1 0 0 0 OA 足の裏の計測

著者
斉藤 光市 十束 支朗
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.3_35-3_41, 1983-07-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
5

これまで,足の裏の面積を計測する研究は少い。著者らは,土ふまずと接地足底面積を比較し(土ふまず比の算出),扁平足の数量的な研究を行なった。対象は,山形県南陽市立漆山小学校6年生男女合計24名であり,足底の面積計測には,コントロン社(英国)製作による画像解析装置MOP/DIGIPLANを使用した。次のような結果が得られた。 ① 左・右の足の土ふまず面積を比べると,左足の土ふまず面積は,右側より大である。 ② 土ふまず比は,扁平足と判定された児童ではパーセント値は低く,土ふまずが明瞭にできている児童では高い値を示している。 ➂ Hラインを越えた土ふまずの部分の面積は,いずれも左右差がある。 ④ 接地足底面積については,左・右差はなく,ほぼ一致した値を示している。
著者
山下 舞琴 堀田 佐知子 長島 俊輔 東條 千章 若村 智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1_19-1_28, 2018

本研究の目的は,冬の日照時間が短い地域に住む高齢者の冬と夏の睡眠に関連する要因を明らかにすることとした。京丹後市高齢者大学の受講生149人に,質問紙調査(睡眠:ピッツバーグ睡眠質問票,気分:感情プロフィール検査,他)を冬と夏に行い,分析した。夏の睡眠時間は,冬に比べ有意に短く,睡眠困難の得点が高い傾向があり,さらに夏の活気と疲労の得点は有意に高かった。冬に会話を毎日する人の割合は,夏に比べ有意に少なかった。重回帰分析の結果,外出頻度,疲労,精神疾患などが冬の睡眠に,会話頻度,緊張-不安,消化器疾患などが夏の睡眠に,影響を与えていた。降雪地帯であったが,冬の日常的な外出が,よい睡眠を導くための具体的な指針の一つとして示唆された。また,冬に疲労が,夏に緊張が強い人には,睡眠障害も念頭においてかかわる必要があるかもしれない。このように,冬と夏によって適切な睡眠の指導が異なる可能性が示された。
著者
山下 真裕子 伊関 敏男 藪田 歩
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.2_163-2_170, 2017-06-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
23

本研究は,地域で暮らす精神障がい者の服薬の現状と困難感およびその要因について検討するため,地域で暮らす149名の精神障がい者に調査を行った。対象者らの9割が服薬の必要性を認識しており,関連することは,服薬による「ポジティブな体験」,服薬を中断したことによる「ネガティブな体験」,「個々の目標」があること,周囲の指示による「コンプライアンス」であった。一方,6割が何らかの服薬への困難を体験し,飲み忘れが最も多かった。対象者は1日に4回の処方,昼食後薬が処方されている場合に負担感を抱く傾向が認められた。今後は服薬に関する個々の体験を意味づけするプロセスを支援すること,人生の目標の明確化を支援することで服薬の意思を支えること,加えて対象者の生活パターンや服薬への認識を考慮し,服薬回数やタイミングを十分なSDMのうえで決定されることが,主体的なセルフケアの向上,精神障がい者の地域定着の促進につながると考える。
著者
山本 真実 浅野 みどり 野村 直樹
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.4_733-4_744, 2020-09-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
29

本稿では,時間を言語として見る立場から,療育教室に通う子どもの母親が語る我が子の成長を,時間のことばとして記述することにより,対話を通じ母親が理解する成長とはどのようなものか,成長をナラティヴとして理解するとはどのようなことかを議論する。筆者(山本)は,母親との対話と療育教室での参与観察を行い,成長がどのような刻み方(punctuation)を有した時間で語られるかに注目した。母親が語る時間のことばには,①別々に語られる時間のことば,②相反する時間のことばがせめぎ合う葛藤,③全ての時間を等価に語る時間のことば,があった。母親は,どんな時間も選ばれる価値を等しく持つとする『等価な時間』という視座を獲得し,それに沿って成長を理解していった。『等価な時間』とは,成長をナラティヴとして理解するための考え方であり,これまでの成長の理解を見つめ直すときに役立つ時間のことばのポリフォニーのことである。
著者
神宝 貴子 國方 弘子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.5_71-5_78, 2008

デイケア・作業所に通所中の統合失調症患者が,自己の生き方に対してどうおりあいをつけているのかそのプロセスを明らかにすることを目的に,統合失調症患者12名を研究参加者に,自己の生き方についての思いをインタビューし,質的帰納的に分析した。その結果,≪気が楽になる≫≪今におりあいをつける≫≪過去に向き合う≫≪未来を見つめる≫【自分はこれでいい】の5つのカテゴリーが抽出され,【自分はこれでいい】が中核カテゴリーであった。ある出来事を契機にあるいは時間をかけながら≪気が楽になる≫ことで,≪今におりあいをつける≫ことが出来,さらに≪過去に向き合う≫ことが出来,病状の変化により【自分はこれでいい】という気持ちが揺らぎながらも【自分はこれでいい】と生き方に対して納得していく。しかし,将来への不安は大きく,今に近い≪未来を見つめる≫ことをしながら一日一日を納得しながら生きていた。
著者
神宝 貴子 國方 弘子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.5_71-5_78, 2008-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
18

デイケア・作業所に通所中の統合失調症患者が,自己の生き方に対してどうおりあいをつけているのかそのプロセスを明らかにすることを目的に,統合失調症患者12名を研究参加者に,自己の生き方についての思いをインタビューし,質的帰納的に分析した。その結果,≪気が楽になる≫≪今におりあいをつける≫≪過去に向き合う≫≪未来を見つめる≫【自分はこれでいい】の5つのカテゴリーが抽出され,【自分はこれでいい】が中核カテゴリーであった。ある出来事を契機にあるいは時間をかけながら≪気が楽になる≫ことで,≪今におりあいをつける≫ことが出来,さらに≪過去に向き合う≫ことが出来,病状の変化により【自分はこれでいい】という気持ちが揺らぎながらも【自分はこれでいい】と生き方に対して納得していく。しかし,将来への不安は大きく,今に近い≪未来を見つめる≫ことをしながら一日一日を納得しながら生きていた。
著者
飯田 智恵 山本 昇
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_43-1_50, 2004-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
24

安全な温罨法の表面温度と継続時間を検討することを目的に,熱による皮膚組織の変化を検討した。一定温度に保った銅管に,ウレタン麻酔下でマウス大腿部を接触させ,様々な温度と時間で加温後,7日後までの皮膚の変化を光学顕微鏡で観察した。42℃5時間または43℃以上の加温で表皮細胞核濃縮や表皮下水疱,肥満細胞脱顆粒,コラーゲン線維配列変化,白血球浸潤が観察され,7日後までに真皮深部まで壊死に陥った。42℃2時間加温では変性像が軽度見られただけであった。また異なる材質(アルミニウム管,ネル布,ポリエステル布)を接触させた場合,43℃2時間加温でも傷害の程度は銅管に接触させた場合より弱く,皮膚組織の壊死は観察されなかった。以上のことから43℃以上や42℃5時間の加温で低温熱傷発症の可能性が高いことが示唆された。従って,低温熱傷を予防するために温罨法の表面温度への配慮と適切なカバーの材質の選択が必要である。
著者
國方 弘子 茅原 路代 大森 和子 神宝 貴子 岡田 ゆみ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_37-1_44, 2006-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
21

地域生活をしながら精神科デイケアまたは作業所に通所している統合失調症患者の生活への思いとその影響要因を明らかにすることを目的として,グラウンデッド・セオリー法による質的帰納的研究を行った。結果,《充実感がある》,《病気が安定している》,《自分をこれでいいと思える(自尊心)》,『折り合いをつける』,《自分を受けとめてくれる》,《居場所がある》,《心のよりどころがある》の7個のカテゴリーが抽出された。彼らは《充実感がある》生活を送っていることが見いだされ,『折り合いをつける』ことと《自分をこれでいいと思える(自尊心)》ことは,《充実感がある》生活に至るには必要であり,《病気が安定している》ことは《充実感がある》生活の基盤となっていた。本結果は,在宅生活をする統合失調症患者の生活の質を維持・向上するための看護支援のあり方に寄与できることが示唆された。
著者
渡邊 生恵 杉山 敏子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.5_117-5_128, 2012-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
35

目的:患者と看護師における療養環境評価の視点の特性を明らかにする。方法:一般病床入院患者20名と同病棟看護師20名に対し,評価グリッド法を用いて入院環境についての評価を調査した。結果:①看護師は患者に比べ評価する項目が多かった。②患者は多床室でプライバシーを保ちつつ他者とかかわれる環境,看護師は家族とのプライバシーを重視していた。③患者は細かな生活のしやすさを評価していたが,看護師は安全性を評価していた。④患者は自分の必要性にあった環境が整っていることを評価していたが,看護師はすべての患者に同じレベルの環境が提供され,家よりも高い快適性であることを評価していた。結論:看護師による環境評価には基礎教育および臨床での経験が反映されており,患者間のエンパワメント効果や日常生活の送りやすさという患者の視点を加えることで,より一層患者の求める環境を提供できる可能性が示唆された。
著者
川口 孝泰 松岡 淳夫
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1_82-1_94, 1990-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
15

本論文は,本学会誌Vol.12,No.1で報告した「プライバシー及びテリトリーの基礎概念の提案」に引き続き,多床室における患者のテリトリー及びプライバシーに関する意識の実態を明らかにし,患者の療養生活を援助してゆくために重要な,看護としての基礎的な知見を得ることを目的としている。 本論の中で使われているテリトリー及びプライバシーは, テリトリー;personalised spaceとして扱い,患者が自分だけの場所として認知している空間 プライバシー;自分の望んでいない侵入事物に対して,調整しようとする心理的な防壁(Westin. 1977)として捉え,検討を行った。 結果は,以下のとおりである。1) テリトリーの意識は,病室でのベット位置に影響を受けた。2) ほとんどの患者のベット位置の好みは,ほぼ同様の傾向であった。患者のテリトリーの意識と,好みのベット位置との関連をみると,多床室では患者同志が,お互いに遠慮しあいながらテリトリーを認知していると考えられる。3) プライバシーの意識は,患者の属性,病室の環境条件,患者の状態などの要因と関連がみられた。これにより,プライバシーは患者が入院生活を過ごす上で最も重要な事柄の一つであると考えられる。4) プライバシーは,日常生活の場面状況によって,質的に異なることが明らかとなった。
著者
成田 栄子 水上 明子 栄 唱子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_26-2_31, 1982-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
2

本調査は,第一報に引き続き生後7か月児について夜泣きの要因の検討を行ったものである。対象は受診児821人中夜泣き児89人である。今回は夜泣き群を二群に分け,夜泣きが長期間で泣き方のひどいものをA,長期間で泣き方のひどくないものをBとした。 その結果,A・B群に共通しているものは就寝時少しの物音にピクつく,湿疹の既往,夜間授乳や添寝・添乳の習慣,あやしすぎ,日光浴を行っていない,母親は神経質な傾向がある等の要因がみられる。一方,Aに特徴的なものは,下痢と発熱の既往,最終授乳時刻が遅いか或は決っていない等であり,Bに夜間授乳を出生時より継続している。離乳食の進行状態がよくない等養育にかかわる要因が多い。
著者
当目 雅代 上野 範子 木村 みさか
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.5_9-5_21, 1999-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
28

看護職における社会資源の認知度とそれらに及ぼす要因を検討することを目的として,病院勤務者を対象とした調査を行った。 そして,性,年齢の明らかな2,651名データから,1)認知度が高率だったのは,デイサービス・ショトステイ・高額療養費,傷病手当金制度で,低率だったのはライトハウス・更生医療・在宅介護支援センター・老人日常生活給付事業であった。2)勤務先に医療相談室のある者はない者に比べ,小児慢性特定疾患・ライトハウスの認知度が高率であった。 3)訪問看護制度のある者はない者に比べ,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターの認知度が高率であった。 4)入院経験のある者はない者より高額療養費・補装具交付修理・身体障害者運賃割引制度の認知度が高率であった。 5)福祉体験・学習経験のある者はない者に比べ,すべての社会資源の認知度が高く,特に,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターに関する認知度は50%を越えていた。 以上より,病院に勤務する看護職での社会資源の認知度は,福祉に関する体験や学習経験,あるいは家族を含む入院経験などの個人的要因に加え,勤務先での医療相談室や訪問看護制度の有無など,環境要因の影響を受けていることが示唆された。
著者
中馬 成子 土居 洋子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5_59-5_69, 2011-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
25

2型糖尿病患者のインスリン療法に対する心理的行動的反応を明らかにするために,インスリン療法を1年以上継続している20名を研究の対象とした。インタビュー内容から逐語録を作成し,データ化したうえで,継続比較分析することにより5つのカテゴリーを抽出した。インスリン療法の告知時は,【インスリン療法に対し否定的感情】をもっていた。その後,【インスリン療法の知識による認識の変化】がもたらされ,【インスリン療法の開始を決意】し,インスリン自己注射を実施し体験する過程を経て,【インスリン自己注射に対する安心感を獲得】しており,【インスリン療法を維持する意志と行動】という肯定的な態度へと変遷していた。治療開始時の心理的行動的問題を焦点化したうえで,早期から正しい知識と安心感が得られる情報を提供し,肯定的な認識と態度がもてる援助が重要である。
著者
横山 純子 宮腰 由起子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1_55-1_65, 2008-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
39

本研究の目的は,脳梗塞発症後の急性期から自尊感情の経時的変化を捉え,自尊感情の関連要因を時期別に明らかにすることである。4回の調査(入院時,3ヶ月後,6ヶ月後,1年後)すべてにおいて協力が得られた脳梗塞患者92人を分析対象者とした。各時期のRosenberg’s Self-Esteem(RSE)の平均値は30.2~30.7点と安定して高値を示したが,個々のRSEは時期により変動していた(p<0.001)。脳梗塞発症後の自尊感情にはADLの自立度(3ヶ月後と6ヶ月後),職場復帰状況(6ヶ月後),主観的健康感(すべての時期),情緒的サポート提供者(6ヶ月後と1年後)が関連していた(p<0.05)。脳梗塞発症後の患者の自尊感情を高めるためには常に健康状態に留意しながら,発症6ヶ月後までは動作と役割の再獲得に向けた支援を中心に,発症6ヶ月後以降は情緒的サポート支援を中心に援助していくことが重要であると考えられた。
著者
本江 朝美 金井 和子 土屋 尚義
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1_61-1_68, 1996-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
12

本研究は,睡眠障害を把握し対応を考察するために,セルフケア可能な23例を対象とし,起床前後の心電図変化と睡眠に関するアンケート調査結果との関連を検討した。その結果,以下の知見を得た。① 不眠感,不満感は,52.2%で認められた。不眠感を訴える人は,就床時および中途覚醒時のねつき時間が長く,早朝覚醒後起床に至るまでの時間が長い傾向があった。不満感を訴える人は,むしろ不快症状を有し,それらは夢を伴う場合が多い傾向があった。② 起床前後の心拍数の変動は,起床前2時間から1時間では夜間睡眠安定時の平均心拍数より3.63±3.54bpmの増加がみられ,その後起床30分前から徐々に増加しはじめ起床後10分でピークに達した。これらの心拍数の変動は,不満感の有無では差は認められなかったが,不眠感の有無で比較すると,不眠感がない人は起床30分前から徐々に心拍数が増加するのに対し,ある人は起床10分前になって急激に心拍数が増加した。また起床に至るまで30分以上目覚めている人は,起床前90~70分で心拍数が増加しており,6時以降に起床した人は起床5分前から急激な心拍数が増加した。③ 起床前後の不整脈の出現については,不眠感不満感との関連を認めなかった。
著者
池田 七衣 白井 文恵 土肥 義胤
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.5_19-5_25, 2006-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
17

院内感染は,患者への新たなる感染や多剤耐性菌の拡散に繋がることから,医療従事者にとって重要な問題である。院内感染対策に重要なことは,感染源を認識しその伝搬経路を遮断することである。頭髪は手指が触れる機会も多く,感染源及び伝搬経路となる可能性がある。そこで,シャンプーで洗髪した頭髪への,院内感染で重要な位置を占める黄色ブドウ球菌,緑膿菌,大腸菌の付着性について調べた。その結果,頭髪には多量の細菌が付着することが明らかになり,付着した細菌の40 ~ 60%はシャンプー洗髪でも遊離せず付着したままであった。また,黄色ブドウ球菌は,種々のシャンプー剤により殺菌されるが,緑膿菌や大腸菌は全く殺菌されないことも明らかになった。従って,多くの緑膿菌株や大腸菌株は,シャンプー洗髪しても一部が生きたまま付着し続け,再び増殖することから,頭髪が院内感染における感染源および伝搬経路となる可能性を強く示唆した。