著者
牧野 夏樹 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.345-353, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
11
被引用文献数
2

近年、モータリゼーションの進展に起因する様々な都市問題への対策としてコンパクトシティの考え方が注目されており、大小様々な都市においてコンパクトシティ施策が検討されている。本研究では、都市の人口規模に着目し、人口規模の異なる仮想都市を対象として数値シミュレーションを行い、コンパクトシティ施策の効果について分析することで、人口規模の違いが各施策の効果へ及ぼす影響を明らかにした。また、郊外店舗が立地した場合についても分析し、施策実施前の都市構造により施策効果に明確な差がみられることを明らかにした。
著者
栗原 剛 岡本 直久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.147-155, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究では、インバウンド需要予測手法の精緻化およびインバウンド政策の評価手法確立を目指し、インバウンド需要に影響を与える政策および外的要因の分析を行った。インバウンド需要予測は旅行発生量、分布の2段階から構成される手法を用い、影響要因には海外旅行自由化および経済成長、査証規制緩和、自然災害等を挙げた。海外旅行自由化や経済成長の影響を反映したロジットモデルでそれぞれ旅行発生量が増加することが示されたほか、査証規制の緩和を旅行分布モデルに導入し、訪日中国人旅行者に対して査証免除政策を行ったときの効果が定量的に表現できることが示された。
著者
阿部 宏史 谷口 守 中川 拓哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.653-659, 2001

本研究では, 岡山・東京間の空路利用促進に向けた課題を探るために, 岡山市と倉敷市の事業所を対象として, 東京への業務出張時の利用交通手段に関するアンケート調査を実施し, 航空便の利便性を中心とした利用者の意識を分析した。また, 空路利用促進策の一つとして, 岡山県内で要望の強い岡山空港での東京線ナイトステイの実施による運行ダイヤ改善が旅客増に及ぼす効果を推計するとともに, ナイトステイ実施後の利用促進課題についても検討した。まず, 評価意識の分析結果から, 岡山空港・東京線に対する評価では運行ダイヤの利便性に対するウエイトが高く, ナイトステイ実施によるダイヤの改善が評価の向上につながることを明らかにした。次に, ナイトステイ後の始発便への転換意向の集計結果から, 現在の交通手段からの転換率は30%-40%程度と推計され, ナイトステイは空路利用促進に効果が見込まれることを示した。また, 2000年10月のナイトステイ実施後の航空便利用状況から, 本研究による知見の有効性が検証された。
著者
山口 敬太 出村 嘉史 川崎 雅史 樋口 忠彦
出版者
土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 = Infrastructure planning review (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.307-314, 2007-10

This paper discusses how the landscape assets could have been durable in the reconstruction of Meisho -Scenic Beauty- such as Giouji, Rakushisha, Enrian, in Sagano, Kyoto. The landscape characteristics of such scenic beauty is made by literary works, poetry, etc.. And their images played an important role to reconstruct the Meisho and to inherit their historical landscape assets.
著者
奥村 誠 小林 潔司 吉川 和広
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.171-178, 1987-11-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17

This paper presents the concept of fiscal effects of public investment, which explains an employment effect in public sector and fiscal flexibility, in the non-metropolitan area that consists of well-developed part and under-developed part. We point out that we must analyze two trade-off problems; one is regional equities versus total development of prefecture; the other is developments effects versus fiscal flexibility, which gives main perspective for the public debt management. For this analysis, an econometric model having hierarchical structure between prefectural government and sub-areas is presented. By case study in Shiga prefecture, the validity of the model is evidenced and some comments about investment allocation and public debt management are proposed.
著者
高野 伸栄 五十嵐 日出夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.245-252, 1991-11-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

This paper aims at the evaluation method for the alternative of District Planning by AHP (Analytic Hierarchy Process). In AHP, the evaluation structure is very clear and it's suitable for the District Planning. However, the evaluation criteria must be independent each other. And the weight of the alternative which is final output by AHP is the average evaluation. So the evaluation is apt to be one side.In this paper, the new evaluation index (U, N, L index) which is based on fuzzy measure theory is adopted. And we examine its validity for the independent constraint and the versatile evaluation.
著者
中西 昌武 木下 栄蔵
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.153-160, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究は、AHP (Analytic Hierarchy Process) 手法の適用で発生する意思決定ストレスをモデル化しようとするものである。意思決定ストレスは、(1) 重み付けのバグ (2) 認知の歪み (3) 循環関係の3タイプがある。(2) と (3) はバグではなく独立した価値系として分離可能である。意思決定ストレスは整合性指標C. I. を用いて検出し、ストレス三角形の形態フェーズにより内部機構を解析することが出来る。
著者
安田 幸司 大藤 武彦 秋山 孝正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.893-900, 1996
被引用文献数
1

都市高速道路の一般道路との適正分担を配慮した混雑緩和策として「乗り継ぎ制」の工学的利用が提案された。本研究では、まず従来の研究成果を踏まえ「乗り継ぎ制」のモデル分析方法について整理した。つぎに自然渋滞時 (平常時) の環状線の混雑緩和を目指した「乗り継ぎ制」について検討した。この結果・自律的な迂回現象が促進され、全道路網の効率的利用が可能となり有効性が検証された。つぎに緊急時の強制流出を踏まえて、環状線に閉塞が生じる場合の「乗り継ぎ制」実施効果を検討した。この場合には、乗り継ぎ交通を許容することによって、非常時の道路網の効率低下を緩和できることがわかった。
著者
金井 昌信 青島 縮次郎 杉木 直
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.727-734, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

公共交通存続のためには自動車から公共交通への交通手段転換を促すことにより, 利用者増加を図ることが必要であるが, 増便や運賃値下げ等のLOSの改善のみでは人々の行動変化を促すためには十分とは言えないことが既存研究で明らかとなっている.本研究はその理由の1つと考えられる, 公共交通非利用者の認知的不協和に着目し, 公共交通としてバスを取り上げ, この認知的不協和がバス利用に対する態度, 及び意識構造に与える影響に関して実証的な仮説を措定し, その有意性を検討した.その結果, バス非利用者のなかでも特に青年層の方が, バスの移動制約に対する不満を強く持っており, そのために今後のバス利用意向が低下していることが明らかとなった.
著者
南 正昭 吉武 和徳 田村 洋一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.699-706, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

本論文は, 車椅子利用者の選択できる経路が, 街路網上に存在する路上障害物や施設整備水準によって限定されることに着目し, 車椅子利用者が自らの身体状況に応じて障害要素を回避し目的地へ到達することができるように, 経路選択を支援する方策について考察を行ったものである. 山口県宇部市の中心市街地を対象地域とし, 現地調査を実施して街路網上障害要素に関するデータを収集し, データベースの構築を行った. このデータをもとに, 車椅子利用者は自らの許容水準を満たさない街路網上障害要素を回避し, 所要時間が最短となる経路を選択することを仮定し, 推奨経路を地理情報システム上に提示する対話型の支援システムを開発した. 本システムの実行例を通して, 経路選択の支援策としての有用性を明らかにするとともに改善すべき課題をまとめた.
著者
田中 貢 井上 亮 飯田 恭敬 三星 昭宏 佐野 洋人 末績 和正 柳原 崇男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.715-724, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本研究では, 歩行者ITSのバリアフリーシステム構築を目的としている. この社会実験は大阪梅田地下街を対象として行なわれた. そこで, 健常者, 身体障害者 (肢体不自由者, 視覚障害者, 聴覚障害者) の歩行者ITSにおけるニーズや必要な要件を把握した. そして, バリアフリーの視点から歩行者ITSの考察を行なった.
著者
藤井 聡 林 成卓 北村 隆一 杉山 守久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.851-860, 1997

本研究では, 交通網異常時における適切な広報活動を検討するために, そして, 交通網異常の交通需要予測を目指して, 個人の対応行動モデルシステムの構築を図った.本研究では, 交通網異常時では交通状態の認知についての異質性が顕著となるものと考え, 交通状況の認知と交通行動の双方を内生化した.モデルシステムの構築にあたっては, 阪神高速道路池田線通行止め規制中の個人の交通行動データを用いた.推定の結果, 個人が認知する交通状況の異質性を考慮することでデータへの適合度が向上すること, チラシ, フリーダイアルが個人の交通状況の認知の向上に貢献することが分かった.また, 京阪神パーソントリップデータを用いて感度分析を行った結果, 本モデルシステムを用いて広報活動政策を集計的な観点から評価できること, ならびに, 複数の情報媒体を組み合わせることが有効であることが分かった.
著者
山田 忠史 伊藤 祥展
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.665-671, 2002
被引用文献数
1

本研究では, 空港旅客ターミナルの窓口施設に注目し, 旅客流動シミュレーションを用いて窓口施設を最適化する方法を提示した. この手法により, 最適な窓口数が時間帯ごとに算定されるとともに, 窓口数に応じて最適なフロア面積が算出される. 旅客流動シミュレーションにおいては, 既存空港での観測から得られた利用施設選択率などに基づいて旅客流動を再現し, 待ち行列シミュレーションによって旅客の滞留現象を表現した. 既存空港のチェックインカウンターとセキュリティチェックに, この手法を適用した結果, 旅客流動の再現性が確認されるとともに, 計算対象日の各窓口施設の利用実態に即した, 適正な施設規模が算出されることが示された.
著者
屋井 鉄雄 高田 和幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.761-768, 1996
被引用文献数
1

本研究では、まずアジア地域内の主要国際空港の広域性, ハブ機能性等の空港特性を評価する指標をネットワークデータ (頻度, 就航都市数, 路線距離) をもとに作成した。さらに空港のネットワーク形態により2空港間の関係が変化する競合指標を作成し, 近年のアジア圏域の空港間競争の状態を示した. つぎに各国の経済指標 (GDP, 貿易額) や需要データ (出国者, 入国者) と先に作成した評価指標との関連性を、経年的な変化を空港間の比較を通して行い, 指標の意味付けの検討を行った. また作成した指標の特性を考慮して各空港特性をネットワーク形態の観点から類型化を行い, 空港間の相対的な位置づけを示した.
著者
小池 淳司 上田 孝行 秋吉 盛司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.367-374, 2004
被引用文献数
2

社会資本ストックの効果を正確に計測するには, 社会資本ストックによる便益の空間的帰着構造を把握する必要がある. 一方, わが国は自然災害の危険にさらされており, 特定の地域への災害が目本経済全体あるいは全国の各地域にどの程度影響するのかを事前に評価するためにも, 社会資本ストックによる便益の空間的帰着構造を知ることは重要な課題である. そのため, 本研究では社会資本ストックを生産要素の一部として扱うことが可能な空間的応用一般均衡モデルを構築し, 社会資本ストックの間接スピルオーバー効果を様々な経済変数および社会的厚生の観点から評価する. また, 実証分析を通じて, 関東地方での災害により経済的被害を全国レベルだけでなく各地域別経済的被害を明らかにした.
著者
高木 清晴 佐藤 馨一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.635-640, 2002

本論文では、今話題の北京-上海高速鉄道計画において、新幹線のような高速鉄輪と超高速リニアの二者択一の議論がある中で、筆者等は同計画における需要予測や経済財務分析を中国鉄道部と協力して行ってきた経験から、中国がとりわけ広大でかつ稠密な人口を擁する世界に例のない特別な地域であることを考慮すると、二者択一の議論は、適切ではなく、更に、将来の需要は大きいものがあるので、超高速リニアの可能性もあることから、リニアも含んだ高速交通体系の中で議論されるべきであることを主張し、また、当面の輸送力増強は、成熟した技術で在来鉄道ネットワークが利用できる高速鉄輪で建設すべきであると考察した。
著者
石倉 智樹 杉村 佳寿 石井 正樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.617-623, 2005

本研究は, 世界の主要な空港オペレータを対象に, 空港の運営・財務状況を比較分析し, 日本の空港運営システムの特徴を考察した. 欧州をはじめ世界では大規模な空港オペレータが複数空港を運営しているが, 我が国の空港オペレータは単一空港運営にもかかわらず資産規模が世界最高水準であることが示された. 関西国際空港株式会社については, 自己資本比率が小さいため金利費用負担が大きく, 世界でも稀少な経常損失を記録する空港オペレータの事例となっていることや, 他の空港オペレータに比べて, 保有資産の構成が収益姓の低い下部構造に集申し, 資産回転率が低い状態であることが明らかとなった.
著者
小柳 武和 久我 能朗 志摩 邦雄 山形 耕一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.327-334, 1995

熱気球の優雅で幻想的な景観は、それを見る人々に夢や冒険や自然との一体感など様々なイメージを抱かせる。本研究は、熱気球の創り出す景観が人々にどのように認知されているのかを把握することを目的とし、熱気球のフォトコンテスト応募写真を用いて、熱気球特有の景観の分類抽出と、その視覚的特性および景観構成要素の分析を行ったものである。その結果、熱気球特有の景観タイプとして、9っのタイプが抽出できた。また、願望視距離と視角を指標として、これらのタイプの視覚的特性を明らかにできた。さらに、背景となる山や川や田畑などが熱気球の景観を引き立てる重要な景観構成要素であることが理解できた。
著者
柏谷 増男 朝倉 康夫 細川 透
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.659-665, 1999

混雑が路線選択行動に与える統計的分析は, 従来からクロスセクション分析により試みられてきたが, マクロデータでは有意な結果が得られていない.本研究では時系列のデータ分析が必要と考え, プーリング推定ータを対象とした推定の結果, 推定式自体の精度は良く, 混雑を表す指標の予想混雑率の逆数の値は1%ないし0.1%の水準で有意となった.ただし, 昭和62年以前の国鉄の推計方式にバイアスがあるとすれば, 断定的な結論は下せない.なお, この結果から推測される弾性値は小さく, 鉄道各社が積極的に混雑率低下に取り組めるほどの乗客数増加は望めない.