著者
池田 涼音 関根 詩乃 別所 朋香 大月 陽香 柴田 紗希 中野 実紅 佐藤 香枝
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4.5, pp.289-296, 2022-04-05 (Released:2022-06-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

In this study, we developed a cell culture device using gelatin. An appropriate material was sought to be used as a mold for the gelatin gel, and the bonding method between the gelatin gel and the coverslip, which was the cell culture surface, was investigated. The developed device can be used with a high-magnification objective lens. Furthermore, we report that human vascular endothelial cells and fibroblasts were co-cultured in the gelatin device, and a capillary network was successfully constructed.
著者
山本 勇麓
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.239-248, 1956-04-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
18

錯滴定法とは錯化合物生成反応に基く滴定分析法のことであって,古くからLiebigによって創案され,後にDénegésにより改良されたCN-に対する銀滴定法がある.すなわち,シアンアルカリの中性溶液に硝酸銀を滴下すればシアン化銀の白色沈澱を生ずるが,しんとうすることによってこの沈澱は消失する.これは次式の様に可溶性のシアノ銀錯イオンを生ずるからである.Ag++2CN-→[Ag(CN)2]-更に過剰の硝酸銀を続いて滴下すれば上記反応が終了した後には次式の様にシアン化銀が沈澱し,しんとうすることによっても消失しない白濁を生ずる。この白濁の確認によって終点が指示される.[Ag(CN)2]-+Ag+〓Ag[Ag(CN)2]Dénigésはこれを改良して沃度カリウムを指示薬として用いアンモニア性溶液での滴定を可能にした.該法は簡便的権であり,Cl-,Br-,I-およびCNS-等の共存下においてもCN-のみを定量することが出来る.このように錯化合物の生成を利用する滴定法はLiebig法を以って始めとするが,これから述べようとする“錯滴定法”はG.Schwarzenbachによって創設され且定義された“Die Komplexometrische Titration”のことであって,その特長とするところはいわゆるキレート試薬(Chelating Agent)を用いて滴定することである.すなわちG.Schwarzenbachは1945年以来エチレンジアミン四酢酸を始めとする一群のポリアミノカルボン酸およびポリアミン類について,金属錯塩の生成定数(formation constant)の測定を始めとし金属の滴定法への応用に至るまでの広汎な研究を遂行しているが,これらのキレート試薬に“Komplexon”なる名称を与えているところより,該法を“Komplexometrie”と称するのである.特に,エチレンジアミン四酢酸を滴定剤としエリオクロドムブラックTを指示薬とする水の硬度測定法はSchwarzenbach法として著名であり,その他これらのKomplexonを用いる分析化学的応用の文献は枚挙に邊がないほどである.エチレンジアミン四酢酸(ethylendiamine tetraace-tic acid)(EDTAと略称する)の分析化学への応用については,本邦では早川,上野,山口,水町,本田,坂口等の諸氏により,またその基礎的な部分については音在により,また配位化学については新村,文献については武藤,和田によりすでに詳細且こんせつに紹介されている。また該法の基礎についてはG.Schwarze-nbach自身による総説および箸書もあり,またE.MartellによるReviewがあるので,これらのRe-viewを適当に訳して紹介するのが本講の目的に最も適していると考える.従って,基礎的な面についてのみ記述し,応用的面については省略する.
著者
本島 健次
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.66-73, 1959-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2
著者
大橋 弘三郎 崔 聖鎔 扇柳 仁
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.807-833, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
228
被引用文献数
13 12

微量金属イオンなどの分析対象物をいかにマトリックスから選択的に分離·濃縮し,定量するかは分析化学的に重要な課題の一つである。本総説では,8-キノリノール及びその誘導体をキレート配位子として用いる金属イオンなどの様々な機器分析法による定量,及び定量に先立っての前濃縮·分離について解説した。選択的定量及び前濃縮·分離系の構築において,8-キノリノール誘導体の分子デザインは重要であり,8-キノリノール誘導体の酸解離定数と液液分配定数などの配位子としての特性,8-キノリノール誘導体と金属イオンとの錯生成平衡,及び液液抽出平衡と速度,超臨界二酸化炭素を抽出媒体とする金属イオンの8-キノリノール誘導体による抽出について言及した。
著者
武内 次夫 鈴木 正巳
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.14, no.13, pp.100R-106R, 1965-12-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
131

1963年および1964年に発表された文献のうち,そのおもなものを取り上げ,この分野の進歩国概要を説明する.
著者
遠矢 将太郎 園田 達彦 前田 憲成
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.201-206, 2022-03-05 (Released:2022-05-11)
参考文献数
10

Nucleic acid extracted from environmental samples is an important analyte in instrumental analysis. With respect to the phenomenon in which sodium tungstate promotes the methane production in anaerobic digestion, the analyses of microbial community using RNA were conducted; however, we noticed that only RNA concentration measured by absorbance measurement (NanoDrop) was remarkably high. Therefore, in this study, DNA and RNA were extracted from the anaerobic digestion sludge samples with sodium tungstate, sodium selenite, or sodium molybdate, and these nucleic acids were quantified and compared by absorbance measurement, fluorescence measurement (Qubit), and gel electrophoresis. Interestingly, it was found that only the RNA concentration of the sample containing sodium tungstate measured by NanoDrop was 3 times higher than that by Qubit analysis. In addition, there was no difference between the RNA concentration measured by Qubit and gel electrophoresis. Regarding DNA concentration and the other compounds, there were no differences. Hence, these results indicate that the Qubit system is useful for the quantification of the RNA concentration in the environmental samples.
著者
菅谷 和寿
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.405-409, 2010 (Released:2010-06-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

硫酸ピッチ等廃棄物中のクマリンの分析方法について検討した.その結果,クマリンは,遮光下においてアルカリ性水に抽出し,そのアルカリ性水を酸性化後,再合成したクマリンをジクロロメタンで溶媒抽出することで,ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により定量性良く分析できた.クマリンはアルカリ性水溶液中でcis-o-ヒドロキシケイ皮酸陰イオンに加水分解し,紫外線によりtrans-o-ヒドロキシケイ皮酸陰イオンに異性化する.異性化したtrans体からはクマリンは生成しないため,異性化を防ぐ遮光が必要であった.この方法で硫酸ピッチ等廃棄物を分析したところ,硫酸ピッチから51~72 mg/kg,アルカリスラッジから0.16~0.43 mg/kgのクマリンが検出され,不正軽油製造に関与したものであることが推定された.
著者
佐藤 香枝
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1.2, pp.53-58, 2022-01-05 (Released:2022-04-30)
参考文献数
15

近年,Organ-on-a-chipと呼ばれるmicroTASを利用したヒトの細胞微小環境を反映する三次元の組織モデルの開発が進められている.特に血管は血流にさらされており血管内皮細胞のみの静置培養では,生体内と同等の機能を評価できず,マイクロ血管モデルの開発は重要である.マイクロ血管デバイスは,静置で平面培養した単一種の細胞では実現できない複数種の細胞による組織を模倣した構造を持ち,機械的刺激を与えたアッセイもできることから,動物実験なしに血管の生理を評価できる新しいプラットフォームになることが期待できる.ここでは,著者らのこれまでの取組みとして,血管・リンパ管透過吸収試験デバイス,肺高血圧症マイクロデバイス,血液細胞分化マイクロデバイスの開発とバイオ分析化学への応用を紹介する.
著者
小穴 進也
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.522-528, 1954-12-15 (Released:2010-01-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
松下 秀鶴 江角 凱夫 鈴木 彰 半田 隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.1471-1478, 1972-11-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
10 10

コールタール中の多環芳香族炭化水素に対する分析法について研究した.その結果,コールタール中の多環芳香族炭化水素の液相分配法による抽出→抽出物の二層二次元薄層クロマトグラフィーによる分離→各分離スポット抽出物の分光けい光分析の手続きからなる分析法を見いだした.本分析法をコールタールに適用した結果,93種の多環芳香族炭化水素類の存在を薄層クロマトグラフィーにより認め,そのうち,24種を分光けい光分析法により同定した.また,同定物質の中に,発がん性物質が10種含まれていることがわかった.このほか,コールタール中に含まれる13種の多環芳香族炭化水素の定量を行なった.その結果,たとえば発がん性を有するベンゾ(a)ピレンは7400ppm,ジベンゾ(a, h)ピレンは120ppm,ジベンゾ(a, i)ピレンは270ppmときわめて多量存在することがわかった.
著者
武田 立守 吉田 滋 織田 佳代子 広瀬 信吾
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.643-648, 1983
被引用文献数
2

窒素レーザーを励起光源とする高感度な蛍光検出器を作製し,フローインジェクション分析法に応用した.このレーザーの光のエネルギーはピーク出力10kWの大きさを持っているため,盲蛍光も大きくなると考えられ,その影響を少なくする手段を考察した.盲蛍光の大きな試料として無処理の血清を,目的とする発蛍光物質としてジヒドロニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド(NADH)を選んだ.盲蛍光は主としてたん白質に起因すると考えられるため,O-(ジエチルアミノエチル)-[セルロース](DEAE)-セファロースを充てんしたカラムをフロー系に組み込み,たん白質は保持するがNADHは溶出してくる条件として30mM塩化ナトリウムを含有するグリシン緩衝液をキャリヤー液とした.その結果,血清の約5μを直接注入したとき盲蛍光の80%を除くことができ,残りの20%は反応試薬などで血清を17倍に希釈した液の約5μをフロー系に注入するとこで無視しうる程度の大きさとした.分析対象の一例として血清中の乳酸や乳酸脱水素酵素の測定などに応用した.
著者
坂井 隆敏 北原 大吉 鳥丸 亮 松本 清
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1449-1454, 2004-12-05
参考文献数
13
被引用文献数
2

近年,地雷埋設地帯や爆薬製造工場近辺において,爆薬関連化合物による環境汚染が問題となっている.爆薬2,4,6-トリニトロトルエンは,環境中に放出されると2,4-ジニトロトルエン(2,4-DNT)や2-アミノ-4,6-ジニトロトルエン(2-ADNT)などに変換される.これらは,人体に対する毒性や変異原性,発がん性等が危惧され,環境中における濃度や分布状況の把握が急務である.これら化合物の迅速かつ高感度な測定法の確立を目的として,化学発光酵素免疫センサーを構築した.目的物質に対する抗体を作製し,免疫センサーを構築することで,わずか15分の測定時間でおよそ10~1000 ng/mlの2,4-DNT及び2-ADNTの測定が可能であった.相対標準偏差は0.8~7.1%(<i>n</i>=3)と比較的良好なものであった.また,抗原・抗体反応を行う際の流量を低下させることにより,更に高感度な測定が可能であった. <br>
著者
沼子 千弥 中井 泉 石井 紀明 高野 穆一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.821-827, 1995-10-05
参考文献数
7
被引用文献数
3 2

ピザラガイは,鉄を高濃度に濃集した歯を形成し,この歯が磁性を持つことからユニークな存在として注目されている.鉄を濃集した歯は基底膜の上に約70対存在し,その成熟過程で形状が変化するが,本研究ではそれに伴う鉄の化学形の変化を調べるためにシンクロトロン放射光を利用するX線吸収微細構造(XAFS)法を適用した.X線回折の測定からは結晶成分としては磁鉄鉱のみが検出され,更にX線プローブマイクロアナリシス(EPMA)により鉄は歯の先端部から腹側にかけての摂餌面に局在していることが確認された.蛍光XAFS測定の結果,歯の形成初期の段階では鉄は三価の非晶質酸化水酸化物(FeOOH)として沈着され,その後部分的に還元を受け二価と三価の混合した磁鉄鉱(Fe<SUB>3</SUB>O<SUB>4</SUB>)を形成してゆくことが明らかとなった.又,ピザラガイの歯は成熟過程において,褐色,灰色,赤色,黒色と4段階の変色を示すが,歯に含まれる鉄の状態もこれに伴い変化しており,歯の外観と鉄の化学形に相関があることが分かった.
著者
味戸 聡志 平井 光博
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.43-49, 2019-01-05 (Released:2019-02-05)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

糖やポリオールをはじめとするオスモライト(浸透圧調節物質)により,タンパク質の変性や凝集が抑制され,酵素の失活が防がれることが古くから知られている.中でも非還元性二糖のトレハロースは,極限環境への耐性をもつ生物が生産することから優れた安定化作用をもつと考えられ,いまなお盛んに研究が行われている.今回著者らは放射光広角X線散乱(SR-WAXS)を用い,pH 3.5の酸性溶媒中で凝集した牛ミオグロビンをトレハロースが解離させ, 天然構造に近い構造にフォールドさせることを見いだした.凝集阻害剤として種々のオスモライトが有効であることは既知であるが,凝集体を解離させる添加剤としてよく知られるものは,変性剤や界面活性剤といった細胞毒性を示すものがほとんどである.したがって本報告は,トレハロースが人体に無害なタンパク質凝集解離剤として有望であることを示唆すると同時に,共存分子存在下のタンパク質構造解析における,広角散乱法の有用性を示すものである.
著者
荒木 峻 岸本 賢一 安盛 善一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.699-703, 1959
被引用文献数
1

ガスクロマトグラフのカラムの温度をあらかじめ設定された温度上昇曲線にしたがって上昇させると,広範囲の保持時間を持つ混合試料のクロマトグラムを迅速に1回の操作で分離記録することができる.カラムは熱容量が小さく槽内温度が迅速に均一になる熱板型昇温槽に取りつけ,サーミスターを温度検出器として電子管回路でコントロールヒーターの電力を制御する.温度設定用可変抵抗をモーターで変化させ希望の直線状の温度上昇を得た.カラムの温度上昇にともなうクロマトグラムの基線の移動は,熱伝導セルをほかの恒温槽に収めて一定温度に保ち,またキャリヤーガス流路に並列流を採用して対照側流路にもカラムを挿入することによって50μV/40min程度におさえることができた.都市ガスおよび石油ペンジンの活性炭および流動パラフィンカラムによる分離は従来の一定温度の分離に比して,優れた結果が得られた.
著者
楢崎 丁市 川村 信一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.9, no.10, pp.889-891, 1960

著者らはソラマメのヘミセルロースB<SUB>1</SUB>構成糖として一種のメチルペントースの存在を発見し,この糖をペーパークロマトグラフィーおよび粉末ロ紙カラムクロマトグラフィーにより分離し,各種呈色反応の分光光度計による検討,ペーパークロマトグラフィーによる<I>R<SUB>f</SUB></I>の測定,溶媒拡散法による2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの合成などの実験結果からこの糖をフコースと推定した.<BR>ペーパークロマトグラフィーなどで比較的容易に,かなり純粋に分離できる微量の糖の確認のためには,呈色反応の特異性を利用するのが有用であると考え,さらに,自然界に分布の広いメチルペントースであるフコースとラムノースの呈色反応を比較し,フェノールー硫酸反応によりフコースの確認ができることを知ったので報告する.
著者
矢島 敏司 庄子 卓 巽 広輔
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.529-533, 2021-09-05 (Released:2021-11-15)
参考文献数
13

異なる置換基をもつ8種類の水溶性アズレンについて,ニトロベンゼン|水界面におけるイオン移動ボルタンメトリーを行った.その結果,すべての水溶性アズレンにおいて1価アニオンの可逆な移動波が観測され,それぞれの標準移動電位が決定できた.得られた標準移動電位から溶媒間移行標準ギブズエネルギーを算出し,水溶性アズレンの疎水性の評価を行った.また溶媒間移行標準ギブズエネルギーと薬理活性パラメータ(抗潰瘍係数)との相関について検討したところ,おおむね疎水性の高いものが高い活性を示す一方,最も疎水性の高いものが最も低い活性を示す,という逆の関係も見いだされた.これは,疎水性が高いほど生体膜を通過しやすくなるので活性が上がるが,ある程度以上疎水性が高くなると水への溶解度が落ちる,もしくは生体膜へ蓄積されることにより患部へ運ばれにくくなるためと考えられる.
著者
岡島 義昭 福井 寛 戸所 秀男 鉾谷 義雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.351-356, 1980
被引用文献数
1

チタン0.4%及びニオブ0.3%を添加した25%クロム-20%ニッケル鋳鋼中の微小炭化物をマイクロプローブオージェ電子分光分析装置を用いて定量的に分析した.装置は最近試作したもので,電界放射型電子銃を用いて最高分解能20nmを得ている.米国標準局(NBS)のステンレス鋼標準試料を用いて定量性を検討し,クロム,鉄及びニッケルのピーク強度の和とそれぞれのピーク強度との比を用いて,濃度との間によい直線関係を得た.これらの結果を鋳鋼中の炭化物の分析に適用し,炭化物はチタンとニオブを含むMC型及びクロムと鉄を含むM<SUB>23</SUB>C<SUB>6</SUB>型の2種で,その組成はそれぞれ(Nb<SUB>0.2</SUB>Ti<SUB>0.8</SUB>)C及び(Fe<SUB>0.27</SUB>Cr<SUB>0.73</SUB>)<SUB>23</SUB>C<SUB>6</SUB>であると推定した.
著者
鳥羽 陽 本間 千春 宇於崎 和香 Thanyarat CHUESAARD 唐 寧 早川 和一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.23-29, 2014-01-05 (Released:2014-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
2

A high-performance liquid chromatographic (HPLC) method with fluorescence detection was developed for the quantification of polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) in cigarette mainstream and sidestream smoke particulates. Fifteen kinds of PAHs classified as priority pollutants by the US EPA were quantified with six perdeuterated PAHs as internal standards. The smoke filter samples obtained from 3 brands of cigarettes using standardized smoking conditions were extracted with dichloromethane, and then treated with tandem solid phase extraction cartridges (Silica and Neutral Alumina). The limits of detection ranged from 0.24 to 2.2 pg, and were more sensitive than those by GC-MS. The analytes were quantified by using the internal standards, and the developed method achieved sufficient reproducibility and accuracy. The PAH levels in mainstream and sidestream smoke from 3 cigarette brands were in the range of 0.2 – 305 ng cigarette−1 and 26.4 – 6160 ng cigarette−1, respectively. The total PAH content in sidestream smoke was more than 10 times higher compared with that of mainstream smoke. This method should be useful as an optional analytical method to quantify PAHs in cigarette smoke particulates.