著者
喜多 秀行 月岡 修一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.145-152, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

本研究では, より正確なバス利用者ODパターンのデータを得るため, 停留所別の乗降者数を基にした推計方法を開発し, 現実のバス路線データを用いて推計方法の妥当性を検討した. その結果, 路線によって差はあるが, 観測乗降者数データのみから, 補助金の算定やバスサービスの向上に必要とされる, より正確なバス利用者ODパターンを推計することが可能となった. また, 限定的な調査結果を年間データに拡大して用いなくとも, 比較的簡単に観測できる乗降者数データを基に推計することができることを示した. 今後は推計計算の考え方について更に検討を行い, より推計精度を向上させる方法を開発する.
著者
波床 正敏 中川 大
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.487-498, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
38

金国新幹線鉄道整備法における幹線鉄道網整備の手段は新幹線整備だけであるが、スイスの幹線鉄道政策Rail2000では主要駅での乗継ぎ利便性向上を実現するために、路線改良や新線建設、高性能車両の投入などを行ってきており、新線整備延長は短いものの鉄道利用者数を伸ばしている。本研究では、日本がスイスと同様の政策を採用した場合、一定の費用制約下でどのような幹線鉄道体系を構築しうるかを、九州の幹線鉄道網を対象に遺伝的アルゴリズムを用いた計算により明らかにした。その結果、これまでの高速萩線建設に加えて各種の路線改良を組み合わせる手法を採用することが効果的であることが示された。
著者
土井 勉 木内 徹 三星 昭宏 北川 博巳 西井 和夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.367-374, 1995
被引用文献数
1

本研究は、鉄道沿線の地域イメージとその構造的特徴を分析することを目的としている。.こごでは、関西の私鉄の中から、阪急神戸線、近鉄奈良線、南海高野線の3つの沿線地域を取り上げる。本研究ではまず、これらの沿線に存在する物に関する普通名詞・固有名詞を抽出する。次いで、それぞれの名詞のイメージに類似する名詞をこれらの抽出された名詞群から選ぶという意識調査を実施する。この調査データを用いて、想起率が高いモノ・コトを選定する。また、モノ・コトのイメージにおける類似度の関係をイメージ空間上に布置したイメージマップを作成することにより、沿線イメージの構造の特徴を明らかにする。さらにこれらの特徴を考慮しながら、これからの鉄道沿線の地域づくりにおける基本的課題に言及する。
著者
山田 忠史 吉澤 源太郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.683-689, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21

港湾間の国際競争が激しい国際コンテナ物流においては, 港湾の整備・運営に要する費用を抑制し, 荷役システムを効率化する必要がある. 本研究では, コンテナ埠頭の荷役容量に注目し, 発生費用の抑制に留意して, 適正な荷役能力を決定する方法を提案した. この手法を用いて, コンテナ埠頭の荷役効率向上に寄与する荷役システムについても考察した. 待ち行列理論を応用したモデルを構築し, その計算精度をシミュレーションモデルと比較することにより, その妥当性・実用性を確認した. モデルを実際の港湾に適用した結果, 荷役システムの効率化には, バース数の削減, 高性能なガントリークレーンの活用, 港湾EDIの導入が有効であることを示した.
著者
Pradeep Kumar SHRESTHA Fumihiko NAKAMURA Toshiyuki OKAMURA
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.743-752, 2009 (Released:2017-11-29)
参考文献数
16

This study develops and tests a strategy to operate bus on platoon. The bus operation in platoon with bus priority lane increase passenger carrying capacity and efficiency. Three cases normal bus with BSP, bus platoon in set back bus lane with BSP and bus platoon in continuous bus lane with BSP have been compared using simulation method. The BSP to bus platoon has resulted less impact to other vehicles as numbers of priority activated are reduced compared to single bus operation. Finally, it has discussed about implementation issues to prevent platoon disruption and speed up passenger boarding at bus stop.
著者
安井 一彦 池之上 慶一郎 深井 靖史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.137-144, 1993-12-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

This paper, after reviewing the technologies currently in use, describes a proposed model of predicting journey times concentrating on simplifying the structure of predictor as well as enhancing the predictability. Employing was considered of the relation between vehicle detector occupancy and journey time. As the preliminary study the hypothetical vehicle detectors by the use of video camera were placed at two blocks on an 1 km stretch of signalized artery. The results provided the basis for an estimate of journey time from the detector output.The remaining important problem considered was that of calibrations. Since the relations between detector output and journey time is not only site-specific but also time-varying, the emphasis in calibration exercise should be predominantly based on on-line methods. To meet this requirement the modeling was directed towards the introduction of Kalman filtering theory to update the prediction, parameters.A final study was made of the validity of the model on an 7.6km stretch of an artery which contains 18 traffic signals and 20 vehicle detectors. The journey time predictions were carried out every five minutes during two different time period of about 200 minutes each. The results highlighted the desirability of using the proposed model.
著者
川本 義海 伊豆原 浩二 本多 義明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.16, pp.801-808, 1999

本研究は、地域構造分析により交通制約の大きい県境部の道路整備の方向性を提起することを目的としたものである。ここではまず県境部の道路の実状を把握した。次に北陸3県 (富山県、石川県、福井県) において、社会・経済指標の時系列データを用いて地域特性を説明する諸要因を明らかにした。さらにこれらの地域特性を説明する諸要因から市郡を分類し、北陸3県と隣接する中部・近畿の県との県境市郡の地域特性を示すとともに、県境部の道路整備状況との対比により県境地域の課題を示した。最後にケーススタディを通じて、県境地域において地域間の交流と連携を進めるに当たって重要とされる項目とそれらの相互関係をデマテル法により相対的に示し、県境部の道路整備の方向性を示した。
著者
原田 秀一 深瀬 正之 前島 一幸 Jian XING 瀬古 賢司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.881-888, 2009 (Released:2017-11-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 6

本研究では,多車線高速道路の新たな渋滞対策として,渋滞発生直前の追越車線での交通の偏りを矯正することを目指し,追越車線への車線変更を抑制させ走行車線の利用を促進させる車線利用率の平準化実験を実施した.本論文は,車線利用率の平準化実験の概要及び結果,渋滞抑制効果検証結果について述べた.
著者
堀井 茂毅 川口 充康 川本 義海 川上 洋司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.22, pp.677-684, 2005

本研究は, 2年余りの運行休止を経て「えちぜん鉄道」として運行再開した地方鉄道に焦点を当て, 鉄道の運行休止・再開が地域にもたらした影響・効果を把握すること, それらを踏まえて今後の利用促進の検討に資する知見を得ることを目的としたものである. 利用者および沿線住民アンケート調査結果にもとづき, 鉄道の運行有一無一有の3つの状況下における人々の交通行動・生活活動, 意識面の変化について分析した結果, 交通手段選択だけでなく, それを通して生活活動面にも多大な影響を及ぼしたこと, 利用者のみならず非利用者に対しても送迎機会の増減や心理面的負荷の増減といった面で影響を及ぼしたこと等を明らかにするとともに, 今後の利用促進に向けてのいくつかの提案を行っている.
著者
木村 一裕 清水 浩志郎 伊藤 誉志広 呉 聲欣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.17, pp.973-980, 2000
被引用文献数
1

車いすの走行環境に関して, 縦断勾配や横断勾配, 段差など, 個別の課題に関する研究は行われているが, これらの多様な交通抵抗が連なっている実際の歩行空間に関する評価は行われていない。本研究では, 実際のルートにおいて車いす走行実験を行うことで, 車いす利用者にとって, 走行する時に縦断勾配などの物理的要因だけではなく, 道路横断などの心理的要因もかなり負担を感じていることを明らかにすることができた。また段差や縦断勾配, 横断勾配はその値が大きくなるにつれて負担ウェイトが指数的に増加することが明らかとなった。
著者
青木 俊明 稲村 肇 中川 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.231-238, 1999-09-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16

本研究は産業構造と人口移動との関連と人口増加に大きな影響を及ぼす産業構造を明らかにすることを目的としている. FSM法という構造化手法を用いて, 人口成長状態の異なる地域毎に産業の構造化を行った. その結果を地域間・時系列比較を行うことにより, 人口増加に影響を及ぼす産業構造について検討した. 産業構造の分析において, 商業・サービス業及び産業構造の複雑さといった点に注目した. その結果, 1) 商業またはその他サービス中心の産業構造, 及び, 2) 一定以上の規模と複雑なネットワークを有する産業構造であること, が社会増加を促す産業構造であったことが分かった.
著者
金 利昭 鈴木 直記 寺島 忠良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.20, pp.691-701, 2003
被引用文献数
1

近年、より高いモビリティを求めて、あるいは高齢社会の到来、環境問題といった社会変化を背景に新しい交通手段が開発されつつあり、私的短距離交通手段の多様化が著しい。その特徴は、電動化と小型化である。これにより、諸元、性能、形状が近似し区別することが難しい境界上の交通手段が出現している。特に注意すべき交通手段は、超小型1人乗り電気自動車、電動原動機付自転車、電動三.四輪車、電動キックスケーターである。<BR>本研究は、多様化する私的短距離交通手段の動向とその問題点を把握した上で、共存する際の論点を提起している。
著者
加藤 浩徳 村木 美貴 高橋 清
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.243-254, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
59

本稿は, 近年の英国の交通政策とそれに伴う交通システムの変化を調査し, 整理することを目的とするものである. 英国では, 1997年のブレア政権成立以来, 新たな交通政策が実施されてきた. 新交通政策の特徴は, 「総合化」, 「官民協力・調整」, 「経済的交通需要マネジメント」, 「地方分権」といった点に見られる. またその結果, 交通計画に関わる国, 地方自治体, 地域の役割が変化し, 交通システム全体にも変更がもたらされた特に, 前政権の規制緩和政策への反動と地方分権が大きな影響を及ぼしていると考えられるが, 英国内にも実効性が伴わないとの批判も強く, 今後の推移が注目される.
著者
田中 尚人 川崎 雅史 亀山 泰典
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.385-391, 2004-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

本研究では, 明治初期から昭和戦前期までの近代化プロセスにおいて, 鉄道及び電気軌道によって支えられた都市形成の過程を実証的に分析した. 都市骨格を形成する鉄道・軌道網と, 都市活動の触媒装置として機能する都市施設の発達プロセスに焦点を当て, これらの関連性について考察を行った. 都市施設配置の変遷を分析し都市活動を考慮することにより, 近代京都の都市計画では, 郊外部が「風致」のための空間として認識されていたこと, また直接的な都市部への鉄道の乗り入れは見られず電気軌道網が人々の足となり都市施設立地が進んだことが特徴的であり, 郊外部における「観光」という都市活動を含む都市文化の形成に役立ったことが分かった.
著者
清水 吾妻介 平田 輝満 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.851-862, 2010
被引用文献数
1

将来首都圏空港容量が不足する可能性に備えた長期的な視点での検討として,東京湾内において再拡張後の羽田と独立に運用することができる新滑走路整備の可能性について,羽田再拡張後の飛行経路および環境制約を前提に飛行方式設定を中心とした技術的な検討を行った.その結果,羽田からの離陸初期段階で比較的低高度での水平飛行などの条件が必要ではあるものの,海ほたるから木更津沖周辺でD滑走路と平行な新滑走路か,または,都心からやや距離があるものの,観音崎付近でA, C滑走路とほぼ平行な独立新滑走路を配置することが可能であることが分かった.更に可能配置例の必要航法精度や既存経路と環境への影響等について比較評価を行った.
著者
滑川 達
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.105-110, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

本稿では、本研究がこれまで構築してきたGAによるスケジューリングアルゴリズムに対し、投入資源量決定問題および確率的スケジューリング問題のための検討ツールとして拡張を行った。2つの問題の例題分析を通して、本アルゴリズムが投入資源量の多少に影響を受けることなく、常に安定して非劣解の可能性の高い効率的フロンティアが求められる検討ツールとなり得る可能性が高いことが明らかとなった。
著者
鈴木 春菜 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.357-362, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
19
被引用文献数
14 14

地域愛着のインパクトについての研究はこれまで, 主として環境心理学をはじめとする他領域の中で各種の分析が進められてきたため, 土木計画に直接かかわる諸変数に対する地域愛着の影響は, 十分に検討されているとは言い難いものであった. 本研究では, このような背景のもと, 地域愛着と地域への協力行動をはじめとする土木計画にかかわる諸変数との間の統計的関係を質問紙調査の結果をもとに分析した. その結果, 地域愛着が高い人ほど, 町内会活動やまちづくり活動などの地域への活動に熱心で, 行政を信頼する傾向が示された.
著者
柳本 彰仁 池田 清宏 赤松 隆 河野 達仁 八巻 俊二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.191-196, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

輸送費の変化による工業の都市集積現象のメカニズムを表現したKrugmanの提案したモデルは, 複数の均衡解を持つことが知られている. しかし, 地域 (都市) 数が2と3の場合については, その特性に関する多くの分析がなされているものの, 都市数が更に増加した場合における輸送費変化による人口の空間的 (地域・都市間) 集積・分散パターンの分析に関しては十分な知見が得られていない. そこで, 本論文では, Krugmanモデルを円周上に位置する同一の人口を持つ多都市モデルへと拡張し, 計算分岐理論による数値解析法により, その可能な解を網羅的に求め, その適用可能性を示す.
著者
高宮 進
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.967-972, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5
被引用文献数
3 1

マウントアップ形式の歩道の高さは、15cm~25cmとされてきた。ところが、高齢社会の到来、ノーマライゼーションの考え方の浸透などから、道路のバリアフリー対策が重要視されてきており、今後は歩道の高さを低くしていくことが考えられる。また住宅地区内での道路利用をみても、歩車道問のアクセス性を高めるため、歩道高さを低くすることが考えられる。本研究では、マウントアップ形式の歩道を対象とし、「歩道を低くする」という要求に対して、歩行者の危険感・安心感などから歩道面の高さを、また縁石の車両誘導性に関する実験から縁石の高さを評価する。さらに、道路機能を考慮したうえでの歩道高さのあり方を検討し提案する。
著者
田中 康仁 小谷 通泰 中村 賢一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.22, pp.715-722, 2005

環境悪化や交通混雑などの貨物車に起因する問題を緩和するための一方策として、配車・配送計画の最適化による貨物車交通の削減が挙げられる。そこで本研究は、運転者の作業状況とリンクした貨物車両のプローブデータを用いて、配車・配送計画作成のために必要となる、貨物車の配送活動に関する基礎的な特性を詳細に把握した。具体的には、中長距離による2地点間輸送と短距離による多地点配送を行う事業形態の異なる2事業者にわけて、運行パターンや走行経路、配送箇所数といった基本特性を把握するとともに、配車・配送計画を構築する上で重要となる、(1) 走行速度の変動、(2) 目的施設への到着時刻の分布、(3) 荷捌き所要時間の分布、(4) 目的施設到着の定時陸確保のための行動特性、を明らかにした。