著者
竹田 玄洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1174-1177, 1998-11-25

20年以上前, ピンポンゲームでTVを使った遊びが始まり, そして日本のファミコン, さらにスーパーファミコンが世界中で愛用されるようになった.これらすべての基本技術は画面を移動する物体や背景の平面上の衝突という同じものである.時代とともにゲームソフト制作者の更なる飛躍にこたえる今までの方式とは異なった「新しい仕掛け」が要望されるようになった.そんな中弊社は, 当時の最先端の0.35μm半導体技術をもとに, コンピュータグラフィックスを駆使したビデオゲーム機「N64」を開発した.ここではそれを例にとったシステムLSIについて述べる.
著者
今村 文彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.198-202, 2009-03-01

我が国では,50年以上も前から地震観測に基づく津波警報システムが稼動し,現在では,地震発生直後に,津波の高さや到達時間を定量的に予測し,その結果はメディアなどを通じて提供されている.これに基づき,適切な避難を実行すれば津波による人的な被害はゼロにすることも可能であるが,実態として,現在の我が国ではわずか1割しか避難できていない.何をどのように改善したらよいであろうか?
著者
高部 佳之 清水 隆文 大和 忠臣 後藤 浩一 山口 弘太郎 伊藤 公一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.41-50, 1998-01-25
被引用文献数
2

ワイヤレスカードシステムは, 電波を利用することにより, カードをデータ読み書き装置に接触させることなく, 情報のやり取りを行うことを目的とする。ワイヤレスカードの技術は, 料金徴収, ID管理, 履歴管理および位置管理等の広範な利用分野において様々な応用が可能であり, 社会生活の利便性を向上させ, 高度情報通信社会推進の一翼を担う技術として大きく期待されている。本稿では応用例として, 有料道路の自動料金収受システム, 鉄道の自動改札システム, FA生産ラインシステムおよび特定区域への入退場管理システムに関する現状を紹介すると共に将来を展望する。
著者
竹内 正男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.1213-1218, 1996-12-25
被引用文献数
8

生体粒子のような壊れやすく微小な粒子を非接触で操作する技術は,バイオテクノロジーやマイクロマシンなどの分野における次世代の重要な要素技術になるものと期待されている.最近,音の放射力を駆動力として,溶液中の微小粒子の移送・捕そく・分類・濃縮などを行うマニピュレーション技術が盛んに研究されている.このような超音波マニピュレーション技術の原理,具体例などについて述べる.
著者
Bogue Barbara
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.861-867, 2005-11-01

While the demand for engineers in the United States remains high, large population groups remain outside of the engineering workforce. Women graduation rates hover around 20 percent at all levels (B.S., 20.1 percent; M.S., 21.8 percent; Ph.D. 22.3 percent). During the past 30 years, the U.S. government and industry leaders have come to identify the recruitment and retention of women and other groups underrepresented in engineering (African Americans, Hispanic/Latino Americans, Native American Indians, Asia Americans, and Pacific Islanders) into engineering careers as the key to addressing predicted shortfalls. The drive to increase the number of engineers and scientists in the U.S. began as a Cold War strategy in the U.S. after the launching of the Russian satellite Sputnik in 1957 but has since been re-defined as necessary to national competitiveness. Initial efforts to increase the science, technology, engineering and mathematics (STEM) pool were aimed at increasing traditional candidates, white males. As educational opportunities opened for women, and policy makers, advocacy groups and industry identified diversity as a competitive advantage, major efforts were launched to attract women into STEM careers, particularly engineering where they were severely underrepresented. A key tool in this effort has been the creation of Women in Engineering Programs (WEP) in major engineering schools throughout the country, a movement supported by government, primarily through the National Science Foundation (NSF), non-profit foundations, and private industry. The WEP movement was and is a major player in the increase of numbers of women, in Engineering, rising from four percent of students enrolled at the undergraduate level in 1965 to approximately 20 percent today. However, the increase has not only reached a plateau but appears to be decreasing, raising questions about why the upward growth has ceased and how to continue to increase the numbers of women entering and completing engineering education.
著者
西野 豊 相川 清明 中嶌 信弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.324-331, 1999-04-25
被引用文献数
8

人間と機械との自然なインタフェースを実現する技術として, 音声認識と音声合成に対する期待は大きい. 複雑な設定や操作を行わず, あたかも人間と会話をするように使用できるシステムを実現することは永年の夢である. 本稿では, 音声認識と音声合成を応用したシステムの開発例, 両者を用いて対話的に使用できるシステムの開発例について概説する. システムを, より人間的な"気の利いたシステム"とするためには, 音声認識・音声合成技術の一層の性能向上と自然言語処理や知的対話処理技術と合わせたシステム開発が必要である.
著者
臼井 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.768-774, 2009-09-01
被引用文献数
1

GPSはカーナビや携帯電話をはじめとして世界中で広い分野にわたって使用されるようになっている.GPSは,衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一つであり,世界ではそのほかにロシアのGLONASS,欧州のGalileoなどのGNSSが運用ないしは計画されている.GNSSは空間情報社会と呼ばれる地理情報・位置情報を活用した社会においては必須のインフラである.一般に利用されるGPS端末による測位は10〜20m程度の誤差を含むが,誤差を低減する各種の測位補強技術が用いられるようになり,高精度の測位を必要とする様々な分野で使用されている.本稿では,衛星を用いた高精度測位技術の現状,世界のGNSSの動向,及び応用分野などについて概観する.
著者
坂井 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.722-727, 2006-08-01

本稿では,パターン認識技術とその応用に関するれい明期の状況を,筆者自身の経験や体験を織り込みながら,現在の状況と関連付けて紹介している.前半では,産・学・官の連携を起点として情報化の追い風に乗って成長した一時期,更にはその後の事業的な見地からの見直しなど,当時の研究開発環境の移り変りを振り返って述べている.後半では,本稿が単なる昔話に終わることのないよう,これまでの努力が現在どのような形で実を結んでいるか,またパターン認識の更なる発展にとって今後は何が必要かなどを筆者の見解も含めて述べている.
著者
井上 創造 野原 康伸 安浦 寛人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.390-394, 2006-05-01
被引用文献数
3

本稿では,自動認識技術の中でもRFIDを用いたシステムについて,プライバシーと個人情報保護に関する問題を,技術的に明確化することを試みる.近年,RFIDを初めとした自動認識技術が注目されているが,ここで必ずといっていいほどプライバシーが問題にされる.しかし,利用者やRFIDタグベンダやRFIDにかかわる情報システム技術者にとって共通の理解がされているわけではない.本稿ではプライバシーと個人情報保護を区別した上で,匿名性とリンク不能性という性質の異なる概念を導入する.更に既存の技術をこれらの観点及び,システムやRFIDタグのコストの観点から比較する.
著者
松本 充司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.161-166, 1995-02-25
被引用文献数
3

近年,各種情報システムのディジタル化,これに伴うネットワークの進化,端末装置のダウンサイジングにより,パーソナル移動通信環境においてもユーザが利用できる端末の小型軽量化,高機能化が行われている.特に,移動環境では相手が話中や不在の場合にも有効な携帯情報端末が注目されている.ここでは,パーソナル通信の担い手である携帯情報端末に焦点を当て,その端末の位置付け,動向および構成技術並びに既存ネットワークへの展開方法について述べた.
著者
小林 真輔 越塚 登 坂村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.595-603, 2008-07-01
被引用文献数
6

ユビキタスネットワークを実現するためのキーデバイスの一つにアクティブRFIDがある.本研究では,アクティブRFIDの基盤技術確立を目指し研究開発を行ってきた.ハードウェア,通信プロトコル,ミドルウェア,並びに,アクティブRFIDを管理するサーバ側のソフトウェアまでのトータルシステムを提案し実現している.アクティブRFIDの課題である,低消費電力,高多重通信を実現するためのブレークスルーとしてUWB(Ultra Wide Band)無線通信LSIを開発しそのLSIを搭載した世界最小1cm角のアクティブRFIDを実現した.また,アクティブ型,パッシブ型を含むRFIDや,バーコードなどの個別の識別子をそれぞれのものに割り当てて管理し情報提供するための上位のディレクトリサービスの開発を行った.更に,本研究の実証実験の例として,青果物の物流現場におけるアクティブRFIDタグの活用,高精度測位を実現したUWBアクティブタグを用いた倉庫管理システムについて述べ,場所情報を提供するためのタグの例として,実際の商業施設におけるシステムについて述べる.
著者
川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.123-130, 2008-02-01
被引用文献数
9

最近20年間に脳科学は著しく進展し,脳活動を非侵襲的に計測する新手法の開発,分子生物学の実験手法の導入,計算理論の発展などの進歩により,基礎科学として新しい様相を呈するにとどまらず,コミュニケーション技術,経済活動,先端医療などに大きく貢献する可能性が示された.一般の人々の普段の生活に,脳科学が大きな影響を与える応用科学としての側面が顕著になったといえる.本稿では,筆者らが提案している脳と情報ネットワークを直接つなぐ新しいインタフェース:ブレイン・ネットワークインタフェースについて解説する.
著者
岩野 賢二 宮崎 仁誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.622-627, 2007-08-01
被引用文献数
3

社会的背景として,少子高齢化社会が進行する中で,世界各国で医療費の増大を抑制することが急務となっている.当社ではその課題に対して,治療から予防へのパラダイムシフトを行う情報通信技術の検討を進めている.具体的な取組みとして,在宅ヘルスケア支援システムを開発し,米国を中心に事業化を行っている.また医療サービス,医療センサ,IT,電気の各分野を代表する企業とともにContinua Health Allianceの設立を行っている.ここでは家庭における遠隔医療業界の動向を中心に紹介する.
著者
小塚 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.97-104, 2005-02-01

医療現場における電子カルテ化は, 導入稼動医療機関の数が年々増えてきている.しかし, その増加の割合は緩やかなものであり, いまだその導入による利点と欠点を見定めようとする医療機関も多い.現時点ではメリットも多いが, 確かに課題は多く存在し, それはシステムの成熟を待つことのみで解決される問題ではなく, 利用者自身がシステムとしての特性を理解して実践として使いこなせるように変化することも求められる.長い時間の経過で形成されてきた現場特有のルールもあり, 電子カルテ化は単にパソコンに向かうだけではない医療者の意識変化も求められる.