著者
吉岡 敦子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.115-123, 2007
被引用文献数
2

インターネット情報検索は,検索テーマに関する既有知識と検索したサイトから得られる知識を体系化させながら検索を進めていくことから,本研究では,インターネット情報検索を知識構築過程と捉えて,知識構築を促すメタ認知とメタ認知活性化のための支援の効果について,特徴的な事例を挙げて質的に検討した.その結果から,「検索テーマについての既有知識や検索経験を検索のリソースにするためのメタ認知」と「サイトの文書から有効な情報を得て検索のリソースにするためのメタ認知」が有効なことが明らかになった.求める情報を得ることができた検索者は,これらのメタ認知を促して確認したり理解するなどの認知活動を行っている一方,求める情報を得ることができなかった検索者は,メタ認知を活性化できないために判断できず迷っていることが示唆された.また,これらのメタ認知を促す支援を与えることの有効性も示唆された.今後の課題として,検討した事例数が少ないことから,量的なデータにもとづいた分析を行うことと,本研究で与えた支援だけでは効果がみられなかった検索者に対する支援方法について解明することが挙げられる.
著者
伊藤 清美 柳沢 昌義 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.491-500, 2006
被引用文献数
7

eラーニングやコンピュータを使う授業などでは,Web教材を使った学習が使われている.しかし,それらの教材は主に学習者のディスプレイ上に表示されるため,教科書や印刷教材のように自由に書き込みを行うことができない.本研究では,学習者が印刷された教材に書き込むのと同様にWeb教材に書き込めるシステム,WebMemoを実現した.学習者はWeb教材にメモ・蛍光ペン・図などを自由に書き込み・保存・閲覧することができる.Webページに描画されたデータはシステム内のデータベースに保存され,次回参照時にも表示される.大学生を被験者とし,実際の授業で3種類の評価実験を行った.その結果,紙と同様にWeb教材に直接書込むことの有用性が評価され,Webへ書き込んだ内容を見直すことによる学習効果があることが明らかになった.また,紙への書き込みと比較した結果,直線,囲みなどといったインタフェースの改良の必要性が示された.
著者
高橋 純 高坂 貴宏 前田 喜和 森谷 和浩 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.317-327, 2014

韓国の公立小学校の1人1台の情報端末の導入初期段階において,1名の教員の3時間分の算数科の授業を対象に,活用されたICTの種類や時間,授業過程や授業形態の特徴の検討を行った.その結果,1)教員は,93%の授業時間でICTを活用しており,最も活用時間の長いハードウェアは大型提示装置であり,ソフトウェアは授業支援システム(81%)であった.2)教員が授業支援システムで最も活用した機能は,ペン描画と児童のデジタルノート一覧と提示であり,限られた機能が多用されていた.3)児童は,57%の授業時間でタブレットPCのみを活用しており,最も活用時間の長いソフトウェアは授業支援システム(90%)であった.4)授業過程は,導入,展開,まとめといった我が国でも典型的にみられるものであった.展開では2〜4回の課題解決学習が繰り返し行われていた.5)授業形態では,一斉指導が最も長く(58%),次いで個別学習(29%)であった.
著者
安斎 勇樹 益川 弘如 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.287-297, 2013

本研究の目的は,協同制作を課題とした大学生向けのワークショップにおいて,創発的コラボレーションを促すプログラムの活動構成の指針を示すことである.本研究では,ジグソーメソッドと類推の効果を組み合わせた「アナロジカル・ジグソーメソッド」という活動構成を仮説として設定した.アナロジカル・ジグソーメソッドのほかに,ジグソーメソッドと類推の有無によって合計4群の活動構成を設定し,それぞれ2回(各6-7グループ)の実践を行い,各グループの制作プロセスを質的に分析した.その結果,アナロジカル・ジグソーメソッドによって活動を構成すると,創発的コラボレーションが促されることが示唆されたほか,視点の相違から類推が活用され,さらにそれが異なる視点から再解釈されたり,複数の概念を結びつけたりする可能性が示された.
著者
足立 隆弘 山田 玲子 山田 恒夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.93-101, 2006

外国語の聞き取りや発音の学習教材では,数多くの音声サンプルを学習者に呈示する.その際,さまざまな通信速度に適応したり,限られた容量に多くの音声サンプルを格納したりするために,音声を圧縮して使用する場合が多い.しかし,音声のききとりや発音の学習では,圧縮による音質低下が学習効果に影響を及ぼす可能性がある.本論文では,日本語母語話者にとって聞き取りが困難な英語音声を対象に,それらを圧縮することにより明瞭性がどのように変化するかを,現在一般に広く使用されている音声圧縮形式を対象として検討した.その結果,音韻の種類によって明瞭性が低下する圧縮形式が存在し,同音声形式の音声を用いて聞き取り訓練を行った場合,その訓練効果が圧縮前の原音声の聴取能力に般化しにくい場合があることが明らかとなった.この結果から,CALL教材で使用する音声は,明瞭性が高いものを使用することが望ましいことが示唆された.
著者
内田 君子 大矢 芳彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.49-52, 2011

大学の情報教育において,ペアによる課題解決時に生起する問題点を検討する目的で,情報基礎演習科目受講者約280名を対象に,15分間の文書処理検定試験問題に準拠した実技試験を個人とペアで2回行った.その結果,双方ともペア試験成績が個人試験成績を下回った(EP(-))ペアは全体の約21%認められた.これらのペアは,発話量が相対的に少なく,ペア内の基礎学力差が大きいことや,ペアよりも単独解決を支持するなどの特徴が見られた.また,問題別のペア効果値(EPQ値)から判断すると,正答率が低い試験においてペア効果が時系列的に下降傾向を示すことも明らかとなった.
著者
古川 雅子 柳沼 良知 山田 恒夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.161-164, 2005
被引用文献数
2

本研究では, 学習者特性に応じた映像教材の効果的な提示方法を明らかにするため, 学習者にマルチアングル映像を呈示した場合の「気づき」の内容や再生箇所や注視箇所が, 社会文化的背景など学習者特性によって差異があるかどうかを検討した.マルチアングル映像に対応した観察ツールの開発を行うとともに, 面接映像を観察者21名に視聴させ評価実験を行なった.その結果, 日本人学生は映像の非言語情報に着目しがちであるなど, 観察者の属性によって映像の観察傾向が異なることが明らかになった.
著者
三浦 元喜 杉原 太郎 國藤 進
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.279-287, 2010
参考文献数
15
被引用文献数
1

本稿では,一般教室における無線デジタルペンを利用した授業システムを,日常的な運用を可能とするために行った2つの改良について述べる.まず我々が構築してきた超音波方式ペンとPDAによるシステムの操作と準備作業を軽減するため,近年利用されているアノト方式によるデジタルペンを利用可能とし,両システムを比較した.その結果,後者のシステムによる簡便性および誤差の減少が,理解度の低い生徒の積極的参加を阻害せず,またシステムが筆記をチェックすることに対する,理解度の高い生徒の緊張感を緩和することを確認した.次にアノト方式デジタルペンを用いた授業実践時に,ペンIDと受講者,およびその座席の対応関係を管理する際の教師負担を軽減する「筆席マップ方式」を提案し,システムに導入した.小学校における実践を通じて,筆席マップ方式の可用性と有効性を確認した.
著者
瀬戸崎 典夫 吉冨 諒 岩崎 勤 全 炳徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.85-88, 2016

本研究は,遠隔地での学習者に長崎にいるような実感を与え,主体的な学習を促す次世代型平和教育教材の開発を目的とした.そこで,全天球パノラマVR教材を開発し,教育的利用の観点から評価した.その結果,臨場感の高さや印象の強さなどの理由から,実感を高める教材としての有用性が示された.実感を与える効果については,地理的な情報把握や,原爆投下を自分とは切り離した事象として捉える学習者にとって有用であることが示唆された.さらに,本教材のインタフェースが主体的な学習を促す一助となり得ることが示された.一方,コンテンツの充実や発達段階を考慮した授業設計の考案など,改善すべき点が明らかになった.
著者
林原 慎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.117-127, 2013

本研究の目的は,日本の高学年児童における,1)英語学習動機の因子構造,2)海外経験の有無,性差,学年差による英語学習動機の比較,3)英語学習動機に影響を及ぼす要因,の3点を明らかにすることであった.812名の5・6年生を対象とした研究の結果,英語学習動機は,「有用性」,「内発的」,「交流欲求」,「不安回避」の4因子で構成されていた.また,児童の海外経験の有無別の比較では,「不安回避」のみで海外経験がない児童に比べて海外経験がある児童の方が有意に高かった.男女別の比較では,「有用性」,「内発的」,「不安回避」の3因子で,女子の方が男子よりも有意に高い結果となった.学年別の比較では,5年生の方が6年生よりも「内発的」と「不安回避」において有意に高い結果となった.さらに,学校要因は4つの因子全てに影響を及ぼしていることなどが共分散構造分析によって明らかになった.
著者
木原 俊行 島田 希 寺嶋 浩介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.167-179, 2015-12-25 (Released:2015-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は,学校における実践研究の発展要因の構造に関するモデルを開発することを目的とするものである.そのために,4つの小中学校を対象として,研究推進リーダーを務めた教師に,実践研究の詳細について,聞き取り調査を実施した.得られたデータを,「専門的な学習共同体」の発展要因に関する先行知見を参照して整理し,また4校間で比較して,学校における実践研究の発展を促す要因の構造を暫定的にモデル化した.次いで,モデルの信頼性を検証するために,あらたに別の3つの小学校を対象として,研究推進リーダーを務めた教師に,同様の聞き取り調査を実施した.得られたデータを,再度「専門的な学習共同体」の発展に関する知見を用いて分析し,3校間で比較して共通項を導き出した.そして,それらとモデルの整合性を分析して,その信頼性を確認した.また,一部の要因を加えて,要因間の順序性や関係性を考慮し,モデルを精緻化した.
著者
根本 淳子 柴田 喜幸 鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.259-268, 2011
被引用文献数
1

本論文は,教育実践において学習デザインの定期的な改善サイクルを実現することでよりよい教育実践を生み出すことの重要性に焦点を当てたデザインベース研究のアプローチによる実践研究の報告である.国内では新しい学習デザインであるストーリー中心型カリキュラム(SCC)を採用した実践を取り上げ,SCC応用の可能性の手がかりを探りつつ,より深い学びを目指した実践に取り組んだ結果から得られた知見を整理した.学習デザインの定期的な改善サイクルを通じ,実践者のリフレクションを促すだけではなく,学習者の内容理解を深めていくことについて確認した.その結果,学習者個人と学習共同体双方への影響を確認することができた.本実践は,本論文の対象である2008年度と2009年度の実践を踏まえ,現在三回目のサイクルの最終段階にある.更なる検証を通じ新しい学習アプローチがより広く使われていくために,知見をデザイン原理として整理し,SCC実践に関する学習者の声を収集し整理していくことが課題となる.
著者
森 陽子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.109-118, 2004
被引用文献数
4

本研究では,動機づけと自己制御学習方略の使用との関連について検討した.被験者は中学生1381名であった.質問紙として,学習方略尺度と学習動機づけ方略測定尺度(motivated strategiest for learning questionnaire[MSLQ])から自己効力感と内発的価値を測定する項目を用いた.そして,中間テストの結果を失敗と捉え,その原因を努力に帰属する生徒の努力観について調査した結果,努力を統制可能で内的,不安定なものと捉えている生徒が238名と最も多く,次いで努力を統制可能で内的,安定したものと捉えている生徒が192名であった.また,その生徒を分析対象とし,努力観,自己効力感,内発的価値および自己制御学習方略に対する有効性とコストの認知が自己制御学習方略の使用に及ぼす影響について検討した結果,自己制御学習方略に対する有効性とコストの直接的な影響と,努力観,自己効力感,内発的価値の間接的な影響がみられた.
著者
奈田 哲也 堀 憲一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.353-363, 2014

教員に求められる資質能力である学び続ける力を教員の多くは獲得できてないことから,学び続ける力の礎と考えられる質問力と相対主義的認識論的信念を学生時点で獲得させることを目標に,大学の半期の講義を通して介入を行った.その際,講義内容は同じだが,講義内容を自身の経験と重ね合わせながら聞くことを推奨する講義(重ね合わせ条件)と特に推奨しない講義(統制条件)を行った.その結果,重ね合わせ条件の方が質問を多く生成していたが,半期の講義を通した認識論的信念の程度は,両条件とも変化していなかった.また,講義で感じる楽しさの内容は条件間で異なっていた.これらのことから,講義内容と経験を重ね合わせることで,様々な気づきが生まれやすくなり,この新たな気づきに楽しさを感じるとともに,疑問が生じやすくなり,質問を生成しやすくなるが,そういった気づきも,認識論的信念を変化させるまでには至らないことが明らかになった.
著者
大杉 成喜
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.205-208, 2005

韓国の特殊教育の情報化(ICT活用)について現地調査を行い, 我が国の現状と比較した.両国の特殊教育制度, 教育情報化の方針は似ているが, 運用の実際では多くの相違点が見られた.重度・重複障害教育への対応に力点を置いてきた我が国に対し, 韓国は軽度障害への利用に力点を置き, 教育情報発信の量が多い.毎年特殊教育政策全体を分析・報告し次年度の具体的目標を明示する韓国のシステムを取り入れることで我が国の特殊教育情報化の推進が期待できる.
著者
木村 敦 木村 あやの
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Suppl, pp.17-20, 2016-01-25 (Released:2016-02-12)
参考文献数
13

本研究では, 学生による授業評価アンケートを匿名で実施した場合と記名で実施した場合とで評価結果に差異があるかどうかを検討した. 平成25~26年度の情報環境学専門科目 (小グループ演習を含む講義科目)2科目において, 匿名の授業評価アンケートに加えて記名の授業評価アンケートを履修者に実施し, 両アンケートに含まれる同一の評価項目4項目について評定値 (各5段階評定) を比較した. その結果, 全16項目中13項目については匿名条件と記名条件での差はみられなかった. 一方で, 3項目については条件間で有意差がみられたことから, 回答分布を比較して条件間の差異に関与する要因を議論した.
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.49-52, 2008

本研究はリスニングの理解には学習者の音声情報の認識能力と情報の継時処理の2つの要因が関与していると考えた.リーディングとリスニングの情報処理過程には共有部分があるとする先行研究に基づき,英文速読訓練を行い継時処理スキルを向上させることが,英語リスニング能力の伸長につながるか検討を行った.リスニングのプレテストスコアを共変量,ポストテストスコアを従属変数,音声情報認識能力テストの高低を実験変数とした共分散分析を行ったところ英文速読訓練が英語リスニング能力の伸長に与える効果は,音声情報認識能力の高さによって異なることが明らかになった.
著者
酒井 博之 田口 真奈
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.35-44, 2012
被引用文献数
2 5

本研究では,個人の大学教員が担当する単一の「コース」に焦点を当て,そのデザイン,実施,学生の学びについて教員が反省的に記述するコースポートフォリオの実践プログラムを開発し,その試行を通じて教員にコースの振り返りや改善を促すことを確認した.本実践プログラムは,授業実施期間を含む約半年間で個人教員がウェブ上でコースポートフォリオを効率的・効果的に作成する過程を支援するもので,ポートフォリオ作成支援のためのテンプレート及びワークブックを開発し,教員間のピアレビューを含む研修プログラムとしてデザインされた.3名の大学教員による試行において,本実践プログラムによるコースポートフォリオ作成過程を通じ,各教員のコースの振り返りが促進されたことを確認するとともに,今後のコースの改善へ結びつく可能性が示唆された.
著者
村川 弘城 白水 始 鈴木 航平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.109-112, 2013

本研究では,ゲームにおける学習と動機付けの関係を検討するため,カードゲーム型学習教材「マスピード」を用いて,方略を振り返る活動が,生徒の動機付けや継続的な学習意欲を高めることを示す.中学1年生102名を,「計算力向上」という価値を強調して同一化的動機付けを引き起こす「勉強条件」,ゲームとして楽しませて内発的動機付けを引き出す「遊び条件」,プレイごとに簡単な振り返りをさせる「方略発見条件」という3条件に割り振り,比較した.結果,方略発見条件が動機付けの程度でも数学的な方略の質でも上回り,方略の振り返りが,統合的動機付けと学習意欲の向上に寄与することが示唆された.
著者
平澤 泰文 松川 節 川田 隆雄 小南 昌信
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.89-92, 2012
参考文献数
1
被引用文献数
1

近年急速に成熟してきた情報通信技術,いわゆるICTを効果的に学習に,具体的には博物館学習に利用するために,アップル社のiPadを利用したガイドシステムを構築した.このシステムを博物館で開催された展覧会へ実際に導入した上で,高校生・大学生を対象としたアンケート調査を実施して有用性をはかった.本稿では,2008年に構築した携帯情報端末PDA(シャープ社製スマートフォン)を利用した博物館音声ガイドシステムの実証実験の結果と比較を行った本システムの評価結果を報告する.なお,これらの結果を受けて,大谷大学人文情報学科では全学生へのiPadの配布が決まり2011年より授業で運営するまでに至った.