著者
村井 梨沙子 荻原 朋子 長登 健
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.261_1, 2017 (Released:2018-02-15)

ゴール型ゲームにおけるサッカーでは、足でボールを操作することの難しさから、ゲーム中の状況判断が難しいことや、意図的ではないキックが頻発すること、さらに、ボールに触れることなくゲームが終わってしまうことも少なくないという指摘がある。そのため、ボールを蹴る・止める動作を確実に保障できる教材を実践することが求められている。 そこで本研究では、攻守分離された状態でボールを足で扱う「フロアキックボール」(井上,2016;小畑,2016)を参考に教材を再構成し、その教材を用いることで、児童のボールを蹴ったり止めたりする技能を高め、効果的に学習内容を身に付けさせることができるか検証した。対象者は千葉県内N小学校4年生37名であった。毎時間のメインゲームの映像を撮影し、ゲームパフォーマンス(パス、トラップ、シュート、シュートまでの所要時間等)について、映像分析ソフトStudio Codeを用いて分析した。その結果、相手の間やコートの隅を狙ってシュートを蹴る児童が見られるようになった。詳細な結果と考察は、当日発表する。
著者
春名 匡史
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.144_1, 2017 (Released:2018-02-15)

体幹伸展運動に伴う肩甲骨後傾運動は、オーバーヘッドスポーツで障害予防やパフォーマンスアップに重要となる。本研究の目的は、体幹伸展時の、肩甲骨と、上位胸椎、下位胸椎、腰椎および肋骨運動の運動連鎖を定量評価することである。対象は20歳代健常成人男性6名。対象者の肩甲骨、胸腰椎および肋骨(肋骨下縁に6個貼付)の骨特徴点に赤外線反射マーカを貼付し、端座位での体幹中間位と体幹最大伸展位(視線前方注視かつ上肢脱力位)を光学式モーションキャプチャ・システムにより静的に計測した。カメラ座標系に対する肩甲骨座標系の回転を肩甲骨の外観上の運動とし、胸部座標系に対する肩甲骨座標系の回転を肩甲骨の胸郭に対する運動とし、それぞれオイラー角で表現した。上位胸椎(1–7胸椎)、下位胸椎(7–12胸椎)、腰椎(12胸椎–5腰椎)および肋骨運動は各マーカ間の距離の和で表現した。肩甲骨前後傾、上位胸椎、下位胸椎、腰椎および肋骨運動それぞれに対して、体幹中間位から体幹最大伸展位への変化量を求めた。外観上の肩甲骨後傾運動は下位胸椎伸展に、胸郭に対する肩甲骨後傾運動は腰椎伸展および肋骨下制に影響されることが明らかとなった。
著者
中塚 義実
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.36_2, 2019 (Released:2019-12-20)

「附属学校のオリンピック教育の取りまとめ役をやってくれないか」と附属学校教育長から2010年秋に打診された際、私は乗り気ではなかった。折角スポーツが教育から解放されつつあるのに、また教育の手段に逆戻りするのかとの懸念を氏にお伝えした覚えがある。翌2011年、「国際ピエール・ド・クーベルタン・ユースフォーラム」に高校生を引率し、世界で展開されるオリンピック教育を体験した。何のことはない、日本では体育の授業や体育的行事、運動部活動等を通して100年も前からやっていることばかりである。本来の日本の学校体育をきちんとやっていればよい!しかし現実的にみて、日本の学校体育では「スポーツを通した人間教育」が為されていると言えるか。また日本の教育は「知徳体のバランスのとれた人間」を育てていると言えるか。クーベルタンや嘉納治五郎の思想に立ち返り、オリンピズムを教育に位置づけることこそが2020のレガシーとして求められることではないか。体育実技サッカーでの「自由と責任を考える」授業や体育理論の実践、高校生対象の「クーベルタン-嘉納ユースフォーラム」等、当事者として考え実践していることを紹介しながら皆さんと議論したい。
著者
池田 志織 遠藤 俊郎 安田 貢 三井 勇 田中 博史 横矢 勇一 飯塚 駿
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.141_2, 2016 (Released:2017-02-24)

チーム力とは「環境や課題の変化に適応しながら、成果に直結させることのできるチームレベルの能力」(池田、2009)と定義されているが、チーム力に関してスポーツチームを対象として行われた研究はわずかである。そこで本研究は2015年度春季関東及び関西大学バレーボール1部リーグに所属する男女バレーボールチーム(男子18チーム496名、女子19チーム603名)を対象に質問紙調査を行い、集合的効力感、チームの振り返り、スポーツ・コミットメントがチーム力にどのような影響を与えるかを検討することを目的とした。重回帰分析の結果、集合的効力感の「準備力」、「結束力」と、チームの振り返りの「タスクの振り返り」、「社会的振り返り」がチーム力のコミュニケーション能力(R2=.77)、目標設定(R2=.74)に対して正の影響を与えていた。このことから、日頃からチーム内で話し合いをして、課題を見極め改善していくことによって、チーム力が高まるのではないかと示唆された。また、各メンバーのコミットメント能力が高すぎると、チームとしての機能を失い、チーム力を低下させる可能性が示唆された。
著者
大森 肇
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.52_3, 2016 (Released:2017-02-24)

一過性の運動はパフォーマンスの低下すなわち疲労を招く。競技などにおいて、運動パフォーマンスの向上を目論む立場からは、疲労は軽減するに越したことはない。しかし、生体防御という観点からは疲労は必要不可欠でもある。ヒトを含めた動物には、素早く力強く動く必要が生じることがある。しかしそれは長くは続かない。身体に何の警告もなければ、生体が破綻するからである。逆に緩徐な運動は長く続けられる。そして、運動の長さに対する疲労の出現機構も上手く備わっている。特に競技ではそうした生体防御機構にいかに抗うかを競っているという見方もできる。本演題では、高強度持久性運動時の疲労とそれを軽減するシトルリンの作用機序について、筋と肝の臓器連関をベースに我々の研究の一端を紹介する。シトルリンは一酸化窒素産生と血流改善、あるいはアンモニア解毒亢進の観点から、運動パフォーマンス向上のためのサプリメントとして注目されている。我々はラットの疲労困憊走モデルを用いて、運動強度とシトルリン投与効果の関係、また投与効果の背景について、筋、血液、肝のアミノ酸動態と臓器連関から検討した。
著者
奥田 愛子 中込 四郎
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.138_3, 2016 (Released:2017-02-24)

後年の競技へのコミットメントの様式と自伝的記憶(原風景、スポーツ原体験、等)との関係性について明らかにすることを目的として、これまで本研究者らは多様な角度から検討を加えてきた。本研究では、成人期まで同一のスポーツキャリア経験(ともに同一種目において思春期から大学卒業後の企業所属のアスリートとして活躍)を重ねてきた2組(A・B)の一卵性双生児アスリートの自伝的記憶について、質問紙ならびに面接を通してその特徴を検討した。その結果、2組の双生児間での原風景は同一で、それは高い力動性を伴う活動であり、相互のかかわり合いが認められる内容であった。また、スポーツ原体験では達成感や競合へのモチベーションの体験が語られ、幼少期の体験をその後の身体活動への興味関心へとつなげていた。つまり、後年まで継続されるキャリアと同様に自伝的記憶においても強い重なりが認められた。さらに競技キャリアでの双生児間の関係性について、「一人よりは二人の方が頑張れる。心強い存在」(A)、「二人で一緒に頑張るという姿勢はずっとある。<略>お互いにライバルという感じはなかった」(B)と語っており、そこでもまた重なりが認められた。
著者
鈴木 明哲
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.26_2, 2017 (Released:2018-02-15)

現代におけるオリンピックやスポーツの教育的価値、そして体育やスポーツによる人格形成は揺るぎない価値として広く世界に流布されており、もはやそこに懐疑を挟むことはタブーである。 しかし、私たちはこれらの不変的な価値にあまりにも縛られすぎていないか。これらの不変的な価値によって、果たして多くの人々が幸福を感じ、そしてまたスポーツそのものが豊かに発展しているのであろうか。そもそもこれらの不変的な価値はどのようにして誕生し、世界に広まっていったのか。歴史的に検証し、現代との「ずれ」を指摘することは、スポーツに「託せないこと」を見出す手立てとなり得る。 本報告では、近代スポーツの功罪を、スポーツ教育と近代オリンピックという二つの事例から考えてみたい。近代以降、スポーツの教育的価値が形成され、しかも公教育システムとオリンピックムーブメントという二つの巨大な力を得て全世界に広まっていった。この教育的価値がいかに現代との「ずれ」を生じているのかを「罪」とし、逆に何が「功」として拾い上げられ、捉え直されるべきであるのか、体育・スポーツ史の立場から提案してみたい。
著者
板谷 厚 増澤 拓也 吉田 雄大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.151_1, 2016 (Released:2017-02-24)

【目的】本研究は、三人で行う簡単な組体操を実施し、その前後に開眼条件(EO)と閉眼条件(EC)における静止立位動揺を調査することで、立位制御における視覚入力に対する依存性が低下することを検証した。【方法】若年成人女性15名を対象とした。対象者は3人一組で実験に参加した。まず各参加者はEOとECで30秒間の静止立位をそれぞれ2回ずつ実施し、足圧中心(COP)軌跡を記録した(pre)。その後、3人組で行う組体操(ピラミッド、サボテンおよび扇)を、各対象者がすべての役割を経験するよう3回ずつ実施した。休憩の後、再び静止立位を実施した(post)。COPの動揺速度を算出し、これらからロンベルグ率(EC / EO)を求めた。【結果】反復測定分散分析の結果、動揺速度において視覚条件×測定時間の交互作用に有意性が認められ、ECのみpostで低下した(p = .009)。対応のあるt検定の結果、ロンベルグ率はpostでpreより低下した(p = .018)。【結論】組体操は立位制御における視覚入力に対する依存性を低下させ、その他の感覚入力に対する依存性を高めることが示唆される。
著者
若槻 遼 相馬 満利 柏木 悠 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.144_3, 2017 (Released:2018-02-15)

【背景】立位での身体運動において足部は常に荷重を受けており、荷重の有無によって特にアーチ構造に変化がみられることが報告されている。本研究の目的は、異なる荷重条件における足部の3次元形状の違いを明らかにすることである。【方法】対象は、健常な成人75名(男性49名、女性25名)の右足とした。足部への荷重は、立位での全荷重、半荷重および座位の3条件とし、それぞれの静止姿勢における足部形状を、3次元足形測定装置INFOOTを用いて取得した。得られた足部の各項目を全荷重で正規化し、比較を行った。【結果及び考察】全荷重に対して、半荷重の内踏まず長及び舟状骨点高以外の項目で有意な差がみられた。しかし、全荷重に対して半荷重は外果最突点高が高かったが、長さと幅の各項目の差の平均が1%未満であった。座位は全荷重に比べ、長さの各項目が1.0±0.7%短く、幅の各項目が1.8±1.0%狭く、高さの項目が6.0±4.3%高かった。半荷重と全荷重とでは足形状に顕著な違いはみられなかったが、座位においては荷重軽減の影響により、内側縦アーチ、外側縦アーチ及び横アーチ構造に変化がみられ、各項目に差が生じたことが推察された。
著者
谷本 道哉
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.155_1, 2016 (Released:2017-02-24)

背景:スポーツチャンバラは、子供から大人まで楽しめるレクリエーションスポーツである。スポーツチャンバラの運動特性を検証した研究は少ない。その生理学的負荷特性に関する知見を得ることには大きな意義がある。方法:被験者には10名の健常な成人男性を用いた。実験① 1分× 10ラウンドの1対1の自由乱取りを行い、その際の酸素摂取量等を測定した。実験② チャンバラの代表的な攻撃動作・よけ動作を行い、その際の床反力・筋活動レベルの評価を行った。実験③ チャンバラでの反りよけ動作を行いその際の体幹伸展角度の評価を行った。また、実験①-③すべてにおいて比較対象としてチャンバラ以外の動作での測定を行った。結果:実験① 10ラウンドのチャンバラの乱取りでの平均酸素摂取量は31.5 ± 5.9ml/min/kgであり、時速8kmの走行をやや上回る程度であった。実験② チャンバラの攻撃動作の上下肢の筋活動レベルおよびよけ動作の下肢の筋活動レベルはテニスのスイングと同程度であった。実験③ チャンバラの反りよけ動作の最大体幹伸展角度は95.6 ± 22.0°であり、ラジオ体操の後屈動作と同程度であった。
著者
柴崎 雛子 大木 雄太 國部 雅大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.125_2, 2019 (Released:2019-12-20)

ラクロスの大きな特徴はクロスを用いてボールを扱うことにある。本研究では捕球技能に着目し、クロスを用いた捕球の特徴と競技レベルによる違いを検討することを目的とした。女子ラクロス選手13名(上位群6名、下位群7名)が、20m前方から投げられたボールをクロスおよび野球グローブを用いて捕球する課題を各条件10試行行った。捕球率・歩数・捕球地点までの動き方・頭頂部を基準とした捕球位置の高さなどの観点から分析した。その結果、捕球率はクロス条件で上位群88%・下位群70%、グローブ条件で上位群80%・下位群51%となり、下位群はグローブ条件で捕球率が下がる傾向にあった。更にクロス条件・グローブ条件いずれでも下位群の歩数は上位群より有意に多く、捕球位置までの動き方をみると1歩目を落下地点と逆方向に踏み出す傾向がみられた。頭頂部を基準とした捕球位置の高さは下位群が上位群に比べて有意に高く、頭上で捕球する傾向があることが分かった。以上のことから、下位群は上位群に比べ落下地点への到達に多くの歩数を要しており、ボールの軌道・落下地点の予測能力が低いことが示唆された。
著者
榎屋 剛 平野 智也 野澤 巧 尹 鉉喆 藤戸 靖則 柏木 悠 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.185_2, 2019 (Released:2019-12-20)

【目的】異なる投球速度に対するタイミング調節の鍵となる野球打撃動作の局面を検討すること。【方法】屋外の野球場において、5名の大学生選手が1名の投手から投球されたボールを打撃した。この際の球種はストレート(球速:約110~135km/h)であり、投手はランダムに緩急をつけた投球を行った。投手と打者の動作は、同期した2台の高速度カメラ(300fps)を用いて撮影し、投手のリリースの時刻に対する打者の各動作(前足のつま先離地、つま先接地、踵着地、インパクト)の時刻を算出した。【結果および考察】投球速度と打者の前足つま先離地およびつま先接地時刻には有意な相関関係が示されなかった。一方、投球速度の増加に伴い、打者の前足踵着地時刻が短くなった。また、投球速度と打者の前足つま先接地から踵着地の局面間の時間に有意な負の相関関係が示された。従って、打者の前足つま先接地から踵接地の局面間の時間は、異なる投球速度に対する打者のタイミング調節にとって重要であることが示唆された。