著者
星 瑞希 鈩 悠介 渡部 竜也
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.25-37, 2020 (Released:2021-07-11)
参考文献数
14

知識偏重の歴史教育に代わるアプローチとしての「歴史する」授業は歴史学の学問的アプローチの再現とする傾向が見られる。本稿では,保苅実による歴史学の方法論をめぐる議論,レヴスティクとバートンによる歴史教育の議論の分析を通して,「歴史する」の捉え方の位相の差異を示し,「歴史する」を歴史学の学問的アプローチに一元化してしまうことの課題について考察を行う。保苅とレヴスティクらは,歴史学の学問的アプローチのみならず社会には多様な歴史実践が存在することを認め,それらを多元的社会や参加民主主義といった理想的な社会の実現と関連させ論じる点において共通している。彼らの論を踏まえれば,学問的アプローチへ一元化することの課題は,(1)学問的であるとみなされない人々の語りを排除してしまい,多元的社会や参加民主主義の実現に逆行するおそれがあること,(2)子どもたちの歴史を学ぶ意味を満たしにくくなる可能性があることである。
著者
橋本 康弘 土井 真一 根本 信義 佐伯 昌彦 小山 治 橋場 典子 吉村 功太郎 桑原 敏典 磯山 恭子 中原 朋生 渡部 竜也 三浦 朋子 小澤 昌之
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、日本の中・高校生の持つ法的知識や意見に基づいた法教育プログラムの開発にある。本研究では、日本の高校生を対象とした質問紙調査を実施した。その調査結果では、法知識は正しく有していても、法意見は反対の考え方を示すなど、「法知識と法意見の乖離」が生じている項目が散見された。本研究では、「法知識と法意見の乖離」が生じている「黙秘権」と「自白強要の禁止」について、授業を開発し、それを実施した。
著者
渡部 竜也
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.85-96, 2004-03-31 (Released:2017-04-22)

本研究の目的は,社会問題学習には,科学主義社会科の延長上に位置付く実在型社会問題学習と,科学主義社会科とは別の観点から生み出された唯名型社会問題学習の二つが存在することを踏まえつつ,なぜ,合衆国の社会科教育において,今日後者が注目されるのか,その原理的説明を試みることである。この目的を達成するために,(1)科学主義社会科に向けられた批判にはどのようなものがあり,(2)唯名型(ここでは特にハーバード社会科に注目する)はその問題点をどのように克服しているのか,を明らかにする。本研究で導き出された科学主義社会科の問題点4つのうち主なものと,それに対する唯名型社会問題学習の克服手法を示すと,以下のようになる。1)科学主義社会科の問題の第一は,多様にある学説の中からどれを教えればよいのか,内容編成の基準を明確に示せない点にある。唯名型社会問題学習は,多種多様な見解を持つ人間の論争に注目するので,対立する学説・見解を,時間の許す限り全て授業に持ち込むことができ,この問題を克服できる。2)問題の第二は,この社会科が事実上ある研究者の見解の教え込みをする学習になっている点にある。唯名型社会問題学習は,論争を通して多種多様な見解を比較するために,それらの見解同士を対象化して見ることができるので,これを克服できる。
著者
草原 和博 棚橋 健治 溝口 和宏 桑原 敏典 鴛原 進 橋本 康弘 山田 秀和 渡部 竜也 藤本 将人 田中 伸 田口 紘子 後藤 賢次郎 小川 正人 川口 広美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,社会科教育研究の日米比較を通して,それぞれの学界で確立されてきた研究方法論を抽出し,再構成することで,国際的な研究交流にたえうる「研究法ハンドブック」を開発しようとした。米国の研究者を招いたシンポジウムでの討論と聞き取り調査,ならびに文献調査を踏まえて,効果が期待される以下3つの方法論を導出し,論文作成の手続きを定式化することができた。(1)規範的・原理的な提言(2)実験的・実践的な開発(3)実証的・経験的な研究。
著者
唐木 清志 山田 秀和 森田 真樹 川崎 誠司 桑原 敏典 橋本 康弘 吉村 功太郎 渡部 竜也 桐谷 正信 溝口 和宏 草原 和博 桐谷 正信 溝口 和宏 草原 和博 磯山 恭子 藤本 将人
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アメリカ社会科で展開されるシティズンシップ教育の動向を, 理論レベルと実践レベルから多面的・多角的に考察し, その現代的意義及び日本社会科への示唆を明らかにした。具体的な研究成果としては, 2009年3月に刊行された最終報告書に載せられた13名の論文と, 2009年1月13日にミニシンポジウムを開催したことを挙げることができる。研究を通して析出された「多様性と統一性」や「争点」といった分析枠組み(本研究では「視点」という言葉を用いている)は, 今後日本の社会科においてシティズンシップ教育を推進するにあたっても, 重要なキーワードとなるであろう。