著者
平石 和昭 蓼沼 慶正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.663-670, 1998-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

海外、特に欧州の諸都市圏に比較して、日本の地方都市圏の都市鉄道整備水準は低い。地方都市圏において都市鉄道サービスを改善するための問題点の一つとして、投資の目安となる適切な整備水準指標がないことが指摘できる。そこで、地方都市圏における交通政策上の重要な課題であるCBDへのアクセスに着目し、一般化費用概念に用いて、都市鉄道整備水準を表す新たな指標の提案を行い、50万人以上の29地方都市圏を対象としてその有効性の検討を行った。さらに、この指標を用いて、札幌、仙台、広島、福岡とドイツのフランクフルトとの間で都市鉄道整備水準の試算・比較を行い、目標水準設定に関する検討を行った。
著者
藤井 聡 高須 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.473-478, 2006
被引用文献数
1

現代日本社会においては、人々が自動車の否定的側面を考慮することなく、自動車免許取得の意思決定をしていると考えられる。こうした認識のもとに実施された自動車利用に関する客観的情報を自動車免許非保有者に対して提供するコミュニケーション実験より、客観的情報提供には長期的な効果が存在することが実証的に確認されている。本研究では、東京、京都に住む自動車免許を保有していない大学1年生を対象として、自動車利用のコストやリスクなどについての情報提供を行う同様のコミュニケーション実験を実施することにより、前述の情報提供の効果を追試し、その普遍性を検討した。また、人々が入手する情報の非対称性について検討した。
著者
新田 博之 秀島 栄三 山本 幸司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.317-324, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

近年都市圏において発生している都市水害に対し、地下空間の浸水に対する脆弱性が指摘されている。本研究では、特に浸水発生時において地下鉄列車を安全に退避させるための具体的な列車退避方策を導き出すことを目的として、地下空間への浸水プロセスと列車退避プロセスを結合したモデルを構築する。名古屋市交通局鶴舞線に本モデルを適用した上で、浸水に対する合理的な防災計画の策定について考察する。
著者
古川 敦 高木 淳 家田 仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.131-138, 1989-12-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

This paper presents the application of a method for evaluating a train scheduling from the view point of user's benefit to some major private railways in Tokyo metropolitan area and Osaka area. At first we evaluate every train schedulings by the criteria which was proposed in our previous research. And then each factors of user's disutility such as the cost of time of boarding a train, time of waiting a train, congestion, and so on are analyzed in relation to the pattern of train shedulings
著者
窪田 崇斗 森田 泰智 太田 雅文 古谷 聡 家田 仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.641-646, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4

東京圏における鉄道ネットワークは輸送力増強が講じられ、最混雑率は年々低下傾向にある。一方で、夜間・ピークサイドにおける混雑が顕在化し、第2フェーズの混雑対策が求められているが、改善の検討が今後ますます重要になってくる。しかしながら、大都市交通センサス等の既存の交通統計調査は、過去のデータの蓄積が豊富で交通流動量といった量的データが充実しているものの、抽出率が5%程度と低く、夜間・ピークサイドにおける混雑緩和の検討に使用するにはデータの精度が粗いため、詳細な分析は困難である。そこで本研究では、自動改札機・車両応荷重データを用いた時間帯別混雑率の推定方法の検討を行った。
著者
家田 仁 赤松 隆 高木 淳 畠中 秀人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-184, 1988-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
9 10

Evaluation of train scheduling is an important step for efficient use of restricted transportation facilities to improve the severe congestion in metropolitan area. This paper proposes a method for evaluating train scheduling from the view point of user's benefit. First, we formulate the model which represents a train diagram as a time-space network and explains user's behavior on the diagram network. Next, the criteria for evaluation of train scheduling is presented. This model is applied to a railway in Tokyo metropolitan area, and the applicability is validated. Finally, some train schedulings in Tokyo metropolitan area are evaluated by the method.
著者
永井 邦彦 家田 仁 下大薗 浩 志田 州弘
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.149-156, 1991-11-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10

Mowadays the improvemont of train goheduting to reliev congestion comes to be more important. Recause there are a huge number of feasible alternatives, the development of a method to narrow down the pattern of train scheduling is required. At First, typical sections of seventeen lines in reality are drawn and their characteristics are analyzed. Then four nonlinear programming problems are solved. The results are referenced, demand pattern models and train scheduling pattern models are set up. User's disutility on each case is evaluated by user's equilibrum assignemnt on time-space network. Then relationship between demand pattern and adequate train scheduling pattern is made to be clear.
著者
田辺 建二 山田 忠史 谷口 栄一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.431-439, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
27

商品のサプライチェーン全体で生じる現象を記述するモデルとして, サプライチェーンネットワーク均衡 (SCNE) モデルに注目し, 製造業者・卸売業者・小売業者・消費市場の4主体で構成されるSCNEモデルの定式化を示し, モデルの性能の妥当性を検討した. モデルを用いて, 仮想ネットワークに対して, 都市内配送効率化や流入規制などの物流施策の効果を比較分析した. また, 複数の流通段階の利用が可能なSCINEモデルを用いて, 複数の流通段階をもつサプライチェーンネットワークの特性について, 輸送費用やEコマースとの関係の観点から基礎的な評価検討を行った. その結果, 物流施策の影響は施策実施箇所のみならず, SCN全体に波及する可能性が示唆された.
著者
森 健二 谷口 正明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.775-780, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

有効アイドリングストップ時間が5秒であるという新たな知見に基づき、信号待ち時にアイドリングストップを行った際に、円滑性を阻害しないエンジン始動のタイミングを検討した。エンジン始動の条件をいくつか設定し、信号交差点を模擬した戸外の実験コースにおいて様々な条件下における車列の捌け具合を観測した。その結果、先頭から3台目までの車両は、対面信号が青になってからエンジンを始動するのでは遅れが発生することが明らかとなった。しかし、これらの車両にあっても、交差側信号の黄開始をトリガーとすること、または青開始を予告することができればこの様な遅れは生じないことが確認された。
著者
松本 修一 朴 泰輝 川嶋 弘尚
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.991-998, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

地球温暖化対策の一手法として,自動車から排出される二酸化炭素量をエコドライブ走行を行うことによって削減しようという試みがある.エコドライブ走行は,発進時における緩やかな加速や,走行時の加減速を減らすなどの運転行動によって低燃費を実現する手法である.エコドライブ走行の有効性に関する検討は,単一車両による評価がほとんどであり,複数台の車群に関しては未だ不十分である.本研究では,ドライビングシミュレータと交通シミュレータを相互接続した実験環境を用いて,一般街路における車両追従時のエコドライブ走行が燃料消費量削減に与える影響などを定量的に評価する.
著者
西村 直 田中 尚人 川崎 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.413-424, 1998-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10

本研究は、ニュータウンをはじめとする人為的な空間の水辺計画を考える際の基礎資料として、1960年以降の近畿圏における代表的なニュータウンを対象とし、実地踏査、設計者へのヒアリングをもとに水辺の計画・設計の歴史的な変遷を整理したものである。失われた水辺を再びアメニティの要素として復活させようという社会の要請が高まる中で、ニュータウンの水辺の計画も、初期の機能が限定されていた施設単体の点的、線的な整備の時代から、複合的な機能をもつ施設を重ねてニュータウン全体へ面的な広がりを持たせる整備の時代に至っている。このような中で、本研究では、水辺の立地、水供給システム、意匠のコンセプトの視点から、近年の水辺計画は手法が多様化しているという動向を明らかにすることができた。
著者
小林 享
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.511-516, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本研究は、景観研究の分野にあっては未開拓の領域であった「飲食」の問題を、新たに景観的視点から解釈したものである。特に本論では次の点に重きを置き研究の概念的枠組みを示した。(1) 飲食と景観との関係を、歴史的に一定の評価が定まっている事象を手がかりに、時系列的な側面・飲食行為と景観体験とが関連するケースとその形態・飲食行為に際しての、空間に対する人の働きかけ、などの観点から整理し、飲食行為に際して働く空間や景観に関連する幾つかの原理をまとめる。(2) 飲食内容について、それが持つ記号性を、名物と場所の関わり・料理の中味と組立および名称・味覚印象および味覚表現と言葉、などの観点から整理し、景観的影響をまとめる。
著者
嶋田 喜昭 井戸 章博 橋本 成仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.505-512, 2006-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

都市部では、道路交通混雑の回避等に伴い、生活道路に通過交通が流入し、沿道住民の生活環境の悪化といった問題を引き起こしている。本研究では、こうした「抜け道」交通の対策を検討するために、愛知県豊田市を事例とし、抜け道の交通状況を把握するとともに、各種ドライバーに対する意識調査結果を用いて、「抜け道」利用のメカニズムを分析した。その結果、「抜け道」交通対策には、各道路の利用特性を考慮した整備が必要であることや、ドライバーの時間短縮の意識をなくさせることが有効であることなどを示している。
著者
小嶋 文 久保田 尚
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.869-879, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
5 6

本研究では、参加に積極的な住民であれば、自らの手で身近な交通環境を改善することのできる対策として、「抜け道MM」を提案した.車利用者に自発的な交通行動の変化を期待するモビリティ・マネジメント (MM) の手法を援用し、社会心理学の要素を取入れたコミュニケーション技術を用いて、住民から自ら抜け道利用ドライバーに生活道路の通行をやめるよう訴える実験を行った。実験実施後の交通調査からは、実験後1ヶ月に渡って交通量に約1割の削減が見られた。意識調査の結果からは、本実験が抜け道利用者の迷惑の自覚を高めた結果が見られた。また、-参加しない住民からの反対は見られず、意欲のある住民には取組みやすい対策と考えられた。
著者
小野田 滋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.17-24, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
49

本論文は、わが国最初の高架鉄道として1904 (明治37) 年に開業した総武鉄道 (現・JR総武線) 両国-錦糸町間を対象とし、その計画から実現に至る経緯を鉄道会議議事録や市区改正委員会議事録、許認可関係文書など、主として当時の公文書に基づいて明らかにした。その結果、総武鉄道には資金難のために地平線へ変更する代替案があり、地域住民は交通渋滞の原因になるとしてこれに反対していたことなどが明らかになった。また、この事業に対して鉄道会議や東京市区改正委員会がどのように関与していたかが把握され、高架鉄道の実現が一鉄道企業の論理ではなく、地方行政や地域住民の合意を経ながら計画的に実施されていた経緯を示すことができた。
著者
清水 英範 布施 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-18, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
20

広重や北斎などの江戸の風景画には、富士山や江戸湾などの地形や江戸城の眺望を巧みに取り入れた素晴らしい都市景観が数多く描かれている。しかし、これらの風景画の多くは名所絵であり、江戸の都市景観の実態は明らかにされていない。本研究では、江戸絵図を基礎資料とし、その幾何学的な歪みを補正し、明治時代の東京の地形データと現代の広域地形データを統合し、江戸市中や江戸城の建造物について高さを中心としたモデリングを行い、江戸の都市景観を再現した。主に、富士山や筑波山、江戸湾、江戸城などの眺望景観の再現結果に対して、風景画などとの比較を通し、その解釈を与えることにより、江戸の都市景観の実態を紐解くことを試みた。
著者
岡村 健志 筒井 啓造 熊谷 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.23, pp.717-724, 2006
被引用文献数
2

高知県においては安全島がなく道路上に直接戦を引いたノーガード電停が多く存在し, 日常的に路面電車利用者やドライバーが危険を感じている. このノーガード電停においてIT技術を用いた安全対策を行なった.この対策によって以下のような結果が得られた1. ドライバーの運転挙動は夜間において大幅に改善された2.モニタードライバーのアンケート調査からドライバーの安全運転意識の改善が見られた3.利用者が安心感を持って乗降できるようになった4.アンケートの結果利用者のほぼ全員から本対策の継続を望む声がよせられた
著者
柴 有香 桜井 慎一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.297-303, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

全国各地の河川において親水テラス整備が進められる中で、橋梁の真下にあたる橋梁下空間は大部分が手付かずの状態で取り残されている。しかしながら、全国の行政機関のうち約8割もがゴミの不法投棄といった問題を橋梁下空間に認識していること、さらにはそれら問題が河川空間全体の質を左右することが本研究から明らかとなり、整備の必要性がないとは言い難いであろう。そこで本研究では橋梁下空間の整備を阻む事情やその要因を把握し、整備を進める上で取り組むべきと考えられる課題を示すことを目的とした。その結果、橋梁下空間と親水テラスとして整備される橋梁間とを一体的に捉えるといった認識改善が行政機関に求められることなどが明らかとなった。