著者
加納 寛子 光原 弘幸 山崎 雄介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-22, 2010

インターネット上のコンテンツは急速に増加し,レポート剽窃の続出が,昨今の高等教育における課題の一つとなっている.レポート作成方法の指導と機械的チェックの双方がそろって,レポート剽窃防止につながるのではないかと考え,レポート剽窃防止の枠組みを提案した.そして,レポート作成方法の指導のみ行い提出させたレポートと,機械的チェックの連絡も行って提出させたレポートを比較した.機械的チェックの事前連絡を行わなかったケースでは,50%を越す剽窃が見られるレポートが34件中1件検出された.だが,機械的チェックよりも,本質的な指導の重要性が示唆された.
著者
星野 沙織 益田 裕充 半田 良廣
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.39-42, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
12

本研究では、現代の子どもたちに求められる資質・能力としての「主体的な問題解決能力」に着目した。理科授業における子どもの「主体的な問題解決」を支える能力には、モニタリングやコントロールといったメタ認知的活動がある。メタ認知的活動はメタ認知的知識に基づいて行われる。そこで、理科授業におけるメタ認知的知識である「問題解決の過程」に対する教師の支援について着目した。そして、実際の支援として教師による理科授業の「構造化」を位置づけ、検証した。検証の結果、理科授業の実態として「構造化」が出来ている教師は少数であることが明らかになった。また、考察の局面を対話分析したところ、理科授業の「構造化」によって、考察の局面における子どものメタ認知的活動を促進していることが明らかになった。
著者
大倉 史也 益田 裕充 半田 良廣
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.47-50, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
10

本研究は、理科学習指導案をもとに、高等学校理科授業における探究の過程がいかに構築されているのかという観点から、高等学校理科授業の実態を考察したものである。調査の結果、問いを解決するストーリーの構造性の観点から課題が明らかとなった。
著者
岡本 牧子 新垣 学 小野寺 清光 飯塚 悟 宮里 大八
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.19-22, 2021

<p>琉球大学地域協働プロジェクト推進事業「ITワークショップを通じた産学連携教育モデルの構築」の活動の一つとして,コロナ禍における県内でのプログラミング教育の実施に向け,オンライン環境でのプログラミング教育ができる教員養成,大学生メンター養成を目的とし,教員志望学生によるzoomとmicro:bitを用いたプログラミングワークショップを実施した.オンライン学習では,過渡期においてはzoomなどオンラインツールの操作方法の習得も重要であるが,授業の流れと参加者の現在地を俯瞰させることができる紙テキストの活用能力,参加者の回路や作業が確認できる教材開発能力,参加者のレベルを把握し,レベルに応じたブレイクアウトルームの活用能力が指導者の能力として重要であり,これらの能力は,教員志望学生のチームによる数回のワークショップ運営を通して身につけさせることができる.</p>
著者
飯島 康之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.21-26, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
3

本研究は豊富な事実が観察・解釈多様性によって, 数学的探究の多様性を生み出すこと注目した。そして, その多様性が生まれる分岐点等に注目したり, それを意識的に利用することによって, 教授方略の明確化と意思決定の明確化につながると考えた。そのため, 本稿では, 連続する自然数の和の問題という事例に関するケーススタディを行い, 具体例において上記を例証することができた。
著者
神山 真一 俣野 源晃 山本 智一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.45-50, 2017-12-16 (Released:2018-07-01)
参考文献数
10

本研究の目的は,アーギュメント構成能力を育成するうえでの現職教師の信念(Beliefs)を事例的に分析し,教師教育プログラム(神山ら,2017)が教師のBeliefs に与える影響を明らかにすることである.対象は,アーギュメントを授業に導入した経験が無い,国立大学附属小学校の理科専科教員M(小学校教員歴12 年),1 名であった.教師教育プログラムは,神山ら(2017)に基づいて行い,受講後,対象教員M に対して,質問紙調査と聞き取り調査を実施した.その結果,1) プログラムによって実感したアーギュメントの論理的であるという特質が,教師のBelief に影響を及ぼしている,2) プログラムで検討した授業実践において,問題解決の能力と結びついてアーギュメントのBelief が影響を受けている,3) プログラム中の実際に授業を構想・実施するという活動が,アーギュメント指導の自信や環境に対するBelief に影響を及ぼしていることが明らかになった.
著者
渡辺 勇三
出版者
一般社団法人日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.1-6, 2006-06-24
被引用文献数
1
著者
織田 一輝 甲斐 初美 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.57-60, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1

学習者は,1 つの学習状況で複数の概念を保持することが可能である。したがって,学習者の学習過程を適切に捉えるためには,学習者が保持している複数の概念やそれらによって構築される概念生態系の変化をモニタリングする必要がある。そこで,本研究では,これまでに我々が行ってきた「溶解概念」の構成に関する授業実践から得た示唆をもとに,より学習効果が高まると思われる授業を構想・実践し,授業の中での学習者の概念や概念生態系の変化をモニタリングするように試みた。そして,その結果を基礎として,新たに構想・実践した授業の適切性を明らかにした。
著者
出口 明子 関口 有人 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.113-116, 2015

本研究では,持続可能な開発のための教育を指向した環境学習の支援を目的として,里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解を支援する環境学習教材を開発した . 本稿では栃木県内の里山林を舞台に開発したすごろくゲーム教材「里山 Life・アドミンズ」の概要を解説するとともに,森林生態学の基礎を修得している農学部の学生及び大学院生を対象とした実験的評価の結果を報告する.
著者
関口 有人 川島 芳昭 出口 明子 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.99-102, 2016

本研究では,里山の植生遷移,及び管理・利活用の双方について統合的に学習するためのデジタルすごろくゲーム「里山 Life・アドミンズ」を開発した.本稿では,国内における科学教育を支援するデジタルゲーム教材に関する先行研究を概観するとともに,本研究で開発したデジタルすごろくゲーム「里山 Life・アドミンズ」の機能の概要やインターフェイス,学習支援における意義を解説する.
著者
関口 有人 出口 明子 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.205-208, 2017

<p>筆者らは, 持続可能な開発のための教育を指向した環境学習の支援を目的として, 里山の植生遷移, 及び管理・利活用の双方について統合的に学習するためのデジタルすごろくゲーム「里山Life・アドミンズ」を開発している.本稿では, 本ゲーム教材を用いた授業デザインと中学生生徒を対象とした実践的評価の結果の一部を報告する.</p>
著者
出口 明子 関口 有人 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.199-204, 2017

<p>筆者らは環境学習を支援するためのデジタルゲーム教材「里山Life・アドミンズ」の開発・評 価研究に取り組んできている。本研究では,ゲームを構成するパーソナル・シミュレータの有効性を明らかにするため,大学生を対象に評価実験を実施した。3 つの調査・分析の結果,パーソナル・シミュレータはプレイヤーによって活用されるものであり,ゲームが提供する学習内容の理解,特に里山の管理の仕組みに関する理解支援に有効であることが示唆された。</p>
著者
森藤 義孝 杉本 洋輔
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.123-128, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

本研究においては,小学校理科の学習内容に関する命題分析を通した検討の一環として,電気分野で取り扱う諸概念について,意味内容とイメージの観点からの分析を行った。その結果,現行の学習指導要領,及びそれに基づいて作成された小学校理科教科書における科学用語の取り扱いには改善の余地があることが明らかにされた。そこで,本研究では,見いだされた科学用語の取り扱いに関わる問題点を解消するための方策として,Asoko らの提案を踏まえつつ,小学校で構築すべき電気分野の諸概念にかかわる効果的なイメージの提案を行った。
著者
井山 弘幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-4, 2001-09-23 (Released:2017-11-17)
参考文献数
4
被引用文献数
1

科学や科学者についてわれわれが抱くイメージは、メディアや教育によって媒介されて形成されるものだが、近年これらのサイエンス・イメージが現実から乖離していることを指摘する者が増えてきた。歪められたイメージは、科学という人類の貴重な知的遺産について誤った理解を民衆に与え、時には過大な期待を促したり、過度の嫌悪を催させたりしている。サイエンス・イメージが形成されてきた歴史を振り返りながら、個々の類型の摘出を行いつつ、その生成原因を特定し、実際の歴史と対照しながら、科学教育の問題として捉え直す作業を行う。
著者
下村 勝平
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.39-42, 2020-12-13 (Released:2020-12-09)
参考文献数
3

本稿では,中学校数学での「証明」学習の困難を背景に,その改善の一方略として算数科における「説明」に着目した.研究目的を算数科において行われる「説明」の内容を対象とし,子どもがどのように「説明」を捉え,「説明」に関する概念を獲得していくかについて明らかにすることと定めた.そこで,「説明」の内容を検討できるような実験授業を計画・実施した.そこから,抽出児を選定し,分析を加えることによって「説明」に関する概念形成の様相を捉えた.
著者
小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.41-46, 2017-11-11 (Released:2018-07-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

「大学教育の国際化」という文脈で,大学の授業を英語で行うことが求められるようになってきているが,「教授学習言語を英語化する」とはいったい「具体的にはどのようなことなのか」を問う研究は多くない.本稿では,「英語と日本語との関係性」という視点から,大学教育の教授学習言語問題を見直す第一歩として,日本の理学系高等教育の創成期での「関係性」を探ることを試みる.具体的には,先駆けの一つであった札幌農学校を事例として取り上げ,そこでの教授学習言語の実情(創設期の外国人教師による英語の講義が,卒業生を中心とした日本人教師になって,講義が日本語化する状況)を受講ノートという史料に基づいて解読し,「英語と日本語との関係性」について,問題点を整理する.
著者
金児 正史
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.21-24, 2020-03-07 (Released:2020-03-04)
参考文献数
5

理科と数学を総合する学習に関する筆者の研究の1つとして,物理の単振り子の等時性に関する公式を導出する過程に着目し,これを,数学と物理を総合する題材に位置づけようとした。高校物理の等時性の公式の導出にあたっては,単振り子の糸の振れの角θが微小の時,sinθ≒θとなることを活用している。これでは単振り子の実験そのものが成り立たない状況である。しかし実際には振れの角θが1rad程度であれば,等時性が保たれる。そこで筆者は,振れの角θがかならずしも微小でない場合の公式の導出について,学び直した。その結果,テイラー展開の数学的知識の活用は必要だが,大方は数学Ⅲの学習内容を活用できることが分かり,理数探究への活用の可能性が見えてきた。
著者
吉田 安規良 岡本 牧子 江藤 真生子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.33-38, 2020

<p>「一人一台端末」という教育ICT環境を活用できる教員の養成には,教職志望学生のICT活用能力の実態を様々な観点から知る必要がある.そこで,休校中の遠隔授業を想定して,中学・高等学校理科教員志望学生34人の教材探索力を把握した.8割の学生が,学校の授業で一般的に行われる授業者による説明を代替できる動画を含むコンテンツを提示した.ICTを活用したモデル実験や家庭学習では実施が相当困難な実験観察の代替を意図した解答が10人から寄せられた.「教員のICT活用指導力チェックリスト」と照合した結果,学生は,動画や映像などを利用して児童生徒の理解へつなげること,知識の定着や技能の習熟をねらった個別最適化学習,児童生徒が自ら当該コンテンツにアクセスできるような指導,他単元や他教科など全体を通した活用を想定できていたが,児童生徒がコンピュータを使ってアウトプットすることは想定していないことが推察できた.</p>
著者
大村 優華 猪本 修
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.17-20, 2019-06-01 (Released:2019-05-29)
被引用文献数
1

中学校理科における音の単元で,音色を授業で扱うための実験教材の開発について検討をおこなった.現行の学習指導要領では,中学校1年次において音による現象という単元を学習する.そこでは音の伝わり方や,音の3要素である音の大きさ,高さ,音色があることを学習する.音の3要素のうち大きさと,高さについては実験活動を通して理解ができるような授業が展開されることが多いが,音色に着目した授業はあまりなされていない.音色を波形から読み取ることが難しいなどの理由から音色に関する実験活動が乏しいのが現状である.そこで,音色について分かりやすく効果的に授業で扱えるような,複数の音叉を用いた実験教材の開発をすることにした.純音からなる音叉の音を複数個同時に鳴らすことによって,音色を形成する要因である倍音列を人工的に作り出すことが可能となる.これにより段階的に響きと波形の変化を学ぶことができるため,音色の理解が深まることが考えられる.また,本手法により単純な構成の波形をとる楽器の音色を再現することができる.
著者
川本 佳代 新井 紀子 内田 智之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.73-78, 2005-11-05 (Released:2017-11-17)
参考文献数
10

オンライン上でカリキュラムを越えた学びを実現してきた「e-教室」をSSH指定校に導入することにより、高度な学びを目的とするオンラインと対面式の授業とのブレンディッドラーニングを実践した。本稿はその方法と効果を明らかにしている。投稿内容、レポート、アンケートを分析した結果、主な効果として、(1)クラス全体及び個人の解答に至る過程を中心とする記述力が向上したことから高度な学びが実現し、(2)相当数の生徒の数学に対する興味が深まり、数学に対する考えがより肯定的になり、(3)通常の授業よりも「深く考えられる」「面白い」と感じたという点があげられ、「e-教室」導入の意義があったといえよう。