著者
内田 雅洋 大島 義行 本堂 亮
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.741-746, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

本研究では、乗換駅における乗換の利便性、快適性、確実性等といった乗換環境の改善による効果を客観的かっ定量的に把握することを目指し、新幹線と在来優等列車等の幹線鉄道旅客をターゲットとして、乗換環境を規定する様々な要因を体系的に整理し、駅における乗換環境の総合的評価手法を構築することを目的とした。分析の結果、乗換環境を規定する様々な要因においては、上下移動の利便性について重要度が最も高く、同一ホーム乗換などの上下移動を解消する施策の効果が極めて大きいことが明らかとなった。また、駅施設の改良が図られた場合のケーススタディの結果、施策別の改善効果を客観的かつ定量的に把握することができた.
著者
肥田野 登 武林 雅衛
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.121-128, 1990-11-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

The purpose of this paper is to construct hedonic price functions of residentialand commercial land which can depict the benefits of multi-use facilities improvement in large urban areas and to propose a method to estimate the various benefits by a unified measure, i. e. property value, using the hedonic price functions. The proposed hedonic functions include accessibility variable for trip purposep (ACP) by sum of actural transport movement divided by generalized costs and areestimated with hight goodness-to-fit. The accessibility measures for commuting and shopping, accessibility to large parks and a residential area restricted to medium and high rise housing dummy are ones of significant explanatory variables. The study examines the validity of the functions comparing with existing land price functions in similar areas and demonstrates the applicability of the method to estimate the benefits of a transport project with road, parks and light rail transit system on suburban areas in Tokyo.
著者
杉恵 頼寧 藤原 章正 森山 昌幸 奥村 誠 張 峻屹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.699-705, 1999-09-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本研究は観光地域の道路整備に伴う観光周遊行動の変化について分析するためめ新しい手法を提案する.従来の離散選択モデルを基礎として, 経路選択モデルとスポット群選択モデルからなる階層構造モデルを開発する. 具体的には通常のNested Logitモデルの各段階のIID誤差構造を緩和したNested PCL (Paired Combinatorial Logit) モデルを導出する. 島根県中央地域における経路と訪問スポット群の選択文脈で得たSPデータを用いてNested PCLモデルを推定し, シミュレーション分析を行った結果, 道路整備により観光需要が若干増大することが確かめられた.
著者
中西 昌武 木下 栄蔵
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.165-174, 1998-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
18

本論文では、AHP (Analytic Hierarchy Process) における評価要素の新たな重みづけ手法「視点間ストレス法」を提案する。この手法は評価視点によって異なる評価値同士を、視点間のストレスが最も小さくなるよう合成する。従来の固有ベクトル法では一対比較行列における循環関係や対称成分の拮抗に有効に対処できないが、視点間ストレス法ではこの問題に対処できる。また視点間ストレス値は、視点間ストレス法における整合度指標として有効である。
著者
萩原 剛 太田 裕之 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.117-123, 2006-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
7 6

人々の自発的な交通行動変容を促すコミュニケーション施策である「モビリティ・マネジメント」を実務的かつ広範に展開していくためには、なるべく多数の人々と、なるべく安価に接触できるようなコミュニケーション技術を検討する必要がある。この認識の下、本研究はアンケート調査の「回収率」に着目し、回収率の向上に影響を及ぼす要因について分析を行った。その結果、配布方法や報酬の提供方法によって、回収率が大きく異なることが示された。また、これらの方策に要するコストを算出することで、より効率的・効果的なアンケート回収率向上方策について検討した。
著者
高見 淳史 室町 泰徳 原田 昇 太田 勝敏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.15, pp.217-226, 1998

本論文では、欧米などで見られる自動車利用削減を目的とした土地利用/交通施策の考え方を理解するため、施策の要素を抽出し、自動車利用削減との関係及びそれにまつわる議論を整理した。次にそれと関連して、自動車利用削減の観点から見た商業施設 (SC) の立地のあり方について試算を行った。その結果、SCの商圏が都市地域全体に及ぶような場合には、SCは都心近くに立地することが望ましいが、収益の点から見るとそこに立地する可能性はあまり高くないことと、SCが近隣のみを商圏とするような場合にはやや郊外側に立地することが望ましく、収益から見て、SCがその位置の近くに立地しようとすることの現実性は前者の場合に比べて高いことを示した。
著者
阪井 清志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.441-450, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

本論文では可地方都市の都心部と郊外をシームレスに繋ぐ優れた軌道系交通システムとしてドイツを中心として周辺諸国で導入が進みつつあるトラムトレインを対象として、日本への導入を想定した場合の今後の検討事項を明らかにするため可文献調査及び現地調査を実施し可主要な課題として、計画・事業調整の枠組みと推進のための取組み、並びに鉄道と路面電車 (LRT) の規格の相違点とその克服のための技術開発を抽出し、ドイツ及びフランスにおける具体的な課題の内容と解決の方向性を明らかにした。
著者
藤井 聡 米田 和也 北村 隆一 山本 俊行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.15, pp.489-497, 1998

本研究では, セミマルコフモデルを適用し個人の通勤手段の連続時間軸上での遷移過程を再現する行動モデルを構築し, このモデルの未知パラメータを, 複数の離散断面で実施されたパネル調査で得られたデータに基づいて推定した. 推定計算の結果, 通勤者が通勤手段としてCarpoo1を連続して利用し続ける期間は短い, すなわち, Carpoolを通勤手段として利用するという状態は他の交通機関を利用するという状態に比べて不安定であることが分かった. また, 機関別の移動速度が利用手段に影響を及ぼしていることも示された. 構築したモデルに基づいた集計化分析からは, 本研究で提案した動的な行動モデルを用いることで, 均衡状態の成立も含めたシステム全体の挙動についての解析が行える可能性があることが分かった. それとともに, 通勤手段シェアでさえも, 現状と均衡状態との間には大きな乖離がありうることが示された.
著者
出村 嘉史 川崎 雅史 田中 尚人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.387-394, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本研究では、絵図や文献などの歴史的資料の分析やヒアリング調査、現地の観察をもとに、近世円山界隈に存在した時宗寺院の空間構成を明らかにした。急傾斜である長楽寺では幾つかの平場を立体的に組み合わせて構成され、平場間の起伏が豊かな場所に庭園を造った。次に傾斜の大きい安養寺では、敷地内に起伏を持つ塔頭が立体的に組み合わせられ、建築と庭の多様な位置関係が視線の多様性を産み出した。そして緩傾斜の双林寺では平面上に並んだ塔頭で構成され、立体的な空間構成を造る為に築山や借景が用いられた。このように豊かにつくられた空間では、後に席貸が行われ、飲食、宴席が積極的に行われ文化的交流の場として利用された。
著者
高須 豊 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.21, pp.515-521, 2004
被引用文献数
1

自動車がステータスや社会的地位のシンボルとするような現代の日本社会における社会的風潮, 自動車に対する肯定的な信念はどのように形成されたのであろうか本研究では, 認知的不協和理論や自動車利用習慣形成プロセスモデルから, 自動車免許の取得によって人々の自動車に対する信念を肯定的なものに変化するとの仮説を措定した.そして, 自動車利用に関わる種々の信念を自動車免許取得前後で測定したパネルデータ (サンプル数=157) を用いた分析を行った結果, 仮説は支持された.すなわち, 自動車免許を取得した人々の自動車に関わる信念が, 自動車免許を取得していない人々のそれよりも肯定的なものであるという可能性が統計的に示唆された.
著者
周藤 浩司 杉恵 頼寧 藤原 章正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.15, pp.655-662, 1998

フレックスタイム制度の導入に伴う通勤者の交通行動は時間的に変動することが予想され, その過程を明らかにするには交通行動の動学的分析が必要となる. 本研究は通勤者の時間選択行動の変化を時間軸に沿って分析することを目的とする. まず広島市のある企業で実施されたフレックスタイムシステムの導入前後で2時点パネル調査を行い, 会社到着時刻選択行動を2時点で比較した. その結果会社到着時刻の変化は交通所要時間, 交通手段, 配偶者との帰宅時間差が大きく影響を及ぼすことが明らかになった. 次に会社到着時刻の1年間の時系列データを用いて, 制度導入後の交通行動の時間変化を分析した結果. 通勤者は新しく導入されたフレックスタイム制度に対して交通一活動パターンを調整するのに約3ヶ月を要することが示された.
著者
相原 良孝 木村 一裕 溝端 光雄 高宮 進 前川 佳史 清水 浩志郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.18, pp.963-970, 2001

心身機能の低下した高齢ドライバーにとって, 道路案内標識は, 認知や判断の正確性, 迅速性を最も厳しく求められる標識である。本研究では, 高齢ドライバーの標識判断時間を評価するとともに, CG映像を用いて, これを推定する方法について検討することを目的としている。本研究では, 地名判断と方角判断という2種類の判断時間の計測を行った。地名判断とは, 標識上にある地名から進行方向を判断するものであるのに対し, 方角判断とは, 標識上にない目的地の方角を判断するものである。<BR>分析の結果, 以下の点が明らかになった。(1) CG映像を用いた実験により, 各種の判断時間の推定が可能であること。(2) 方角判断は地名判断に比べ, より多くの時間を要すること。ではまずはじめに実物の標識を用いて行われた既往研究との比較により, CGによる実験結果との対応関係を明らかにするとともに, CGの長所である複雑な交通場面における標識の判読性について考察し, 高齢ドライバーが複雑な判断を伴う状況において, 非高齢ドライバーよりも多くの時間を要することを明らかにした。
著者
岡田 幸子 樋口 明彦 仲間 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.23, pp.381-388, 2006

維持管理の時代である今、再使用やリサイクルされる建設材料が増えている。建設材料である石材は、石垣や路盤舗装材などに使われてきた。しかし、文化財などの石造構造物の研究はあるが、石材の流通や再使用に焦点をあてた研究は少ない。本研究は、土木事業における石材の流通や再使用に着目し、北九州市では西鉄路面電車の敷石の生産から利用技術及び別用途での再使用に到る経緯を調査したものである。<BR>その結果、併用軌道における舗装技術と舗装に関する歴史的な経緯・過程、敷石の生産・流通・施工・補修の技術、ある時代の流通やストックの方法の全貌を解明した。また、現在77ヵ所 (39ヵ所確認) で再利用の情報を把握した。
著者
浅野 文 島谷 幸宏 渡辺 裕二 渡辺 昭彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.303-312, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
2

都市における鳥類と人間との関係を調べるために、1993年に農村域として小貝川、1994年に都市域として多摩川で、鳥類の避難行動 (逃避行動、回避行動、警戒行動) 開始時の距離を測定した。測定された距離の結果は、(1) 地域による相違 (小貝川に対する多摩川での距離の短縮化)、(2) 経時的な相違 (1976年の既存データに対する1994年の測定距離の低下)、(3) 種の特性による相違 (体長と距離の相関性、水鳥 (W1) と都市鳥 (U) の分布状況と位置の変化) で特徴づけられる。以上の結果は、都市域は鳥類にとって必ずしも生息しにくいだけの環境ではなく、有効な側面を持っていることを示しており、その結果に基づき、人間と鳥類との共存関係について考察した。
著者
森地 茂 清水 哲夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.13, pp.915-922, 1996
被引用文献数
1

現在, 都市高速道路では渋滞緩和対策の1つとして流入制御が行われているが, 一般街路への負荷が大きいこと, 事故発生時及び渋滞発生時のような非定常な交通状態に対処できない等の問題を抱えている。本研究は, ランプの待ちスペースに車両を滞留させながらリアルタイムに車両を流入させる手法の開発可能性を検討することが目的である。その際制御オプションの1つとしてピークロードプライシングを導入するが, これにより流入禁止時間を減らす工夫を試みる。このような制御には, 急速な求解が可能な最適化アルゴリズムが必要であるが, 本研究では遺伝的アルゴリズム (GA) の適用により, この問題の解決を試みる。
著者
永野 峻祐 小根山 裕之 大口 敬 鹿田 成則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.841-849, 2010

本研究では,路面電車の利用者増加策としての車両更新効果を明らかにすることを目的として,東急世田谷線の車両更新に着目し,東急世田谷線の評価や満足度の変化,それに伴う利用機会の変化について,アンケート調査・分析を行った.分析の結果,利用促進効果や認知&好感度UP効果は車両の物理的改善やデザインの変化に強く影響を受けることが示された.一方,個人が元々持つ運行サービスレベルの評価や,公共交通に対するイメージや考え方に影響される可能性があることもわかった.また,年齢により車両更新の捉え方に違いがあり,特に年齢層が上がるにつれ利用者の満足度が向上しており,利用促進効果や認知&好感度UP効果も高いことが示された.
著者
青島 縮次郎 須田 聡 有川 貞久 小山 宏 伊原 寛之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.863-868, 1999-09-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3

モータリゼーションの進展は地方都市圏において特に顕著であり、道路交通渋滞は急速に悪化をたどってきているが、しかしその渋滞は朝夕のピーク性が強いために、ハードな容量拡大対策だけでなく、自動車交通需要を適正に管理するソフト対策が一層求められている。また地方都市圏ではモータリゼーションの進展による鉄道の衰退も危惧されており、その活性化という観点も合わせて、P&Rシステムが注目を集めている。そこで本研究は、地方都市圏における鉄道駅周辺の月極有料駐車場を対象に、P&R利用実態調査を行い、その利用者特性、P&R利用の費用・時間特性、そしてそれらを踏まえた駐車場整備要件等を分析するなかからP&R利用促進の可能性を探った。
著者
小林 潔司 張 衛彬 吉川 和広
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.141-148, 1986-10-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

We present a dynamic model for the behavior of a developer who is assumed to be a profit taker. A conservation law in the housing market can be deduced by the classic calculus of variations, which explains spatial equilibrium of the housing market. We introduce the concept of infinitesimal transformations in the Lie group theory to describe the taste changes of households. By investigating invariant properties of dynamic model under infinitesimal transformations, the conservation law in the housing market is derived to explain invariant structure in the housing market under the taste changes of the households.
著者
伊藤 将司 柴田 貴徳 青島 縮次郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.17, pp.29-36, 2000

本研究では第一に、視覚的情報によって形成される「感じのいい都市」のイメージ形成要因を実験的に把握整理した。また第二には、個々人の潜在意識レベルでのイメージ共有化の前段となる、個人の持つイメージの再編プロセスの研究を行った。そして第三に、心理学の潜在意識把握手法 (P-Fテスト) を援用した個人的潜在意識の把握及び、合意形成後の意識情造の把握を行った。これらの基礎的研究によって得られた知見を整理しつつ、個人的潜在意識レベルでのイメージ共有化手法のための方向性を提起した。