著者
松元 俊 久保 智英 井澤 修平 池田 大樹 高橋 正也 甲田 茂樹
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2019-0021-GE, (Released:2019-12-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究は,脳・心臓疾患による過労死の多発職種であるトラックドライバーにおいて,労災認定要件であ る過重負荷と過労の関連について質問紙調査を行った.1911人の男性トラックドライバーから,属性,健康状態, 過重負荷(労働条件:運行形態,時間外労働時間,夜間・早朝勤務回数,休息条件:睡眠取得状況,休日数),疲労感に関する回答を得た.運行形態別には,地場夜間・早朝運行で他運行に比して一か月間の時間外労働が 101時間を超す割合が多く,深夜・早朝勤務回数が多く,勤務日の睡眠時間が短く,1日の疲労を持ち越す割合 が多かった.長距離運行では地場昼間運行に比して夜勤・早朝勤務回数が多く,休日数が少なかったものの, 睡眠時間は勤務日も休日も長く,過労トラックドライバーの割合は変わらなかった.過労状態は,1日の疲労の持ち越しに対して勤務日と休日の5時間未満の睡眠との間に関連が見られた.週の疲労の持ち越しに対しては,一か月間の101時間以上の時間外労働,休日の7時間未満の睡眠,4日未満の休日の影響が見られた。運行形態間で労働・休息条件が異なること,また1日と週の過労に関連する労働・休息条件が異なること,過労に影響 を与えたのは主に睡眠時間と休日数の休息条件であったことから,トラックドライバーの過労対策には運行形態にあわせた休日配置と睡眠管理の重要性が示唆された.
著者
日野 泰道
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.137-142, 2010 (Released:2011-03-16)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

我が国では,台風や地震等の自然災害が毎年発生するため,それに伴う災害復旧工事も毎年行われる。災害復旧工事は,平時の工事と比較して,緊急性などの特別な工事条件が存在するため,十分な仮設設備を準備・設置することが困難となる場合がある。ゆえに安全な作業を行うためには,そのような工事環境を想定した安全対策を事前に準備しておく必要がある。ところが,災害復旧工事における労働災害の定量的な分析は,あまりなされていないため,その災害防止対策も,十分に整備されているとはいえないと考えられる。特に大規模災害の復旧工事の経験が乏しい地場中小建設業者では,そのような環境下での安全対策立案のための適切な情報・ノウハウが整っていない場合があり,安全対策の不備による労働災害の発生が懸念される。そこで本研究は,過去に発生した災害復旧工事における災害発生状況について定量的な検討を行い,安全対策の基礎資料を提供することを目的とした。検討の結果,災害復旧工事の災害種別には,建築工事と土木工事で大きな違いがあることがわかった。土木工事では,墜落災害に加えて建設機械に起因する災害や土砂崩壊災害など,典型的な災害は数種類あることが分かった。一方,建築工事では,典型的な災害としては墜落災害が挙げられ,特に死亡災害の約9割を占めている事が分かった。そこで本報では,建設工事において最も発生件数の多い墜落災害を取り上げ,土木工事と建築工事に分けて,その災害発生原因等の特徴について更に整理を行った。
著者
井澤 修平 小川 奈美子 原谷 隆史
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.119-124, 2010 (Released:2011-03-16)
参考文献数
26
被引用文献数
8 8

心理社会的ストレスは職場において問題となっており,その生理学的な評価方法の一つとして唾液中コルチゾールが注目されている.本稿では,日常場面において唾液を複数回採取する手順を取り上げ,それによって評価できるコルチゾールの3つの指標(一日分泌量,傾き,起床時反応)の特徴や心理社会的ストレスとの関連を概説した.3つの指標は,一日の中のコルチゾールの分泌リズムをそれぞれ反映するものであり,また異なった性質のストレスをそれぞれ反映していると予想される.こういった特徴や現場での採用可能な手段を考慮して,唾液中コルチゾールを有効に用いることが職場の心理社会的ストレスの評価にあたって重要と考えられる.
著者
浅田 和哉
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.61, 2009 (Released:2009-06-30)

労働安全衛生総合研究所は、職場における労働者の安全と健康の確保を目的として、総合的な調査研究を行うとともに、労働災害の原因究明のための専門的な調査等を行っています。
著者
湯川 尚一郎 藤本 知美 湯川 元美 浅川 冨美雪 嶋田 照雅 久保 喜平
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.73-78, 2016-10-21 (Released:2016-11-07)
参考文献数
15

目的:動物看護師を対象とする,小動物診療施設内での放射線防護と放射線教育についての報告はなされていない.よって現職の動物看護師を対象に放射線に関する基礎的な知識・理解,放射線防護を正しく理解し実施できているかについて調査を実施した.対象と方法:各種動物看護師向けセミナー会場において,本研究の趣旨に協力の意思を示した現職の動物看護師255名を対象とした.最終的に230名を解析対象とした(有効回答率:90.9%).結果:「X線撮影補助時に被曝の影響に不安を感じるか」に対し,「不安を感じる」と回答した者は45%であった.「放射線と放射能の違い」「放射線の種類」という放射線の基礎的な知識についての質問に半数以上が「理解していない」「知らない」と回答した.「個人線量計を毎回着用している」と回答した者は半数に満たず,「個人線量計で自分の被曝量を把握している」と回答した者は30%未満であった.考察:動物看護師を対象に行われた今回の調査で,放射線の知識・理解不足等が認められた.また放射線防護に関する管理体制については早急な対策が必要である.今後,動物看護師に対してさらに詳細な調査を行い,対策を検討し,小動物診療施設における産業保健活動のより一層の向上を目指す必要がある.
著者
松尾 知明
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.67-71, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
16

少子高齢化に伴う労働人口減少問題や医療費高騰問題を抱える我が国では,労働者の健康を護ることが今後ますます重要となる.その視点から最近は,“働き方改革”や“健康経営”などがメディアで取り上げられる機会が増えている.その一方で,栄養バランスの良い食習慣や運動の習慣化が必要であることを理解していても,現代に生きる多くの労働者,特に働き盛り世代の忙しい労働者にとって,その実践は容易ではなく,課題も多い.このような状況を背景に,我々は忙しい労働者向けに考案した運動・食事介入プログラムの効果を,メタボリックシンドロームに該当する労働者を対象に検証する研究を進めている.本稿では,その背景や成果・課題を概説する.
著者
劉 欣欣 池田 大樹 小山 冬樹 脇坂 佳子 高橋 正也
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.47-50, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
20

長時間労働は様々な心身不調と関連し,特に脳・心臓疾患の発症リスクを増大させることが知られている.国内では,過重労働(特に長時間労働)によって脳・心臓疾患を発症したとする労災認定件数,いわゆる過労死等の認定件数は年間250件から300件程度で推移し,明らかな減少傾向は認められていない1).長時間労働による心血管系負担の軽減策を検討・提案することは,労働者の健康維持,さらには過労死の予防に極めて重要である.本研究では,長時間労働を模した実験室での被験者実験により,血圧を維持するための心臓と血管系の反応(背景血行動態反応)について検討した.本稿では,その実験結果の一部である血行動態反応の個人差について紹介し,心血管系負担の軽減策を検討するための資料提供を目的とした.
著者
山隈 瑞樹 児玉 勉 遠藤 禎行
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-32, 2009 (Released:2009-06-30)
参考文献数
8

グラスライニング(GL)反応容器におけるGL層の静電気による破損(ピンホール,剥離)を防止するには,撹拌帯電現象の解明が出発点になる.これを基本に,少量のサンプル(固液二相系スラリ)を攪拌することにより攪拌帯電現象を半定量的に推測する卓上型試験装置を開発した.この装置は,有効容積2 Lのガラス容器と攪拌装置および試験容器の側面と液面近傍に電界センサを取り付けたもので,攪拌中の各部の電界変化を観測することができる.模擬サンプルを使用して実施した実験の結果,例えば低導電率液体(ヘプタン,シクロヘキサン等)と非溶解性粉体(ポリプロピレン)からなるスラリの攪拌において,試験容器の位置によって電界の大きさおよび極性に著しい差異のあることが見いだされた.これは,攪拌中の液面近傍のみの電界測定では予測できない結果であり,実工程における静電気現象の解析および障災害の防止対策を講じる上で有効な手法となりうる.
著者
岡部 康平
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.63-72, 2012 (Released:2013-01-29)
参考文献数
19

安全防護物の無効化に起因する労働災害を防止するための安全設計要件を考察する.産業機械での災害事例から無効化の事由を,保守管理の実施,生産性への対応,作業性への対応の3種類に区分して示す.区分の指標に労力節約の観点を採用し,区分に応じて機械設備にて対処すべき課題が異なることを示す.そして,無効化の事由より安全設計の現状の課題を考察し,安全設計で配慮すべき要件を明らかにする.さらに,設計のための手法として,制約呈示法と誘導教示法を呈示し,システム制御への適用例を示す.
著者
芳司 俊郎 杉本 旭
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.35-41, 2013

労働現場では様々な自動生産機械が用いられ,重筋労働や有害環境下での労働から労働者を解放している.一方,自動生産機械による労働災害も数多く発生しているところである.本論文では,自動生産機械の操作について災害防止の観点から考察し,機械の操作には迅速に行うことが求められる操作(遅れることが許されない操作)と,落ち着いて行うことが求められる操作(早まることが許されない操作)があり,操作ボタンにはこれらの操作に適した色や形状があるが,この特性は「時間軸上の非対称性」として評価されることを示した.また,労働者が生産機械のリスクを受け入れるためには危害の大きさが十分に小さいか,又は危険からの回避行動が容易であることが求められるが,時間軸上の非対称性を高めることにより,自動生産機械が持つ危険の受容を容易にする可能性について示した.
著者
齋藤 剛 濱島 京子 芳司 俊郎 木村 哲也 清水 尚憲
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JNIOSH-2015-0024-CHO, (Released:2016-07-19)
参考文献数
24

機械災害防止に関わる行政施策でリスクアセスメントの普及が強く推進されているが,リスクを評価・判断するうえで公に受け入れられ統一された基準はまだ確立されていない.このため,リスクアセスメントの結果導かれる対策は,リスクアセスメントを実施する者の主観に依存し,その妥当性については必ずしも担保されない.本研究では,この問題を考察し,一事業場内の自主的労働安全衛生活動の範囲で回避するには限界があり,よって,最新の機械安全国際規格や他事業場等での成功事例に精通した第三者が機械のリスク低減状態を個別具体的に確認する仕組みが必要であることを示し,これを「妥当性確認」と定義した.そして,リスクアセスメントに基づく機械安全を日本に先行して推進してきた欧州4ヵ国を対象に調査を行い,リスクアセスメント結果の妥当性をいかに担保してきたかについて各国の実態を日本国内での場合と比較した.その結果,現在の国内の社会制度の枠組みで妥当性確認に相当する活動を実施するとすれば,労働基準監督機関が行う指導監督業務での実施が考えられることを示し,そのうえで,①機械安全に関わる法規制と機械安全国際規格との関係を明確にし,両者が強く結びつく方向へ整備すること,②指導監督業務を通じて知り得た災害の未然防止に成功した好事例について情報を収集し,広く一般へ公表・展開を図ることの2点を特に検討すべき課題として抽出し,提言としてまとめた.
著者
冨田 一 崔 光石 中田 健司 本山 建雄
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-36, 2008
被引用文献数
1

既に100/200Vから220/380Vに昇圧された韓国と我が国との電気火災および感電事故を比較して,将来、我が国が低圧の配電電圧として230/400Vが採用された場合に想定される電気安全上の課題について留意点を抽出した.昇圧の進展と電気火災発生件数には相関性が見られ,電気火災の主因である短絡は,その発生過程の究明と防止対策が電気火災防止にとって重要になる.昇圧化後にも老朽設備を使用し続けると,電気火災が発生し易くなるので特に注意が必要である.昇圧の進展と感電死傷者数には相関性が見られない.この要因には,有効な接地方式の選定や漏電遮断器の普及が感電事故の抑制に寄与したことが考えられる.昇圧による電気事故を防止するには,配電方式や対地電圧に応じた適切な接地方式の選定や接地技術の開発,電気設備,漏電遮断器の安全性向上などのハード面の安全対策に加えて,電気安全関連法令の遵守,定期点検の徹底,老朽設備を適切に運用するためにメンテナンス体制の整備などのソフト面での安全管理体制の確立も重要である.
著者
久保 智英 佐々木 司 松元 俊
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-54, 2010 (Released:2010-04-27)
参考文献数
17

本研究では,長時間過密労働をシミュレートした環境下での,1)情動的負担の変容過程,2)情動的負担と行動的疲労の関係を明らかにするために事例的検討を行った.その際,情動的負担が顕著だった事例と,同じ状況にあっても情動的負担が抑制されていた事例に着目した.結果より,「怒り-敵意」因子に属する訴えは,行動的疲労が亢進する上での重要なサインであること,情動的負担と行動的疲労との関係は情動的負担が高い時に行動的疲労が軽・中程度で,情動的負担が低くなると行動的疲労は高くなる関係にあることが示唆された.
著者
芳司 俊郎 杉本 旭
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.35-41, 2013 (Released:2013-12-05)
参考文献数
8

労働現場では様々な自動生産機械が用いられ,重筋労働や有害環境下での労働から労働者を解放している.一方,自動生産機械による労働災害も数多く発生しているところである.本論文では,自動生産機械の操作について災害防止の観点から考察し,機械の操作には迅速に行うことが求められる操作(遅れることが許されない操作)と,落ち着いて行うことが求められる操作(早まることが許されない操作)があり,操作ボタンにはこれらの操作に適した色や形状があるが,この特性は「時間軸上の非対称性」として評価されることを示した.また,労働者が生産機械のリスクを受け入れるためには危害の大きさが十分に小さいか,又は危険からの回避行動が容易であることが求められるが,時間軸上の非対称性を高めることにより,自動生産機械が持つ危険の受容を容易にする可能性について示した.
著者
高梨 成次 大幢 勝利 高橋 弘樹
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.85-90, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
5

強風等により,足場が倒壊する災害が,多く発生している.足場は水平方向には不安定な構造物である.その対策として,壁つなぎで足場を建設中の建築物等と連結し,水平安定性を確保している.強風による足場の倒壊災害の多くは,この壁つなぎの破損に起因すると考えられる.そのため筆者らは,すでに壁つなぎ材の強度に着目した実験的研究を実施している.それによれば,既存の壁つなぎ材の強度は十分に高いが,それらの設置時に施工誤差が発生することによって,安全性が低下する可能性が高いことを示した.本論では,それらの壁つなぎ材がALCパネルに固定された場合の引張強度と圧縮強度を実験的に調べた.その結果,アンカーの強度は引張強度,圧縮強度ともに壁つなぎ材の強度に比べて著しく低いことが分かった.そのため,足場の壁つなぎをALCパネルに固定する場合には,壁つなぎ材の強度の他,アンカーの強度を考慮して,壁つなぎの数量を増すなどの配慮が必要であることが分かった.
著者
榎本 ヒカル 池田 耕一 東 賢一 栃原 裕
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-10, 2009
被引用文献数
1 9

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境条件およびその勤務者による性差を中心とした温熱環境評価の違いを明らかにするために,実測調査およびアンケート調査を行った.調査は2005年9月中旬に行われ,調査対象は東京都千代田区にあるオフィスビル及びその勤務者のべ84名であった.建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い,併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった.その結果,今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下であった.勤務者の着衣状況はほぼ全員が軽装で,男性はジャケット着用者はおらず,ネクタイ着用率は1割程度であった.勤務者による温熱環境の評価については,女性はおおむね満足度が高いが男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった.これは男女の着衣や代謝量,冷房に対する体質の違いに主として起因すると考えられる.また気温28℃におけるより快適な環境条件としてPMV=0.5となる条件の提言を行った.
著者
劉 欣欣 岩切 一幸 外山 みどり 小川 康恭
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.21-23, 2013 (Released:2013-05-14)
参考文献数
16

本稿では,業務に関連した心血管疾患の発症予防を目的として,先行研究や我々が実施してきた研究を紹介し,精神的な作業負担やストレスが血圧に及ぼす影響を検討する際には,血圧に加えて,その決定要因である心拍出量及び総末梢血管抵抗の視点からも検討する必要があることを解説する.
著者
岩切 一幸 外山 みどり 高橋 正也 木口 昌子 平田 衛 樋口 重和 北原 照代 垰田 和史 久永 直見
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.255-265, 2008 (Released:2009-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本稿では,介護労働において安全衛生上大きな問題となっている介護者の腰痛を取り上げ,その発生状況や予防対策を紹介するとともに,著者らが作成した「介護者のための腰痛予防マニュアル~安全な移乗のために~」を解説する.このマニュアルは,介護機器を活用する際の参考資料として厚生労働省通達の「職場における腰痛発生状況の分析について」で引用されており,介護機器を利用した介護者の腰痛予防教育などに利用できる.