著者
都築 直哉
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.18_3, 2017

<p> 今年度、静岡県では「スポーツの聖地づくりとスポーツ王国しずおかの復活」を戦略の一つに掲げており、県体育協会や各競技団体等と連携し、これまで以上に、将来を担うジュニア世代の育成を推進していきたいと考えています。県では、これまでも各競技団体が実施するジュニア世代の育成・強化活動に対する支援を行ってきました。しかし、各競技団体は、練習環境や競技の普及、指導者の養成といった点でそれぞれ違った課題を抱えており、競技団体だけで解決していくことが難しい課題もあります。そこで、比較的競技人口が少なく、ジュニア期における選手育成体制がまだ十分に確立されていない競技をターゲットとし、新たに「ジュニアアスリート発掘・育成事業」を実施することとしました。「ジュニアスポーツ体験」、「ジュニアアスリートアカデミー」、「スポーツ指導者資質向上」で構成する本事業により、子供に様々な競技の中から自身の能力に適した競技を選択する機会を提供するとともに、優れた指導者を養成していくことで、ジュニア世代のより一層の競技力向上を目指していきます。</p>
著者
田中 彰吾
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.10_2, 2019

<p> パフォーマンスの速さと正確性、チームワーク、他者との身体的相互作用などが競われる点で、eスポーツはそれ以外のスポーツと多くの共通点を持っている。ただし、すべてのパフォーマンスがコンピュータに媒介されている点(computer-mediatedness)は、他とは異なるeスポーツの顕著な特徴である。コンピュータ媒介性は、次の2点で競技者の身体活動のあり方に変化をもたらすと思われる。第一は「道具使用」である。競技中のほぼすべての活動は、手元のデバイスと眼前のモニターを利用してなされる。ボールゲームや体操における道具使用と比べて、eスポーツにおけるそれは、目と手の協調を限定的かつ極端に推進する。第二は「仮想現実」である。競技が行われる場所は、現実のフィールドではなくモニター上に展開される仮想現実である。競技者は一人称視点でフィールドに入り込んだり、俯瞰しつつフィールド全体にかかわったりするが、いずれにしても、仮想現実における仮想身体を利用しつつパフォーマンスが行われる。当日の報告では、以上の2点について、現象学的な観点からさらに踏み込んで読み解いてみたい。</p>
著者
壺阪 圭祐 島本 好平 木内 敦詞
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.113_1, 2016

<p> 文部科学省(2013)は「新しい時代にふさわしいスポーツ指導法」の確立を目指し、「スポーツ指導者の資質向上のための有識者会議」を設置した。そこでは、指導者における競技横断的な知識・技能を有するコーチング(Coaching:以下、C)の獲得が課題とされている。そこで本研究の目的は、壺阪ら(2015)によって見出されたライフスキルの獲得を促すコーチングスキルの4側面(可視化を促すC、感謝する心の育成を促すC、自発的な行動を促すC、目標達成を促すC)を指導者に求められる競技横断的なCとし、同コーチングスキルの獲得の様相を探る手がかりとして、同スキルの獲得パターンをもとに指導者を類型化することであった。対象者は関西、関東地区の中学・高校・大学年代のスポーツ指導に携わる指導者551名(男性458名、女性93名、平均年齢:41.9 ±10.9)であった(有効回答率97.5%)。大規模クラスター分析を行った結果、「自発的な行動を促すC低群(n=138)」、「可視化を促すC低群(n=116)」、「C全体低群(n=87)」、「感謝する心の育成を促すC低群(n=123)」、「可視化と目標達成を促すC高群(n=87)」の5つのクラスターに分類されることが示された。</p>
著者
金堀 哲也 岡本 嘉一 小倉 圭 前原 淳 島田 一志
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.217_2, 2017

<p> 成長期の野球選手における野球肘の有病率は非常に高く、野球肘の早期発見および予防の重要性が提言されている。野球肘の発症要因には酷使をはじめとして、ポジションや投球動作など、様々な要因が複雑に絡み合っている。Okamoto et al.(2016)は、学童期野球選手を対象にMRI診断を行った結果、41.9%に異常所見がみられたものの、投球数、投球頻度、ポジションとの関係性はなかったと報告している。すなわち、野球肘の発症要因において、投球動作との関連性は少なくないと考えられる。そこで本研究は、肩・肘に痛みのない学童期野球選手60名を対象に、肘関節MRI診断および投球動作の3次元動作解析を併用することで、MRI診断結果と投球動作の関係性について検討し、野球肘の発症要因となる投球動作を明らかにすることを目的とした。その結果、踏出足着地時の投球腕肩関節の外転角度においてMRI陰性群のほうが有意に小さかった。また、踏出足着地時の肩と腰の回転角度の差においてMRI陰性群のほうが有意に大きかった。以上のことから、踏出足着地時の姿勢がその後の投球腕の動作に影響を及ぼし、肘関節への過度な負荷を加えている可能性が示唆された。</p>
著者
小林 哲郎 柏木 悠 相馬 満利 藤戸 靖則 平野 智也 山岸 道央 和田 匡史 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.182_2, 2016

<p> 【目的】全力クロール泳におけるキックが水平速度(SV)、ストローク頻度(SR)、ストローク長(SL)、ストロークサイクル内の水平速度変動(IVV)に及ぼす影響を明らかにすること。【方法】被験者は日本代表経験者を含む男子水泳選手5名(身長;175.2 ±6.5cm、体重;78.1 ±7.5kg、50mベストタイム;23.82 ± 0.73s)であった。試技はクロール泳の通常の泳ぎ(スイム)と足首をロープ固定した腕によるストロークだけの泳ぎ(プル)で、25m全力泳をそれぞれ行った。デジタルビデオカメラ(60fps)を用いて選手右矢状面より水中映像撮影を行った。分析区間は右手の1ストロークサイクルとし、選手の右大転子点よりSVを算出した。【結果及び考察】SVはプルに対してスイムで約20%の速度増加がみられ、SRには有意差がなく、SLはスイムの方が大きい値を示した。IVVは、スイムとプルでそれぞれ7.84 ±1.76、9.73 ± 1.87%であり、スイムの方が統計的に有意に小さい値を示した(p<0.05)。スイムはキックにより1ストロークあたりの距離を大きくすることで高い速度を得ていることが推測された。</p>
著者
大東 実里 星野 聡子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.102_3, 2018

<p> 「挑戦か脅威か」という認知的評価は自律神経に作用して心臓血管系応答を乱し、競技場面においてはパフォーマンスに影響を及ぼすと考えられる。スポーツパフォーマンスの予測可能性を自律神経系活動に求めることを目的として、本研究では、認知的評価と自律神経系活動の関係を心拍変動から検討する。剣道団体戦の代表戦場面というストレス事態下を想定し、等身大に提示した競技レベルの異なる対戦相手(High、Middle、Low条件)に対して有効打突を決めるイメージで対峙することを課題とした。自律神経活動は対峙5分間の心拍数および心拍変動スペクトル解析からLF成分(0.04~0.15Hz)とHF成分(0.15~0.4Hz)を、またLF/HF、LF/total、HF/totalによって評価した。その結果、相手の競技レベルが自身より高いと認知したHigh条件と低いと認知したLow条件では、自身の競技レベルと近いMiddle条件よりも交感神経活動の促進と副交感神経活動の抑制が示された。すなわち、認知的評価に伴う緊張や退屈による覚醒水準の推移に伴って、交感神経活動はU字を、副交感神経活動は逆U字を描くということが示唆された。</p>
著者
荒木 達雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.62_1-62_1, 2016

<p> 内田良氏の提言で組(立)体操がクローズ・アップされ、文科省の指針発表にまで発展した。この問題は、体育の授業内ではなく「体育祭」という「スポーツ・イベント」内での事故が多発しているためである。もともとは体操領域に「組(立)体操」は位置しているわけであるが、指導要領にその種目の文言が戦後、一度明記されたのみであり、現在の「体つくり運動」でも明記されていない。また、名称の不徹底も問題となっている。それは「組立体操」、「組体操」の区別の仕方である。「組立体操」は、人間が2段、3段に積み上げて造形美を表現する「<u>静的</u>」な運動形態である。「組体操」は、2人以上で互いの力を利用し合って動く、「<u>動的</u>」な運動形態である。体育の指導者であれば、この違いを理解したうえでこれらの運動種目を指導すべきであろう。また、普段の授業内での練習した種目を厳選したうえで、体育祭での発表作品として選択すべきと考える。今回は、「組立体操」、「組体操」の目的を明確にして実践例を参加者に体験してもらい、発表作品にまで発展させていく企画である。</p>
著者
堀江 航 田中 信行
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.293_3, 2018

<p> 本研究は、米国の障がいのあるスポーツ選手を対象にしたアンケート調査により、その健康感や幸福感などの傾向を得ることを目的にした。対象とした選手は、全米車椅子バスケットボール選手権大会(今年3月で70回)に参加した成人男子48チーム(競技レベル順にDivision Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(各16チーム))に所属する者であった。アンケートの配布数は412件であり、回答数は177件(回収率43.0%)であった。調査内容は、年齢、障害名、持ち点などに加え、車椅子バスケットボールの競技歴、その他のスポーツの競技歴、受障原因や受障年齢を基本情報とし、Well-Being Scale(WeBS)を用いた主観的な健康感とThe Satisfaction with Life Scale(SWLS)を用いた幸福感などであった。WeBSとSWLSは、それぞれ6件法と7件法であった。さらにチームに障がいのない者を加えることの賛否と共に自由筆記によりその意見を求めた。各項目の集計と分析結果の詳細については当日発表する。</p>
著者
伊藤 浩志 吉田 孝久 松本 実
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.221_2, 2017

<p> ここ数年、多くのアクティビティートラッカーが発売され、スポーツでの活動量記録が手軽に行えるようになった。しかしながら、市販のアクティビティートラッカーは、競技スポーツのトレーニング記録には機能が不十分である。競技パフォーマンス向上にはトレーニング過程の最適化が必要であり、そのためにはトレーニング手段及びトレーニング負荷の客観的な記録と評価が重要である。本研究は、トレーニング記録の簡便化を実現するために、加速度センサーデータを用いたコンピュータによるトレーニング内容の自動判別の手法について検討する。</p><p> 大学陸上競技跳躍女子選手3名を対象に、3日間4セッションのトレーニング時に手首の3軸加速度を100Hzで計測した。同時に撮影した映像からトレーニング内容を読み取り、ランニング、スプリント走、跳躍運動、ドリル運動、補強運動、ストレッチング、歩行の7種のカテゴリー情報をセンサーデータに付加し、15時間分の教師データを作成した。これらのデータを用いて7層で構成される再帰型ディープニューラルネットワークの学習を行った。その結果、センサーデータから75%の精度で運動内容を判別することが可能であった。</p>
著者
岡田 康太
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.160_2, 2017

<p> 近年、広島東洋カープファンがマスコミによって報じられる機会が増えたことに疑いの余地はないだろう。これまでもカープを応援し続けてきたファンに、若年層を中心とした新規のファンが加わったことで、さらに熱狂的な応援をしている。このようなカープファンが、カープに関する知識をどの程度持っているのかを調査することは非常に興味深い。そこで本研究では、カープファンが、カープに関する知識をどの程度持っているのかを調査し、その傾向や特徴を明らかにすることを目的とした。カープファン全体においては、過去の歴史に関する内容よりも、過去から現在まで継続的に行われていることに関する内容の方が高い値を示した。しかし、過去の歴史に関する知識には個人差があり、これに精通しているファンも少なからず存在していることが明らかとなった。また、現在の事実に関する内容に対しても高い値を示した。女性ファンにおいては、過去の歴史に関する内容よりも、現在の事実に関する内容の方が高い値を示した。これらの結果から、カープは過去の歴史を中心として伝えていくことで、ファンにとってより魅力的な球団となり、ファンを維持・増加できる可能性が考えられた。</p>