著者
佐々木 功一 人見 久城
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.35-40, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
24

レッスン・スタディとして海外にも広がりを見せているわが国の授業研究も,その目的や方法,重要事項や課題が,時代や参加主体によって異なる。たとえば吉崎(2012)は授業研究の目的は実際には重複するものの,大別すると4つあるとしている。実際に授業研究を行う教師は,これらの目的のいずれを意識して実践しているのだろうか。本研究は,授業研究の望ましい在り方を模索するため,教師が授業研究に求めるもの(ニーズ)や目的意識を複数の視点から調査・分析したものである。その結果,調査を行ったT地区の小学校教師は授業力向上に協働的に励んでおり,様々な向上要因のなかでも,校内授業研究が授業力向上に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。そして,その教師たちは3つの独立した因子の影響を受けて授業研究を捉えていることが示唆された。
著者
髙橋 瞭介 桐原 一輝 桐生 徹 大島 崇行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.25-28, 2020-03-07 (Released:2020-03-04)
参考文献数
8

本研究では,空間認識力を育むことができる教材を開発し,ドローンを使った授業をデザインし実践した.分析1では,授業前後に行った空間認識力評価テストの得点を分析し,低位層と中位層において事後テストでの点数が有意に向上したことが明らかになった.分析2では,評価テストの誤答分析を行い,授業後に三面図に書かれたドローンの動きについて視点移動を行うことができる児童が増えたことが明らかになった.分析3では,授業以前から視点移動を獲得していた児童,授業後に視点移動を獲得した児童は授業の中で開発した教材を活用する場面が見られた.以上から,開発した教材と授業デザインは空間認識力を育む一要因になると結論づける.
著者
滝 奏音 辻 宏子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.13-16, 2021-12-19 (Released:2022-01-20)
参考文献数
5

学校教育ではめあてや問題文の一斉音読を指示する場面が多く見られる.算数の授業も例外ではなく,文章題を解く際に問題の音読をするよう指示する教師が多い.しかし,算数の文章題において音読を行うことの効果について検証している先行研究はない.そこで,本研究ではその実態を明らかにするため,学校教育に携わる方を対象に質問紙調査を実施した.「算数の授業中に,学級全体で問題文を音読することは効果があると思いますか.」の問いに対し,全体の78.6%にあたる教師が「とても効果がある」,「効果がある」を選択しており,肯定的な評価をしている割合が高かった.また,「問題文を音読するよう指示する際は,どのような意図で指示をしますか.」というアンケートをとった結果, 97%の教師が「問題場面を把握させる」という目的で文章題の問題文を音読するよう指示していると回答した.
著者
氏家 章次
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.47-52, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1

高校の化学(有機化学分野)の授業において、光学異性体についての実験や観察は旋光度を測定する器具の購入や作製を伴うなど、従来なかなか実施されにくい面があった。そこで、旋光度測定の実測VTRの観察、有機プラスチックモデルの活用などを行い、光学異性体の違いによる光の振動面の逆転を視覚的に理解させることができた。また、臭覚(匂い)や味覚(味)の違いとして体感させることなどにより、ほとんどの生徒に、より深く光学異性体の性質の違い等を理解させることができた。
著者
福井 智紀 内藤 覚哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.41-46, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
3

遺伝子編集技術によって実現可能性が高まりつつある「デザイナー・ベビー」に焦点を当て,その現状や可能性と問題点について理解したうえで,生徒がグループ討論するための理科教材を開発した。討論では,市民参加型テクノロジー・アセスメントの手法のひとつであるフューチャーサーチを,大幅に簡略化して取り入れた。教材は,中学校理科の免許を取得する教職課程学生を対象に試行した。試行後のアンケート結果と発話分析から,一定の活用効果が明確になり,教材としての必要性についても高い評価を得た。しかし,説明や指示の分かりやすさなど,さらなる改善点も残されていることが明確になった。
著者
漆畑 文哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.1-6, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

本研究は,小学校第4学年の小単元「物の温まり方」において,学習指導要領および教科書の変遷を分析することで科学的概念の指導における課題を明らかにすることを目的とする.分析の結果,平成元年改訂学習指導要領において『熱』の概念が削除され,目標が「温まり方」という温度の変化そのものを学習することへ変化したことにより,教科書に掲載された教材や図・テキストも影響を受けていることが示唆された.指導上の課題を解決するためには,『熱』の概念を導入し,物質の構造や熱の伝わりやすさの違いと関連づける必要がある.さらに,これらを関連づけて学習者が考察し表現するための支援を検討する必要がある.
著者
中山 雅茂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.17-20, 2017

<p>先に開発した「月の満ち欠け再現ボックス」は,ライトの光によって照らされた発泡球が,新月,三日月,上弦の月,満月,下弦の月に関して,明瞭にその形を確認することができている.しかし,太陽と月の位置関係を連続的に変化させ場合,ライトの光によって照らされた部分が不明瞭になる部分があった.その原因であるプラスチックコップの切断面の存在をなくすための改良を行った.その結果,太陽と月の位置関係を連続的に変化させながら確認することが可能になった.</p>
著者
渡邉 重義
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.117-122, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

アメリカのミドルスクールで用いられている理科教科書の生物領域の内容を分析して,科学的な方法の取り扱いを調べた。その結果,次のことが明らかになった。①科学的な方法は,実験の結果やまとめ,学習の振り返りの批判的な思考において,スキルの種類がわかるように提示され,具体化されていた。②提示されていたスキルは,プロセス・スキルズと同様のカテゴリーを含んでいたが,概念の応用,コンセプトマップの作成等のスキルも提示されていた。
著者
北澤 武 望月 俊男 山口 悦司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1-4, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
10

筆者らは,我が国における学習科学の専門家養成に向けた情報収集を行うために,諸外国における学習科学の教育プログラムについて調査を行ってきた(大浦ほか 2017;河﨑ほか 2017;河野ほか 2017)。この調査の一環として,本稿では,イスラエルのハイファ大学に着目した調査を行った。ハイファ大学の教師教育プログラムでは,学習科学が重視され,これに関する授業が複数開設されていることが明らかになった。
著者
水野 義之 菅井 勝雄 松原 伸一 三宅 正太郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, 1998

近年, 情報・環境などをテーマとする総合的学習への対応や, 自然科学分野を選択する生徒の減少などが問題となる一方, 欧米を中心に技術リテラシーの育成が話題になっています。そこで, 本シンポジウムでは, 最先端の物理を教育現場に届けるWebサイトの裏方を務めながら基礎科学の重要性を訴えておられる水野先生, Technology for All Americansの動きを調べながら科学に根ざした新しい技術教育を模索されている松原先生, 社会と科学や新しい技術との関係を社会的構成主義の立場から検討されている菅井先生, 新しいメディアの活用を受け手である学習者の立場から検討されている三宅先生に, これまでの取り組みや展望を話し合っていただきたいと思っております。
著者
芙蓉 良明
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.19-22, 1998
参考文献数
3

本校は、平成8・9年度、埼玉県知事より科学技術推進モデル校に指定され、科学技術を推進するために、どのような活動が可能かを実践してきた。その実践として、科学技術講演会、科学館・博物館の見学会、わくわく科学教室、啓発的活動、教科での取り組みを行った。ここでは、これらの活動の可能性や問題点を考察した。
著者
真喜志 昇
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.5-8, 1992

環境や環境教育に関心を持ち、よりよい環境の想像活動に主体的に参加し、環境への責任ある行動がとれる態度を育成するために、小学校の5年理科「魚の育ち方」における地域の川の生き物を調べようという環境教育を取り入れた教材を開発し、その実践を試みた。私たちの学校には、すく横を饒波川が通っている。そこでパソコンと体験学習を取り入れ、川の水性生物を採取し、パソコンで名前を調べたり、指標生物と水の汚れとの関係などを調べることにより、環境に関心を持たせようと考え、教材化し授業を試みた。その結果、川に降りて水性生物の調査をする事をとても楽しかったと答えた子が多かったし、パソコンを使うことにより、川の生物調べも事典を使うよりも興味を持ち意欲的に調べていた。また、その原因が自分達の生活排水であり、自分達の子孫にはきれいな川にして受け継ぎたいといった意見も多くでてきて環境に興味関心を示めさせるのにある程度の効果があったと考える。
著者
佐久間 直也 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.27-30, 2021-12-19 (Released:2022-01-20)
参考文献数
11

科学的探究において仮説は重要な役割を持つにもかかわらず,これまで理科の授業では仮説の立て方の指導がほとんど行われてこなかった.そこで筆者らは、複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法を開発し効果検証を行ってきた(佐久間・中村,2021).本発表では,これまでの実践における課題の改善と新たな学級や単元における実践に取り組み,提案する指導法が一貫した効果を持つかを検討した.具体的には,中学校第2学年「電流とその利用」において継続的な実践を行い,授業時の仮説設定の質を評価した.その結果,提案する指導法は従来の指導法と比べて仮説設定の質の向上に相対的に高い効果があることが示された.その一方で,授業後のアンケートでは仮説設定が難しいと感じていた生徒も依然として多く見られたことから,今後は仮説設定の題材の工夫と継続的な指導によって苦手意識を軽減できるよう取り組む必要がある.
著者
野村 祐子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.29-32, 2020

<p>電気ストーブや照明器具などの取扱いにおいては,火がなくても可燃物が発火して火災に至ることがある.これらの火災に対する予防指導を支援するため,裸火以外の着火源による固体可燃物の発火現象を理解させるためのWeb教材を作成した.木や紙などの燃えやすい固体にゆっくり熱が伝わって急に燃え出す,高温表面や赤外線を着火源とする発火の仕組みを説明するため,虫眼鏡で日光を集めて白と黒の画用紙を焦がす実験を活用し、画用紙が発煙して穴が開くまでの過程と,炭化が進行して橙色の火炎が拡大する過程を,映像と時系列写真で繰り返し観察できるようにした.また,「ししおどし」に水が溜まって動き出す様子を観察する教材を作成し,水と熱を比較することによって,発火の有無を左右する「熱のつり合い」に着目できるよう図った.これらの教材を用いて小学校理科「光の性質」の内容を発展させる学習過程の提案を試みた.</p>
著者
ラッシラ エルッキ・T 隅田 学
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.25-28, 2020-12-13 (Released:2020-12-09)
参考文献数
9

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)は、全国で行われる公教育の文脈において、高い興味関心や優れた能力を持つ生徒の個性や才能を伸長する理数系人材育成の一つの日本型教育モデルである。本研究では才能を個人と環境の組みわせとして定義する「行動環境場(actiotope)モデル」と「教育資本(educational capital)」のアイデアをベースとし、SSHの可能性を議論する。質的研究アプローチを採用し、SSH2校において計10名の教員にインタビューを行い、研究開発実施報告書等を資料として補完しながら分析を行った。その結果、これまであまり議論されていないSSHのインパクトとして、1)連携機関等とのネットワークと校内キーパーソンによる「社会的教育資本(social educational capital)」と2)公教育において意欲や能力の高い生徒に焦点を当てて教育支援をすることへの理解が広がる「文化資本(cultural capital)」へのインパクトが明らかとなった。予想に反し、「インフラ・経済資本(infrastructural and economic capital)」のインパクトが大きいようには見られず、「教育方法的教育資本(didactic educational capital)」のインパクトは曖昧で、才能についての共通認識はなく、課題研究の指導力が不十分と考える教員が多かった。
著者
渡辺 勇三
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.17-22, 2006
参考文献数
1

先般の「お茶の間宇宙教室の提唱」、「街角宇宙教室の提唱」、「街角星空教室の提唱」に続き、「街外れ星座教室の提唱」を報告する。近頃、星を見なくなった。何故だろうか。多忙なのだろうか。星が見えないのだ。郊外や海外や高山で星を見て感動した投書など見ると今の都会では如何に星が見えないかがよく解かる。では、相模原市ではどうなのだろうか。アンケート調査を実施した。視界の広がる相模川の堤防、農道、街灯を避ける高い塔などでささやかな星ウォッチングが行なわれていた。夏の日のタ刻、南の空にさそり座の雄姿を眺めた時の感動は終生忘れられない。今でも心が安らぐ。精神的な豊かさを得るには星座観測が一番だが星空学習は危機的状況にある。大気汚染とネオン光害で都会の低い空には星が無い。夜は誘惑が多く事故や事件で危険が一杯だ。先人は百年計画で明治神宮の森を作り上げ世界に先駆けて京都議定書を作成した。遠い将来を見据えて緑化と省エネに励みつつ田園で星々を学習することを提案する。
著者
佐藤 博
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-8, 2007

北部九州の自動車産業で年間100万台の生産拠点を達成し、次に150万台、次世代車の開発拠点などの目標が福岡県で掲げられている。その中で学校教育の中で今の新しい時代に合わせた形での人材育成をやっていくことが求められている。特に、CADのカリキュラムをもっと増やし工業高等学校や高等技術専門校の教育内容を変えていくことが喫緊の課題になっている。本校に平成18年4月からCADが導入されたが、本校ではこれまで、2次元CADの学習を行っていた。しかし、社会からの3次元CADの技術技能を持った人材育成の要請に対応することと魅力ある電気科の目玉にすることを目的として、3次元CAD(Solid Works)を導入し、実習、課題研究などに取り入れ、教育内容を改善していった。ここでは、3次元CADの教育実践例を紹介し、今後の課題について言及する。
著者
岩見 拓磨 御園 真史
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.133-138, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
10

本研究では,教職課程を履修している大学生に対して,数学に対する価値観を尋ねる質問紙調査を行った。4 つの因子について下位尺度得点の多重比較を行った結果,意識の高さは,意味理解・練習≒道具的目的>学問としての数学>モデル化/活用の順であることが分かった。このことから,将来数学は必要であるという意識は高いのにも関わらず,それを日常的なレベルで数学的モデル化を行ったり,数学を活用するといった実践行動に移せていないことが分かった。
著者
菊森 忠嗣
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.65-68, 1987

三重県玉滝小学校では、昭和61年3月新校舎改築とからんでパソコン35台 (富士通16β) を視聴覚室に備えることになった。パソコンとワープロの区別もつかない職員12名は、それから今日までパソコンと悪戦苦闘を続けた。現在 (昭和62年・秋) 職員は、自分なりのCIAプログラムをまずいなリにもべージックを使って組み、授業に使うところまでこぎつけたが、思わぬところに問題が山積している。玉滝小学校における教職員のパソコンとの悪戦苦闘の足跡を紹介し、参加者の皆さんとともにより有効な運営法を探りだせればと思っています。そして、少なくとも三重県下の学校が、センターを中心に有効な組織と運営法を探りだし、全県下的に連絡をとりながら、相互扶助開発のシステムを作り出して欲しいと願うものである。
著者
高田 昌慶
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.31-34, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

小学校 4 年生の「人の体のつくりと運動」で,腕を曲げ伸ばししたときの筋肉の様子を実験器で説明してきた。しかし、従前の実験器の筋肉部分はゴム製である。そのため,腕を曲げると上腕二頭筋相当部分が縮むように見えるが,元の形に戻るだけで体感的には力が抜け,上腕三頭筋相当部分が伸びて,体感的には元に戻ろうとする力を感じる。つまり,このモデルで児童が体感するイメージは、実際とは相反するもので,指導者としてフラストレーションを感じていた。そこで、腕の筋肉の収縮と弛緩に伴って腕が曲がったり伸びたりする様子を模式的に説明できる実験器を考案し,ケニスで商品化された。まず,筋肉チューブとして付属している非ゴム素材で「力が入って縮む・力が抜けて緩む」ことを体感させる。その上で腕モデルを曲げ伸ばしすることで,感覚的に「縮む・伸びる」とインプットされたイメージを,実感を伴って「縮む・緩む」と正しく再認識させることに効果があったと推察される。