著者
稲垣 忠 嶺岸 正勝 佐藤 靖泰
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.109-112, 2008
被引用文献数
2

児童が自分の考えを説明する場面において,電子黒板はどのような影響を与えるのだろうか.本研究では,小学校高学年算数科「分数の掛け算と割り算」単元の授業実践において,電子黒板を利用した説明場面を対象に,質問紙調査,ビデオ記録,児童・教師へのインタビュー調査を実施した.その結果,電子黒板を用いることで書きながら説明する行動が観察され,聞き手は口頭での説明と比べ,より話者の考えを理解し,自分の考えと比較しやすいこと,また,手立てとして,画面上に配布資料と同じものを提示することが,書きこみや説明のしやすさをもたらすことが明らかになった.
著者
石塚 丈晴 高田 浩二 堀田 龍也 森谷 和浩 前田 喜和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.77-80, 2008
被引用文献数
4

本研究では,携帯情報端末の中でも児童にとって親和性が高いと考えられる携帯電話を,水族館での学習に使用するシステムを設計し開発した.開発したシステムを用いて実証実験を行ない,児童の水族館での学習への携帯電話端末利用の可能性について検討した.その結果,児童は日本語入力を含め,問題なくシステムを利用していたという結果が得られた.また,携帯電話端末を積極的に利用した児童は,携帯電話を利用した本システムの有効性を評価し,今後も利用したいと回答しており,携帯電話を端末としたシステムの利用可能性が示された.
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 山田 智之 畠田 浩史 青木 栄太 笹田 森 伊藤 博康 田中 優
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.121-124, 2008

教員の情報収集を効率化するため,2006年度に開発・実証実験を行った,教員に有用なWeb情報の所在を配信するシステム"Teacher's Desktop"に,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」「マイブックマーク」の4機能を追加し,実証実験によりシステムの評価を行った.その結果,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」機能については,使用感・利便性ともに肯定的な評価を得て,教員の教育情報の効率的な検索への効果が認められた.一方,「マイブックマーク」機能に関しては,ほとんど利用されず,実装方法が今後の課題として残った.
著者
宮田 仁
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.173-176, 2008
被引用文献数
2

筆者は受講者が所持している携帯電話に対応したコメントカードシステムを開発し,2002年より4年間,大学での多人数講義で活用してきた.教員が発問をし,受講者が各自の携帯電話からコメントカードシステムの携帯サイトに接続し,課題に対する自分の意見や質問を送信する.受講者からの意見や質問はテーマごとに整理され,リアルタイムで大講義室の液晶大画面に映し出される.その意見や質問を教員が講義中に取り上げながら,講義を展開していくアプローチを行ってきた.今回,そのシステムを機能強化し,カメラ付き携帯電話で撮影した写真にタイトルやコメントをつけ送信すれば,SQLサーバ側で自動的に写真データベース化できるシステムを開発した.受講者はユビキタスな学習環境で自分や他者のコメント付き写真をキーワード検索・抽出・閲覧できるようになった.本システムを多人数講義で活用した結果,受講者間での意見交換や視点の交換が促進され,知識共有をめざした多人数講義を支援できる可能性が示唆された.
著者
小孫 康平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.41-44, 2008

本研究の目的は,瞬目の頻度のみに関する情報から職業別人物の印象形成に及ぼす影響について検討することである.調査対象者は大学生110名(男性61名,女性49名)であった.調査内容は,「総理大臣・若い人気のある歌手・人気のあるお笑い芸人でまばたきをよくする人,あまりしない人」といった文章呈示によってイメージされる人物の印象である.評定は7段階尺度でSD法を用いた.因子分析の結果,情緒安定性因子,親近性因子,知性因子の3因子を抽出した.また,瞬目が多いといわれる人は,全体的に情緒安定性に欠けている人であると思い込まれていることが示された.特に,「総理大臣でまばたきをよくする人」は情緒安定性に欠けている人であると思い込まれていることが明らかになった.
著者
江木 鶴子 竹内 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.369-381, 2009

トレース技術はエキスパートの道具であるだけでなく,プログラミングの学習者にとっても学習を効果的に進めるためには早期に習得することが望ましい.筆者らは,プログラミングの最も初期段階の学習者にトレースを指導するデバッグ支援システムDESUSを開発し,実際のプログラミング教育で使用した.本論では,実践教育で得られたデータを基にDESUSのトレース教育に関する評価について論じる.DESUSに支援を求めた学習者は利用者の92%で,実際にトレースの実行を試みた学習者は52%であった.学習者のうち36%がトレース技術を獲得しており,DESUSの指導により学習したと断定できるのは,32%であった.いずれもDESUSを使用していない環境下での学習に比べ増加した.一方,支援を受けたにも関わらずトレースを試みなかった学習者が40%を占めた.この最も大きな要因は,実行状態で受けるべきトレース指導を翻訳エラーの状態で受けていたことであった.
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.
著者
清水 康敬 山本 朋弘 堀田 龍也 小泉 力一 吉井 亜沙
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.249-257, 2007
参考文献数
3

教育の情報化の推進に関するアンケート調査を全国の5,000校に発送し,3,869名の教員と2,019名の管理職からの回答を得て,推進のための要因と阻害要因等に関する学校種の違い,教員の経験年数,学校に対するコンピュータや電子メールアドレスの支給の有無,教員の性別の違い等について分析した,その結果,小学校から中学校,高等学校になるにしたがって学校に対するコンピュータ等の整備が進んでいるが,利用については逆に減少していること,男性教員の方が女性教員より利用度が高いこと,授業でのコンピュータ等の利用度は小学校の方が高いこと,教員の経験年数が10年以上20年未満の教員の利用度が高いこと,コンピュータが学校等から支給されている教員の利用が有意に高いことなどを明らかにした.
著者
木村 篤信 黒田 知宏 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.293-303, 2007
被引用文献数
2

被教示者が教示者の動作を学習するために視覚情報を用いたシステムを利用する際,動作の種類や目的に適した教示動作提示方法を選択することで効率的な学習支援が可能である.本研究では,教示動作提示方法を,被教示者の体と教示者の体との位置関係によって,主観位置条件,3軸一致位置条件,2軸一致位置条件,1軸一致位置条件の4つの位置条件に分類し,それぞれの特徴を調べることを目的とする.それぞれの位置条件の特徴を調べるために,姿勢を模倣する実験と動作を模倣する実験を行った.その結果,主観位置条件は部分的な動作の修正や細かな姿勢の模倣に適しており,3軸一致,2軸一致,1軸一致の位置条件は動作の全体的な模倣に適していることがわかった.
著者
永田 智子 鈴木 真理子 森広 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.181-184, 2006
被引用文献数
3

筆者らは,教員養成課程の大学生が,デジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する授業を開発・実践してきている.本研究ではこのデジタル・ティーチング・ポートフォリオを,ブログを使って作成することの可能性について,授業実践を通して検討する.