著者
清井 起鵬 岡田 唯男
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.33-35, 2014 (Released:2014-03-28)

様々な理由で正規の期間の家庭医療学専門研修を受ける事のできない医師が, 短期間でも専門研修を受けることは, 家庭医療を広める意味において有意義であると考えられる. 今回著者 (清井) は, 亀田ファミリークリニック館山で短期間の専門研修を受けた. 研修までに至った経緯・研修生活について報告する. また, 全国の研修施設に対して, 短期間の家庭医療学研修に関するアンケートを行ない, 54プログラムより短期研修受け入れ可能との回答を得たので, その概要を報告すると同時に, 許可の得られた施設名を共有する.
著者
西村 亜佐子 眞田 法子 鈴木 渉太 岡田 浩 芝田 信人
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.117-120, 2023-09-20 (Released:2023-09-22)
参考文献数
14

日本では女性が健康に働き続けるための施策が十分ではない.また,女性自身のヘルスリテラシーが低く,女性特有の心身不調に関する情報へアクセスしづらい問題がある.この現状の中,地域の身近な医療者として薬局薬剤師が,体調に不安を感じる女性のファーストアクセスの場となることが期待される.そこで今回は薬学生を対象に,女性の健康について学ぶ機会を提供するため,女性ヘルスケアカフェを開催したので,これを報告する.
著者
金田 明子 叶谷 由佳
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.12-19, 2023-03-20 (Released:2023-03-24)
参考文献数
17

目的:エンド・オブ・ライフ期(EOL期)にある在宅療養要介護高齢者のケアマネジメント実践の関連要因と効果的な研修について検討する.方法:全国の居宅介護支援事業所から2,540事業所を無作為抽出し,各1名の介護支援専門員に自記式質問紙の回答を求めた.ケアマネジメント実践は,EOL期の在宅療養要介護高齢者のケアマネジメント実践尺度(EOLCM尺度)を用いて評価した.二変量解析にて関連要因を明らかにし,重回帰分析を行った.結果:EOLCM尺度得点に寄与する順に,疾患の研修受講経験,多職種連携の研修受講経験,性別,看護の研修受講経験,訪問看護事業所の併設,経験年数,チームビルディングの研修受講経験が示された.結論:寄与が示された研修内容を優先的に行うこと,訪問看護師を活用することによってEOL期の在宅療養要介護高齢者のケアマネジメント実践の質が向上する可能性が示唆された.
著者
大石 愛
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.246-248, 2013 (Released:2013-10-04)
参考文献数
8

プライマリ・ケア従事者にとって, 緩和ケアは親和性の高い分野であり, その実践を通して学べることは多い. プライマリ緩和ケアにおいて, 障壁となりうる状況はいくつかあるが, これらは省察的実践によって解決される可能性がある. プライマリ・ケア従事者にとっての緩和ケアの困難感を減少させるためにも, 省察的実践を取り入れることが望まれる.
著者
東浦 勝浩 竹田 加寿子 大畑 浩美 小松崎 優子 兼則 美香 朝田 有子 柿本 利恵 若山 祥子 宮部 真由美
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.198-204, 2019-12-20 (Released:2019-12-27)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目的:禁煙治療の評価は禁煙外来終了時の禁煙成功率だけではなく,長期間の禁煙継続をもって判断することが望ましい.しかしながら長期にわたる追跡調査は困難であり,日本人を対象として長期間追跡した報告は殆どない.そこで当院禁煙外来を受診した患者の動向を調査して,初期治療成績とその後の長期的な禁煙の実態について検討した.方法:当院禁煙外来にて禁煙治療を実施した124名を対象として平均35ヶ月間の観察研究を行った.結果:本検討での禁煙外来終了時の初期禁煙成功率は71.8%であった.初期禁煙成功者の長期禁煙継続率は1年,2年,3年後がそれぞれ,61.1%,54.0%,50.6%であり,男性では禁煙外来終了後半年の間にその41.1%が喫煙を再開していた.結論:禁煙外来で治療を受けた初期禁煙成功例の更なる禁煙維持のために,その後1年間,特に男性では半年間は新たなサポートが必要と考えられた.
著者
田中 武志 山口 浩一 井上 和興 孫 大輔 孝田 雅彦 谷口 晋一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.102-105, 2022-09-20 (Released:2022-09-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

鳥取県日野郡の医療福祉従事者の意見を反映し,画像情報を中心とした情報共有アプリケーション「パッと見えNet」を開発した.以前構築したトップダウン型のシステムに比べて,文字情報を省略・簡略化する事で作業負担が減少し,利用機関数,システム利用者数,登録件数などが増加した.そして,医療福祉従事者間で双方向性の情報共有が活発となった.
著者
鈴木 渉太 岡田 浩 蓮 行 末長 英里子 大山 渓花 岡崎 研太郎
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.62-65, 2022-06-20 (Released:2022-06-21)
参考文献数
9

糖尿病領域では,患者の自己管理能力を引き出す診療・服薬指導が望まれており,医療者のコミュニケーションスキル向上,多職種連携によるチーム医療が重要視されている.COVID-19パンデミックを機に,遠隔診療・服薬指導の実臨床への普及が喫緊の課題とされたが,糖尿病領域に必要なスキルの研修機会は乏しい.そこで今回,遠隔診療・服薬指導スキル向上のために,多職種対象オンライン研修会を開催した.
著者
水本 潤希 小松 真成 長嶺 由衣子 長谷田 真帆 藤原 和成
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.36-39, 2022-03-20 (Released:2022-03-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

新・家庭医療専攻医制度では,新たなポートフォリオ領域として「健康の社会的決定要因(SDH)とアドボカシーおよびアクセス」が追加された.様々なSDH上の臨床課題とその対応についてセッティングごとに具体例を示すことで,SDHポートフォリオ執筆のコツを伝えることが本稿の目的である.日本のプライマリケアが健康格差に対してその社会的責務を果たすために,SDHに関する学習の機会と質を担保することが重要である.
著者
五嶋 実波 和田 幹生 松島 和樹 大阿久 達郎 中川 晃輔 北川 景都 木村 沙江 金井 伸行
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.2-9, 2022-03-20 (Released:2022-03-23)
参考文献数
33

目的:COVID-19流行による外来受診の変化を評価する.方法:2019年と2020年の4・5月における家庭医療センター初診患者の診療録を,後方視的に参照した.人数,年齢及びプライマリ・ケア国際分類で分類した臓器別健康問題と受診理由を全患者,小児と成人領域患者に分け2019年と2020年で比較した.結果:2019年と2020年で,対象者は1159人と859人(男性は48%と53%),1日平均患者数は25.2人と17.9人(p<0.001),平均年齢は48.4歳と52.4歳(p=0.010).主な臓器別健康問題(2019年:2020年)は,小児で呼吸器45%:32%(p=0.026),消化器18%:5%(p=0.003),成人で呼吸器23%:16%(p<0.001),皮膚20%:15%(p=0.011).結論:COVID-19流行下で外来患者数は減少し,臓器別健康問題の内訳が変化した.
著者
大野 茜子 日馬 由貴 佐藤 匡博 小泉 龍士 岩元 典子 大曲 貴夫
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-30, 2022-03-20 (Released:2022-03-23)
参考文献数
14

目的:診療所における抗菌薬適正使用の推進に向けて,抗菌薬処方状況を処方医自らがモニタリングできるシステムの開発を計画中である.本研究は,システムの実現性,妥当性の調査を目的とした.方法:6つの診療所のレセプトコンピュータ内に格納されている傷病名と処方薬のデータを出力後,個人情報を匿名化した.急性気道感染症と急性下痢症に対する抗菌薬処方を集計,データ整理した後,報告書を作成し,診療所が閲覧できるようにした.結果:対象の6つの診療所全てで,匿名化したデータを取得できた.また,傷病名と処方を連結させたデータの抽出や,処方薬の集計を行うことができた.結論:診療所における,抗菌薬処方モニタリングによる抗菌薬適正使用支援確立の可能性を見出し,本システム実現化を見通すことができた.一方,傷病名の付け方は多様であり,抽出する傷病名の定義づけに関しては,さらなる調査・検討が必要と考えられた.
著者
小野里 香織 星川 里美 栗原 康哲 山岸 徹 神山 晴美 土田 秀 福田 利夫
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.73-76, 2020

<p><b>目的:</b>子宮頸がん撲滅を目指し,細胞検査士による予防・啓発活動を報告・考察する.</p><p><b>方法:</b>オリジナルグッズ製作,"ぐんまちゃん"着ぐるみの借用,地域FM放送の利用,配布時の工夫,大学生への配布,の5項目である.</p><p><b>結果:</b>啓発グッズ配布数が増加し,時間短縮,会員の負担減など効率化が図れた.</p><p><b>結論:</b>継続的に正確な情報を提供し,女性自身が正確な知識を持つことが重要である.特に若年者への健康教育を重視する必要がある.</p>
著者
森川 暢 長野 広之 松本 真一 原田 拓 明保 洋之 官澤 洋平 大浦 誠 宇井 睦人 崎山 隼人 朴澤 憲和 近藤 猛 内堀 善有 藤谷 直明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.128-131, 2021-09-20 (Released:2021-09-22)
参考文献数
11

近年,病院総合医の必要性や重要性が注目されているが,若手の病院総合医が活動できる場はなかった.今回,日本プライマリ・ケア連合学会に,主に10年目以下の若手病院総合医で構成される「病院総合医チーム」という組織を構築した.病院総合医チームの活動内容を報告し,その活動の意義と今後の展望について考察を行う.
著者
安原 大生 川島 篤志 和田 幹生 花本 明子 加来 奈津子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.53-58, 2021-06-20 (Released:2021-06-23)
参考文献数
7

目的:破傷風は強直性痙攣を引き起こす致命率の高い感染症である.筋症状の治療として硫酸マグネシウムが有効である可能性が報告されているが,その使用実態の知見は乏しい.本研究の目的は重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウム使用の概要を明らかにすることである.方法:国内で医師が登録する複数のメーリングリストを利用し,重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウムの使用実態についてアンケート調査を行った.結果:対象となるのべ24,266人のうち計604名からの回答があった.重症管理を必要とした破傷風症例の経験者は252名であり,そのうち硫酸マグネシウムの使用経験者は126名であった.結論:重症管理を要する破傷風症例において,硫酸マグネシウムの使用が相当数認められることが明らかとなった.破傷風治療の選択肢として,硫酸マグネシウムの有用性については更なる知見の蓄積が必要である.

1 0 0 0 OA 避妊

著者
井上 真智子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.119-123, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

要 旨 避妊法の種類は日本ではやや限られるものの, 低用量ピルや子宮内避妊用具 (IUD/IUS) などの選択肢がある. 避妊効果, コスト, 侵襲や簡便さ, 副作用, 可逆性, 医学的条件等をふまえた上で, 女性 (とそのパートナー) が条件に合った適切な方法を選択することができるよう, 十分な情報提供と支援を行う.
著者
井倉 一政
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.133-135, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
13

日本の精神障害者に対する保健福祉政策の歴史は浅く,地域で精神障害者がのぞむ生活ができるためには,必要な住居が提供されることが必要である.精神障害者の健康と質の高い生活を支援する専門職のひとつに,保健師がある.現在,保健師の多くは組織に属しているが,いずれの組織にも属さない開業保健師も存在している.今回,2014年から三重県で試みている精神障害者などの社会的弱者に住居を提供する開業保健師活動を報告する.
著者
土田 知也 家 研也 西迫 尚 松田 隆秀
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.134-140, 2019
被引用文献数
8

<p><b>背景:</b>特定の臓器に偏らず幅広い視野で患者を診ることができる総合診療医が日本には必要であるものの認定制度開始は近年のためその育成は急務である.</p><p><b>目的:</b>総合診療に興味を持ちつつ臓器別専門医を選択した医師にインタビューを行い,「進路決定に関する要因」を抽出し,より理想的な総合診療研修の方法を検討する.</p><p><b>方法:</b>2017年4月~2018年4月,5名の対象者へ現在のキャリア選択に至った経緯について半構造化面接をおこない逐語録化されたデータを,修正グラウンデットセオリーアプローチを用いて分析した.</p><p><b>結果:</b>臓器別専門医選択の理由は「学問としての魅力」「他の医師から頼られる存在」「専門性を得る安心感」があがり,総合診療医の障壁として「将来の不安」「臓器別専門医からの批判」などがあがった.</p><p><b>結論:</b>より理想的な総合診療研修のためには,充実した地域医療研修や専門医制度の確立,総合診療再研修の提案・実践を行うことが必要である.</p>
著者
黒岩 祥太
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.35-38, 2020

<p>社会調査とその統計分析を専攻してきた私が本誌優秀論文賞を受賞できたことは,現場の医師の先生方をはじめとした医療従事者の方々との緊密なコラボレーションの結果だと考えている.</p><p>本稿では,まずどのような背景から私が論文「高齢者によるケア活動は,生きがいにつながるのか? ―地域高齢者によるケア活動と主観的QOL(quality of life)との関連―」を投稿したのかを説明する.</p><p>次に論文の元になった研究をどのような手順で進め,その際に気をつけたことは何であったのかを,仮説の構築と検証の段階に分けてそれぞれ具体的に記載する.不完全ではあるが,現場の方々が研究を実施する際の,何らかの参考になればと考える.</p><p>今後,地域住民のQOLに配慮した地域づくりのためには,医療を中心とした学際的なコラボレーションがより重要となる.本研究がささやかながら,その一つのケースになれば幸いである.</p>