著者
下平 剛司
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.91-96, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
12

科学の健全な発展のためには,科学や研究における適切な行動規範,研究倫理が重要である.科学の行動規範や研究倫理は記述的であり,それらを包括して理解するための理論的枠組みの検討は研究倫理に関する議論を深めるための重要な基礎的作業である.本研究では科学の営みとその倫理の関係性を捉えるための理論的枠組みを模索し検討するために,科学における倫理的行動について定式化を行った.倫理や規範に関する行動(文化形質)と,科学コミュニティへの所属・アイデンティティの認識に焦点を当てて定式化し,これらの関係性についてマトリクス形式での整理と解釈を検討した.また,倫理的立場の違いや規範とアイデンティティの衝突について議論できる可能性や,科学的活動のプロジェクトにおいて倫理的行動を取るための方策の議論やシミュレーション研究への発展の可能性など,本研究の発展可能性について検討した.
著者
池田 幸夫 酒井 啓雄 古川 博
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.17-18, 2007 (Released:2018-04-07)

潮汐現象は高校地学で学習する身近な自然現象の一つである。高校地学の教科書では、潮汐は次のように説明されている。①潮汐は主に月の引力と地球の公転による遠心力の合力によって起こる、②月に面した側とその反対側で満潮となる。③満月と新月の時に干満差が最大になる(大潮)。④満潮と干潮は一日にほぼ2回起こる。このうち満潮と干潮の時刻については、問題があるのである。満月の日に月が南中するのは真夜中の 0 時である。したがって、①が正しいならば、大潮の日の満潮は真夜中と真昼に起こらなければならない。ところが、実際には朝と夕方に満潮となり説明と矛盾している。この矛盾は、潮汐の波の速度(約 200 ㎞/s)が地表面に対する月の移動速度(約 470 ㎞/s)に比べてはるかに遅く、月の動きについて行けないことが原因である。本研究では、潮汐を単振動モデルで表し、月の引力の変動に対する海水の運動を力学的に考察して、月の運動に対して潮汐波の位相が 180 °のときに周期的に安定した運動になると考えれば、この矛盾を説明できることが明らかになった。
著者
吉川 佳佑 島 弘幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.33-36, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
2

虹をテーマとした「光の回折・干渉」の実験は、目にした生徒の印象に残りやすく、光の波動性を学ぶのに適した実験の一つである。本稿では光ディスク(CD やDVD 等)を用いて、二重同心円の虹模様を、教室の壁いっぱいに作り出す手法を紹介する。本手法で二重の虹の円を実演した後、その仕組みを生徒に考えさせることで、回折・干渉に関する生徒の理解を促すことができる。さらに手軽で安全な道具のみを用いることから、生徒自身が実験条件を自由に工夫して、虹の変化を楽しむことができる。
著者
鈴木 宏昭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.53-56, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究の目的は,米国の次世代科学スタンダードにおける Nature of Science の内容構成、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践及び領域横断的な概念の関連性を解明することである。研究の結果として以下の 3 点を挙げることができた。第1 に、Nature of Science の内容は、「学問上核となる知識」の一つではないものの独立した学習内容として導入されていたこと。次に、次世代科学スタンダードに導入されたNature of Science の内容は、具体的に 8 つの内容であり、それらは科学史を活用しながら、科学的・工学的な実践と領域横断的な概念と関連づけて学習することとなっていたこと。そして、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践との関連については、領域横断的な概念と比べると、内容に応じて幅広く関連付けられていた。しかしその一方で、Nature of Science の内容と領域横断的な概念との関連については偏りが見られた。
著者
下平 剛司
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.123-128, 2022-12-18 (Released:2022-12-15)
参考文献数
26

文化的コンテンツの1つであるマンガは,娯楽の文脈だけでなく,科学教育の文脈でも活用されている.ここで,マンガ内の描写は科学的事柄だけでなくフィクションを含むことから,マンガの科学教育の活用においては,読み手が科学的事柄とフィクションの境界を認識できる必要がある.本研究では,科学教育の観点からのマンガ研究の土台を整理するために,これらの論点に関して理論的な検討を行った.まず,マンガのストーリーの構成要素内における科学的事柄とフィクションの描写について検討し,作品によってその境界にグラデーションがあることを確認した.次に,グライスの推意の理論を援用して,「学習マンガ」と「学習マンガと見做した娯楽マンガ」に対して読み手が行う推定の相違を示した.最後に,これらの議論を踏まえた上で,”学習マンガ” としてマンガを位置づける際のステークホルダーの役割と,科学教育におけるマンガ研究の今後の展望を整理した.
著者
松峯 笑子 舟生 日出男 鈴木 栄幸 久保田 善彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.103-108, 2021-12-19 (Released:2022-01-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

我々の身の回りは科学に関連する情報で溢れているが,全ての科学情報が正しいとは限らない.より良い意思決定のためには,科学ニュースを正確に読み取る科学メディアリテラシーが必要であるが,未だ注目されていない.それを受けて筆者らは,「科学メディアリテラシーを俯瞰するチェックリスト」を活用した教育実践をデザインし,少人数を対象として試験的に実施した.そこで挙がった改善点から,今回より多くの学生を対象として,チェックリストが科学ニュースの評価に与える影響を確かめた.実践の結果,チェックリストが,科学ニュースを評価する際の批判的視点を持つ指標となり,科学ニュースの評価に影響を与えることが分かった.また,科学やメディアの認識が低く,事例を肯定的に捉える学生がチェックリストを使用したタイミングで批判的視点を持っていたことから,科学ニュースを正確に読み取るために必要な認識の補助的な役割を果たしていると考えられる.
著者
斎藤 飛鳥 森 一華 吉田 俊久
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.75-78, 1998
被引用文献数
1

大学、教員養成学部における安全教育には、一般論として (1) 災害に対処するため、(2) 学生が教諭になった時、児童・生徒の安全を確保するため、そして科学教育に関して学生が (3) 講義、演習、観察・実験の履修のため、 (4) 教諭になった時、児童・生徒に観察・実験を指導できるため、のものがある。本報告では主に、化学系実験教育について (3) と (4) をまとめる。学生が実験を実体験できるならば、それに勝るものはないが、教員養成学部はスタッフ、スペース、予算、ともに学生数に較べて少ない。多数の学生への化学実験実施で安全教育を行うことは困難なので、講義の中で簡単な安全実験教育を試みた。
著者
渡邉 重義
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.53-56, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

探究のためのプロセス・スキルを参考にして,小・中学校の理科カリキュラムで育成したい科学的な問題解決スキル(案)を作成した。科学的な問題解決スキルは,Ⅰ.科学的な思考に関連したスキル,Ⅱ.観察・実験に関連したスキル,Ⅲ.科学的なコミュニケーションに関連したスキルに分類した。そのⅠ~Ⅲのカテゴリーに合計 10 の基本的なスキルを配置し,さらにその下に「比較分類する」「推論する」「条件を制御する」等のスキルを設置した。
著者
松村 浩一 池田 幸夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.5-8, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

教科の理解は、本質をつかんだ理解,共感しながら得た知識,歴史的・文化的な背景を理解した上での幅広い知識のつながりを得ることが大切である。そのためには,ねらいを持った観察や体験を準備すること,科学理論が発表された当時の歴史的・文化的背景を知ること,科学史を活用すること,生活へ応用されていることを具体的に知ること等と同時に,楽しい・おもしろい・きれいなどの感情を大切にした授業の実施について配慮する必要がある。そのためにも,教師の幅広い研修や教材開発が必要である。
著者
吉井 博明
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.49-52, 1987

最近家庭に普及した情報機器の中で特に注目されるのはテレビゲーム機である。ファミコンに代表されるテレビゲーム機は本質的にコンピュータであり, 子どもの遊びと結びつくことによって初めて家庭に普及したのである。子どもの遊ぴを対象により分類すれば, 対自然遊び, 対人間遊び, 対機械 (メディア) 遊ぴの3つになる。テレビゲーム遊びは, メディア (コンピュータ) との対話を楽しむ遊びであり, コンピュータの本質を直観的に理解することなしには楽しめない。子ども達はこの遊びを通して, 第2種のコンピュータ・リテラシーを自然に身につけると考えられる。本報告では, 長野, 千葉, 東京等の小学生とその両親を対象にしたアンケート調査をもとに, テレビゲーム遊びの実態とその社会的意味を探る。
著者
藤原 秀行 飯沼 和樹 坂本 有希
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.57-62, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
2

中学 1 年の光の屈折の学習では,屈折が起こるしくみを扱わない。そのため,異なる媒質間の入射角と屈折角の関係を暗記する学習にとどまることが多い。そこで坂本は,屈折現象の理解を深めるために,光の速さが媒質によって異なること,それにより屈折が起こることを授業で扱った。これを受け,科学部員の藤原,飯沼は様々な屈折現象への関心が高まり,光の曲がり方をコントロールできないかと考えた。本研究は,藤原らが,砂糖とアガーという身近な素材を用いて平面レンズを作るという試みである。水と砂糖水を接触させて境界面に濃度勾配を作り,それを利用して光を曲げる。種々の濃度の砂糖水を用いて光の曲がり方,最適な凝固剤を明らかにし,レンズ中で光が曲がる砂糖水-アガーレンズの作成に成功した。
著者
垣花 京子 渡辺 信 青木 孝子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.55-58, 2020-06-20 (Released:2020-06-17)
参考文献数
4

コロナウイルスの流行が社会変化をもたらしている.この流行によって数学教育にも大きな変化を求めていることと,今後の国民の教養の在り方を暗示したのではないかと考えられる.今まであまり重要視しなかったデータの扱い方について,数学の新しい分野「データの整理」が重要になる情報化社会の数学教育を考える.
著者
山本 雄大
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.57-60, 2020

<p>「NUMBERS3」というくじは一般の宝くじとは違い当せん確率は一定なのに対して当せん口数が違うことから,人によって選ぶ数字に偏りがあり,数字に対する投票数の分布が一様でないことが予想される。また,一回の抽せんに対して,約500,000の投票が行われているため,当せん金額に数十万の投票が含まれており,それを数千回集めた当せん金額はビッグデータだと考えてよい。つまり,「NUMBERS3」は,「当せん金額が高くなるようにするにはどんな番号を選べば良いか」という課題から、ビッグデータを扱い、当せん番号を推測するという統計的に問題解決ができる教材だと考えた。本稿では,生徒がビッグデータを扱うことに教材として扱うための大きな課題があったため,生徒がICTを用いて、自由な発想で検証することで今回の課題を解決できるようなツールを同時並行で開発した。その上で3000回の当せん金額を分析した結果、誕生日に関わるような番号を除くなど,高い当せん金額を得られる当せん番号の傾向を多面的に分析することができた。</p>
著者
木幡 大河 佐藤 真里 菅原 布美 佐々木 聡也 八木 一正 菊池 新司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.61-62, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1
被引用文献数
1

本研究では、独自の粉塵爆発装置を作成して、生徒が視覚的に捉えやすい「粉塵爆発」の教室規模での教材化を試みる。粉塵爆発が起こりやすい条件を研究するとともに日常で爆発が起こり得る可能性も示し、生徒の防災の意識を高めることも目指したい。
著者
湯澤 敦子 日野 圭子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.19-24, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
8

本研究の目的は,児童の加法・減法の方略の実態を捉え,そこにはたらきかけることを通して,児童の方略の進展を促す指導,特に教具を用いた学習活動,を提案することである。児童の実態に応じた指導についての情報を得るために,高学年になっても素朴な方略を用いている児童に対し対象児の実態を把握し,それに応じた教具の活用の工夫をした個別指導を試みた。その結果,教具の特徴を生かした使用の場面を考え,具体的な操作活動を行うことで,既知の理解として身についている内容と不十分な理解の内容とがつながることがわかった。
著者
日高 俊一郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.73-78, 2005-11-26 (Released:2017-11-17)
参考文献数
12

質問紙調査を行った結果, 虫嫌いの子どもの親は虫嫌いである割合が高く, 虫好きの子どもの親は虫好きである割合が高いことがわかった。また, 虫好きと虫嫌いでイメージする虫の種類に違いがあることがわかった。さらに, 男女を問わず, 小さい時は虫が好きであり, ある年齢を境に虫嫌いになる傾向があり, その年齢が男女で異なることがわかった。この結果をもとに, 虫嫌いになる過程を仮説として設定することができた。
著者
遠西 昭寿 加藤 圭司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.7-10, 1992-07-18 (Released:2017-11-17)

本報告は、近年理科教育等の分野で注目されている構成主義理論について、特に子ども達の興味・関心に関わる側面に対して、具体的な実態調査の結果をもとに、その理論の適応範囲を模索しようとするものである。本報告では、特にウィットロックの生成的学習モデル^<1)>における動機づけの理論との整合性を中心に検討したが、小学校6年はこの理論によく適合するが、3・4年では理論への適合というよりも、即物的に興味を示すことがわかった。このような結果は、構成主義で説明されるような認知的行動の発達によって解釈することの困難さを示している。
著者
小林 俊行 森口 洋佑
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.5-8, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

大学生の物理分野における素朴概念の実態を解き明かすために,各種調査問題が作られ,その実態が報告されてきた。今回は,長洲・武田らが用いた小・中学校で学習する力の概念に関する調査問題を利用して,中学・高校の理科の教師を目指す大学生 1 年生と 3 年生の認知状況を調査,分析するとともに,当時の中学生の認知状況と比較してみた。その結果,調査内容のほとんどで大学生となっても素朴概念が修正されずにいることがわかった。
著者
岡本 紗知
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.67-72, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

科学リテラシーの向上には、『科学の本質:Nature of Science(NOS)』を適切に理解する必要がある。本研究は、国内の大学生が NOS をどの程度適切に理解しているかを把握するために実施した。具体的には、入学直後の国立大学 1 年生、理系・文系の各 2 学部に所属する学生を対象にアンケート調査を実施し、NOS(6 テーマ)の理解度を調べた。さらに、学生の所属学部や高校で学んだ理科科目の違いが NOS 理解に影響を与えるかどうかを調べた。その結果、理系と文系の学生間で、NOS の平均的な理解度に有意差は見られないことがわかった。一方、NOS 各テーマに注目した場合、学部や選択理科科目により、理解度の異なる NOS テーマがあることが明らかとなった。特に、科学に対する社会的および文化的影響や、科学研究における想像力・創造力の役割では、学部間で有意差が見られた。また高校で「化学・物理」を選択した場合、「地学」を選択した場合と比べて、科学の暫定的性質をより正しく理解する傾向があることも明らかとなった。本研究から、理科科目の総学習時間ではなく、選択した科目が、NOS の理解に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
黒田 友貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.113-116, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
11

本研究では、愛媛大学理学部が実施した新入生セミナーAに着目し、授業日程を短期かつ集中的な日程で実施したことによる効果について検討を行なった。その結果、メインプログラムが終了した時点での調査結果であることに留意が必要なものの、到達目標の達成度はすべての項目でほぼ9割を越えており、授業において十分な学修機会が確保されていることが確認され、ソーシャル・スキルへ効果やSTEM人材に求められる能力においても全ての項目で8割以上の受講者が学修到達度については肯定的な回答をしていることから、短期的な日程においても十分学修を担保できることが明らかとなった。今後の課題として、学修効果の持続性に関する調査や基礎的な大学生活に必要なスキルの獲得とプログラムの関係性について検討することが挙げられる。