著者
柴田 しおり 柴田 真志 片山 恵 吉岡 隆之 平田 雅子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.5_43-5_53, 2000-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
32

本研究の目的は起き上がり援助法の違いが看護者の生体負担に及ぼす影響を検討することであった。12名の女子大学生を被検者とした。被検者は2つの異なる方法の起き上がり援助を行った。ひとつは一般的にこれまで用いられてきた方法(A法)であり,もうひとつは力学的根拠に基づいて開発された方法(B法)であった。 起き上がり援助実施時に,酸素摂取量(VO2),心拍数および筋電図(左僧幅筋,左右上腕二頭筋,左大腿直筋および左脊柱起立筋)を測定し生体負担の指標とした。 VO2および心拍数はA法の方がB法より有意に高かった。A法の右上腕二頭筋および脊柱起立筋の筋電図積分値(iEMG)はB法より有意に高く,一方大腿直筋のiEMGはA法が低値を示した。これらの結果は,B法の方がA法に比べ看護者の生体負担が低いことを示唆している。これは下肢の使用の仕方が大きく影響していると考えられた。
著者
山田 貴子 藤内 美保
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.5_41-5_51, 2015-12-20 (Released:2016-06-10)
参考文献数
33

目的:早期退職した病院勤務の新卒看護師の入職から退職後までの心理的プロセスを明らかにすることである。方法:新卒看護師として就職した病院を入職後1年以内に退職した者10名に半構成的面接を実施し,分析方法はM-GTAを用いた。結果:35概念と12カテゴリーが抽出された。早期退職した新卒看護師は看護師としてできない【自己への失望】と【仕事のミスをした自己価値の ゆらぎ】により【看護師としての自己のあり方を自問】していた。この時期の新卒看護師は【心身のバランスの崩壊】状態にあり【退職決断の引き金】が【退職の決断】を強くした。退職後は【当時の自己を客観視】と【自己の成長】がみられた。結論:早期退職した新卒看護師は自己の能力と職場で求められる能力の差に悩み,看護師としての自己評価の低さが心理状態に強く影響していた。心身ともに追い詰められたことで職場から逃れたい気持ちが強くなり退職に至った。
著者
山口 公代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_14-2_18, 1978-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
13

健康者12名を対象として摂食後の脈拍,血圧の変化について観察し以下のような結果が得られた。1.摂食後の脈拍変動は食事量は3食のうち最も少ないにもかかわらず常に朝食後が最大となり,脈拍増加の最大値が11.5増加の持続時間が129.7分であった。2.摂食後の血圧変動は収縮期血圧は約1時間にわたって4-6mmHg上昇したが,拡張期血圧ははっきりとした摂食の影響を示さなかった。3.一被験者について,朝食を全量摂取した場合と,½量ずつ二回に分けて摂取した場合を比較したら,分割摂取した方が脈拍増加の最大値は小さくなった。4.摂食後の脈拍変動は摂食時間間隔にも影響を受け,摂食時間間隔が4-5時間の時が最も脈拍増加が少なかった。
著者
仁科 祐子 谷垣 靜子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_113-2_121, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
62

本研究は,訪問看護に従事する看護職の,職場での対人葛藤に関連する要因を明らかにすることを目的とした。A県内の訪問看護師182名を対象とし,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は対人葛藤尺度,アサーション尺度,社会的スキル尺度,職場内サポート尺度,職場外サポート尺度,基本的背景であった。有効回答の得られた145名(平均年齢は43.8±8.0歳)を分析対象とした。重回帰分析の結果,職場内サポートと雇用形態(常勤か非常勤か)が対人葛藤の関連要因であった。すなわち常勤であって職場内サポート認知が低い者ほど,対人葛藤が高いことが明らかとなった。対人葛藤を低減させるためには,まず職場内サポートを充実させることが必要である。
著者
髙見 三奈 佐藤 幸子 塩飽 仁
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_55-2_63, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
36

本研究は親の仕事および家庭での役割受容と親役割行動が子どもの評価する家族機能と精神的健康に与える影響を検討することを目的とした。小学5年生から中学3年生の子どもと両親1037組を対象に自記式質問紙調査を行い,パス解析により仮説モデルを検討した結果,以下のことが示唆された。父親と母親が家庭での役割を受容していることは子どもの受容を高め,子どもを受容していることは子どもが評価する家族機能を高め,子どもの精神的健康に寄与していた。また,父親と女子,母親と男子の関係では,家庭での役割受容は子どもへの自信ある親役割行動を高め,子どもが評価する家族機能に影響しており,子どもが評価する家族機能は異性の親からより強い影響を受けていた。思春期の親子を支援する際には,看護者は両親の家庭での役割受容の程度をアセスメントし,父親母親それぞれが子どもと自身の力を信じて子どもを受容できるように支援していくことが重要である。
著者
森山 美香 伊東 美佐江
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.5_823-5_836, 2017-12-20 (Released:2017-12-27)
参考文献数
95

本研究は,終末期医療に関する法的整備が整っている米国の文献と比較し,日本のクリティカルケア領域のDNARに関する看護実践上の課題を明らかにすることを目的に,文献検討を行った。文献は,「DNAR指示が出される患者の病態・背景」「DNARの意思決定をする家族の状況」「医師によるDNAR指示の判断基準の不明瞭さ」「DNARの意思決定を支援する看護師の認識と看護実践」に分類された。両国ともに事前指示をもつ患者は少なく,クリティカルケア領域における看護実践に違いはなかった。米国ではDNAR指示に関するガイドラインやマニュアルが整備されているが,クリティカルケア看護師はDNARの意味を誤認し,DNAR指示後に治療やケアの差し控えを行っていた。日本ではDNAR指示のマニュアルを整備している施設は少なく,看護師は米国同様にDNARの意味の誤認し,家族へかかわる困難を感じていることが推測された。
著者
小泉 由美 河野 由美子 久司 一葉 木本 未来 坂井 恵子 酒井 桂子 坪本 他喜子 橋本 智美 北本 福美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_91-4_99, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
17

タクティールケアは,スウェーデンで開発された施術者の手で背部や手部・足部を『柔らかく包み込むようにゆっくり触れる』ケアである。本研究は,タクティールケアの効果を明らかにすることを目的として,実践記録の施術対象者の状態や発言内容を“反応”として内容分析を行った。結果,タクティールケアの反応として,【心地よかった】【リラックスした】【穏やかになった】【眠気を催した】【夜よく眠れた】【積極性が増した】【温かくなった】【温かさが持続した】【熱くなった】【痛みが和らいだ】【腸の動きが変化した】【便通が良くなった】【唾液が増えた】の13カテゴリーが生成された。効果としては,情緒の安定を促す,良質な睡眠を促す,高齢者の活動性を高める,温かさが持続する,痛みを緩和する,排便コントロールを促す,が見出された。タクティールケアは,臨床や介護現場において活用できる手法であると考える。
著者
大西 香代子 中原 純 北岡 和代 中野 正孝 大串 靖子 田中 広美 藤井 博英
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_101-4_107, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
29

倫理的悩みは,倫理的に正しい意思決定をしたが現実的な制約により実行できないときに生じる。本研究は,倫理的悩み尺度精神科版を用いて,人員配置や社会資源が異なる日本とイングランドの精神科看護者の倫理的悩みの程度と頻度を比較し,属性との関連を検討することを目的とする。 有効回答は日本289人,イングランド36人であった。両国の倫理的悩みの程度は,「同僚の非倫理的行為」「少ない職員配置」「権利侵害の黙認」のいずれの下位尺度においても有意差はなかった。一方,倫理的悩みの頻度では,いずれの下位尺度においても両国間で有意な差があり,日本の看護師のほうがより頻繁に倫理的悩みを体験していた。さらに,日本では年齢や経験年数は倫理的悩みに影響していなかったが,イングランドでは年齢や経験年数が高くなると倫理的悩みの程度も頻度も低くなっていた。
著者
小沢 久美子 坂本 弘子 市川 裕美子 下川原 久子 久保 宣子 工藤 美恵子 木立 るり子 五十嵐 世津子 坂本 保子 木村 緑 田口 千尋 一戸 とも子 木村 千代子 笹竹 ひかる
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1_37-1_46, 2018

目的:看護学生のSNSの利用状況とITリテラシー教育経験および道徳的感受性との関連を明らかにすることを目的とした。<br>方法:A県内における看護師養成機関10校の在学生を対象に,質問紙調査を行った。質問内容は,基本属性,SNS利用の実際,ITリテラシー教育の経験,改訂道徳的感受性質問紙日本語版とした。<br>結果:92.8%がSNSを利用し,82.3%がほぼ毎日利用し,90.0%がLINEを利用し,クラスメイトとの連絡手段に多く利用していた。SNSへの問題認識は42.5%で,ITリテラシー教育経験,SNSの被害経験と関連があった。<br>結論:ITリテラシー教育は情報モラル教育告示後のSNSの使い方への影響が示唆された。道徳的感受性は,看護教育課程別に差が認められたが,教育背景や経験,生活環境によるのかの判断はむずかしく,また,SNSの使い方との関連も明確にならなかった。
著者
下村 明子 松村 三千子 杉野 文代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.5_55-5_64, 2004-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
25

本研究は,ケアリングにつながる看護教育の在り方のひとつとして,対人関係スキルを高め,患者理解のアプローチとして,講義にNarrative(物語り)を取り入れた。その後患者との関わりを,ロールレタリング(以後RLと略記)によって効果の検証を試みた。その結果学生のアンケートでは,80~90%の学生が肯定的に答えている。RLの記述内容を,グランデッドセオリーを応用した方法で分析した結果,患者をよりイメージすることが可能となり,患者の状況を意味づけし,理解できていた。GibbsのReflective・cycleから分析すると,RLの実践は,患者の状況を記述し,関わりを振り返ることから,患者の病気体験にまつわる感情移入を,体験的に学ぶ場として意図的に提供された。バルマンらのリフレクションスキル,特に自己への気づき(Self-awareness)が明確になり,ケアリングに通じる看護教育として効果があることが示唆された。
著者
渡邉 久美 折山 早苗 國方 弘子 岡本 亜紀 茅原 路代 菅崎 仁美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_85-2_92, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
15

訪問看護ステーションにおける家族員を含めた精神障害による対応困難事例の実態と,精神障害者との関わりにおける訪問看護師の支援ニーズを明らかにした。A県の訪問看護ステーション116施設を対象とし,48施設から有効回答を得た。対応困難事例の経験の有無を質問紙郵送法にて行い,さらに,協力の得られた6施設10名の訪問看護師から対応困難事例13事例の概略と支援ニーズについて面接を行った。調査時点での対応困難事例は,利用者では14施設(29.2%),家族員では12施設(25.0%)に報告があった。また,訪問看護師には【対象の捉えにくさによる不安】があり,【状況に応じた効果的対応方法を知ること】と【看護行為の保証者の要望】という支援ニーズがあった。具体的な対応法の検討や,訪問看護師の関わりを支持する場として,精神科専門職らによる相談窓口やネットワークの構築が一策であると考える。
著者
七川 正一 森 將晏 掛橋 千賀子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.5_27-5_34, 2002-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
17

マウスの大腿後部を50mmHg または200mmHg で2時間圧迫し,組織傷害の圧力による差について検討した。 50mmHg で圧迫した場合,皮膚は著変が見られなかったが,圧迫直後から3時間後にかけて皮下浮腫が増強し,好中球の血管内集簇や血管外への遊走も観察された。 浅層の筋肉には壊死や炎症細胞浸潤が見られたが,深層の筋肉には著変が見られなかった。 24時間後には浮腫は治まり,炎症細胞浸潤も軽減していた。 200mmHg で加圧した場合には肉眼的に腫脹が観察され,組織学的に高度の皮下浮腫と好中球浸潤が見られるとともに,深層の筋肉にも強い炎症と壊死が見られた。 また,出血や血管内へのフィブリンの析出も観察された。 24時間以降においては出血の増強とともに皮下脂肪細胞の壊死も観察された。 このことから,肉眼的には傷害が認識されない場合でも深部には傷害が起こっている可能性があり,傷害は圧力が強い場合には強さと深さが増すだけでなく,質的変化も加わることが明らかにされた。 また,圧迫解放後傷害が強くなるのは虚血再灌流傷害が関与していると考えられ,圧迫後早期に適切な処置をする事により傷害を軽減出来ると考えられた。
著者
大浦 早智 宇座 美代子 當山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.4_795-4_801, 2018

目的:3歳児をもつ母親の「趣味」に着目し,育児ストレスとの関連を明らかにすることである。<br>方法:A県内B市において3歳児健康診査者の母親に対して,基本属性,育児の相談者,趣味の有無と内容,育児ストレスに関して無記名自記式の質問紙調査を実施した。有効回答の得られた348人の母親を分析対象とし,育児ストレスの感じ方を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。<br>結果:育児ストレスを感じている者は64.7%,趣味がある者は71.8%であった。趣味の内容としては「家族(子ども)との外出」「友人との交流や外出」「買物」の順に多かった。3歳児をもつ母親の育児ストレス緩和に関連する要因は,趣味があること,子どもの数が増えることであった。また,既婚の場合,育児ストレスを感じていることが示された。<br>結論:子育て中の母親へ趣味をもつことの働きかけは,育児ストレスの緩和に貢献すると考える。
著者
大浦 早智 宇座 美代子 當山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
2018

目的:3歳児をもつ母親の「趣味」に着目し,育児ストレスとの関連を明らかにすることである。<br>方法:A県内B市において3歳児健康診査者の母親に対して,基本属性,育児の相談者,趣味の有無と内容,育児ストレスに関して無記名自記式の質問紙調査を実施した。有効回答の得られた348人の母親を分析対象とし,育児ストレスの感じ方を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。<br>結果:育児ストレスを感じている者は64.7%,趣味がある者は71.8%であった。趣味の内容としては「家族(子ども)との外出」「友人との交流や外出」「買物」の順に多かった。3歳児をもつ母親の育児ストレス緩和に関連する要因は,趣味があること,子どもの数が増えることであった。また,既婚の場合,育児ストレスを感じていることが示された。<br>結論:子育て中の母親へ趣味をもつことの働きかけは,育児ストレスの緩和に貢献すると考える。
著者
小藤 祐子 野村 香 中山 周子 山﨑 松美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.2_63-2_69, 2012-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
11

本研究の目的は,男性看護師が女性患者に看護ケアをする体験を明らかにすることである。現象学的アプローチを用いて男性看護師11名にフォーカス・グループ・インタビュー,そのうち8名に非構造化面接を実施した。その結果,《看護師としての成長に,どうしようもない性差が立ちはだかる》《患者に気をつかわせないように配慮することが最優先であると悟る》《仕方がないと割り切る》《困難だからこそ身についた技術に対するちょっとした誇り》《女性看護師がいると思うことでわだかまりがとける》《医療処置は看護師として介入できるため,こころが軽くなる》の6つのテーマが導かれた。男性看護師にとって看護ケアを行うことは,「看護師としてケアをしたい」という思いと「患者のことを思うがゆえにケアに入れない」という相反する感情が入り交じった体験であった。
著者
大西 みさ 足立 はるゑ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_81-2_88, 2005-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
56

本研究は,入院患者の高齢化に伴いECG電極交換時の皮膚ケアの質向上をめざすものである。研究目的は高齢者のECG電極貼付部位の皮膚ケア方法として考案したスキナ法の有効性を検証することである。スキナ法とはスキナクレンを散布し汚れを乾いたタオルで拭き取る方法である。対象はECGモニターを装着中の入院患者で同意が得られた59名で,従来法とスキナ法を比較し以下の結果を得た。1)スキナ法の電極交換時期は皮膚異常(p<0.002)やかゆみ(p<0.002)が起きない3日目以降が有効である。2)スキナ法は電極交換5日目で季節(冬期)によって皮膚異常やかゆみを起こしやすい傾向を示した。3)スキナ法は高齢者の電極によるアレルギー接触皮膚炎を軽減する保湿効果があり,電極交換時の保清方法に適している。