著者
柳澤 健
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.105-110, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
10

痛みに対する物理療法でしばしば使用される超音波療法および電気刺激療法の機器の原理・特性,治療方法などについて最近の知見を含めて概説した。超音波療法では周波数の相違,強度,ビーム不均等率(BNR),キャビテーション,治療面積,導子移動速度についてふれ,電気刺激療法では経皮的電気刺激療法(TENS)及び干渉波療法の機器の原理・特性や痛みの抑制に対する根拠などについて概説した。
著者
横塚 美恵子 阿部 和也 今野 加奈子 石井 伸尚 竹本 晋也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.289-292, 2005 (Released:2006-02-14)
参考文献数
11
被引用文献数
5 2

本研究の目的は,排泄関連動作における着衣を上げる動作の自立群と非自立群の立位バランスを比較し,さらに影響を与えている運動機能について検討することである。対象は発症から6ヶ月以上経過し,立位保持が可能な脳血管障害片麻痺者20名(平均年齢76.7±10.9歳)を,自立群13名と非自立群7名に分類した。立位バランス能力の評価はBerg Balance Scale(以下BBS)を用い,運動機能として下肢Br.Stage,非麻痺側及び麻痺側膝伸展筋力を測定した。その結果,自立群と非自立群の立位バランスの比較では,BBS総合点とBBS動的バランス得点において有意な差を認めた(p<0.05)。BBS各項目の中で「リーチ」「物を拾う」「振り向き」の3項目について,自立群と非自立群で有意な差を認めた(p<0.05)。さらに,立位バランス能力と運動機能の関係において,麻痺側膝伸展筋力(p<0.01)とBr.stage(p<0.01)で比較的強い正の相関を認めた。着衣を上げる動作には,動的バランスが関与し,麻痺側膝伸展力及びBr.Stageが影響していることが示唆された。
著者
糸数 昌史
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.297-300, 2007 (Released:2007-07-11)
参考文献数
5

認知運動療法は,運動機能回復を一つの学習過程と捉え,脳の認知過程に注目した認知理論を基礎として成り立っているアプローチ方法である。今回,その背景と概要を紹介する。
著者
山中 悠紀 水野 智仁 石川 成美 笹倉 祐太 山本 亜衣 石井 禎基
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.571-574, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

〔目的〕無償のソフトウェア(フリーウェア)による動作解析の実用性を検討すること.〔対象と方法〕大学生11名(男性5名,女性6名)にデジタルビデオカメラで矢状面から撮影した立ち上がり動画を画像上のマーキング箇所の座標値が取得できるフリーウェアで解析させ,作業時間と自覚的疲労度を評価するとともに,算出した股,膝,足関節角度と2次元動画解析ソフトウェアで求めた角度との差を分析した.〔結果〕115枚の画像解析に要した平均時間は約20分,自覚的疲労度はVASで30.0 mm程度であった.2種類の解析方法で算出した角度の最大値の差は股関節屈曲で0.12±0.25°,膝関節屈曲で0.14±0.30°,足関節背屈で1.02±0.38°であった.〔結語〕フリーウェアによる動作解析法は実用的である.
著者
窪川 徹 佐藤 光将 平田 祥洸 宮内 音好
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.95-100, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

〔目的〕加齢臭やアロマセラピーなど,においに関しては両側面がある.本研究の目的は体臭対策として理学療法士に香りがあった場合の賛否とその理由を調べることと,アンケート項目との関連を調べることである.〔対象と方法〕理学療法士役の学生に石鹸の香りのミストを付け,トランスファー介助動作を行わせた.患者役の男女学生にその印象と日頃のにおいに関してのアンケートを行い,関連を調べた.〔結果〕男性81.8%,女性51.6%がミストに肯定的で,理由は「清潔感がある」が多く,否定的な理由は「無臭がいい」が多かった.ミストの賛否とアンケート項目には関連はみられなかった.〔結語〕ミストには肯定的であっても,理学療法士に香りがあることには否定的な意見もあり様々であった.臨床現場に受け入れられる香りの探求が課題である.
著者
大島 祥央 浦辺 幸夫 前田 慶明 河原 大陸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.199-202, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

〔目的〕林業従事者の転倒災害防止の一助とするためにチェンソーの駆動が立位バランス能力におよぼす影響を検討することとした.〔対象〕健常成人男性12名とした.〔方法〕安静時とチェンソー把持直後,5分後,10分後の静的・動的立位バランス能力(足圧中心の単位軌跡長,外周面積,重心前方移動距離)を平衡機能計で測定した.チェンソーの把持はエンジンを駆動しない非駆動条件と,エンジンを駆動する駆動条件に分けた.〔結果〕足圧中心の単位軌跡長と外周面積は,チェンソー把持前後で両条件とも有意な変化はなかった.重心前方移動距離は,駆動条件のみ安静時と比較してチェンソー把持直後,5分後でそれぞれ有意に低下した.〔結語〕本研究は,チェンソーを駆動させることで,即時的に立位バランス能力が低下する可能性が示唆された.
著者
今井 樹 潮見 泰藏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.261-265, 2004 (Released:2004-08-30)
参考文献数
8
被引用文献数
30 14

近年,科学的根拠に基づいた理学療法(EBPT)が一つのトピックとなっている。このEBPTを検討するにあたって重要になるのがOutcome measuresである。しかしながら,Outcome measuresに関していくつかの問題点があり,その一つに信頼性の問題が挙げられる。ここでの信頼性とは,検者内信頼性(Intra-rater reliability)および検者間信頼性(Inter-rater reliability)のことを指している。この信頼性を表すものとして,Pearsonの積率相関係数などが挙げられるが,今回は級内相関係数(ICC:Intraclass correlation coefficient)を取りあげ,検者内信頼性および検者間信頼性の求め方を概説する。
著者
田邉 泰雅 水上 昌文
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.207-212, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

〔目的〕階段降段速度の違いが下肢のバイオメカニクスに与える影響について立脚相を前半と後半に区分して明らかにすることとした.〔対象〕健常若年成人20名(男性12名,女性8名)とした.〔方法〕動作計測に三次元動作解析装置と地面反力計を用い,地面反力,関節モーメント,関節角度を算出した.降段速度として3条件のケイデンスを規定した. 〔結果〕立脚相前半の膝関節伸展と足関節底屈モーメントピーク値は速度が高くなるほど大きくなり,その際の膝関節屈曲角度,足関節底屈角度も増加した.一方, 立脚相後半の膝関節伸展モーメントピーク値は速度が高くなるほど小さくなり,その際の膝関節屈曲角度も減少した.〔結語〕降段速度が下肢のバイオメカニクスに与える影響は,立脚相前半と後半で異なる.
著者
藤田 大輔 高村 浩司 駒形 純也 玉木 徹 坂本 祐太 三科 貴博
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.525-530, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
20

〔目的〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティと進学に対する動機づけの関連性を調査した.〔対象と方法〕理学療法士養成大学の第3学年の学生60名を対象にして,職業的アイデンティティと進学に対する動機づけについてアンケートを行った.〔結果〕職業的アイデンティティに対して知的向上心(β=0.40),外的報酬(β=0.22),青春謳歌(β=0.20)は正の影響があり,無気力(β=-0.40)は負の影響を及ぼした.〔結語〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティには,異なる因子の動機づけが関連することが示唆された.
著者
立花 陽明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.235-240, 2005 (Released:2005-09-02)
参考文献数
11
被引用文献数
10 7

日本の高齢社会が今後一層加速化することは必至であり,加齢に伴う退行変性を基盤とした骨・関節疾患が今後も増加することは容易に想像できる。変形性関節症は,関節軟骨の進行性の変性病変を主体とした骨の変形性変化として定義される。変形性膝関節症は,明らかな原因なく,加齢に慢性的な機械的刺激が加わって発症するが,これまでに,その発生や進展に関する種々のリスクファクターについて検討されてきた。本症に対する治療の第一選択は保存的治療であり,種々の保存的治療を試みるべきである。しかし,治療目標の達成度が十分でない場合には,QOLをできる限り高めるために,観血的治療も含め,各症例ごとに治療方針を吟味すべきである。
著者
大田尾 浩 八谷 瑞紀 村田 伸 小野 武也 梅井 凡子 金井 秀作 長谷川 正哉 溝上 昭宏 川上 照彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.359-363, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕脳卒中片麻痺患者の屋内車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因を検討した.〔対象〕脳卒中片麻痺患者59名(男性35名,女性24名)とした.〔方法〕候補となる要因をBrunnstrom stage,立位バランス,座位バランス,握力,腹筋力,非麻痺側・麻痺側の下肢筋力,および認知機能とし,これらの要因と車いす駆動能力を評価した.車いす駆動能力に影響する要因をロジステック回帰により分析した.〔結果〕車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因は,立位バランスと腹筋力が選択された.〔結語〕脳卒中片麻痺患者が屋内での車いす駆動能力を獲得するには,立位バランスと腹筋力が重要であることが示された.
著者
斉藤 昭彦
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.43-47, 1996 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7

この論文の目的は,徒手理学療法におけるイリタビリティーの概念について解説し,イリタビリティーの評価の実際およびイリタビリティーと検査・治療との関係について記述することである。イリタビリティーとは種々の動作によって患者の状態悪化が引き起こされる可能性の程度であり,1)痛みを引き起こす活動量,2)出現した痛みの強度,3)出現した痛みの回復時間の3つの要素から決定される。イリタビリティーはまず,病歴聴取の段階で患者の訴えに基づいて決定され,身体的検査,治療を通して修正される。イリタビリティーの評価により患者の許容量を考慮した適切な検査,治療が可能となる。また,イリタビリティーは治療効果の指標あるいは臨床教育におけるコミュニケーションの手段としても有用である。
著者
鈴木 幸宏 宇佐 英幸 祭 友昭
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.667-673, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
24

〔目的〕スランプテストによる非特異的腰痛患者の坐骨神経滑走性低下の鑑別の可否を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕非特異的腰痛患者をスランプテストで陰性群24名と陽性群14名に分類し,健常群20名を加えた3群間で坐骨神経滑走距離を比較した.〔結果〕坐骨神経滑走距離には,陽性群は健常群と比較して有意に低下したが,陰性群と陽性群との間に有意差は認めなかった.〔結語〕非特異的腰痛患者でスランプテスト陽性の場合,坐骨神経滑走性低下が生じている可能性が示唆された.
著者
笠原 敏史 鳥井 勇輔 高橋 光彦 宮本 顕二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.523-528, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

〔目的〕段差昇降時の支持脚の大腿四頭筋(内側広筋と外側広筋)と床反力の関係について筋電図計と床反力計を用いて測定した。〔対象〕若年健康男性8名とした。〔結果〕内側広筋と外側広筋の筋活動は昇段動作で最も大きな値を示していた。内側広筋と外側広筋の筋活動の比率は歩行に比べ段差昇降動作で大きな値を示し,内側広筋の活動の関与を高めていた。垂直方向の床反力の値は動作間で差はみられなかったが,昇降動作時の外側方向の分力は歩行に比べ有意に低い値を示していた。内側方向の分力に動作間の差がみられなかったことから,相対的に内側方向への力が増大し,内側広筋の筋活動の増大に関連している可能性が示唆される。〔結語〕段差昇降では身体の内外側方向の安定化に内側広筋の活動が寄与していることが明らかとなり,昇降動作の理学療法ではこれらのことに考慮して行う必要がある。
著者
齋藤 里果 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.447-451, 2006 (Released:2007-01-11)
参考文献数
9

本研究は,国内の職業音楽家の身体的症状・治療状況・治療効果を調査することを目的として,延べ138名にアンケートを行い81名の有効回答を得た。内69名(85%)は何らかの身体症状を持ち,40名(有症状者の58%)は治療を受けたことがあると回答した。治療経験者のうち33名(83%)は鍼灸院・整体院またはカイロプラクティック院など,いわゆる治療院を利用しており,治療にマッサージが最も多く用いられていた。しかし,症状が完全に回復したと回答したのはわずか4%で,90%以上の対象者は完全治療に至っていないという結果になった。欧米では施術とともに,医師による医学的治療や理学療法士による身体トレーニング指導など音楽家のための医療が積極的に行われている事から,今後日本でも医療・リハビリテーション分野での治療,研究が必要であると考える。
著者
橋本 祥行 前川 茜 屋敷 法子 尾崎 翼 永渕 希 井上 沙理奈 加辺 憲人 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.635-639, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

〔目的〕観察にて評価可能な病棟歩行自立アセスメントシートの導入効果を検討することとした.〔対象と方法〕平成24年4月から平成26年3月までに船橋市立リハビリテーション病院を退院した脳卒中患者のうち入院中に歩行自立となった181例を対象とした.カルテより後方視的に抽出された基本情報,運動機能,高次脳機能,行動・ADLを病棟歩行自立判定後の転倒の有無による群間で比較した.〔結果〕病棟歩行自立判定後に21例(11.6%)の転倒が発生した.全ての調査項目で2群間に有意差は認められなかった.〔結語〕歩行自立判定後の転倒率および傷害の状況から,アセスメントシートの導入は実用性を有するといえる.
著者
原口 脩平 白根 歌織 沖 貞明 積山 和加子 梅井 凡子 高宮 尚美 小野 武也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.489-492, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
14

〔目的〕温熱療法直後における拘縮関節の可動性増加の有無を検証した.〔対象〕Wistar系雌ラット(8週齢)12匹とした.〔方法〕ラットの右側後肢足関節を,最大底屈位で1週間ギプス固定した.温熱療法群とコントロール群に分け,前者に対しては渦流浴を実施した.その後,両群のラットの足関節に対して,他動的に最大背屈させる際の最大抵抗力を測定した.〔結果〕最大抵抗力の中央値は温熱療法群で2.8N,コントロール群は3.0Nであり,両群間に有意差は認められなかった.〔結語〕温熱療法直後において,拘縮関節の可動性増加は認めないことから,温熱療法によるコラーゲン線維の伸張性増加は不十分であると考えられる.
著者
村田 伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.245-249, 2004 (Released:2004-08-30)
参考文献数
29
被引用文献数
39 16

本研究は,健常女性33名(平均年齢22.2歳±2.6)の開眼片足立ち位での重心動揺を測定し,主要な下肢筋力や足部機能(足把持力と足底感覚)との関連性を検討した。重回帰分析によって,片足立ち位での重心動揺に影響を及ぼす因子として抽出されたのは,足把持力と足底感覚(二点識別覚)であり,足把持力が強いほど,また,足底感覚が鋭いほどに,片足立ち位保持が安定していることが示唆された。今回の知見より,片足立ち位保持が良好な対象例では,大腿四頭筋などの下肢の主要な筋力よりも,足部の機能である足把持力や足底感覚の方が,片足立ち位での重心動揺に影響を与えていることが示唆された。すなわち,片足立ち保持が30秒以上可能な対象者の片足立ち能力をより高めるためには,下肢の主要筋力を強化するよりも,足底感覚や足把持力をトレーニングすることの重要性が示唆された。
著者
望月 久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.33-38, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
14
被引用文献数
13 11

脳卒中の機能障害は多岐に渡るが,本稿では脳卒中の中核的機能障害である運動麻痺と痙縮に的を絞り,それらのとらえ方と評価法について検討する。運動麻痺についてはブルンストロームによる片麻痺の回復段階と脳卒中機能障害評価法(Stroke Impairment Assessment Set, SIAS)の麻痺側運動機能評価,痙縮についてはModified Ashworth ScaleとModified Tardieu Scaleを対比して検討する。また,脳卒中患者のバランス能力評価についても筆者らの研究結果も含めながら検討する。
著者
池田 幸司 大沼 俊博 渡邊 裕文 藤本 将志 赤松 圭介 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.421-424, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

〔目的〕端座位での側方体重移動時における骨盤の側方傾斜と移動側股関節外転筋群の関連を明確にするため,一側殿部への荷重量がこれらの筋の筋電図積分値に及ぼす影響を検討することとした.〔対象〕健常男性16名(平均年齢27.1 ± 6.6歳)とした.〔方法〕端座位より一側殿部の荷重量の総荷重量に対する比率を変化させて,移動側中殿筋・大腿筋膜張筋・大殿筋上部線維の筋電図を測定し,各筋の課題間での筋電図積分値相対値を比較した.〔結果〕筋電図積分値相対値はすべての筋で荷重量85%まで有意に増加した.中殿筋と大腿筋膜張筋では荷重量90%以上で有意に減少した.〔結語〕端座位での側方体重移動に伴う骨盤の側方傾斜を促すには移動側股関節外転筋群の関与が重要である.