著者
石塚 晴通 小野 芳彦 池田 証寿 白井 純
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.86-87, 2001-03-31

「日下部表」と称する資料は,JIS漢字第1次規格(JIS C 6226-1978)の原典の一つである「標準コード用漢字表(試案)」(情報処理学会漢字コード委員会,1971年)の土台となった漢字表であり,日下部重太郎の著した『現代国語思潮続編』(中文館書店,1933年)に附録「現代日本の実用漢字と別体漢字との調査及び「常用漢字」の価値の研究」として掲げられている。この研究では,(1)JIS漢字の字種の選定に果たした日下部表の位置,(2)日下部表の「別体漢字」とJIS漢字における異体字の扱いとの関係,(3)日下部表に反映した現代日本語の漢字の使用実態,の3点について日下部表の内容を検証し,次の結論を得た。(1)日下部表掲載の漢字6473字のうち,JIS X 0208:1997で符号化可能なのは約90%,JIS X 0213:2000で符号化可能なのは約97%である。(2)日下部表の「別体漢字」796字のうち,JIS X 0208:1997で符号化可能なのは約68%,JIS X 0213:2000で符号化可能なのは約84%である。日下部表の「別体漢字」の枠組みと,JIS X 0208:1997及びJIS X 0213:2000のそれはおおむね合致している。枠組みの精度は同程度である。(3)JIS X 0208:1997に不採録の漢字667字のうち,461字がJIS X 0213:2000に採録されており,これらは現在でも使用の実績が確認できるものである。また,研究・調査のために文字を符号化し電子化テキストとする際に問題となるのは・JISの包摂規準の適用方法である。特に問題となるのは,「互換規準」に該当する29組の漢字,人名許容字体別表・常用漢字康煕別掲字の漢字104字,及び包摂規準の変更・追加に該当する漢字であり,これらに留意し,適用した包摂規準を明示すれば操作可能なかたちで情報交換が可能である。
著者
小野 芳朗
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.417-420, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
18

Osaka Castle Park and the tower were rebuilt in 1931 celebrated for the accession of Showa Emperor. The style of the castle tower was studied historical investigation through the building by Prime Minister, Hideyoshi Toyotomi to reconstruct the space of the end of 16 C. However, the building as the heritage and the modern equipment coexisted by the construction of a building of Headquarter on Military Army Division. In this paper, an authentic design concept was discussed by a primary designer of Osaka Castle Park, Hyo’ichi Shiihara who was an engineer of Ministry of the Palace and moved to the Osaka City Bureau in 1920 as a chief of Park section. It becomes clear the description of his design concept with Osaka Castle Park by the comparison between a document written in the year when he moved to Osaka City and the one written after the construction of the Park. His primary concept was the construction of the space of the Emperor in Osaka City like to Tokyo, Kyoto and Nagoya, for example, the Palace as the Imperial Villa and the historical museum of the Emperor’s family and ancestors. As an engineer of Osaka City, his concept on the Park would change to the one beside the standard shown by the City Planning Bureau of National Government.
著者
小野 芳秀
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku fukushi university (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-60, 2017-03-17

本研究の目的は,希死念慮のある思春期児童を対象としたスクールソーシャルワークにおいて,支援を目的とした "かかわり" の手段として,近年 10 代の若年層にもユーザーが増大している SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を用いた事例について考察し,そのメリット(有効性)とデメリット(限界・注意点)を整理することである。SNS を用いたスクールソーシャルワークの実践事例を分析した結果,SNS 活用のメリットとして,既読表示や交信履歴の縦覧機能等を活用でき,自殺防止を目的とするゲートキーパーとしてのモニタリング効果が期待されることが明らかとなった。一方,デメリットとして,SNS を支援ツールとして用いる場合は,予め時限的活用やバウンダリーの配慮が成されないと,被支援者の転移の把握とコントロールが困難であり,頻回相談により支援者の負担が大きくなること,特に対象者が危険因子として精神疾患を有する場合は,精神症状を刺激する可能性もあり,医療と福祉的支援の連携による家族を含めた生活環境への現実的かつ具体的介入が同時に必要であることが判った。この結果により,実効性のあるソーシャルワーク実践,とりわけスクールソーシャルワークにおける "生命の危険を伴う"緊急度の高いケースや当事者達に "困り感" が欠如しているような支援困難ケースにおいては,子どもや保護者に接触できる専門的スキルを持った支援者が,関係機関の連携による支援体制のもと,本人主体を原則としながらも,当事者たちの問題解決のための方法を選択するための改善策の提示や,主体的に問題解決に取り組むための意識変容を目的に誘導的に介入する意識的 "かかわり" による積極的支援が必要であり,これらの支援ツールとして適切に用いれば SNS は有効であると結論づけた。
著者
建石 由佳 小野 芳彦 山田 尚勇
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.25(1988-HI-018), pp.1-8, 1988-05-09

日本文の表面の情報から、構文や意味によらないでその文章の読みやすさを評価する式を、読みやすさと関係のある表面情報のうちの4種類、すなわち(1)文の平均の長さ(文字数)、(2)各文字種(英字、ひらがな、漢字、カタカナ)について、その文字種の連(同一文字種の文字の一続き)の相対頻度、(3)文字種ごとの連の平均の長さ、(4)読点の数の句点の数に対する比、から線型式により求めた。主成分分析により、読みやすさに関係のある成分を見つけ、その計算式を評価式とした。この成分はサンプルとしてとった科学技術系の日本文におけるスコアの分布が、読みやすさについての経験的知識とよく一致した。また、このスコアを読みやすさの指標に使えることを、クローズ法と、それにかかる時間の計測とを用いた実験により確かめた。
著者
小野 芳彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.404-414, 1990-03-15

2ストロークコード入力であるTコードの使い勝手を良くし また実務に就くまでの練習期間を短くするために 二つの補助入力方式を開発した.一つは字単位の合成を行うもので Tコードで入力した2文字の字形を組み合わせてその字形をもつ漢字を入力フロントエンドが探索することによってコード化されていない文字でも入力できるようにしたものである.JIS X 0208の全漢字について字形を二つの部品に分ける試みを行い 2文字から直接 あるいはその部品から間接に合成を行って目的の漢字を検索するアルゴリズムを実現した.これは 従来の字形入力がもつコードの重なりを極端に低くしている.もう一つはコード化入力方式に熟語のカナ漢字変換機能を融合したもので 被変換表記にTコードで入力できる漢字を交ぜるようにした方式である.これによってカナ漢字変換の欠点である同音語の選択の濃度を低くでき 変換結果を目視しないで打鍵を続ける可能性を高くした.通常の設計では辞書の大きさが数倍にふくれるのを コードの習得グレード別の辞書を作るという方式で押さえている.
著者
小野 芳朗
出版者
土木学会
雑誌
土木史研究 講演集 (ISSN:13484346)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.47-52, 2009

御所用水は京都盆地北部の上賀茂神社が水利権を有していた京都盆地流入の淡水用水路群のうち、小山郷を灌漑し、御所の御庭用水や防火用水であった。明治維新以降、水量・水質的に確保の難しくなった用水を天皇の故郷、京都御所の防火のため、琵琶湖疏水を引水する。疏水の当初計画の北上ラインの目標は御所用水であった。本論では、この用水が京都御所・御苑のみならず、元治の蛤御門の変で焼失した上京の防火をも意図していたことを資料的に明らかにした。
著者
高田 智和 石塚 晴通 小野 芳彦 豊島 正之 赤尾 栄慶 池田 証壽 大槻 信 小助川 貞次 白井 純 當山 日出夫 横山 詔一
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

奈良時代から現代までの日本の漢字(日本の筆写漢字に多大な影響を与えた唐から宋時代の中国漢字も含む)について、公的性格・規範性の高い文献での用例整理と、私的性格の強い文献での用例整理に基づき、歴史的変遷・共時的異化の二面からなる資料体を作成した。また、この資料体の作成により、漢字字体の基礎概念を明確化し、字体編年基準の透明化を行い、その知見を『漢字字体史研究』(石塚晴通編、勉誠出版、2012年)として公刊した。
著者
小野 芳秀
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.111-135, 2022-03-18

実習生としてのレディネス(準備性)を明らかにすることを目的に,精神障害の当事者性を有する実習生を対象に「実習中困難だったこと」,「実習中困難だったことにどう対処したか」,「実習中困難だったことを回避するための方法」について実態調査を行った。実習中に遭遇する「困難さ」として,「実習指導者との関係性の困難」,「精神障害特性による困難」「利用者・患者との関係性の困難」「外的要因による困難」のカテゴリーが抽出され,実習生としてのレディネス(準備性)として「自己覚知」,「自己コントロールを含むセルフケア」,「対人コミュニケーション」,「自身を含む状況の俯瞰視」,「自身が困難を抱えていることを表明できる」の5 つのスキルに対する視座が明らかとなった。今後の課題として,実習生としてのレディネス(準備性)の状態を把握するためのアセスメント(査定)基準の設定及びアセスメントの方法,実習生としてのレディネス(準備性)が獲得されていると判断され得る一定の基準に到達するための効果的な教育プログラムの開発の必要性が確認された。
著者
小野 芳朗 小野 芳朗 水藤 寛 毛利 紫乃
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

化学物質の影響は、子供が感受性が高い。その曝露シナリオのモニタリング指標として、子供の集積する小学校の桜の葉を選んだ。桜はほとんどの小学校に植えられている。岡山市内19の小学校に許可を得て、4月から11月までの間、桜葉を採取した。得られた葉を、ひとつはチトクロームP450誘導を知るEROD活性を測定した。これらの測定に係わり、葉中の繊維を溶かすなどのテクニックを導入した。EROD活性は概して道路近傍の小学校に多い傾向がみられたが、有意な差をみることは難しかった。そこで、多環芳香族炭化水素類(Poly Aromatic Hydrocarbon : PAH)を測定した。対象とした小学校は、岡山市内を横断する国道2号線(片側3車線)をはじめ、主な国道沿いの立地や、市南部の工場地帯の立地、山間部の立地など特性をもたせた。その結果、概して道路近傍の小学校の桜葉は、PAHに汚染されていることがわかった。また南部工場地域の小学校のPAHが最も高く、移動発生源である自動車よりも国連発生源である工場の影響が強いことが示唆された。また、PAHの由来をオイルと燃料由来に分けて検討した結果、燃料由来の比量が大きく、大気中の排ガス発生源のものを桜葉が吸収していたことが明らかになった。さらに、これら桜の葉との相関をとるために、桜木の下の土壌、当該小学校における大気をサンプラーによって収集かつ近傍道路において道路近傍の大気、じんあいを採取し、これらのPAHと桜葉中のPAHの相関を求めたが、明確な相関はでず、桜葉中のPAHは、これら複数の要因の複合により形成されていることが示唆された。
著者
森下 剛久 清水 鈴昭 井村 洋 岡本 昌隆 小野 芳孝 斉藤 稔 中村 康一 松井 俊和 重村 はるひ 井野 晶夫 江崎 幸治 平野 正美
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.627-639, 1984 (Released:2009-01-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Pulmonary complications were studied in 213 patients with leukemia and lymphoma. The incidence of pulmonary lesions was 38.5% and diffuse changes were encountered twice more frequently than localized ones. Etiological diagnosis during life was difficult. In 38 out of 62 cases with diffuse lesions, their etiology was not determined. In 9 out of 28 cases with localized lesions their etiology was not clear. In some of these cases autopsy clarified their etiology.Among localized cases, infection, mainly of bacterial origin and infiltration of underlying diseases were two main etiologies. On the other hand, diffuse lung lesions were of various etiology; 29 infections (bacteria 8, fungus 9, virus 8, p.carinii 2), 11 tumor infiltrations, 11 interstitial pneumonia, 3 vascular origins. In these cases with diffuse lesions of different etiology, clinical findings such as fever, cough, dyspnea, low PO2, high LDH, increased CRP, and hypoalbuminemia were observed, but not helpful in differentiating the etiology. Eight out of 11 cases of interstitial pneumoonia occurred during or after tapering of glucocorticoid.The mortality rate was as high as 54.4% of all lung diseases. Retrospective studies on the chest X-ray pictures showed that diffuse ill-defined opacities or multilocated consolidations were associated with poor prognosis.The diagnostic value of transbronchoscopic lung biopsy and therapeutic implications of empirical glucocorticoid administration for etiologically undiagnosed lung lesions were also discussed.
著者
小野 芳朗 宗宮 功
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.38-47, 1983-06-24 (Released:2010-06-15)
参考文献数
64
被引用文献数
2

京都市水道は明治45年 (1912) に京都市三大事業の一環として敷設され、琵琶湖疏水を上水源とした。明治期における都市の水道建設の動機の例にしたがい、京都も古来より豊富良質とされていた地下水の汚染がコレラ等の伝染病流行の原因になったためとされる。ところがわが国には明治以後、上水道技術とともに下水道技術も同時に伝来し、いつれを先に建設すれば都市衛生上好結果をえられるか、という議論がなされている。京都においては、他の都市に比較すれば良質なる地下水を飲料水とし、市民の水道への関心はむしろ薄く、衛生上、下水道建設の要望が強かった。上水下水選択論争は、水力電力増強の目的も兼ねた琵琶湖第二疏水建設の計画の登場により、上水道工事優先が決定され、下水工事の着手は昭和に至るまで待たねばならなかった。
著者
小野 芳彦 山田 尚男 池田 研二 斎藤 正男 山田 尚勇 大岩 元 小野 芳彦
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

前年度までの研究で、日本文の入力作業を大脳半球の言語作業優位性と操作空間作業優位性の問題としてとらえることの妥当性を実験的に検証した。本年度は最終年度であるため、研究のとりまとめを中心とした。1.操作空間作業であるタイピング作業を操作空間的に学習させるTコード練習システムの有効性を、獲得したコードの打鍵誤りの分析から示した。これは、コードの記憶誤りが記憶の空間的な構造を反映して特異な偏りを示すことを説明できるものである。2.Tコードの練習過程におけるコードの獲得を含めた習得経過のモデル化と、モデルの適用による練習文の評価をおこなった。文字をみてコードを打鍵することの繰り返しがコードの獲得につながる。一般的に、肉体的あるいは認知的作業速度の上達は繰り返しの回数の定数乗に比例するという法則を満たすが、打鍵速度の上達も、個々の文字の打鍵について同じ法則を適用して説明できることを示した。ただし、短期記憶に保持されたコードが再利用されない場合に限られる。初期の練習ではその保持できる文字数が2であることが観測された。ここで、練習文に同じ文字や文字列パターンの繰り返しがあると、それらは短期記憶に貯められ、コード獲得には役立たないことが示唆される。3.上記のモデルから、濃密ではあるが短期記憶に保持できないパターンの練習文を設計した。この新しい練習文による打鍵実験を新たな被験者に対して行ない、モデルの検証を合せて行った。実験データーから、短期記憶の保持文字数が2ないし3であることの確認ができた。さらに、句読点の直後には、短期記憶の消去が伴いがちであること、すなわち、練習文の読み取りのために短期記憶が占有されてしまうことが確認できた。
著者
小野 芳秀
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku fukushi university (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-60, 2017-03-17

本研究の目的は,希死念慮のある思春期児童を対象としたスクールソーシャルワークにおいて,支援を目的とした “かかわり” の手段として,近年 10 代の若年層にもユーザーが増大している SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を用いた事例について考察し,そのメリット(有効性)とデメリット(限界・注意点)を整理することである。SNS を用いたスクールソーシャルワークの実践事例を分析した結果,SNS 活用のメリットとして,既読表示や交信履歴の縦覧機能等を活用でき,自殺防止を目的とするゲートキーパーとしてのモニタリング効果が期待されることが明らかとなった。一方,デメリットとして,SNS を支援ツールとして用いる場合は,予め時限的活用やバウンダリーの配慮が成されないと,被支援者の転移の把握とコントロールが困難であり,頻回相談により支援者の負担が大きくなること,特に対象者が危険因子として精神疾患を有する場合は,精神症状を刺激する可能性もあり,医療と福祉的支援の連携による家族を含めた生活環境への現実的かつ具体的介入が同時に必要であることが判った。この結果により,実効性のあるソーシャルワーク実践,とりわけスクールソーシャルワークにおける “生命の危険を伴う”緊急度の高いケースや当事者達に “困り感” が欠如しているような支援困難ケースにおいては,子どもや保護者に接触できる専門的スキルを持った支援者が,関係機関の連携による支援体制のもと,本人主体を原則としながらも,当事者たちの問題解決のための方法を選択するための改善策の提示や,主体的に問題解決に取り組むための意識変容を目的に誘導的に介入する意識的 “かかわり” による積極的支援が必要であり,これらの支援ツールとして適切に用いれば SNS は有効であると結論づけた。
著者
小野 芳朗 西寺 秀 中嶋 節子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.676, pp.1513-1520, 2012-06-30 (Released:2012-07-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Biwako canal in Kyoto City was constructed in the period from 1885 to 1890 in order to supply water for irrigation systems and develop the utilization of water power, transportation by ship and so on. There were 2 routes on the canal, the one was the route in Ohtoh area beside eastern district of Kamo river for the transportation and later also for hydroelectric power, the other was the route of north-east area of Kyoto for the irrigation. The expropriation performance of the canal was discussed in this paper depended on the maps drawn in the construction and the cadastre on expropriation. The new city planning in the Ohtoh area, especially road networks along the canal was designed, and the canal route was determined to decrease flow rate and to choose the low cost expropriation.
著者
小野 芳朗 前田 健太郎 石田 潤一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.289-294, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2

大阪市の御堂筋は北は阪急前(大阪駅前)から南の難波駅まで1920年代の都市計画の中で設計された。その並木は汚染された大阪の大気を浄化する目的があった。近年、御堂筋のイチョウは大阪のシンボリックな景観として認識されている。しかし当初の御堂筋並木は、北方はプラタナスであり、南方がイチョウであった。本論文では、この御堂筋並木の設計案、工事の実態、その建設と設計に関わった関係者について大阪市の都市計画公文書により実証した。
著者
白幡 洋三郎 村井 康彦 井上 章一 小野 芳彦 山地 征典 園田 英弘 村井 康彦 飯田 経夫 山折 哲雄 イクトット スラジャヤ 長田 俊樹 白幡 洋三郎 セルチュク エセンベル
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

平成6年度は、イスラム文化圏における日本の生活文化の受容調査であり、対象国としてトルコを選び、イズミール、アンカラ、イスタンブールを中心に調査を行った。トルコはイスラム文化圏とはいえ、近代化に一定の成功をおさめた国であり、生活用品の分野においては先進国と同様の工業製品がみられるものの、日本製品はきわめて少なかった。また親日国であるといわれているにもかかわらず、教養・実用・趣味・娯楽等の分野においても日本にかかわりのあるものは意外なほどに見つからなかった。むしろ西洋、とくにドイツとの関係が著しいことが確認できた。このことにより、トルコをイスラム文化圏と見るとともに、西洋文化圏もしくは西洋文化に強く左右されている文化圏と見て、日本文化とのかかわりを考察すべきであろう。平成7年度の対象地域は南アジア・東南アジアであった。ベトナムにおいては、ベトナム戦争終結後、社会主義政権が新たな経済政策をとり、その安定的発展によって民衆の生活に新しい展開が生まれている。その新しい展開の中に日本の伝統的な文化に属す茶道・華道なども、一定の受容が見られる。しかしとりわけ日本の生活文化としては、現代の大衆文化と見てよい電化製品の普及やカラオケ・コンピュータゲームなど娯楽分野での受け容れがきわめて顕著に見られた。また、もともとは中国経由で入ってきた盆栽が、日本語のBONSAIとして広まっている。すなわち中国経由の既存文化が、外からの刺激(日本の文化)によって新しい展開を見せている点で注目される。文化の盛衰を構造的に分析する材料として重要だと考えられる。またインドにおいては、日本の生活文化の進出はきわめて低調であり、大衆文化としてほとんど受け入れられていないことがわかった。華道や俳句では、知識人を核にした富裕層にのみ愛好会や同好会の形で存在している程度である。これは国民の所得水準によって規定されているものと考えられ、日本の生活文化の普及を大衆レベルでの異文化受容と考えた場合、経済的な要因が大きな困難となる実例であろう。タイにおいては、広い分野での日本の生活文化の受容が見られる。とくに日本の食品や生活用品はすでに広く生活の中に定着している。日本食やインスタントめんなどは、日本の手を放れ自前で独自の加工を施したものも豊富に出回っている。マンガは日本のものが翻訳されて各種出版されており、タイ人の手によるタイ語ならびに中国語の漫画が出回るほどになっている。娯楽や実用・趣味の分野でも日本の生活文化は広く受容されていることがあきらかとなった。平成8年度の調査地域である旧社会主義圏では、生活必需品のレベルでの日本の生活文化受容が見られたものの、それ以外での、「教養」「精神」「趣味」「娯楽」など、経済的な余裕に左右される分野での受容は乏しいことが明らかとなった。この地域では、社会主義政権の崩壊後、生活は不安定になったが、一方で西側諸国からの物資・情報が、以前より広範に流入している。従って、旧社会主義政権下にくらべて「異文化」の受容は進んではいるものの、その範囲は狭い。テレビ、冷蔵庫、オ-ディオ機器などの電化製品では、高価な日本製はあこがれの的だが、日本製を装ったものが市場に流通しており、特異な日本の生活文化受容が見られる。社会主義政権の崩壊に急激な暴力革命が伴ったル-マニアでは、経済復興が遅れており、国民生活に余裕がなく、日本製品に限らず西側の製品全般が贅沢品とみなされ、これらの需要は低迷している。華道・茶道・盆栽・俳句などの教養分野は、わずかに一握りのインテリ層に受容され、禅や宗教など精神文化の領域は表面にはまったく現れていない。日本の生活文化を大衆レベルでの海外への進出からとらえると、受容する側の生活水準に規定されることが明らかになった。したがって、文化の通文化性に関しても、その文化項目固有の「通文化性」は、受け入れる側の経済的、文化的状況に大きく左右されるといえるであろう。
著者
小野 芳彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.404-414, 1990-03-15
被引用文献数
2

2ストロークコード入力であるTコードの使い勝手を良くし また実務に就くまでの練習期間を短くするために 二つの補助入力方式を開発した.一つは字単位の合成を行うもので Tコードで入力した2文字の字形を組み合わせてその字形をもつ漢字を入力フロントエンドが探索することによってコード化されていない文字でも入力できるようにしたものである.JIS X 0208の全漢字について字形を二つの部品に分ける試みを行い 2文字から直接 あるいはその部品から間接に合成を行って目的の漢字を検索するアルゴリズムを実現した.これは 従来の字形入力がもつコードの重なりを極端に低くしている.もう一つはコード化入力方式に熟語のカナ漢字変換機能を融合したもので 被変換表記にTコードで入力できる漢字を交ぜるようにした方式である.これによってカナ漢字変換の欠点である同音語の選択の濃度を低くでき 変換結果を目視しないで打鍵を続ける可能性を高くした.通常の設計では辞書の大きさが数倍にふくれるのを コードの習得グレード別の辞書を作るという方式で押さえている.
著者
小野 芳朗
出版者
土木学会
雑誌
景観・デザイン研究講演集
巻号頁・発行日
no.5, pp.227-232, 2009-12

本論では,景観は「開発」され「発見」されるものとして,内務省顧問,東京帝国大学教授の田村剛の景観に関する言動を実証した.岡山後楽園における田村の発言は,大名庭園の見方を提示し,近代後楽園像を「発見」した.また瀬戸内海国立公園における山頂からの大観も「発見」は,地元により「開発」され,それらが田村の基準にかなった場が編入されていった感がある.こうした主知的な風景への感性が,システム化され,規定されていく事例をあげ,景観工学の問題提起とした.