著者
福沢 愛 山口 勧 先崎 沙和
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.117-130, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
31
被引用文献数
2

不安定な高自尊心を持つ人は,他罰的傾向などの望ましくない特性を持つことが,先行研究で示されてきた。これに対して本研究は,自尊心変動性とポジティブな機能との関連を検討した。不安定な高自尊心を持つ人は,ネガティブな出来事によって自尊心が脅威を受けた後,脅威軽減のために,遠い将来への期待を高く持つのではないかと予測した。146名のカナダ人大学生(男性40人,女性106人)を対象に7日間の日記式調査を行い,自尊心レベル,自尊心変動性,ネガティブな出来事の頻度,時期を想定しない将来への期待,5年後への期待を測定した。予測どおり,人間関係に関するネガティブな出来事を多く経験した高自尊心者の間で,自尊心変動性と,時期を特定しない将来,5年後への期待との正の関連が見られた。このことは,遠い将来への肯定的な期待が,不安定な高自尊心を持つ人にとって,ネガティブな出来事によって受けた脅威を軽減する機能を持つことを示唆している。
著者
福森 崇貴 小川 俊樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-19, 2006-08-30
被引用文献数
2

本研究は,不快な情動をあらかじめ回避しようとする傾向(不快情動回避心性)が,現代の青年に特徴的とされる友人関係に対してどのように影響を及ぼすのかについて検討することを目的として行われた。具体的には,不快情動回避心性は,自己開示に伴う自己の傷つきの予測を媒介して表面的な友人関係へとつながるという因果モデルを想定し,その検証を行った。本研究では,大学生190名(男性61名,女性129名)を対象として,質問紙調査が実施された。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,不快情動回避心性から「群れ」「気遣い」へは直接的な影響のみが認められ,また,不快情動回避心性から「ふれあい回避」については,傷つきの予測を媒介要因とする影響のみが認められた。このことから,直接的あるいは間接的に,不快情動の回避が青年期の表面的な友人関係のもち方へとっながっていくことが示唆された。
著者
谷 伊織
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.18-28, 2008-09-30
被引用文献数
1 23

わが国では,社会的望ましさ反応の測定についてCrowne & Marlowe (1960)の社会的望ましさ尺度が邦訳されて使用されているが(北村・鈴木,1986),社会的望ましさ反応を測定する尺度の因子構造は研究者によって異なっている。そこで本研究においてはまだ邦訳されていないPaulhus(1991)のバランス型社会的望ましさ反応尺度を邦訳し,安定した因子構造を持つ新たな社会的望ましさ反応尺度を作成することを目的とした。調査1では探索的因子分析によって自己欺瞞,印象操作の2因子構造が見出された。調査2においては他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,交差妥当性が確認された。調査3においては他の概念との関連から構成概念妥当性が示され,調査4においては基準関連妥当性が認められた。以上より,バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版の信頼性と妥当性が確認された。
著者
浅野 良輔 堀毛 裕子 大坊 郁夫
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.129-139, 2010
被引用文献数
1

本研究の目的は,失恋に対するコーピング(未練型,拒絶型,回避型)が,失恋相手からの心理的離脱を介して,成熟性としての首尾一貫感覚(Antonovsky, 1979, 1987)を予測するという仮説を検証することであった。過去1年以内に失恋を経験した大学生114名(男性60名,女性54名)を分析対象とした。対象者は,最近経験した失恋に対するコーピング,失恋相手からの心理的離脱,人生の志向性に関する質問票(首尾一貫感覚)の各尺度に回答した。構造方程式モデリングによる分析の結果,(a) 心理的離脱は首尾一貫感覚を直接的に向上させ,(b) 心理的離脱を介して,未練型コーピングは首尾一貫感覚を低下させる一方,回避型コーピングは首尾一貫感覚を向上させ,(c) 拒絶型コーピングは首尾一貫感覚を直接的に低下させることが示された。以上の結果から,失恋および継続中の恋愛関係と,成熟性としての首尾一貫感覚との関連性が議論された。
著者
舛田 亮太 中村 俊哉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.208-219, 2005-03-31
被引用文献数
2

本研究の目的は, 日常的解離尺度(短縮6項目版), 日常的分割投影尺度(短縮8項目版)の構成概念妥当性を検討することであった.大学生325名(平均年齢19.47歳)を対象に日常的解離尺度, 日常的分割投影尺度, 精神的健康調査票(GHQ), 解離性体験尺度(NDI, DES-Tに分類)を実施した.相関分析の結果, 日常的解離尺度においてはGHQ, NDI, DES-Tとの相関係数, またその大小関係から収束的弁別的証拠が得られ, ある程度の構成概念妥当性が示唆された.しかし日常的分割投影尺度についてはGHQ, NDI, DES-Tとの相関係数の大小関係が明確でなく, さらには日常的解離尺度との関連においてもやや高い相関があったことから, 十分な弁別的妥当性を確認できたとはいえなかった.よって今後は, 日常的分割投影尺度を更に精緻化していく必要性が示された.
著者
向井 智哉 趙 恩慶 松尾 朗子 湯山 祥 田中 友理
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.53-55, 2023-06-07 (Released:2023-06-07)
参考文献数
12

Attitudes toward sexual consent are related to sentencing recommendations for sexual perpetrators in Japan and Canada. However, this tendency may also depend on culture. This study investigated the cultural differences in perceived appropriateness of punishment against sexual crimes as a function of attitudes toward sexual consent in Japan and Korea. Consistent with previous research, the results of the hierarchical regression analysis showed that Japanese participants who perceived sexual consent as important were more likely to perceive punishment as appropriate. However, the opposite pattern was observed among Korean participants. A possible reason for these findings was further discussed.
著者
萩原 千晶 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.21-23, 2023-05-30 (Released:2023-05-30)
参考文献数
9

This study examined the interaction between unmitigated communion (UC) and gender on gender system justification (GSJ). UC is a trait of putting others before oneself. GSJ is a tendency to maintain the status quo, even if it is unequal. Participants included 200 females and 200 males (Mage=20.5). Hierarchical multiple regression analysis was conducted including the interaction terms of UC and GSJ. Since the interaction was significant, a simple main effect test was conducted, a positive association for females, and a negative association for males. The results were interpreted regarding the fit in society for females and a lack of merit for males.
著者
元木 咲葵 桂川 泰典 飯島 有哉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.42-52, 2023-06-07 (Released:2023-06-07)
参考文献数
33

近年,不登校の中でも「無気力型不登校」の生徒数が増加傾向にある。無気力型不登校は,葛藤を抱える情緒混乱型不登校とは区別されており,無気力の近接概念である「アパシー」の状態像を含むものであると予想される。本研究では,無気力型不登校へと至る生徒の心理的な状態像を捉えることを目的とした測定指標として,中学生におけるアパシー傾向を測定する尺度を作成し,登校回避行動および出欠席状況との関連から妥当性の検討を行った。その結果,研究1では「気力の低下」「他者への同化」「対人交流の回避」「将来展望のなさ」の4因子から成るアパシー傾向尺度が作成され,信頼性および収束的妥当性が確認された。研究2では,交差妥当性および基準関連妥当性(併存的妥当性,予測的妥当性)が確認された。以上より,無気力型不登校の前駆状態を説明する概念としてアパシーを用いる有効性が示された。
著者
太幡 直也 佐藤 広英
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.69-71, 2023-07-24 (Released:2023-07-24)
参考文献数
11

Researchers have defined privacy consciousness as the extent of awareness regarding privacy for the self and others. This study investigated the relationship between privacy consciousness and narcissistic personality—an exaggerated sense of self-importance. University students (N=155) responded to scales assessing privacy consciousness for the self and others. Additionally, scales were employed to assesses narcissistic tendencies, including hypervigilance and obliviousness. The results indicated that participants who scored higher on hypervigilance tended to report taking actions to preserve their privacy. Moreover, those who scored higher for both obliviousness and hypervigilance were less likely to act to maintain others’ privacy.
著者
岡田 有司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.96-98, 2023-10-04 (Released:2023-10-04)
参考文献数
6

This study examined the impact of direct and indirect contact experiences with developmental disabilities on college students’ attitudes toward such conditions. A total of 185 students participated in this study, responding to a questionnaire and paper-format implicit association test. Multiple regression analyses revealed that direct contact with conditions such as social and institutional support, acquaintance potential, equal status, and cooperation, as suggested by the contact hypothesis, positively affected attitudes toward developmental disabilities. Conversely, direct contact without meeting those conditions negatively impacted these attitudes. Furthermore, the study revealed that certain indirect contact experiences positively influenced attitudes toward developmental disabilities.
著者
松木 祐馬 松本 芳之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.141-143, 2020-12-18 (Released:2020-12-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

This study examined the effect of personality similarities on interpersonal attraction, focusing on the characteristic personality traits of persons evaluated by study participants. A total of 373 university students evaluated the attractiveness of four “stimulus persons,” described as scoring highly on each of the Big Five traits. For high-extraversion and high-agreeableness stimulus persons, the greater their similarity in characteristic personality traits to the evaluating participant, the higher the interpersonal attraction was rated. These results suggest that similarities in characteristic personality traits play an important role in the similarity effect in personality.
著者
藤本 学
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.156-167, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
17
被引用文献数
11 6

コミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したENDCOREモデルを発表してから6年が経つ。その間に,このモデルを構成する6スキルを測定する尺度である“ENDCOREs”は,コミュニケーションやスキル・トレーニングに関する諸研究で用いられるようになってきた。今後,幅広い領域における研究や活動に活用されるためには,ENDCOREモデルおよびENDCOREsに対する再現性を確認し,ENDCOREsの因子と項目の性質を明らかにしなければならない。さらに,コミュニケーション・スキルの定義についても,明確にしておく必要がある。そこで,本研究はこれまで蓄積してきた2,184人のデータを用い,ENDCOREモデルの構造およびENDCOREsについて再検証を行った。その結果,おおむね藤本・大坊 (2007)と同様の分析結果が得られた。しかしながら,従来のモデルでは十分な適合性が得られなかった。そこで,概念的に妥当かつ十分な適合性を持つモデルに最適化した。これらの知見を受けて,コミュニケーション・スキルの概念的定義とENDCOREモデルの実践的活用について議論した。
著者
神野 雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.140-153, 2017-11-01 (Released:2017-11-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究の目的は恋愛関係での葛藤時に予測される行動を測定する架空の浮気場面への予測行動尺度Anticipated Behavior Scale for Imaginary Infidelity (ABSII)の作成とその信頼性・妥当性の検討であった。ABSIIの浮気場面として恋人と第三者のデート場面を設定し,現在恋愛関係にある大学生112名に質問紙調査を行った。探索的・確認的因子分析の結果,想定通りABSIIは「攻撃志向」「沈黙志向」「別れ志向」「対話志向」「ライバル志向」の5因子構造を示した。ストレッサーへの認知的評価,ストレス反応,嫉妬深さ,投資モデルとの関連から妥当性を検討すると葛藤状況を重要視する傾向と「攻撃志向」「対話志向」の正の関連,「沈黙志向」の負の関連,ストレス反応と「攻撃志向」「別れ志向」の正の関連,全般的な嫉妬深さと「攻撃志向」「ライバル志向」の正の関連,関係満足感と「対話志向」の正の関連,「別れ志向」との負の関連などが示され,尺度の構成概念的妥当性がおおむね確認された。
著者
白石 奈津栄 堀内 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.159-162, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

This study aimed to develop a Japanese version of the Multidimensional Future Time Perspective (MFTP) scale (Brothers, Chui, & Diehl, 2014). A survey was conducted among men and women over 20 years old, and 501 valid responses were received. The results of the exploratory and confirmatory factor analyses supported the same three-factor structure as the original scale. Multigroup structural equation modeling across three age groups (young, middle-aged, and older adults) provided a significantly good fit to the data. These findings indicated that the Japanese version of the MFTP has the same reliability and validity as the original scale.
著者
上野 雄己 小塩 真司 陶山 智
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.287-290, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

This study investigated the influence of the combination of an athlete's big five personality traits and athletic event (individual/group event) regarding competitive level. A questionnaire survey was conducted with university athletes (N=857, 303 men and 554 women, mean age=19.7 years, SD=1.0). The results showed that competitive level was significantly lower when individual events were combined with high agreeableness and higher when group events were combined with high conscientiousness. These results suggest that the function of the big five personality traits differs depending on their combination with the type of athletic event.
著者
伊藤 拓
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.18-31, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究では,人が後悔を経験した後,適応的な変容に至るまでのプロセスを検討することを目的とした。大学生430名に対し,質問紙調査を行った。後悔の調整方略を規定する要因として「制御焦点」,後悔の調整方略として「認知的感情制御」,後悔の機能として「準備機能」に着目し,制御焦点が認知的感情制御に影響を与え,認知的感情制御が後悔を介して準備機能に影響を与えるというモデルを検討した。結果から,後悔の準備機能に至るいくつかのプロセスの存在が示唆された。例えば,促進焦点によって促された「肯定的再評価」が,後悔を低減するとともに,準備機能を促進するというプロセスや,予防焦点によって促進された幾つかの不適応的方略が,後悔を増大し,後悔が準備機能を促進するというプロセスなどが存在するようであった。また,不適応的方略の中でも促進焦点と結びつくものや,適応的方略の中でも,予防焦点と結びつき,後悔を増大するものの存在も示唆された。
著者
小田 亮
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.100-101, 2022-09-22 (Released:2022-09-22)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Toyama and Sakurai (2001) reported self-enhancement in the context of agreeableness and conscientiousness among Japanese students, while they observed self-effacement in the context of extraversion and openness. However, their study did not include standardized scales or report the age of the participants. In the present study, self-enhancement and self-effacement in the Big Five personality traits were investigated among a wider age range of participants to conceptually replicate the previous study. In addition to extraversion and openness, self-effacement was newly observed in neuroticism. In contrast to the previous study, there was no self-enhancement in agreeableness and conscientiousness. There were no significant changes in self-enhancement or self-effacement by age group. These results raised doubts about the robustness of the findings of Toyama and Sakurai (2001).
著者
林 雅子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.39-51, 2022-07-06 (Released:2022-07-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究は,無気力への感情に着目し,縦断調査から一般学生におけるスチューデント・アパシー的な無気力の実態を検討した。3回の調査に参加した大学生121名が,意欲低下領域尺度,無気力感尺度,心のゆとり感尺度を含めた質問紙に回答した。条件付き潜在曲線モデルに基づく解析を行い,初回測定時の学業意欲低下から切片と傾きへの影響を検討した。切片では,心の充足・開放性と対他的ゆとりに負の影響があり,切迫・疲労感には影響がなかった。傾きでは,心の充足・開放性と切迫・疲労感どちらも学業意欲低下からの影響がなかった。つまり,学業への意欲低下は心のゆとりを減少させるが,ネガティブな感情は伴わないことが示された。ただし,意欲の低下はその後の心のゆとりの増減に影響しないことも明らかになり,スチューデント・アパシー的な無気力の特徴が見出された。今後,大学生の無気力に対して上記の特徴を踏まえた支援を検討すべきであろう。
著者
安部 主晃 川人 潤子 大塚 泰正
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.29-37, 2014-07-30 (Released:2014-08-26)
参考文献数
30
被引用文献数
2

従来の研究では,再確認傾向の高い者が対人ストレスイベントを経験しやすく,さらに抑うつを悪化させやすいことが報告されている。しかし,再確認傾向と対人ストレスイベントとの関連を詳細に検討した研究はほとんど認められない。本研究では,対人葛藤,対人劣等,対人摩耗という対人ストレスイベントの三つの側面に対する再確認傾向の影響を検討した。そして,対人ストレスイベントが,再確認傾向から抑うつに対する影響を媒介するかについても検討した。102名の大学生が第1回調査(Time 1)と3週間後の第2回調査(Time 2)において質問紙に回答した。その結果,対人劣等が,再確認行動から抑うつに対する影響を媒介した。大学生の抑うつを予防するために,再確認傾向やそれに伴い発生する対人劣等を改善することが重要である可能性がある。