著者
田畑 秀典
出版者
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ヒト進化過程において、脳は著しく巨大化し、ヒトの高度な精神活動を可能にしている。脳が巨大化した主要因として、脳室帯(VZ)から離脱した神経幹細胞がさらにその幹細胞性を維持しながら脳室下帯(SVZ)で自己複製を繰り返すことが挙げられる。我々は発生過程マウス大脳皮質において、SVZで分裂する集団が皮質外側部において内側部よりも多く存在することを報告した。このことから、マウスにおいてこの両者を比較することにより、SVZ分裂細胞を多く作る仕組みを解明でき、これによりヒトが進化過程で巨大脳を獲得したメカニズムに迫ることができると考えられた。マイクロアレイ、in situ hybridization、および子宮内電気穿孔法によるスクリーニングと、情報科学的な淘汰圧の解析を平行して行い、霊長類で特異的に淘汰圧が高まり、SVZ分裂細胞の産生を正に制御する分子を同定した。この分子は、マウスではSVZにまばらに発現細胞が散見されるが、霊長類(マーモセット)では強陽性細胞が密に存在する。この分子は膜結合型のリガンドとして機能し、隣接する細胞に未分化性を維持させるように働くことが予測されることから、この発現レベルの違いが、SVZの発達を決定すると考えられた。種間による発現の違いが転写調節領域の変化によるものなのかを確かめるため、ヒトおよびマウスのBACクローンから転写開始点周囲の配列を単離し、その制御下にLuciferaseを発現するベクターを構築した。これらを子宮内電気穿孔法によりマウス胎仔脳に導入し、発現強度を比較した結果、マウス脳においてもヒトの配列はマウスよりも強い転写活性を示すことが観察された。多種間ゲノム比較によりこれらをブロック分けし、責任領域を絞り込んだところ、第2イントロン上流側の極めて狭い領域がマウスとヒトの発現強度の違いに決定的な役割を果たすことが示された。
著者
本吉 勇
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今年度に予定していた離散運動錯視の特性の心理物理学解析は昨年度中に概ね完了した.その結果,この錯視には4-5 Hzの周期で動作するメカニズムが深く関わっており,それが主観的な時間の連続性を支える大きな要因であるとの推察を得た.今年度は,心理物理学実験の一部について新たな方法に基づくデータを追加し結論の正しさを確認するとともに,大規模な脳波計測実験に基づき錯視の生理学的基礎を検討した.18チャンネル脳波計(Neuroscan SynAmp2 System,東京大学進化認知科学センター共用施設) を用いて,のべ25人の健常者から,離散運動錯視を引き起こす刺激と引き起こさない刺激をそれぞれ観察中の脳波を計測し,錯覚の生起と関連する成分を様々なやり方で分析した.試行錯誤の結果,錯覚が生起するときには後頭頂葉における4-8 Hzの帯域における振動成分が有意に低減することが示された.同じ分析を,視覚刺激がステップ状に現れ消失する条件とガウス状に緩やかに提示される条件で行ない,類似の結果を得た.この結果は,後頭頂葉に現れる4-8 Hz付近のいわゆるシータが,知覚の時間的連続性の成立に関与している可能性を示唆している.これらの結果を,前年までの心理物理学実験の結果と統合する形で一つの論文にまとめることに決定し,投稿を準備した.また,本研究の成果をInternational Symposium on the Science of Mental Timeおよび第16回脳と心メカニズム(統合脳WS)において講演(招待)した.上記とは別に,昨年度に採択された視覚コントラスト感度と運動座標系に関する研究成果を国際会議VSSで発表した.また,以前より進めていた視野闘争における座標系の役割に関する論文をJ. Visionに公刊した.
著者
淺間 一 田中 宏和 井澤 淳 近藤 敏之 矢野 史朗
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

四肢の欠損した患者や統合失調症の患者は,自分の身体への所有感が低下することや自分の運動に対して主体感が持てなくなり,健常者と比べて脳内身体表現が変容していることが知られている.本年度はこの身体所有感や運動主体感が脳内身体表現の変容に対してどのように影響を与えるのか定量的に評価し,数理モデルの構築を行った.具体的には,健常者に対してラバーバンド錯覚という現象を起こした上で,身体所有感と運動主体感がそれぞれ感じられない条件で,脳内身体表現がどのように変化するか調べた.その結果,被験者が能動的に動くことで,運動主体感は増し,ラバーバンド錯覚で呈示する腕の映像が実際のものと異なる時には,身体所有感が低下することがわかった.次に脳内身体表現の変容に対して,身体所有感と運動主体感が与える影響を定量的にモデル化した結果,対象とする被験者の数回の試行データを用いることで,変容がどの程度進むかを推定することができるようになった.またこのような知見を実際のリハビリテーションに応用可能なプラットフォームとして,バーチャルリアリティ環境の運動介入システムの実装を行った.これは使用者の腕の運動と筋活動を計測し,それをリアルタイムで使用者にフィードバックするシステムである.このシステムを使うことで,実際に使用者が行っている運動とは異なる結果を返したり,あえて運動を過剰に表示することで,運動を誘導することができることが分かった.
著者
近藤 滋 芳賀 永 秋山 正和 松本 健郎 上野 直人 松野 健治 武田 洋幸 井上 康博 大澤 志津江
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

28年度の総括班では、既に、班としてのシステムの構築がほぼ終わっているために、既存の共有装置の維持管理が主なものになる。2機の3Dプリンターは、全班員の研究に有効に使用されている。28年度に、総括班費で購入した機器は、顕微鏡用の共焦点レーザーユニット(北海道大学:999万円)と、ズーム顕微鏡(基礎生物学研究所:299万円、原子間力顕微鏡の一部として購入)である。いずれも、他の資金で購入したパーツと組み合わせることで、購入金額の節約をしている。両装置とも、3D形態の計測に必須であり、共同利用が進んでいる。班会議は北大で、5月23,24日に行った。理論系と実験系の交流を目的とする夏、冬の合宿は、9月4,5,6日と、3月28、29日に、淡路島、琵琶湖で行った。いずれも、学生の旅費の補助を総括班費から支出している。これまで、合宿は主に比較的少人数で行ってきたが、2016年度は、公募班員からの希望が多かったために、冬の合宿では会場を変えた。非常に活発な議論が行われたが、参加者が多くなりすぎたため、プロジェクトごとの議論の時間が逆に短くなり、やや、食いたりない面もあった。この点の解消が、今後の課題として残された。北海道大学の秋山は、定期的に、数学と3Dソフトの講習会を行っており、そのための実費(交通費、宿泊費)の支援を行った。その他、HPの更新に約30万円を支出している。
著者
近藤 滋 後藤 寛貴
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

研究はカブトムシとツノゼミの2つを対象にして、原基折り畳みと成虫の3D形態との関係の解明を目指している。カブトムシ:28年度の主な進展は、角原基の折り畳み構造が、蛹角の完全な3Dを内包していることを証明できたことである。実験は3通りの方法で行った。まず、終齢幼虫の頭の殻を取り除き、腹に圧力を与えることで、原基が膨らみ、蛹角の形状になることを証明した。次に、その変形に細胞シートの伸展が関与していないことを証明するため、原基を切り出し、ホルマリンで固定したのちシリコンチューブに固定し、空気を送り込んで膨らますことで、正確な蛹角ができることを示した。最後に、連続切片から取得した原基の折り畳み形状を、計算機の中で膨らませることでも、同じ変形が起きた。この結果から、蛹角の完全な3D構造は、角原基の折り畳みにコードされていることが完全に証明された。(論文審査中)ツノゼミ:コスタリカに研究員を派遣し、最も注目しているヨツコブツノゼミの採集に成功している。また、羽化直前の幼虫も少数ながら確保しX線CTにより、折り畳み形状のデータを取得できた。まだ、解析は十分ではないが、多種多様の形状を見せるツノゼミのツノが、基本的には似た折り畳み様式を持っていることが示唆され、今後の研究の指針が得られた。技術的な進展:カブトムシ、ツノゼミともに、原基の3D形状のデータ取得方法の試行錯誤に多くの時間を費やしたが、その成果は十分にあり、今後の研究の加速が期待できる。
著者
近藤 滋 武田 洋幸 上野 直人 松野 健治 松本 健郎 芳賀 永 井上 康博 秋山 正和 大澤 志津江
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-11-06

主な活動は以下の4点である。1:7月10,11日にアメリカ合衆国カリフォルニア大学アーバイン校と合同で、3D形態形成に関するシンポジウムを開催し、同時に、今後の技術協力体制の拡大に関して話し合いを行った。アメリカ側の主催者であるKen Cho博士は分子発生学の世界的な権威であり、今後も、交流を続けることを確認した。2018年の本研究班の班会議にKen cho博士を招き特別講演をお願いすることが決まっている。また、上野研究室との共同研究も現在進行中である。2:河西通博士をHarvard Medical School のSean Megason研究室へ派遣し、ゼブラフィッシュ胚における組織の3次元構造の発生機構の研究を共同研究で行っている。これは前年度からの継続である。昨年度より、細胞レベルでの挙動を定量的に解析しており、特に、In toto imagingなどの観測技術を武田研究室に移植している。河西通博士の派遣は、2018年度で終了する予定。3:近藤班の3名が、前年に引き続き、コスタリカでツノゼミサンプルの採取を行った。今年度は、プロジェクトの目的がはっきりしており、特にヨツコブツノゼミの幼虫、ヨコツノツノゼミの幼虫、の2種に絞り、採集を行った。結果として、それぞれ70匹、200匹のサンプル採集に成功し、エタノール固定ののち、コスタリカ大学ポールハンソン教授の仲介で、日本に送付していただいている。今後の近藤班の研究は、このサンプルの解析が中心となる。4:近藤研究室の学生、松田佳祐を3D形態の計算で世界的に有名なプルシェミック研究室に約2か月滞在させ、原基の折り畳みソフトの高速化技術を学び、昨年作った展開ソフトを改良した。
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(1)人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームの試作身体像を学習するロボットシステムに使用する,人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームを,これまで積み重ねてきた要素技術を統合して完成した.人間との筋構造がより似通っているため,人間の表面筋電位の情報をそのまま利用して,ロボットを動かすことにより人間の動作を簡単に模倣することができる.また,筋骨格構造が人間のそれと似通っているために,人間に与えられたタスクを容易に実現できることが期待される.試作したシステムの概要と,それを用いた初期的な実験結果を,2016 International Symposium on Micro-Nano Mechatronics and Human Science (MHS 2016)などで報告した.(2)使用するネットワークに関する検討連携研究者,津田一郎教授(北海道大学)とともに,使用するネットワークについての検討を行った.その結果を踏まえ,連想記憶の能力を有するμモデルを用いたネットワークについて,簡単なシミュレーションを行った.また,津田教授の提案する自己組織化第二原理について検討し,身体像の学習への適応可能性について検討している.(3)筋骨格構造を持つロボットについての著作筋骨格構造を持つヒューマノイドロボットについて,社会への情報公開をするために,著作「柔らかヒューマノイド」を著した.著作内では,人間の筋骨格と同構造を持つロボットが持つ研究的優位性と,その意味,柔軟性を持つ筋骨格を利用したロボットの性能向上などについて論じている.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)人間と相同の筋骨格構造を持つヒューマノイド,実験装置の整備空気圧人工筋を用いて,人間と同じような筋骨格構造を持つ上半身のヒューマノイドロボットを開発した.ロボットは,人間のような肩甲骨,肩関節,上腕構造などを持ち,人間の筋と同じような位置に,空気圧駆動人工筋を装備している.各人工筋には,張力センサと空気圧センサが装備されており,これらから各筋の長さを求めることができる.各筋は空気圧弁から送られる空気によって駆動され,人工筋が持つ柔らかさにより,全体的に柔らかい構造を持っている.各筋の空気圧は,個別に空気圧制御弁によって制御することができる.ROSを用いたシステムによって,これらを制御するコントローラを製作した.ROSを用いているため,たとえばカメラなどほかのセンサを使いすることが容易になっている.(2)学習に基づく運動制御法の開発操作の不変項として身体を見つけ出すためには,与えられたタスクに対し,その操作を実現する方法を学習する必要がある.人間の場合にも,操作を学習することを通して,フォワードモデルを学習し,それによって身体の表現を獲得していると考えられる.筋骨格ロボットは,非常に非線形性が強く,とても複雑な機構を持つ.そのため,力学的なモデルを形式的に作ることは難しい.これまで,このようなロボットを制御するために,制御入力のパターンを設計者が試行錯誤することによって作り出していた.本年度は,このような問題を解決し,ロボットが自身の順動力学特性を学習し,それを利用することによって,ロボットを制御する手法を開発した.
著者
和田 真
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、自閉症の当事者・支援者が感じる身体像に対する違和感を定量化するために、視覚-触覚の時空間統合と身体感覚の個人差や発達過程を調べることを目標としている。本年度は、昨年度に引き続き、複数の心理物理実験、脳機能計測(fMRIによる機能結合評価)、神経内分泌計測(唾液中オキシトシン濃度)に関する研究を行い、自閉傾向に関連した認知神経科学的な特性を明らかにした。自己身体像の錯覚を評価できるラバーバンド錯覚課題では、コミュニケーションや社会スキルの困難の自覚が強いほど、錯覚で生じるラバーバンドへの身体所有感が弱く、さらに錯覚の身体所有感と唾液中オキシトシン濃度との間に正の相関を見出した (Ide & Wada, 2017)。また自閉傾向の高い参加者では、周期的な刺激が錯覚を強化した (Ide & Wada, 2016)。視触覚の相互作用を調べる触覚誘導性視覚マスキング課題では、この現象の生起に二次体性感覚野と視覚野の機能的結合が重要である可能性を発見した(Ide et al., 2016)。さらに視点切り替えにおける身体像の影響と自閉傾向の関係も調査した。自己と他者の左右を判断させる課題では、細部への注意が強いほど、他者の背面像への投影が弱く、想像力の困難感が強いほど、他者の身体部位への注意が強い可能性が示唆された(Ikeda & Wada, ECVP2016)。また、日常生活上の困難と認知特性の関連を探るためにグループインタビューを実施した。以上のように、発達障害のコミュニケーション困難の背景には、情報のまとめ上げの困難とその結果生じる身体性の問題が深く関与しているという当初の仮説を裏付け、自閉症の当事者が感じる身体像に対する違和感の背景にある認知特性を定量的に示すことができた。
著者
飯塚 聡 万田 敦昌 安永 数明 佐藤 友徳 川瀬 宏明 美山 透
出版者
国立研究開発法人防災科学技術研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

最近の研究から、梅雨末期に豪雨が頻発する背景として季節的な海面水温の上昇が影響していることが示されている。日本周辺の海面水温は、黒潮・親潮や対馬暖流の影響で複雑な空間構造を持ち、また長期的には他の海域に比べ上昇率が大きい。本研究では、様々な時空間スケールの変動を有する日本周辺の海面水温が、数値モデルで予測される豪雨や豪雪などに与える影響を、高分解能海洋再解析データや観測データも活用しながら明らかにし、極端気象の予測可能性を探求する。これにより、将来の地域気候の影響評価や極端気象の予報の信頼度向上に対して有益な知見を与えることが期待される。
著者
川村 隆一 筆保 弘徳 山本 勝 富田 裕之 森本 昭彦 柳瀬 亘 吉田 聡 宮本 佳明
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

台風と爆弾低気圧による被害事例が日本全国広範囲で多発している。両ストームの発達・進路予測の改善、関連するストーム起源の極端現象の発生予測、そして変わりゆく気候環境下で両ストームの活動度がどのように変調するのかを解明する事は減災の観点からも喫緊の課題である。その問題解決に大きな不確実性をもたらしているのが黒潮・黒潮続流が熱・水蒸気供給を介して両ストームに与える影響である。暖水渦のような海洋中規模渦と低気圧の空間規模は1 桁程度異なっており、スケール間大気海洋相互作用の実態は依然として未解明である。そこで本課題では台風と爆弾低気圧の発達プロセスに果たす中緯度大気海洋相互作用の包括的研究を展開する。
著者
入山 恭寿 田中 優実 林 晃敏 大久保 將史 本山 宗主 喜多條 鮎子 館山 佳尚 獨古 薫 松井 雅樹 藪内 直明 雨澤 浩史
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

イオンが電荷キャリアに含まれる材料(=蓄電固体材料)の界面で発現する特異なイオンダイナミクスの機構を解明し、イオンを自在に超高速輸送・高濃度蓄積し得る界面構築のための指導原理を確立します。A01界面構築(高制御界面)、A02高度計測、A03計算・データ科学、A04機能開拓(ナノ界面)の4つの計画研究のもと、化学・物理・情報・材料の分野を融合し、新たな「蓄電固体界面科学」の学理構築に向けて、本研究は領域の研究支援活動を効率的かつ効果的に行うための運営を中心に領域活動に貢献します。
著者
大熊 盛也
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

この新学術領域研究の成果として生まれる微生物のリソースを、一般の研究者が利活用できるように整備する。本領域研究で分離培養・解析される難培養微生物を含む多数の微生物を受け入れて、保存・維持・品質管理を実施する。微生物リソースについての関連情報を整備して学術上に貢献にするとともに、利活用いただくことで研究コミュニティーや産業界も含めた社会に貢献することをめざす。難培養微生物のシングルセルゲノム解析や高度の培養技術により他の計画研究の支援も行う。
著者
松井 求 岩崎 渉
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究計画ではまず、生態学と情報学の新たな複合領域である「機能インフォマティクス」を創成する。本領域が収集する情報は(i) 環境コンテキストと微生物メタゲノム、(ii) 微生物機能情報に紐づけられた個々の種のゲノム情報、(iii) メタボロームと代謝パスウェイ遺伝子の共起関係、のように従来の解析に用いられる情報よりも圧倒的に多様かつ多量である。そこで、高次元・大規模な環境コンテキスト情報から「微生物が発現する機能と環境の相関」を明らかにするための新規情報処理技術を開発する。次に、集積された情報に本技術を適用し、領域が設定するモデル圃場の「ポストコッホ機能生態系モデル」を創成する。
著者
中島 敬二 上田 貴志 植田 美那子 望月 敦史 近藤 洋平 稲見 昌彦 遠藤 求 深城 英弘 河内 孝之 小田 祥久 塚谷 裕一
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

植物は一生を通じて器官や組織を作り続けながら成長する。このような特性に起因して、植物の形態には固有の周期性が現れる。植物の周期形態は遺伝的プログラムや環境変化といった、内的・外的因子により変化し、植物はこれを積極的に利用することで、器官のかたちや細胞の機能を変化させる。植物の形態や成長に現われるこのような「可塑的な周期性」は、植物個体の内部に潜在する未知の周期性とその変調に起因すると考えられるが、周期の実体やそれが形態へ現れる仕組みは不明である。本新学術領域では、植物科学者・情報科学者・理論生物学者が密接に連携して共同研究を展開し、周期と変調の視点から植物の発生原理を解明する。
著者
中尾 央 野下 浩司 金田 明大 田村 光平
出版者
南山大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本領域が対象とする出ユーラシア地域のモニュメント,遺物,民族誌データ、認知的データ、自然人類学的データ等を空間的・時間的位置を基準とするフレームワークに位置づけて相互参照・検索可能な形とする.SfM・三次元スキャナーやLiDAR 測量など三次元計測によって取得されたデータともリンクすることで,楕円フーリエ解析などの幾何学的形態測定の手法を用いた定量的な解析・比較を行う.また総括班との密接な連携の下,異分野統合のハブとしての役割を果たし,領域全体の一貫性・統合性を確実なものとする.
著者
安田 修 佐藤 丈
出版者
首都大学東京
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

将来の長基線実験計画のHKとDUNEを組み合わせた場合の測定精度を議論し、階層性縮退とoctant縮退が解決できることを示した。非標準相互作用に関して、HK・DUNE・T2HKKの各計画の感度とその感度の系統誤差への依存性・T2HKKのoff-axis角度の最適化について考察することにより将来計画への指針の一助を与えた。軽いステライルニュートリノの新たなCP位相による新しい種類の縮退を発見した。IceCube Gapとμ粒子の異常磁気能率を説明する模型を提唱してその現象論を議論し、Belle-II実験・COMET実験・LHC実験・ILC実験でのレプトンフレーバーの破れの可能性を議論した。