著者
上村 郷志 稗圃 泰彦 小頭 秀行 岡本 泉 竹原 啓五 中村 元
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.81-86, 2008
参考文献数
8

テレビ・ラジオ番組など特定のイベントを契機として発生するアクセス要求は,短時間に特定のサーバに集中する傾向があり,そのアクセス数は平常時のそれをはるかに上回るため,当該サーバの不安定動作あるいはシステムダウンを引き起こすことがある.本稿では,整理券を用いることにより,特定のサーバに集中するユーザからの大量のアクセスを所望のレート以下に制御するアクセス制御システムを提案する.提案システムでは,新たに導入するアクセスパスサーバにおいて,ユーザ端末がエンドサーバにアクセスするまでに待機すべき時間を整理券に記載して発行することにより,エンドサーバにおける同時接続セッション数を所望の数以下に制御する.また,提案方式を実装したプロトタイプシステムは,モバイル端末向けスクリプトであるFlash Liteを用いてユーザ端末の動作を制御し,ユーザ端末およびエンドサーバへ特別な改修を施すことなく,実稼働中のシステムへ導入することが可能である.
著者
横井 健司 松下 恭昌
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 37.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2013-02-26 (Released:2017-09-21)
参考文献数
9

立体映像視聴時の視覚疲労に関しては様々な研究が行われているが、映画のように受動的に視聴する条件が多く、ゲームのように能動的に視聴する場合の影響についてはよく分かっていない。そこで本研究では、能動的にゲームをプレイした場合と受動的にプレイ中の映像を視聴した場合で、2Dと3D時の視覚疲労を比較した。また、一般的な立体映像の問題として、頭部を動かしても運動視差が生じず形状や奥行きの歪みとして知覚されてしまう点がある。このことが頭部運動に影響し疲労の要因となっている可能性も考えられるため、視聴時の頭部運動についても計測を行った。実験の結果、能動的に視聴した際は受動的視聴時よりも視覚疲労が少なくなる傾向が示された。頭部運動に関しては、3D視聴時に横方向の頭部運動が増加する等の変化が見られ、視覚疲労との間に関連性があることが明らかとなった。
著者
九鬼 孝夫 鴨田 浩和 津持 純 岩崎 徹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.65-70, 2010
参考文献数
4

NHK放送技術研究所で進めている「電波テレビカメラ」の研究を紹介する.電波は霧や煙のような光を遮るものも透過するため,遮へい物に隠れて見えない被写体も撮影できる.事故や火災などの災害報道での利用を目指し,電波を用いて被写体を撮影する技術の研究を進めている.60GHz帯ミリ波を用いた装置を試作し,マネキンを撮影した実験の結果,解像度不足ではあるがマネキンの存在が認識できる程度に撮影できることがわかった.また,霧やカーテン,薄いベニヤ板などの遮へい物越しにもマネキンを撮影できることも示した.ただし,得られた画像の解像度やフレーム周期は不十分であり,改善が必要である.そこで,フレーム周期の高速化を目的とした,電波テレビカメラ受信アンテナ用のリフレクトアレーアンテナの検討結果についても述べる.
著者
田中 誠二 河村 典子 田丸 雅也
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 36.18 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2012-03-23 (Released:2017-09-21)
参考文献数
2

写真フィルムの粒子構造をヒントに、単板撮像素子特有の色モアレの発生を抑えることを可能にする撮像素子「X-Trans CMOS」を開発した。この撮像素子はカラーフィルタ配列の非周期性を高めることにより、高周波折り返りによる色モアレの発生を抑えることを可能にする。色モアレの発生が抑えられたことで、従来の色モアレ低減手段であった光学ローパスフィルタが不要となり、レンズ性能を限界まで引き出せる撮像システムを実現させることができた。
著者
坂東 幸浩 高村 誠之 上倉 一人 八島 由幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 33.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.13-17, 2009-02-04 (Released:2017-09-20)
参考文献数
10

近年、撮像系のフレームレートの増加は目覚しく、1000[Hz]を超える高フレームレート映像が撮影可能となっている。一方、現行のディスプレイの上限は60[Hz]程度であり、映像の入力・出力システムのフレームレートの上限は非対称である。高速度カメラで撮影された映像を実時間再生で表示する場合には、フレームレートのダウンサンプリングが必要となる。従来、ダウンサンプリング後のフレーム間隔を等間隔に保つようにダウンサンプリングが実施されていた。これは、フレーム間隔を非等間隔にした場合、ジャーキネスが発生するという知見に基づくものである。しかし、ダウンサンプリングの対象が高フレームレート映像の場合、フレームが時間方向に高密度にサンプリングされているため、等間隔からの乖離が一定閾値以内であれば、フレームを厳密に等間隔に選択しなくても、視覚的には、大きな画質劣化(ジャーキネス)を発生しない。したがって、ダウンサンプリング後のフレーム間隔に対する等長性という制約条件を緩和することができる。この制約条件の緩和により、ダウンサンプリング後のフレーム選択に関する自由度が高くなる。視覚的に同等画質であれば、符号量が小さなシーケンスであることが望ましい。そこで、本稿では、ダウンサンプリング後のシーケンスに対する符号化効率の観点から最適なダウンサンプリング法を検討する。具体的には、ダウンサンプリング時にフレーム間予測誤差電力を最小化するようフレームを選択する。均等間隔にフレームを間引く方法と比べて、提案手法はフレーム間予測画像のPSNRを0.13〜0.23[dB]向上きせることが確認できた。
著者
板宮 吉宏 御手洗 紘子 吉高 淳夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 37.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.43-46, 2013-02-26 (Released:2017-09-21)
参考文献数
10

良い写真を撮るためには主題を明確にすることが重要である.写真構成要素の配置を考慮する構図には主題を明確にする効果がある.本稿では構図と顕著性に基づく写真撮影支援手法を提案する.事前調査より,写真撮影のプロフェッショナルは写真1枚当たり平均約1.7個の構図を適用して写真を撮ることが分かった.そこで,提案手法では認識された構図と共起性がある構図を考慮し,一つまたは複数の構図を適用させた提案構図を算出する.提案構図は撮影者へ提示し,主題を明確にするための撮影支援を行なった.評価実験の結果,構図の配置による写真の有意差は認められなかった.しかし,SD法を用いた主観評価において,提案手法で撮影した写真に構図の効果を表す心理量が確認できた.
著者
山田 邦男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2016 (Released:2019-05-30)
参考文献数
2

一般的なBT. 709規格の色域で制作されたコンテンツを、スーパーハイビジョン規格であるBT. 2020の色空間に適合させ、さらにその広色域を生かした色域拡大を行うような変換処理手法の開発を行い、映像情報メディア学会の4K/8K性能超高精細・広色域標準画像を用いて評価した。
著者
峯松 史明 渋谷 一彦 小原 良之 岩崎 徹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
巻号頁・発行日
pp.61-64, 2012-07-12 (Released:2017-09-21)
参考文献数
4

特異な気象条件によって引き起こされるダクト伝搬等の異常伝搬が発生すると,当該放送エリアに関係の無い遠方の地上デジタル放送波が到来し,地上デジタル中継局や,家庭での受信において混信を引き起こすことがある.一般に混信波は伝搬状態が不安定であることや希望波にマスクされてしまうことから,混信局の探索は,極めて困難であることが多かった.筆者らは今回,迅速な混信局探索を実現する装置として,ネットワークID推定機能付きISDB-T受信機,ISDB-T混信波抽出装置の開発を行ったので,これら装置の概要と,性能確認実験の結果について報告する.
著者
松崎 宏紀 迎山 和司
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.11 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.191-194, 2016-03-02 (Released:2017-09-22)

本研究ではメンコ遊びに対して様々な演出を付加するシステムを制作し,体験者の反応が良くなる演出の検討・調査を行った.テレビゲームなどといった現代の遊びはアニメーションや仮想的な演出が豊富である.しかし昔の遊びは演出が少ない.そこで,現代風のアニメーションや仮想的な演出を昔の遊びに付加することで体験者の満足度が向上すると考えた.本研究の目的は,複合現実感を用いてメンコに演出を付加するシステムを制作し,満足度が向上する演出の調査を行うことである.複合現実感とは現実世界に仮想情報を重ね合わせる技術全般のことである.
著者
城居 俊希 岩下 志乃
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.51-54, 2011
参考文献数
6

本研究では,名前を覚えるという場面において,異なる媒体を用いた場合の記憶力の特徴について被験者実験により明らかにすることを目的とする.実験で使用する媒体はディスプレイ,名刺,音声の3種類である.被験者に4人の顔写真データと各媒体で示される名前を5秒間ずつ提示してその組み合わせを記憶させ,後から顔写真を見て名前を解答させる実験を行い,その正答率を分析する.顔写真は男性のみ,女性のみ,男女混合の各組み合わせで用意する.実験結果から,単体の媒体による記憶量の差は大きくなかったが,媒体の違いや性別の違いによって間違え方に差があることが確認できた.また,提示順では最初に提示した名前がよく印象に残り,最後に提示した名前が最も正確に覚えられるということが分かった.
著者
小郷 直人 池田 哲臣
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 35.21 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.9-12, 2011-06-09 (Released:2017-09-21)
参考文献数
6

放送事業用の連絡無線はVHF帯(160MHz帯)を使用し,報道や番組制作における連絡手段として利用されている.本稿では,携帯型無線機をモデル化し,人体頭部近傍に無線機を設置したときのアンテナ利得,放射パターンへの影響について数値人体モデルを用いて検討した.その結果,人体頭部とアンテナの距離が100mm以上離れていれば水平面内のアンテナ利得,および放射パターンはアンテナ単体と比較して劣化がほとんどないことがわかった.
著者
平澤 諒一 高橋 裕樹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 38.16 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.101-102, 2014-03-10 (Released:2017-09-21)

顔の一部が隠れる状態,特にマスクをして口と鼻が隠れている状態を想定し,不完全な顔情報を用いた表情識別を行った.目の周辺の8個の特徴点をActive Appearance Modelsを用いて抽出し,各特徴点同士の距離の二乗や角度といった特徴量を求め,特徴量をもとにSupport Vector Machineによる機械学習を行った結果,37.58%の適合率および37.12%の再現率を得た.
著者
松嵜 直幸 佐藤 隆夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.33 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.131-136, 1997-06-03 (Released:2017-06-23)

Johansson (1973) showed that human movements such as walking can be recognized from a small number of dots fixed at various parts of the body (biological motion). We investigate whether people can also recognize facial expressions of emotion from movement of a small number of dots and the roll of motion information on recognition of facial expressions. Our results reveal that motion of as few as 18 dots attached to appropriate locations on a human face provides sufficient information to recognize facial expressions.
著者
寺本 渉 吉田 和博 浅井 暢子 日高 聡太 行場 次朗 坂本 修一 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-44, 2012
参考文献数
22

情報通信技術の発展に伴い,より自然でリアルなコミュニケーションシステムへの期待が高まっている。それを実現するためには,情報の受け手である人を意識し,臨場感や迫真性など高度感性情報の創出・評価技術を確立していく必要がある。本稿では,まず,バーチャル・リアリティ(VR)や立体映像・立体音響分野で,従来用いられてきた感性情報である臨場感を取り上げ,質問紙調査から得られたデータに基づき,臨場感とは何かについて議論を行う。次に,背景的な「場」の本物らしさに関係すると考えられる臨場感に対して,前景情報を中心とした本物らしさに関連すると考えられる感性印象「迫真性」を取り上げ,両者の相違について実験データを示す。最後に,VRを通じたコミュニケーション場面で問題となる他者の存在感(臨(隣)人感)について,最近行った評価の試みを紹介する。
著者
花岡 一孝 居山 裕一 佐々木 貴啓 青山 伊織 石原 朋幸 屋敷 正史 高瀬 賢司 宮田 英利 吉田 秀史
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.13 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.21-24, 2016-03-04 (Released:2017-09-22)

高速応答性能を持つ新規液晶モードの開発により、従来より実現が困難とされてきたフィールドシーケンシャルカラー方式ディスプレイを実現した。さらにそれを透明、白(カラー)、黒の三状態を表示可能な、透明ディスプレイへ応用した。このディスプレイはカラーフィルターを持たないため(1)高透過率であり、光源のRGB-LEDをダイレクトに表示するため(2)高演色であり、光の回折を小さく出来るため(3)表示のボヤケが無くクリアな透明表示が可能である。また液晶パネルの背面に透明導光板が配置され、エッジに置かれたLEDが点灯すると、その光は導光板を伝搬中に散乱され、白表現(カラー表現)を可能とする。
著者
武藤 隆 戸塚 洋史 坪井 俊紀 吉田 大介 松野 靖司 大村 昌伸 高橋 秀和 櫻井 克仁 市川 武史 譲原 浩 井上 俊輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.29-32, 2016-03-04 (Released:2017-09-22)

我々は,消費電力の増加を抑制し,AD変換時間の短縮と広ダイナミックレンジ化を実現するデュアルゲインアンプ型シングルスロープ列ADC(SSDG-ADC)を搭載したAPS-Hサイズ2.5億画素CMOSイメージセンサを開発した。SSDG-ADCは,画素の信号レベルがある閾値レベルより低いときは列回路に設けられたアンプのゲインを高ゲインに設定し,閾値レベルより高いときは低ゲインに設定する手法である。その結果,シングルスロープ列AD(SS-ADC)に対して,AD変換時間を75%短縮し,6dBのダイナミックレンジ拡大を実現した.
著者
斉田 智也 牛田 啓太
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 36.16 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.137-140, 2012-03-09 (Released:2017-09-21)
参考文献数
4

本稿では,切り絵,中でも寄席などで演じられる,輪郭線と少ない切り込みで表現される「紙切り」に着目し,3Dモデルから紙切り風の画像を生成するシェーダプログラムを検討・実装したのでこれを報告する.シェーダは,3Dモデルの,深度情報および面の法線情報に基づき,切り込みが入る箇所の候補を求め,紙切りの特徴を再現するように切り込み箇所を決定する.実装したシェーダプログラムを用いて,さまざまな3Dモデルから紙切り風画像を作成できた.また,生成データに基づき,カッティングプロッタを用いて3Dモデルから紙切りの実物を作製できた.
著者
増谷 光正
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-11, 2000
参考文献数
14

The basic features of infrared imaging is described. and the technical bases necessary to support a good infrared imaging are discussed. and also this paper reviews the outlook of IR imaging technologies.
著者
小岩 正明 関 清三
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 22.68 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.37-42, 1998-11-27 (Released:2017-06-23)

ベースバンド帯においてルートロールオフフィルタにより帯域制限された, 搬送波周波数10.7MHz, 符号伝送速度64kS/sのQPSK実験システムに対して, チャネル間干渉の実験的検討を行った.各ロールオフ率αに対して, 正規化チャネル間隔X_dを変化させた時の搬送波対雑音比(CNR)に対する符号誤り率(BER)特性測定を行ったが, チャネル間干渉信号を熱雑音とみなして求めた計算値と測定値が異なった.この結果より, チャネル間干渉信号の振幅分布は熱雑音とは異なる性質であるといえる.そこで, チャネル間干渉信号と熱雑音の振幅分布を測定し, 正規確率グラフにより評価した.また, 測定した振幅分布からBERを計算し, 計算結果と測定値の良い一致を確認した.