- 著者
-
星野 真紀
- 出版者
- 木更津工業高等専門学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究は,初心者が無鉛ハンダを使用しやすいハンダゴテを選定することと,無鉛ハンダの中で使用しやすいものを選定することを目的とした.電子工作実習用に学生が購入するため,安価で入手性の良いものを対象とした.【実験内容】コテ先形状,ハンダゴテ,無鉛ハンダについて,実際に学生に使用してもらい,使用感アンケートにより評価を行った.【コテ先形状】先が直径1〜2mmの棒状で先端が斜めにカットされているコテ先は評価が高く,直径が2.5mm以上あるものや先端が細く尖っているものは評価が低かった.【ハンダゴテ】同じ型でワット数が26Wと32Wのコテを2組用意して評価したところ,どちらも26Wの方が評価が高かった.無鉛ハンダは融点が高いため,ワット数が高い方が高評価を得るかと予想していたが,予想に反した結果となった.基板表面を観察すると,32Wでハンダ付けした基板では,過熱によるツノや基板の焼けが多く見られた.コテ先温度が高いコテでは手早く正確なハンダ付けが必要になり,初心者にはかえって扱いづらくなったと考えられる.【ハンダ】Sr-Ag-Cu系4種とSn-Cu-Ni系2種の評価を行ったところ,Sn-Ag-Cu系の方が評価が高かった.Sn-Ag-Cu系の方が融点が低いため,その差が表れたと考えられる.また,濡れ性については,組成よりもメーカーによる差があらわれた.フラックスの違いによるものが大きいと考えられる.【まとめ】電子工作初心者にはワット数の高いハンダゴテは使いづらく,26W程度が適切という結論を得た.使用する無鉛ハンダはSn-Ag-Cu系が使用しやすいと考えられる.ただし本研究は初心者の電子工作実習という条件であり,精細なパターンや上級者に関しては考慮していない.