歴が師範卒で職業は教員の家庭、6.妻の学歴が師範卒で職業は教員の家庭である。<BR>3. 生理的睡眠時間の場合の最下限を7時間として、それ以下のものは夫にはなく、妻は平日1.子供3人の家庭、2.家族員数4人の家庭、3.妻の学歴が専門卒の家庭にみられる。<BR>4. 勤務時間は大差はないが、夫妻共に年齢が多くなるほど多く、夫妻共に師範卒・教員が多い。<BR>5. 妻の生活は家事労働の負担のために、平日休日共に圧迫されているが、夫が特に無関心を示すものは、1.50歳代の夫、2.妻が専門卒の家庭の夫である。<BR>6. 社会的文化的生活時間は、1.子供の人数が多くなるほど、2.家族員数が多くなるほど、3.夫妻の年齢が多くなるほど、夫妻共に少なく、4.教員は平日休日共に少ない。<BR>休日の小学卒・大学専門卒の夫は特に多く妻をかえりみず、ひとりで生活を楽しんでいる姿が見られる。<BR>7. 夫妻共に師範卒・教員の30~40歳代で子供が多く、従つて家族員数も多い家庭は最も忙しいことになる。
著者
藤井 一枝 花田 嘉代子 三平 和雄
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.777-784, 1986

被服設計に役立つ資料を得ることを目的として, 熱的に重要な下半身のスカートに着目し, スカートの形態および丈を変化させた36種のスカートについて, 素材は薄布地のポリエステルデシンを用いて, 立位および椅坐位での局所別熱抵抗およびクロー値を求めた.結果は以下に示すとおりである.<BR>1) 立位では, 一般にスカートの形態に関係なく, スカート丈が長くなるにつれて大腿部の熱抵抗が増大する傾向をもつが, フレアーやギャザーをもつスカートは腹腰部にヒダを有するので, そこに下方から上昇した熱気流が停滞するため, 腹腰部と大腿部の熱抵抗の差はノーマル丈を境として大小関係が逆転する.その傾向はフレアー度やギャザー量が増すほど顕著であった.<BR>2) 椅坐位では, 腹腰部の熱抵抗は立位にくらべて大きくなり, 大腿前面で小さくなるため, 大腿前面と後面との差が立位にくらべて大きい.これは椅坐位により大腿前面の衣服間隙が小さくなるためと考えられた.<BR>3) 立位のクロー値はフレアースカートでは64°フレアーが最大となり, ギャザースカートではギャザー量1倍が最小のクロー値を示した.しかし, 椅坐位ではフレアー度, ギャザー量の増加とともにクロー値は大きくなる傾向がある.<BR>4) 立位と椅坐位のクロー値を比較すると, フレアー度およびギャザー量の小さいとき, 椅坐位のクロー値は立位にくらべて小さいが, フレアー度およびギャザー量を増すと増加する.また, 立位スカートのクロー値はフレアー度やギャザー量の相違よりもスカート丈の影響を強く受ける.しかし, この傾向は椅坐位では明らかではない.<BR>5) 同一被服材料のものでも, スカートの種類を形態別にしないと, クロー値と衣服重量との関係は直線的関係を示さないことがわかった.
著者
芥田 暁栄 伊福 靖
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.243-246, 1963

1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB<SUB>2</SUB>の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。<BR>2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB<SUB>1</SUB>およびB<SUB>2</SUB>を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。<BR>3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B<SUB>2</SUB>には特別の作用を示さなかったが、B<SUB>1</SUB>の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB<SUB>1</SUB>の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。<BR>4. B<SUB>2</SUB>に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。<BR>5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB<SUB>2</SUB>の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B<SUB>1</SUB>では2%に達せず、B<SUB>2</SUB>については前者は15%、後者は5%程度であった。<BR>6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB<SUB>1</SUB>の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。<BR>7. B<SUB>2</SUB>については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B<SUB>2</SUB>を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB<SUB>2</SUB>が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
著者
肥後 温子 野口 駿 島崎 通夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.251-257, 1983-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

種々の脂質を添加したでんぷん・水系をマイクロ波加熱し, 伝熱加熱とは異なる次のような現象を認めた.1) でんぷん粒には添加した脂質の性質が顕著に認められ, 糊化形態に差を生じた.脂質が疎水性の場合にでんぷん粒はより小さく, 親水性の場合より大きくなった.2) 被包接性脂質のうち, 短鎖成分は “結合型” 脂質量を増大させ, 長鎖成分はでんぷん成分の溶出を効果的に抑制した.以上の現象は, 次の諸要因によってほぼ説明できる.1) マイクロ波加熱ではでんぷん・脂質複合体が生成しやすい.理由としてでんぶんがゲル化し脂質と接触しやすくなること, 脂質の変質や複合体の解離が少ないこと, また分散液においても包接化合物が生成しやすい効果があることがあげられる.2) マイクロ波の選択加熱効果が脂質の昇温をおさえ脂質の性質に従った水分布をつくる.3) マイクロ波では, 水と脂質との分布によって糊化促進的な側面と糊化抑制的な側面が別々に強調される.
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。
著者
森田 すみ 弓達 崎子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.34-38, 1962

1. ナフタリン、樟脳、パラ系の昇華はこの順に多くなり、パラ系はナフタリンの約10倍、樟脳の約4倍昇華する。<BR>2. 各系列の防虫剤は商品名が違っても、昇華量には大差ない。なお各系列の防虫剤の効果には、一般にいわれるほど大きな差は認められなかった。しいて言えばパラ系防虫剤の効果が大きい。<BR>3. パラ系防虫剤を粉末にして密閉状態の木箱で使うと27mg/<I>l</I>で9月~10月(22.9℃~28.2℃)ではヒメマルカツオブシムシの食害を防ぐことができる。10月末以降は18mg/<I>l</I>でも食害を受けない。但し後者はヒメカツオブシムシの食害を防ぐことができない。<BR>4. 普通の整理タンスの抽き出し(39.2<I>l</I>)1コに、パラ系A防虫剤を錠剤で使うときは約7.42g必要で、袋入りで使うときは錠剤の10倍近く必要と考えられる。袋から出した錠剤を密閉しておくと夏季で約70日保つから、長くしまっておくものは途中で1~2回補充を要する。<BR>5. 一般の家庭では冬の衣類はタンス類、洋服箱、行李罐、茶箱にしまい、前三者に納めるものが多数である。<BR>6. タンス類には1抽き出しに防虫剤4錠前後入れるものが多数で、防虫剤の種類としてはナフタリンと樟脳の併用が多い。
著者
上島 雅子 渡辺 澄子 川本 栄子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.973-983, 1985

松阪市における高齢者の生活意識を調査した結果, 次のようなことが明らかになった.<BR>1) ほとんどの高齢者は, 生活満足度, 自由時間満足度, 経済満足度において満足しており, 家族も円満であり, 家族からも気づかってもらっている傾向にあった.また, 高齢者の側でも「ふだんの心がけ」や「日々の心縫え」にみられるように, 対人関係, とくに家族関係に気を配っていた.性別による差がみられたのは, 「ふだんの心がけ」と「大切なもの」であり, 主義主張をもつことを心がけている者は, 男性に多く, 女性は少なかった.健康が大切と意識している者は, 男性よりも女性に多くみられた.<BR>2) 高齢者個々人の生活意識を構成する要因は, (1) 満足・不満足要因, (2) 経済的不安要因, (3) 家族依存要因, (4) 自己中心的要因が主であった.<BR>3) 4生活意識要因をもとに高齢者を分類した結果, 「生活全般満足タイプ」, 「自立タイプ」, 「家族依存タイプ」が, それぞれ20%あり, これら3タイプを合わせると62%を占めている.その他「生活に不満のあるタイプ」, 「生活に不満のないタイプ」, 「仕事中心タイプ」が26%, いずれのタイプにも入らない者が12%あった.これらのタイプの違いは, 性別, 配偶者の有無職業の有無や経済状態, 地域社会生活とのかかわり方によって左右されていることが明らかになった.
著者
松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-10, 1969-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
著者
加藤 寿美子 寺田 貴子 松生 勝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.409-418, 1981-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
28

Several kinds of starch granules are heated in water at various temperatures. The process is observed mainly by the technique of small-angle light scattering, polarizing microscopy, and amylography. The Hv light scattering pattern becomes smaller with increasing the temperature and finally shows the “speckled” appearance.These results indicate that the increase of the degree of swelling of starch granules with increasing the temperature and an interspherulitic interference generated by the special configuration of starch granules due to the collapse at the higher temperature. The interspherulitic interference gives rise to predictable diffraction phenomena in the Hv scattering pattern due to the coherency of the beam at the higher temperature. Thus, the temperature dependence of the swelling and the collapse are found to be dependent upon a little the kinds of starch. These results are not contradictory of those obtained by the polarizing microscopy and the amylograph for the most part. Incidentally, the technique of light scattering has advantages for investigating the orientation disorder of scattering elements with respect to the radius within the spherulite as well as the collapse of the spherulites, which is not entirely possible by the polarizing microscopy.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 安立 清一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.666-671, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

米菓を製造するときの蒸煮条件および冷却条件と米菓の品質や生地の糊化, 老化との関係をおもにアミログラム, 焼き上げ生地容積, 硬度等で検討し, 次の結果を得た.1) 焼き上げ生地の品質を容積, 硬度から検討した結果では, 蒸煮条件においては110℃蒸煮は99℃蒸煮よりも容積が大で, 軟らかな焼き上げ生地が得られた.また110℃に蒸煮した生地を冷却した場合では凍結, 流水中冷却の品質がよく, 室温, 冷蔵庫冷却はよくなかった.そして冷却時間では15分冷却がよく, 24時間冷却すると品質が低下した.2) 蒸煮および冷却後脱水乾燥生地のアミログラムからは蒸煮条件においては110℃, 10分以上蒸煮すると初発粘度が高い値を示し, 粘度上昇はみられず, たんに温度変化とともに粘度が多少変化するのみで未糊化生地と考えられるピークはみられず糊化されていることが明らかとなった.99℃は20分蒸煮しても初発粘度が低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられ糊化は完全には行われていなかった.蒸煮後冷却条件を検討した結果, いずれの冷却方法においても110℃蒸煮にみられたような一直線の曲線はみられなかったが, 凍結, 流水中冷却は初発粘度が高い値を示し, 室温冷却は低い値を示した.冷却時間では15分に比して24時間はいずれの冷却方法とも各特性値が低い値を示す傾向がみられた.3) 以上のように米菓の品質は蒸煮条件では糊化が完全に行われた110℃蒸煮のほうが糊化が不十分な99℃蒸煮よりも品質がすぐれており, アミログラムとの関係では品質の良い生地は初発粘度が高く, 未糊化生地と考えられるピークはみられないが, 品質の良くない生地は初発粘度低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられた.一方冷却条件では凍結, 流水中冷却の品質が良く, 室温, 冷蔵庫冷却は品質がよくなかった.そして品質の良い生地は初発粘度が高く, 良くない生地は逆に低い値を示した.最高粘度, 冷却最終粘度においてもだいたい同様な傾向を示した.
著者
守 康則 三谷 璋子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.587-590, 1979

L-アス=ルビン酸による発ガン物質ニトロソアミン生成阻害の立場より, L-アスコルビン酸と亜硝酸ナトリウムとの反応をとくに褐変反応を主体に検討し, 次の結果を得た.<BR>1) レアスコルビン酸と亜硝酸ナトリウムは比較的速かに反応し, また著しい褐変化を起こす.<BR>2) 亜硝酸ナトリウムは, 反応初期にL-アメコルビン酸により還元分解をうけ速かに減少消失する.<BR>3) レアスコルビン酸と亜硝酸ナトリウム系の褐変反応物はセファデヅクスG-25カラムクPtマトグラフィーにより2つのF-I, F-IIの紫外吸収性をもつ, DPI還元性成分に分離された, F-1は285nmにわずかな吸収極大, F-IIは270nmに明瞭な吸収極大をもつ.<BR>さらに還元性褐変反応物の生成はペーパークロマトグラフィーからも確認された.
著者
木村 敬子 松野 裕子 上畑 智子 岸田 キクエ 梶田 武俊
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.55-58, 1980-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

1) 大豆もやし発芽中のVCの変化を子葉とそれ以外の生育部に分けて, DNP法とDNP反応液をTLCにより展開後比色するTLC法の両定量法により測定した.2) 原料大豆にはほとんど含まれていないVCが発芽に伴って生成され, その量は8日目にピークに達しその後減少した.とくに子葉における減少が著しかった.また生育部は子葉に比し酸化型Cの割合が高かった.3) 市販されるころの大豆もやしのVC含有量は, 多い場合で10mg%程度であり, 子葉には茎部と同量あるいはそれ以上のVCが残存していた.4) DNP法とTLC法の測定値間にはかなり開きがありいずれの部位についてもDNP法によるほうが高い値を示した.試料液のDNP反応液をTLCにかけるとAA以外に数個の褐色, 色のスポットが見られ, こらの呈色物質がDNP法による定量値を妨害したものと考えられる.TLG法は測定に時間を要する難点はあるがVCの真値を測定するには適当な方法であると思われる.
著者
上野 勝代 國嶋 道子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.270-275, 1978

以上のことより, 下宿学生の住生活 (物的・経済的側面) の実態として以下のことが明らかとなった.<BR>1) 住戸形式としては, 間借とアパート形式が各4割で, アパート形式の中でも学生アパートが昭和30年代後半より増加してきた.<BR>今後, 学生アパートは学生層の住要求に対応した住戸形式として漸次増加していくものと考えられる.<BR>2) 下宿の紹介ルートとしては〈学生部〉〈友人・先輩〉がもっとも多く各12.2%, ついで〈学生向不動産屋〉〈親・親戚〉の各25.2%である.紹介ルートによって住戸形式はかなり異なり, 〈学生部〉〈親・親戚〉は間借が, 〈学生向不動産屋〉は学生アパートが, 〈一般不動産屋〉は一般アパートの割合が高い.<BR>3) 下宿学生の半数は礼金・敷金を支払っている.部屋代は半数が月額6,000~7,000円で, 1万円未満が75%を占め, 一般的に, 〈学生部〉紹介のものは安く, 〈学生向不動産屋〉〈一般不動産屋〉紹介のものは高い.また, 部屋代は, 市場的には合理的な価格形成がなされておらず, 相対的に決められているようである.<BR>4) 居室の広さは4.5畳がもっとも多いが, 収納スペースを含めて6畳あれば満足度も高くなる.<BR>5) 自炊設備のある下宿は69.5%, 浴室のある下宿は30.3%で, 洗濯機は76.1%の人が使用している.<BR>学生の自炊設備, 洗濯機使用の要求は高い.