著者
宮崎 雅雄
出版者
岩手大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ネコがマタタビを嗅ぐと幸せそうにゴロゴロ転がる反応は、マタタビ踊りと言われ江戸時代頃から知られている日本人にとても有名な生物現象である。マタタビ活性物質については60年以上前に発見されていたが、ネコがマタタビに反応するメカニズムや生理的な意義は全く分かってない。またマタタビに反応しないネコがいる原因も未解明である。本研究の目的は、ネコがなぜマタタビに反応するか、マタタビ活性物質の受容機構とマタタビ反応の生理的な意義を解明し、動物-植物間の化学コミュニケーションの理解を深める。
著者
石谷 太 岡田 雅人 清水 誠之 佐久間 恵 石谷 閑 原岡 由喜也 龝枝 佑紀 小神野 翔平 Zou Juqi 古家 博信 梶原 健太郎 北野 圭介 大倉 寛也 河瀬 直之 Chen Ping-Kuan
出版者
群馬大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

本研究では、SrcとWnt経路の活性化が誘発する細胞競合の機序と、その脊椎動物における機能的意義、および腫瘍進展における役割の解明を目指している。まず、ゼブラフィッシュにおいて細胞競合可視化解析系を確立した。また、Wnt経路駆動性細胞競合の研究を行う過程で、発生プロセスで自然発生したシグナル異常細胞が細胞競合により排除されること、すなわち、細胞競合が発生プログラムのエラーを防ぐ発生ロバストネス制御機構であることを発見した。また、新たに構築した培養細胞系を用いた解析により、Src誘発性細胞競合におけるSrc活性化細胞の逸脱の方向性が細胞の種類によって変化することを発見し、その機序を明らかにした。
著者
三浦 恭子 南嶋 洋司 杉浦 悠毅
出版者
熊本大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

ハダカデバネズミとマウスの種間比較により、特有の老化耐性に寄与すると考えられる代謝経路の抑制・亢進部位を明らかにした。次に、ハダカデバネズミからのiPS細胞の樹立を行い、作製したiPS細胞が腫瘍化耐性をもつことを発見した。興味深いことに、通常iPS細胞の樹立効率が亢進する低酸素条件においては、デバiPS細胞は全く樹立されなくなり、体細胞初期化における酸素条件への応答性も特殊化していると考えられた。さらに地下の閉鎖・低酸素環境への適応と関連すると考えられる、特有の社会的コンテキスト依存的な褐色脂肪の調節機構を明らかにした。
著者
黒川 顕 戎崎 俊一 丸山 茂徳 原 正彦 クリーヴス ヘンダーソン 鎌形 洋一 磯崎 行雄 青野 真士
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

H29年度は立案した計画に基づき、以下の活動を実施した。1. キックオフWSの開催:H29年度から14課題からなる第二期の公募班が新たに領域に加わった。計画班と公募班との連携を強めるために、キックオフWSを開催した。2. 中規模WSの開催:領域全体での合同班会議を白馬八方文化会館にて開催した。3. Origin of Life 国際シンポジウムの開催:新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏」と合同で、化学進化および初期生命体に関する国際シンポジウムを開催した。4. 総括班会議を年6回開催した。会議後には計画班横断WSを開催し計画班間の連携を強めた。5. 地球生命アーカイブの開発:微生物統合データベースの開発ならびに東工大地球史資料館のデータベースの整理作業を継続した。また、領域の最先端研究内容をわかりやすく発信するために製作している映像ライブラリ「全地球史アトラス映像」をインターネットで配信できるよう、YouTubeチャンネルを開設した。さらに、「全地球史アトラス映像vol.3」を完成させた。6. 地域活性化イベント:中規模WSと同時に長野県白馬村役場にて教育講演会「白馬とカガクの奇跡episode2」を長野県教育委員会および白馬村の後援を受け開催し、最新の研究成果および白馬と生命起源との関係性に関する講演を行った。また、白馬高校(2017年10月19日)および大町岳陽高校(2017年12月21日)に出張講義を行った。また、大町岳陽高校では、理数科の生徒の課題研究に協力し、3つの班の課題を引き受け、共同研究を実施した。3班のうち1班の研究は、日本ゲノム微生物学会第12回年会にてポスター発表をした。
著者
長島 優
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2018-04-01

顕微鏡画像から画像特徴を抽出する試みは数多い。しかし、ノイズのある条件下で、観測者の主観に依らず、測定対象についての事前の知識なしに、元信号の定量性を保ったまま、特定の画像特徴に相関する信号成分を取り出す方法は、従来限られていた。生物の視覚情報処理の数学的モデルとして提唱されたスパースコーディングは広義の独立成分分析の一種であり、過完備な独立基底の推定に用いられる。我々はこれを用いた新規の画像解析法を考案した。顕微鏡画像を画素毎に波長の情報を持つ3次元配列(x, y, λ)と捉えて、スパースコーディングを用いて線形過完備な独立基底の推定を行った。一般に、このとき得られる独立基底は3次元の配列となる。次に、この3次元の独立基底をその特徴(色・テクスチャー・形など)に基いて分類・弁別し、特定の特徴に相関のある独立基底のみを抽出した。抽出した独立基底を、特徴群毎に加算して元画像のdimensionに再構成することで、もともとの顕微鏡画像の信号の線形性を保ったまま、特定の画像特徴に相関する信号成分のみを抽出することができた。polystyrene(PS), polymethyl methacrylate(PMMA), polyurethane(PU)ビーズをプレパラート上で混合し、自発ラマン分光顕微鏡でイメージングした。二次元のラマン分光画像は、空間的な一ピクセル毎に一つの波長方向のスペクトルを持つ3次元配列のデータ構造を持つ。このデータを非負スパースコーディングを用いて8個の独立基底に分解した。求めた8個の独立基底を、in vitroで測定しておいたPS, PMMA, PUの三種類の物質のラマンスペクトルと比較し、最も相関の高い独立基底をそれぞれ一つずつ選択した。選択された独立基底単独の空間分布を、元画像の二次元座標上に再構成してみると、ビーズの形状・空間分布を得ることができた。
著者
幸田 正典
出版者
大阪市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本課題研究は、社会性魚類における共感性を調べることで脊椎動物の共感性の起源を探索ろうとしれいる。期間内に1、推移的推察、2、顔認知に基づく個体認識などの社会的認知、3、しっぺ返し戦略に基づくなわばりの親敵関係、4、ペア繁殖種における正および負の共感性の予備的検証実験などで成果を上げることができた。今回の研究から社会性魚類の認知能力は従来思われてきた以上に発達していること、その中には自己鏡像認知も含まれ、自己認識をしている可能性が非常に高いこと、ペア繁殖魚の間では相手を助けるあるいは相手に利する共感的な行動が認められることが強く示唆された。魚類における共感性を調べた研究はこれまでほとんどなく、今回の研究成果は画期的と言える。共感性実験では、具体的には負の共感として相手への電気負荷に対する救済行動、正の共感として相手個体への給餌を指標として用い、比較的短期間に救済や給餌による援助や救済行動が認められた。魚類では情動伝染はあっても特定個体へ向社会的行動ははじめての発見であり、この研究成果の意義は高い。以上のように、社会的認知能力だけではなく共感性においても相手個体を正確に認識した上でなされており、魚類でもおそらく自分の行為の持つ意味を「理解」した上で、共感行動を行っている訳である。我々の研究成果は共感に必要な高い認知能力、それにともなう多様な情動がすでに脊椎動物の進化の初期段階ですでに生じている可能性を示している。これらは、同時に実施しているホンソメワケベラなどの社会性魚類における自己鏡像認知と大きく符合するものであり、これらを合わせ、社会性魚類の共感性や社会認知能力の抜本的な見直しが必要かつ画期的な成果が期待できるでことを示唆する成果と言える。これらは、脳神経科学の最近の知見とも、その方向性はおおむね合致し、相補的な展開が今後期待される成果と言える。
著者
仲谷 正史
出版者
慶應義塾大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-04-01

H28年度の研究では、バイノーラル録音方式で得られた耳に近接した音響刺激を複数種類集め、その中で代表的な聴覚刺激の主観評価を行った。当初の予想では、これらの聴覚刺激により、聴取者はリラックスし心地よく感じると考えていた。しかし、被験者実験の結果、これらの刺激を聴取するとむしろ覚醒度が高まり、かつ不快に感じることが明らかになった。この理由は2つ考えられる。1つ目は、聴覚刺激そのものが不快であるという理由である。素材音の中には金属板を擦過した音や、ホワイトボードにペンで書いた時の「鳴き音」を採取したが、これらの音源は不快と判断されやすい。2つ目の理由として、身体に近接した空間(ペリパーソナルスペース)を物体が横切るように感じられるため、危険を察知する何らかの機構が働いた可能性がある。一方で、集めたバイノーラル音源の一部において、鳥肌感を高い頻度で誘起する刺激を見つけることができた。音響刺激における鳥肌感の研究は主に音楽聴取時に得られる鳥肌感の研究が多く、刺激の聴取時間は数十秒から数分にわたる。今回見いだすことができた鳥肌感を引き起こすバイノーラル音源は長くて30秒程度であり、聴取してからわずか数秒で鳥肌感を生起することができる。このことより、音楽聴取によって得られる鳥肌感とは異なるメカニズムでその主観効果が得られている可能性が考えられる。この点については、H29年度に詳細な検討を進めてゆく考えでいる。加えて、バイノーラル記録した素材音を利用して、聴覚と身体感覚に訴えかける多元質感メディア作品の制作を行った。作品制作の際には、MAX/MSP上で制作支援システムを構築した上で、現代音楽作品を制作した。学会における研究者向けの芸術展示、ならびに一般の方向けにそれぞれにおいて作品展示を行った。
著者
佐久間 博
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

最近の断層掘削により、多くの断層で雲母・粘土鉱物の存在が明らかとなった。これまで雲母・粘土鉱物の摩擦物性は主としてガウジを模擬した摩擦実験で測定されてきたが、その背景にある物理に関しては理解が進んでいない。本研究では雲母・粘土鉱物の摩擦を支配する要因を明らかにするために、雲母・粘土鉱物の(001)面の性質に着目する。本年度は(1)原子スケールの摩擦力とセンチメートルスケールの摩擦力の関係を明らかにし、白雲母について巨視的な摩擦力の起源を明らかとすること、(2)低法線応力(<1 MPa)で湿度制御下における粘土鉱物の摩擦力を測定すること、を目的とした。(1)ミクロとマクロの摩擦現象を接続するためには、真実接触面積を見積もることが必要となる。過去の研究から、マイクロメートルスケールでは、物質のインデンテーション硬さの逆数が、荷重と接触面積の比例定数であることが経験的に知られている。そこでこの関係がナノメートルスケールまで外挿できると仮定し、白雲母のインデンテーション硬さを計測することとした。物質本来のインデンテーション硬さを計測するため、ナノインデンテーション試験を行い、白雲母の硬さを求めた。この硬さから、荷重に応じた真実接触面積を導出した。また白雲母表面の第一原理計算から微視的な摩擦力を求め、この力と真実接触面積から巨視的な摩擦力の理論値を導出したところ、巨視的な摩擦実験の結果と良い一致が見られた。このことは巨視的な摩擦力の起源が原子スケールの摩擦力に起因することを示唆している。本成果をScience Advances誌に報告した。(2)低法線応力下では摩擦面の粗さが摩擦力に大きく影響することがわかり、粗さが影響する法線応力の範囲今後明らかとし、その原因を探る必要がある。
著者
宮脇 陽一
出版者
電気通信大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本年度は、多様な物体画像が「いつ」脳活動に表現されるのかをスパースモデリングを用いて定量化する手法についての研究をさらに押し進めつつ、画像特徴量と物体カテゴリ表現ダイナミクスの関係性の検証を開始した。この目標達成のため、以下の項目を特に重点的に実施した。1.背景除去済み物体画像を用いたMEG計測実験:MEG信号からの物体カテゴリ予測成績をより高め、結果の信頼性を向上させるため、物体画像刺激に含まれている背景部分を除去した。この背景除去済み物体画像を用いて、新たにMEG信号計測実験を行った。2.MEG信号からの皮質上神経電流分布推定と物体カテゴリ情報の時間分解予測解析:背景除去済み画像に対して得られた新しいMEG信号を用いて皮質上神経電流分布を推定した。推定された皮質上神経電流分布の各時刻の信号をパターン識別アルゴリズムを用いて解析することにより、物体カテゴリの情報がいつ脳内に表現されているのかを同定した。3.皮質上神経電流分布推定の精度評価:皮質上神経電流分布推定結果の精度評価を行うため、人工データを用いた解析を行った。具体的には、本研究で主たる解析対象とする脳部位に人工的な神経電流源をおき、それをもとに頭皮上で計測される脳磁場信号をシミュレートし、シミュレートした信号から逆に皮質上神経電流分布を推定することで、どの程度正確に原信号を復元出来たかを厳密評価した。4.物体カテゴリ画像特徴量の定量化:コンピュータビジョンの分野で物体カテゴリの認識に大きな成果を挙げているDeep convolutional neural network(DCNN)を用いて、MEG信号計測実験で用いた物体画像刺激に対応する高次画像特徴量を抽出した。
著者
堀江 真行
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は (1) 南極コケ坊主および (2) 国内の淡水湖におけるウイルス叢の解析、さらに (3) 得られたウイルス配列を用いた内在性ウイルス様配列の検出を行った。(1) 昨年度に加え、新たに1つのコケ坊主よりDNAを抽出し、ショットガンメタゲノムによるウイルス探索を行った。その結果、少なくとも40の新規のDNAウイルス様配列を検出した。一方コケ坊主からのRNAの核酸抽出では十分な核酸量が得られず、RNAウイルスの探索を行うことはできなかった。(2) 国内の淡水湖におけるRNAウイルスの探索も行った。ウイルスに特徴的な2本鎖RNAを特異的に検出するFLDS法を用いて、国内淡水湖のRNAウイルスの探索を行ったところ、少なくとも9つの新規のRNAウイルス様配列を検出した。検出されたウイルスはビルナウイルスなど、すべて二本鎖RNAウイルスであった。(3)これまでに得られたウイルスの配列および、近年に他の研究グループから報告された新規のウイルスの配列を用いて、真核生物ゲノムに存在するウイルス様配列(内在性ウイルス様配列:EVE)の探索を行った。その結果、様々な生物のゲノムからこれまでに報告されていない多数の新規のEVEを発見した。例えばヒトゲノムにおけるボルナウイルス様EVEだけでも既知のEVEの3倍の内在性ボルナウイルス様配列を検出した。これらの結果から「新規ウイルスの発見は新規内在性ウイルス様配列の発見につながる」という本研究の仮説を実証することができた。本研究によって得られた知見は現代および過去のウイルスの多様性の理解に有用である。
著者
北野 勝則 北城 圭一 青柳 富誌生
出版者
立命館大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

・領域内A03班において、てんかん患者に対する治療の過程で計測された皮質脳波(ECoG)データに対し、情報理論的手法であるpermutation entropy(順列エントロピー)およびsymbolic transfer entropy(シンボリック移動エントロピー)を適用し、解析を行った。その結果、発作開始期には、電極間の相互作用より電極内部のダイナミクスの影響が大きいなど、発作期と発作間欠期における脳活動ダイナミクスの違いを特徴づけることに成功した。・様々な解析手法が非侵襲脳活動データに適用されているが、その結果が示すものについては不明な点が多い。脳活動に直接的な摂動を与えることが可能となる経頭蓋磁気刺激(TMS)による脳活動変化が検出可能かについて、permutation entropyおよびsymbolic transfer entropyを用いて解析した。その結果、上記手法はTMSの有無による脳活動の差を検出可能であること、後頭部に適用したTMSが前頭部に影響を与えることなどを明らかにした。・TMS-頭蓋脳波同時計測により、安静時には微弱な脳波の位相振幅ーカップリングが変調されるかを検証した。運動野、あるいは、視覚野に単発、あるいは、5 Hz、11 Hz、23 Hzでの5連発の反復刺激を行った。その結果、反復TMSの周波数での位相とガンマ波の振幅がカップルする位相ー振幅カップリングがTMSを印加しない場合に比べてより強くなる現象が見られた。過渡的な位相―振幅カップリングを効率よく検知する新規計測解析手法を提案した。
著者
岩間 厚志
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

強い転写活性を有する白血病融合蛋白MLL-AF9によって発現が直接活性化されるhuman lincRNAを、ヒト血液細胞株を用いたChIP sequenceとRNA sequence解析によってプロファイリングした。しかし、この細胞系においては主要標的遺伝子座におけるMLL-AF9の十分な結合が得られなかったため、臍帯血CD34+造血幹・前駆細胞をMLL-AF9で形質転換した細胞を用意し、同様の検討を行った。その結果、MLL-AF9の十分な結合が得られ、特異性の高いMLL-AF9の標的遺伝子リストが得られた。すなわち、coding遺伝子174個に加えて、非遺伝子領域に8,000を超えるMLL-AF9の特異的な結合が確認され、この中に多くのlincRNAが含まれるものと考えられた。同時におこなった転写活性化のヒストンマークであるH3K4me3のChIP-sequenceデータと照合することにより、MLL-AF9によって直接転写が活性化されるlincRNAを同定することが可能である。MLL-AF9をはじめとするMLL融合白血病遺伝子によって転写されるlincRNAを絞り込むため、MLL-AF9を持つ急性骨髄性白血病5例と正常核型急性骨髄性白血病5例を用いて、MLL-AF9白血病に特異的なlincRNAをマイクロアレイ (SurePrint G3 Human GE: Agelent社) 解析によってリストアップした。また、ヒトCD34+CD38-造血幹細胞とCD34+CD38+造血前駆細胞のRNA sequenceも終了した。現在、これらのアレイ解析データとRNA sequenceデータを、上記のMLL-AF9結合遺伝子データと照合することにより、MLL-AF9によって直接転写が活性化されるlincRNAを絞り込みつつある。
著者
松永 昌宏
出版者
愛知医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

私たち人間には、他者の内的状態を知り、他者が感じるのと同じように感じることができる「共感性」という能力が備わっている。共感性は乳児期からすでに獲得されており、例えば産婦人科内の赤ちゃんベッドが並ぶ部屋では、一人の赤ちゃんが泣きだすと、つられたように周囲の赤ちゃんも激しく泣き出す現象が見られる。これは、最初の赤ちゃんの悲しい感情が周囲の赤ちゃんに伝染したために起こる、情動伝染と呼ばれる最も原始的であると考えられている共感性である。カリフォルニア大学のファウラーらの研究によると、自分の周りに幸せな人が多くいる人は、自身の幸福度が将来的に上昇する確率が高くなるという。このことは、幸福感のようなポジティブ感情においても情動伝染が起こる可能性を示唆するものであるが、ポジティブ感情の情動伝染についてはあまり研究がなされていない。そこで本研究では、場面想定法を用いた共感性課題を用いて、幸福感の情動伝染の分子・神経基盤を明らかにすることを試みた。実験に使用した課題は、こちらが提示する色々な場面に遭遇した時のことを想像してもらい、その際の自身の幸福度はどれくらいかを評価するというもので、場面の感情価(快、不快、中性)×幸せそうな友人の有無(一緒に経験、自分ひとりで経験)の2要因混合計画で実施された。実験の結果、自己評価質問票における喜び感情の伝染得点の高さと、幸福感の伝染の程度との間に正の相関が見られるとともに、下頭頂葉ミラーニューロン活動との間にも正の相関が見られることが示された。また、下頭頂葉ミラーニューロン活動はオキシトシン受容体遺伝子多型、セロトニン2A受容体遺伝子多型と関連していることも見出された。これらの結果から、ポジティブ感情の情動伝染においてもミラーニューロンシステムが関係していることが示唆されるとともに、その活動をオキシトシンやセロトニンが修飾していると考えられる。
著者
浦和 博子
出版者
岐阜聖徳学園大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

植物体の局所に、目的とする遺伝子の発現を誘導する方法は既にいくつか報告されているが、それらの方法では、遺伝子発現は組織レベルに留まり細胞レベルで発現を誘導することは難しい。刺激応答の細胞レベルでの解析や細胞間シグナル伝達の解析には、細胞レベルでの遺伝子発現誘導が不可欠である。本研究の目的は、IR-LEGO(Infrared laser evoked gene operator)を用いて、赤外線を植物体に照射し、加熱により熱ショック応答を誘導し、目的の遺伝子を細胞レベルで発現させる系を確立することである。前年度は、シロイヌナズナの根における高効率の照射法を確立した。平成24年度においては、培養法および、照射法の検討を行い、シロイヌナズナの胚軸、茎頂分裂組織での遺伝子発現誘導法を確立した。根への照射とは異なる対物レンズを用いるなど、照射法を変えることにより、これら組織への照射を可能とした。また、前年度に照射法を確立したシロイヌナズナ根に関し、その根端領域において、各種細胞を区別した遺伝子発現誘導法を確立した。さらに、このシステムを用いた遺伝子発現誘導により「植物細胞場」を解析するには恒常的な遺伝子発現誘導系を確立する必要があると考えられた。そこで、前年度より、Cre/loxPシステムを用いたGatewayシステムのディスティネーションベクターの作製を行ってきたが、平成24年度は、ディスティネーションベクターのバリエーションを増やすなど、有用性を向上させた。このベクターは目的遺伝子のPCR断片さえ準備すれば、Gatewayシステムを利用し、容易にloxP配列の下流に蛍光タンパク質との融合タンパク質として目的遺伝子を作出できるように設計している。
著者
小池 進介
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

大学生259名を対象にした調査は218名(84.1%)について1年後調査を得て、現在2年後調査を実施中である。精神疾患に対するスティグマ軽減戦略を検証するRCT結果についてまとめ、国際誌に投稿した(現在査読中)。母子調査は、計画研究の橋本龍一郎分担研究者、岡本泰昌分担研究者に指導を受け、134名に対して実施した。解析結果より、Positiveな単語(例.親切だ)についての、3人称(母)視点の自己評価(例.お母さん(お父さん)はわたしのことを、親切だ、と思っている)と1人称視点の他者評価(例.(お子さんはどれに当てはまりますか)親切だ)との回答差が、メタ認知能力をもっとも適切に示しやすいことを明らかにした(H28.1.24成果報告会)。また、同様に聴取した東京ティーンコホート親子25ペアについても予備的に検討し、メタ認知能力が10歳児でより低いことを明らかにした。現在、この結果をまとめ英文誌に投稿する予定である。また、母子調査をもちいた精神疾患に対するスティグマの親子間比較および相関結果について、英文誌に投稿した(現在査読中)。さらに、母のスティグマが、上述のRCT介入結果に独立して影響を与えることを示し(成果報告会)、今後この結果をまとめ英文誌に投稿する。MRIを含めたバイオサンプル計測を80名に対して実施した。今後、解析を進める。そのほかのサンプルとして、英国1946年出生コホートデータを用いて、13歳および15歳時の自己制御能力が、15歳から63歳までの体重増加に影響することを明らかにした(Koike et al., Int J Obes (Lond) 2015)。また、精神疾患のスティグマに関連して、統合失調症の名称変更によってマスメディアの報道に違いが出たかを30年間にわたる新聞記事2200万件の解析を行った(Koike et al., Schizophr Bull in press, 日経プレスリリースほか)。
著者
川畑 貴裕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では原子核におけるアルファ凝縮状態を系統的に探索し、その存在を確立したうえで、エネルギーや崩壊幅から低密度核物質の物性を明らかにすることを目的とする。α凝縮状態は低エネルギーアルファ粒子を放出しつつ崩壊すると考えられているため、これを検出するために、近年発展の著しいニューラルネットワーク技術を導入して従来手法の限界を超えた新しい低エネルギー荷電粒子識別技術を確立する。そして、陽子数と中性子数の等しい質量数 A = 4N の原子核に対し0度を含む超前方角度におけるアルファ非弾性散乱と低エネルギー崩壊α粒子の同時計測を行い、アルファ凝縮状態を探索する。
著者
松本 直子 桑原 牧子 工藤 雄一郎 佐藤 悦夫 石村 智 中園 聡 上野 祥史 松本 雄一
出版者
岡山大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

ヒトが生み出す物質文化には、身体機能の拡張を果たす技術と、感性や価値観にうったえてヒトの心を動かす芸術という二つの側面がある。本計画研究では、「アート」として包括されるその両面が身体を介して統合される様相に焦点を当て、日本列島、メソアメリカ、アンデス、オセアニアにおけるアートの生成と変容の特性を比較検討する。アート(技術・芸術)によるヒトの人工化/環境のヒト化という現象を、考古学的・人類学的・心理学的に分析することにより、社会固有のリアリティ(行動の基準となる主観的事実)が形成される歴史的プロセスを解明し、新たな人間観・文化観を提示することを目的とする。