著者
稲垣 栄洋 栗山 由佳子 前島 固女 石上 恭平
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.235-238, 2007-08-31
被引用文献数
3 4

撹乱依存型絶滅危惧植物のミズアオイとオオアブノメの大規模な群落の保全を図るために,省力的な撹乱方法として湿地ブルドーザの活用を試みた。湿地ブルドーザの撹乱により,3月撹乱,6月撹乱ともに,ミズアオイとオオアブノメの発生が誘発される傾向が認められた。また,ミズアオイとオオアブノメの出現率は,湿地ブルドーザによる大規模な撹乱作業と,市民による手作業の撹乱作業とで差異が認められなかったことから,湿地ブルドーザの利用は,群落保全の手法として有効であると考えられた。ただし,夏季以降に3月撹乱区ではヒメガマ,6月撹乱区ではイヌビエが優占し,ミズアオイやオオアブノメの出現率は低下したことが問題点として残された。
著者
七海 絵里香 森崎 翔太 大澤 啓志
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.74-79, 2013 (Released:2014-04-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

資料の少ない古代~中世の緑化文化を検討するため,主な和歌集に詠まれている植物および植物に対する行為を分析した。その結果,万葉集および第1~8集の勅撰和歌集の中で植物は計4,171首,植物に対する行為は計1,449首詠まれていた。時代区分毎にそれぞれ割合を求めたところ,奈良時代から平安時代にかけて,詠まれた植物の嗜好がハギからサクラに転換していた。緑化に関わる行為としては,植栽として「植える」「蒔く」「刺す (挿し木) 」,植生管理として「刈る」「伐る」「抜く」「焚く・焼く」「切る」が認められた。また,奈良時代には植物との多様な関わりが存在していたが,それ以降の時代では植栽という行為に対して意識が薄れていったことが示された。
著者
中橋 洋平 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.262-265, 2007 (Released:2008-02-21)
参考文献数
9

街路樹周辺の放置自転車問題をとりあげ,首都圏の自治体にアンケート調査を行い,その現状と対応についての傾向の把握を試みた。その結果,特に東京都において,放置自転車が景観や街路樹へ悪影響を与えている事例が数多く報告された。また,街路樹部署と自転車部署間でこの問題に対して意識の違いがあることも明らかとなり,両部署の意思疎通の有無が,街路樹周辺の放置自転車問題改善に影響することが示唆された。
著者
中橋 洋平 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.262-265, 2007-08-31

街路樹周辺の放置自転車問題をとりあげ,首都圏の自治体にアンケート調査を行い,その現状と対応についての傾向の把握を試みた。その結果,特に東京都において,放置自転車が景観や街路樹へ悪影響を与えている事例が数多く報告された。また,街路樹部署と自転車部署間でこの問題に対して意識の違いがあることも明らかとなり,両部署の意思疎通の有無が,街路樹周辺の放置自転車問題改善に影響することが示唆された。
著者
篠沢 健太
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.545-547, 2008-05-30

河川水辺のエコトーンの自然再生について,ランドスケープデザインをする立場から,また「市民参加」で公園を作る立場から紹介する。対象は大阪府南部を流れる大和川支流の1級河川石川に整備中の石川河川公園「自然ゾーン」である。石川河川公園は,石川の堤外地11.6km, 172.6haに広がる府営公園であり,公園区域のうち中流域の約1.6kmの区間が「自然ゾーン」に指定されている。この区間は他と比べて川幅が広く,連続した低水護岸が整備されておらず,河畔林や高茎草原などの河原の植生が残っている。河川敷に公園が整備される場合,通常,河川水辺は治水を担当する河川関連部局の管轄となり,公園は河川敷(高水敷)の土地を占有して整備されることが多い。しかし石川河川公園の場合,河川と公園を明確に分ける区切りが存在せず,よく言えば一体的な管轄のもとに整備が進められている。一方水辺エコトーンの整備に関して,さまざまな課題も生じている。私は学生時代から河川環境や水辺の公園整備について学んできた。当時は,周辺地域の地形と河川の関係や河川微地形の入れ替わりと植生の単位性について考えていた。安藝皎一が「河相論」で示した,流域の地形・地質と河川水流が生みだす河川の「個性」について,荒川水系や入間川において把握した。また微地形が洪水によって移動して入れ替わると同時に,その上に生育する植生も洪水の頻度や地下水位の影響を受け,河川敷に特徴的な「微地形-植生」の組み合わせが生じることを,鬼怒川水系小貝川や矢作川水系乙川で検討してきた。ただし,それぞれの内容は学術的な研究としては端緒に過ぎず,十分検討できてはいない。芸術大学に勤めるようになって,これらの経験は生態学的な調査・研究としてよりも, 「デザインする」際のコンセプトとして,私のなかで大きな意味をもって現在に至っている。石川河川公園「自然ゾーン」で河川整備に取り組むようになったのは2000年頃からである。以前は通勤途中にその姿を眺め,休日に公園を訪れて,その整備に疑問を持ってはいたが5),河川整備に主体的に取り組むには至っていなかった。縁あって石川流域で自然保全活動をする市民団体と知り合い,当初は一市民として公園行政担当者との会議に参加,やがて石川で自然観察や保全活動をするNPO石川自然クラブの一員となり,現在では大阪府が主催する管理運営協議会に学識経験者として参加するようになった。立場はさまざまであるが,これまでに石川河川公園において私が関わってきた取り組みを紹介したい。
著者
手代木 純 梛野 良明 山口 亜希子 今井 一隆 半田 真理子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.291-294, 2008-08-31

国営昭和記念公園みどりの文化ゾーンの「花みどり文化センター」の屋上庭園「浮游の庭」において,環境負荷低減効果として特殊空間緑化による温熱環境改善効果,および雨水流出遅延効果を解析した。その結果,2007年夏で最も暑い8月16目(最高気温37.6℃)では「浮游の庭」における潜熱フラックスは一日で9.7MJ/m^2あることが明らかとなり,温熱環境改善効果が検証された。またドレーンからの排水量,降水量等の計測結果から,雨水貯留および遅延について効果があること,年間の流出係数は0.76であることが明らかとなった。
著者
三井 雄一郎 岩崎 寛 藤原 道郎 一ノ瀬 友博
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.293-296, 2003-08-31
被引用文献数
2 4

ため池は本来の農業用水としての利用に加え,近年では多様な生物を支える貴重な環境であることが指摘されている。また,農業における管理作業は周辺の植物相に大きな影響を与えていると考えられる。そこで,本研究では兵庫県北淡町のため池において,農業における管理作業が植物相に与える影響について環境要因をとして明らかにすることを目的とした。管理については,護岸の基質,草刈り回数,水位の変化,環境要因に関しては,気温,水面の温度,日射量,土壌含水率,植物相に関しては,出現種および優占群落の調査を行った。その結果,水位変化の影響を受けるため池周縁部下位で上位や提項部と出現種が異なることがわかった。
著者
佐藤 健司 小野 芳 三輪 弌 奥島 修二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.26-31, 2006-08-31
被引用文献数
1 1

近年,ポーラスコンクリートを多自然型護岸に採用する事例が増加しているが,多自然化効果を検証した事例は少ない。そこで,ポーラスコンクリート水路と従来型のコンクリート水路および土水路について動植物調査を行い,ポーラスコンクリートに形成される生物生息環境の特性把握を試みた。その結果,ポーラスコンクリート水路はコンクリート水路と比較して多くの動植物が生息することが明らかとなった。また,ポーラスコンクリート水路内に形成される環境は植生域,底泥域,砂礫域に大別され,それぞれの環境に適応した生物が生息していたため,水路全体の生物多様性を作り出していた。
著者
久野 春子 横山 仁
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.530-541, 2003-05-31
被引用文献数
1 1

大気汚染物質の光化学オキシダントが,24樹種の各個葉の純光合成速度,蒸散速度および気孔コンダクタンスに与える影響を調べて,都市近郊の大気環境下における樹木の生理的特性をみた。1989年4月から10月初旬まで,東京都立川市内に設置された浄化空気室(FAC区)と非浄化空気室(n-FAC区)内で,落葉広葉樹12種,落葉針葉樹1種および常緑広葉樹H種を1/2,000aワグネルポットで育成した。清浄な空気のFAC区において,純光合成速度,蒸散速度および気孔コンダクタンスが高い値を示していた落葉樹は,n-FAC区で大気汚染物質の影響を受け,特に純光合成速度が著しく低下した。対照的に多くの常緑広葉樹は,FAC区において純光合成速度,蒸散速度および気孔コンダクタンスの値が低く,n-FAC区で大気汚染物質による影響はあまりみられない傾向があった。オキシダントによる純光合成速度の低下率を基準にして,大気汚染耐性の強弱をみると,落葉樹のトウカエデ,イチョウおよび常緑樹のサカキ,ヤマモモ,マテバシイは耐性の強い種とみなされた。一方,長期間大気汚染に曝されても,蒸散速度と気孔コンダクタンスが他の樹種よりも高い値を示した落葉広葉樹のポプラ,エゴノキ,ムクノキ,ケヤキ,ハナミズキ,ヤシャブシ,ガマズミ,ミズキそして常緑広葉樹のサンゴジュとシャリンバイは大気汚染物質を吸着する能力が比較的高い樹種であると推定された。
著者
額尓徳尼 堀田 紀文 鈴木 雅一
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.338-350, 2009-11-30
被引用文献数
1

内蒙古自治区全域における砂漠化と緑化事業がもたらした植生変化の実態を把握するために,NOAA/AVHRR の衛星リモートセンシングデータから求めたNDVI(正規化植生指数)を用いた検討を行った。まず,文献から植生変化の実態が明らかな地域において,NDVI の変化と植生変化について比較し,1982~1999 年までの約18 年間における植生の変動を調べた。植生変化が少ない地域でのNDVI の変動から,植生増減を判断するNDVI 変化の閾値を検討し,1982~1986 年と1995~1999 年の夏季NDVI の差を ΔNDVI とし,植生の増減を8km 分解能のピクセル毎に求めた。そして,ΔNDVI により植生が変化した地域を抽出して図化した。その結果,内蒙古自治区全体としては,NDVI が増加した地域の割合が減少した地域の割合を大きく上回り,植生増加の傾向が示された。赤峰市(特に敖漢旗)の植生増加が顕著であり,次いでシリンゴル盟,フフホト市,バヤンヌール市の一部にまとまったNDVI 増加が示され,内蒙古全域においてNDVI が増加した面積が約20 万km<SUP>2</SUP> 程度見られた。北半球の高緯度地域では温暖化によるNDVI の増加が報告されているが,行政区毎に求めたNDVI が増加した地域の面積と,統計資料に基づいて集計した造林面積と耕地化された面積の合計に良好な比例関係が見られ,内蒙古自治区における夏季のNDVI 増加は主に緑化と農耕地の拡大という人為的な要因による植生増加である。一方で,NDVI 減少が抽出された内蒙古自治区西部(アラシャ盟),東北ホルチン砂地周辺などでは,もともと植生が乏しい地域であり,これらの地域では砂漠化による植生減少が指摘された。
著者
森本 淳子 柴田 昌三 長谷川 秀三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.360-366, 2003 (Released:2005-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

京都市近郊林産のコバノミツバツツジとモチツツジの地域性種苗の生産に必要な技術,すなわち種子の貯蔵,播種,苗の育成に関して,適切な方法を明らかにすることを目的に実験を行った。その結果,1)当年結実した果実を採取後,乾燥させ取り出した種子を殺菌処理し冷蔵乾燥貯蔵すると,種子の発芽力は低下しにくい,2)この条件で貯蔵すると,コバノミツバツツジは少なくとも2 年8 カ月間,モチツツジは1 年8 カ月間,高い発芽力が維持される,3)結実の翌年,気象をコントロールしないガラス室で5 月頃に播種すると発芽率は最も高くなる,4)施肥を行わない場合,コバノミツバツツジは水苔に播種し翌年早春に6 cmポットに床替え,モチツツジは水苔に播種し翌年早春に9 cmポットに床替えすると,もっとも生存率が高く,成長量の大きい2年生苗になることが明らかになった。
著者
服部 紘依 木村 圭一 Undarmaa Jamsran 大黒 俊哉
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.157-160, 2023-08-31 (Released:2023-10-12)
参考文献数
19

草原の劣化が進む乾燥地では,播種による緑化効率を高めるための種子コーティング技術の開発が進められているが,その適用には対象地の環境や用途に合わせた手法の適正化が必要である。本研究では北東アジアの荒廃草原における緑化候補植物として注目されているイネ科一年草Chloris virgata Swartz を想定した種子コーティング手法の開発を試みた。結合剤としてヒドロキシエチルセルロースを,充填剤として珪藻土を用いたコーティング手法を検討し,凝集種子数が3種子以上,粒径2.0~4.0 mmのペレットを安定的に作成する作業手順の妥当性を確認した。また,活性炭や尿素等の混合が発芽・伸長の増加に効果的であることを示した。
著者
大西 竹志 石黒 一弘 石栗 太 飯塚 和也 根津 郁実
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.153-156, 2023-08-31 (Released:2023-10-12)
参考文献数
4

都市緑地は,多様な役割があり,最近では脱炭素社会および循環型社会構築への貢献も求められてきている。本研究では,緑化樹木の植栽基盤へのバイオ炭施用によるCO2固定効果を評価することを目的とした。植栽基盤(黒土およびマサ土)に数種類のバイオ炭(木炭,竹炭およびもみ殻くん炭)を混合し,造園樹木の苗木の生育試験(9月~12月)を行った。得られた結果より,CO2固定効果と緑化樹木の生育効果の最適化を考察した。いずれのバイオ炭を土壌に施用した場合でも,植物生育の明確な阻害は確認されなかった。また,バイオ炭の施用割合別に,植栽基盤に固定することのできるCO2量は,0.03~0.24 t-CO2/m3と試算された。
著者
駒ヶ嶺 光 法理 樹里 松下 京平 深町 加津枝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.21-26, 2023-08-31 (Released:2023-10-12)
参考文献数
21

本研究は,小学生時の自然体験と,その後の自然との感情的つながり,環境態度,環境配慮行動との関係性を把握することを目的とした。アンケート調査によってデータを収集し,分散分析を行ったところ,自然との感情的つながりと環境配慮行動の頻度は,小学生時の自然体験の頻度が高いほど有意に高かった。環境態度には自然体験の頻度は関係しなかった。また,自然体験の体験地域は,自然との感情的つながり,環境態度,環境配慮行動に関係しないことが明らかになった。
著者
高砂 裕之 高山 晴夫
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.114-119, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
15

造成地において生じた森林土壌の下層土を起源とする未熟土を対象として土壌分析を行った結果,未熟土は pH 4.9 と酸性で,植栽基盤の整備目標値と比較して養分に乏しく,また,礫含量が多く保水性も低かった。この未熟土にバーク堆肥を 10 vol%と 20 vol%混合すると,養分含量が高まり,有効水分保持量も高まった。また,この未熟土にバーク堆肥(配合量;3,6,9 L/株)と肥料を施用し,アカマツ,コナラ,エノキ,クスノキの苗木による 2 年半の植栽試験を行った。アカマツはバーク堆肥施用量が多いほど樹高と枝張りの相対成長率が高くなったが,株元直径の成長にはあまり差がなかった。一方,エノキは 6 L 区で最も成長が良いなど,バーク堆肥施用量と苗木成長における資源配分との関係や樹種による違いが明らかとなった。
著者
池本 省吾 竹本 勘二郎 木村 勝典
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.184-187, 2012 (Released:2013-04-16)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

生分解性繊維で作られた不織布を加工して円錐形ロングポットを試作した。このポットで数種の直根性の緑化樹を育苗したところ,ルーピングの発生は全く確認できなかった。いずれの樹種も用土による成長差がみられたが,ポットの大きさによる成長差はみられなかった。当該ポットを植栽後,定期的にサンプリングしてポットの腐食程度を調査したところ,目視では目立った劣化は確認されなかったが,引張試験により強度の低下が確実に進んでいることが確認できた。これらのことから,今回試作したポットは,ルーピングしやすい直根性の緑化樹の育苗において今後の利用が期待できる。
著者
近藤 晃
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.144-147, 2022-08-31 (Released:2022-11-22)
参考文献数
11

スギコンテナ苗の育苗技術の構築を目的に,育苗時の潅水方法(底面給水と頭上潅水(常法))が苗木の成長,物質生産および根鉢形成に及ぼす影響について検討した。1 成長期間,両潅水法で育苗したコンテナ苗の苗高,根元径,形状比および苗木乾重(地上部,粗根,細根)には有意な差異は認められなかった。コンテナ苗の地下部は,根系が培地をしっかり包み込んだ根鉢が形成され,培地の崩落や根腐れは認められず,根鉢硬度(山中式硬度計による指標硬度)および細根率には有意な差異は認められなかった。スギコンテナ苗の育苗において,底面給水は頭上潅水と同等な育苗成績を示したことから,有効な潅水法と考えられる。
著者
上小牧 駿 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.215-218, 2021-08-31 (Released:2021-12-29)
参考文献数
15

国外移入種アレチケツメイの発芽特性を明らかにするため,発芽実験を行った。また,アレチケツメイの侵入地である安倍川において,同所的に生育が確認された同属の在来種カワラケツメイについても同様の実験を行った。その結果,アレチケツメイはカワラケツメイと比べて,物理的休眠の打破が起こりにくいこと,乾熱への感受性が低いこと,発芽最適温度が高いことが示唆された。アレチケツメイは永続的な埋土種子集団を形成し,相対的に発芽時期が遅い可能性がある。これらのことから,アレチケツメイは一度侵入すると根絶は困難であり,侵入初期やまだ侵入していない河川においては十分な対応が求められる。