著者
野口 道子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.166-171, 1970-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

A mixture of egg yolks and hot water was beaten with a “Mixmaster of Sunbeam”. Other substances were added into the mixture in some experiments. Effects of the consistency of egg yolk, the temperature of water and added substances on the formation and stability of the egg yolk foam were studied. The effect of the egg yolk foam on the sponge cake was also studied. The following results were obtained.1. When much water is added to egg yolks, more foam is made, but the stability of foam decreases.2. When the temperature of water added to egg yolks is high, the formation of foam is accelerated, and its stability increases.3. One per cent of tartaric acid in the mixture of egg yolks and water retards the formation of foam, but none of oil, sugar and salt of 1% does not affect it.4. When the more sugar is added, the less foam is formed, but the stability increases.5. When whipped egg whites are mixed in batter together with beaten yolks, soft texture of sponge cake is obtained.
著者
山越 成美
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.518-527, 1985-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

The purpose of this research is to make clear the actual conditions of houseworking of non-employed wives during their pregnancy.The results of this investigation were obtained by the answers from 70 non-employed wives who are pregnant. The data were collected from questionnaires and interviews that were made in Ichihara from July to November in 1983.The results are as follows : 1) During pregnant term, especially at early and advanced stages of pregnancy, both hours and quantity of houseworking of non-employed wives show reduction.2) Houseworking that is reduced during pregnant term is often complemented by family members or left undone.3) Many of non-employed wives who are pregnant feel the difficulties at managing houseworking which requires their bending posture or long-time standing such as cooking, bath-clean.ing, wiping floor, and folding up and spreading beddings.
著者
栗原 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.304-309, 1966-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
著者
比留間 トシ 広島 秀子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.159-163, 1971-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1. 衣に使用する水の温度が30℃では、たん白の水和力が強く、衣が油に投入される前に粘度が高くなり種に多く付着し、水分と油の交代が悪くなるため、からりと揚がらない。逆に水温が低すぎても交代は悪く成績がよくない。それは衣の浮き上がりがおそいことから察せられるように、衣が油に投入されてから脱水し始める前に小麦粉との水和が進むためであろうと考えられる。2. 衣に使用する小麦粉はたん白含量が少ない方が揚げ衣の成績がよい.特に低たん白粉の場合は衣の水分と油の交代に水温の影響が少ない。3. 卵は衣の膨脹を助け軽い口ざわりの衣とする。卵水を用いた生衣の粘度が他に比べて高いのは、卵水自体の粘度が水に比べて高いためで、それにもかかわらず加熱中の水と油の交代が水だけの場合と各温度ごとに比べると、概ねよいのは、衣の膨脹によるためと考えられる。4. 各種衣の粉材料の離水量から、揚げ操作中の水分脂質の交代の程度を推察することができる。5.天ぷらの生衣の実用時間内の粘度を測定することは、ほとんど不可能に思われる.それはこの短時間内に天ぷら業者の特技ともいうべきわざをも含むからである。衣は少量ずつ作るという理由もここにある。
著者
稲葉 ナミ 大村 彰子 佐藤 緋佐子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.112-116, 1966

東京都立の高校生について、平常時・後期試験日程発表後の試験前・試験実施の中間日の3回、授業終了後、自覚的疲労調査を行なった結果、次のような結論を得た。<BR>1.高校生の疲労感は産業労働者より全般的に多く、そのうちでも精神的症状が最も多く、各症状間に相関関係が認められた。<BR>2. 全日制と定時制とには本調査に関する限り、予想したような差はあらわれなかったが、定時制の環境が特に恵まれているためであろう。<BR>3. 全日制・定時制ともに男女共学であるが、男女の疲労感には有意差が認められなかった。<BR>4. 睡眠時間が短いと疲労感が多い傾向がみられる。<BR>5. 試験の影響をみると、調査時が放課後であったためか、試験中間期より試験直前のほうが疲労感が多い。<BR>6. 通学所要時間の影響は全般的に近距離のためか、殆んど差が認められなかった。
著者
松本 企世子 松浦 宏之
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.452-454, 1960-12-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

i 市販の炊飯酵素剤は、陶洗後の白米に加え30分間の放置及び炊飯完了時までに、澱粉の一部をデキストリンに分解するが、麦芽糖までの分解は非常に少い。ii デキストリン量は白米のみの炊飯で510mg%であったが、これに酵素剤を用いた場合は3.4~3.7倍量を示した。ジアスターゼの場合は6.8倍で、酵素剤はその50~56%分解力に相当する。iii デキストリンの増加は、飯の味と触覚に影響を与えるものと思われる。この食味の変化は人によって好まれもし、嫌われもする。iv 蛋白質分解力はペプシン・塩酸法によって測定したが、使用したペプシン溶液の45~49%に相当する消化率を示した。
著者
橋本 貴美子 石川 諄子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.451-457, 1962

1. 調査に対する反省<BR>今回の調査は始めに述べたように生活改良普及員の方を通して行った調査であるので、調査対象となった家庭は目頃普及員の方々にかなり協力的な家庭が選ばれた。そのため平均より経済的にも知識的にもやや上位の農家が対象となった様である。このことは耕地面積、農機具や家庭器具の持ち方からも察せられる。農業経営の方法も家畜の飼育状態等から分かるように、多角的経営はあまり行われて居らず、従って余暇には相当恵まれた家庭であろうと考えられる。それ故この調査の結果が全部の農家にあてはまるとは考えられない。<BR>次に調査内容として今回は余暇の量よりも質ということで、余暇時間がどれだけあるかは調査しなかったのであるが、やはり余暇の内容が時間的にどれ位の割合で利用されているかを調査すべきであったと思っている。<BR>2. 調査結果のまとめ<BR>余暇の内容は多種・多様であるが、やはり何れの統計にも見られる結果と同様、新聞を読む、ラジオをきく、テレビをみる、休息、雑談等が高率を占めて居り、一般的には農家としての特徴は見られない。しかし農家の中でも農業従事者と農業外の仕事の従事者とでは年齢との関係もあるが、相当余暇利用の仕方に相違が見受けられ、農業従事者は家庭内での余暇利用が多く、農業外の仕事に従事する者は家庭外での余暇利用が多くなっている。<BR>全般的に余暇の内容は健康で、パチンコ、マージャン、競輪、競馬等は極く少数者に楽しまれているのみで、特に余暇のために弊害を起こしているとは考えられない。<BR>これら余暇の中でも社会事業、婦人会活動、P.T.A活動、各種の講習会に参加すること等は或る程度強制的に参加させられる向きもあり、本当に余暇の利用といい得るか否かは疑問である。しかしこのような会合に参加することによって各種の知識を得、生活を改善して余暇を作り出そうとする意欲も生れて来るようになるかもしれない。強制的な面から出発して、自主的な方向へ向けられれば幸であると思う。<BR>余暇の種類は農業外の、しかも若い世代の人に多く、之等の人達が誤った方向へ余暇利用をしないように指導されなければならない。<BR>30代、40代、50代の中年層は家庭生活と直接つながりのある家族の団らんや子供の勉強をみる事、家庭内で新聞を読んだり、ラジオをきいたり、テレビを見たりということが多く、本当に自分の趣味を生かした余暇利用は少ない。<BR>老年者は農家に限らず、一般的にもそのような傾向であろうが、余暇の種類は少ない。何か自分の特技、趣味といったようなものを身につけて、本当に意義ある余暇の過し方ができるように心掛けることが必要であると思う。
著者
村田 安代 斉田 由美子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.412-417, 1976-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

卵液の熱凝固温度に対する食塩・砂糖等の影響を検討した. また90℃30分湯せん加熱法および急速蒸し加熱法により基準配合ゲルを調製し, 加熱法の相違がゲルの性状に及ぼす影響を比較した. 急速蒸し加熱法により, 卵液予備加熱や希釈剤として用いられる牛乳濃度の相違が及ぼす影響について実験した.1) 食塩入り30%卵液を5種の加熱速度でゲル化させたところ, 加熱速度が小さいほどゲル化の進行が遅く, それに至る時間が長い傾向がみられた.2) 食塩・砂糖濃度が増すほど, この観察条件下での凝固温度は高くなる傾向がみられた.また, 卵濃度が増すほど逆に低くなる傾向がみられた.3) 90℃30分湯せん加熱法と急速蒸し加熱法を比較すると, 急速蒸し加熱法の方がゲルがやわらかく, 弱るい黄色で, すだちは少なく, 外観のよいゲルが得られる傾向がみられ, 離漿も少ない.4) 急速蒸し加熱法においては, 卵液の予備加熱の方が, 加熱時間の延長より, 外観のよいゲルが得られる.5) 牛乳入りゲルは食塩入りゲルに比べ, 離漿が少なく安定性が高いが, すだちは多い傾向がみられた.
著者
杉原 黎子 安藤 久子 藤谷 健
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.521-526, 1982-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
21

An experiment was performed on the model system to investigate the process of oxidation of sebum adhered to clothes. Lard, which consists of similar fatty acid composition to sebum and does not contain antioxidant, was used as a model substance. Test-fabrics which were soiled with lard were hung in an incubator controlled at 50°C, 40°C and 30°C for 1-60 days. The degree of oxidation of the lard extracted from the fabrics was followed through the peroxide value, carbonyl value, concentration of conjugated diene hydroperoxide, and fatty acid composition.The results were summarized as follows;1) No appreciable difference among the degrees of oxidation of lard adhered to cotton, wool, acrylic, and polyester fabrics was observed. From this fact, it could be considered that there was little effect in each fiber to the oxidation of lard.2) It was recognized that the rate of autoxidation of lard on fabrics was very rapid.3) Linolic and linolenic acids were more rapidly decomposed than oleic acid.4) The autoxidation rate of lard on fabrics increased by twice, when aging temperature rose by 10°C
著者
近 雅代 伊藤 寛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.21-26, 1974-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

種麹を用いる “ヤマヤ” “法林寺” の製造方法と, 天然のムロで製麹する “大福寺” の方法の違いによる微生物の分布を比較し, 分離した糸状菌の酵素活性をしらべた.1. ヤマヤの糸状菌, 法林寺の乳酸菌が少ないこと, 大福寺に接合菌が多かったこと以外は, 製造方法のちがいによる分布のちがいは, ほとんど認められなかった.また, 浜納豆の表面と内部におけるちがいも認められなかった.2. 量的に多く, 製造に主な役割を果たしていると考えられる微生物は, 糸状菌のA. oryzae型と乳酸菌のストレプトコッカス型, ペディオコッカス型であった.3. 分離糸状菌のうち, A. oryzae型は, プロテアーゼおよびアミラーゼ活性ともに, 他の接合菌型およびA. niger型に比べて強力であった.4. A. oryzae型のうちから, 胞子の着生が早く, 菌そうの緑色が濃く, プロテアーゼ活性は強いが, アミラーゼ活性の弱い菌株が得られた.
著者
平岡 和香子 山口 正隆
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.353-356, 1979-05-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

The authers tried to show the top line of sleeve by an improved formula, y =β3/αxw+β2-h, of Witch's curvature, one of algebraical one, y =a3/x2+a2, which was a part of circlein the top of curvature; consequently, it was very convenient for top line of sleeve.We were confirmed that the curvature of our formula was fully fitted to actual top line of sleeve in clothing construction.
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度をy (2~12%) とすると, 上限濃度y=-0.23x+17.6, 下限濃度y=-0.13x+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
中山 葉子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.92-94, 1970-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

Changes of pectic substances in polished rice from insoluble into soluble by soaking, heating and cooling the rice were investigated. Carbazol method was applied to the study. The following results were obtained.(1) The total pectic substances in rice was 0.44% and the insoluble pectic substances was 0.22%.(2) Dissolution of the insoluble pectin by soaking rice required two hours which agreed with the time necessary for rice to reach the saturation with water. When the rice is drained on a basket after being washed with water, the dissolution of pectic substances was greater than that in the rice which had been soaked in water for the same time as draining.(3) Dissolution of the pectic substances in rice continues during the course of cooking, and stops when the rice is removed from heat. No further change in pectic substances is observed with cooled rice.
著者
金 基淑 藤木 澄子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.172-177, 1984-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

1) 梨果汁はこれに肉を浸漬することにより肉の軟化効果をあらわすことが認められた.2) 肉軟化の要因はプロテアーゼの存在のためと推測し, その抽出を試み, 抽出した粗酵素について若干の性質を調べた。i) 粗酵素活性の至適pHは5.5で, 梨汁のpHとほぼ一致している.ii) 粗酵素の至適温度は50~55℃で55℃を越すと活性が急速に低下するから, 加熱調理の初期の段階で強く働くものと思われる.iii) 本酵素はHg2+, Ag+, Cu2+等の重金属イオンによって活性が強く阻害された.また, 活性の発現にはD.T.T.システイン, あるいはメルカプトエタノール等のSH基保護試薬を必要とすることから, パパイン, ファイシン, プロメリソ等の植物起源プロテアーゼと同様にSH酵素であろうと思われる.3) 肉軟化効果は梨汁の場合よりも梨抽出粗酵素溶液を用いた場合のほうがよりいっそう顕著であった.4) 粗酵素の筋原繊維タンパク質への影響を調べたところ, ミオシンが反応時間の経過とともに分解されていくことが認められた.これは肉軟化の大きな要因であると考えられる.5) 肉組織の観察の結果から, 粗酵素溶液の肉基質タンパク質への影響もみられた.6) 筋漿タンパク質についても粗酵素によるプロテオリシスがみられた.
著者
正井 博之 菅野 幸一 円谷 悦造 柴田 邦彦 蓑田 泰治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.167-172, 1982-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

酢洗いによる魚の鮮度保持効果を科学的に立証することを目的とし, 魚体を酢洗いした場合のVBN, TMA-N, ヒスタミン, pH, 一般生菌数, 官能検査評点の変化を対照区のそれと比較した.その結果以下の知見が得られた.1) アジを用いた実験より, VBN, TMA-N, 一般生菌数, 官能検査評点の変化からみて, 酢洗いは, 魚の鮮度保持方法としてきわめて有効であることがわかった.2) アジを用いたすべての試験区のうちで, ドレスの酢洗い, 0℃保存区が最も鮮度保持効果が大きかった.3) pHの測定は, アジの腐敗の判定方法として適当ではなかった.4) サバを用いた実験より, 酢洗いはアレルギー様食中毒の原因物質であるヒスタミンの蓄積を著しく抑制することがわかった.これは醸造酢が魚体に付着したヒスタミン生成細菌類の増殖を抑制したためと推定された.
著者
鈴木 綾子 堀越 フサエ 檜作 進
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.169-173, 1971-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

ゴリイモが出来る原因の一つとして、デンプンの老化、糊化が関係していると考えられることから、調理に関連して種々の条件下におけるジャガイモ中のデンプンの糊化度の変化を検討した結果、次のようなことが観察された。1) イモの調理の際、加熱温度が60℃以下では、加熱時間を長くしても十分糊化されない。2) 加熱温度のちがいによって、加熱を中断した時の老化の速度がことなり、加熱温度が60℃付近のイモのデンプンの糊化度の減少がもっとも大きく、老化がすすみやすい。十分糊化したイモほど老化がおそい。3) 試料を60℃~70℃に加熱して糊化が不完全な状態で加熱を中断し、40℃以下に冷却すると、更に100℃に再加熱しても完全には糊化され難く、外観上もかたい。加熱を中断して室温で24時間おいたイモは、この間冷蔵庫に保存したものよりも、再加熱によって糊化し難い傾向がある。本報の要旨は昭和44年10月、日本女子大学における日本家政学会総会において発表した。
著者
関口 富左
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.385-389, 1981-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

On August 3, 1872 (Meiji 5), the new government announced an educational system establishing the foundation of modern institutional education. Elementary schools were founded throughout the nation by order of the new educational regulations, as appointed by way of the elementary school teaching regulations (Shogaku Kyosoku). The tenets of this regulation were undertaken by each prefectural education committee, and incorporated with consideration of the different prefectural situations. This paper is centered on nation-wide facts of how handiwork (Shugei) (Saiho) was acquired, and its trends or differentiations developed from each prefectural teaching regulation.At the time the new regulations went into effect, the percentage of school attendance for females was very low and, moreover, Japanese dressmaking education for females was not under serious consideration. Only a part of female elemetary schools (Joji Shogaku), or a portion of prefectures that intended to spread education assigned the study of Japanese dressmaking. Gradually, however, the study of Japanese dressmaking became a required subject. Japanese dressmaking education under the prefectural teaching regulation of 1875 and 1876 (Meiji 8-9) was one of the primary forces in extending female education in Japan.
著者
橋谷 義人 大東 秀子 鹿内 健彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.131-135, 1967-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

食品の加熱手段として電子レンジ (900W) とブンゼンバーナーを用い、B1の分解から両者を比較検討した。すなわち被加熱試料として3%煎茶抽出液、2.5%肉汁、蒸ダイズ磨砕物およびブタ肉ミンチを選び、加熱によるB1の分解率を測定したが、両加熱方法の間に大差を生じなかった。しかし同一調理温度を得るためには高周波処理による方が時間的にはるかに優れていることを明らかにした。また生シイタケは高周波処理によって短時間で栄養学的にも合理的に加熱調理されることを知った。他方、B1塩酸塩の結晶およびその溶液につき高周波 (2450Mc/sec) 誘電加熱による分解を実験検討したが、結晶状では安定で分解を起こさず、pH値の高い緩衝液に溶解する程著しく分解した。しかしB1の分解時の挙動は、従来報告されている普通の加熱法による場合と同一経路を経るものと考えられ、溶液が沸点に達する迄に起こるB1の分解は電子レンジを用いた方が軽減されることを知った。
著者
中野 和子 光武 元子 二木 栄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-34, 1977-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

一般に, 炊飯の際には炊飯器容量の8割炊きがおいしいといわれているが, 真実そのように言えるものか否かを検討するため, 炊き上がり容量を釜の1/5, 2/5, 3/5, 4/5, 5/5の5段階にわけ, 容量別米飯の食味について官能検査および客観的測定を行った.[官能検査] 1) 炊飯器容量からみた食味では, 5%の危険率で容量間に有意差が認められ, 4/5容量 (8割) 炊きが最もおいしく, 5/5容量 (10割) 炊きが最もまずく, 1/5, 2/5, 3/5容量炊きは両者の間に位した.2) 1釜内の部位別食味では, 4/5, 5/5容量炊きのいずれにも1%の危険率で有意差がみられ, 釜肌上部が最もおいしく, 中心底部が最もまずいと認められた.[客観的測定]1.4/5容量炊きと5/5容量炊き米飯についてa) 仮の面積比では, 前者が1.9, 後者が2.0でほとんど差がみられなかった.b) 水分含量では, 前者が64.4%, 後者が63.6%でいずれも64%前後の値を示した.c) 脱水率の経時的変化では, 常に後者が高い値を示した.2. 4/5容量炊き, 5/5容量炊き米飯の釜肌上部と中心底部については, 両者共通してa) 組織の形態的比較では, 釜肌上部が中心底部に比べて細胞膜がやや明瞭にみられた.b) 炊飯中の温度上昇曲線では, 沸騰まで釜肌上部が直線的に上昇し, 中心底部は不安定な上昇曲線を描いた.