著者
岡山 裕美 大工谷 新一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.499-503, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
23

〔目的〕歩行速度を増加させる際における腓腹筋内側頭と外側頭の筋活動について検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性10名を対象とした.歩行中の腓腹筋内側頭と外側頭から表面筋電図を記録し,2.5 km/hから4.0 km/hに速度を上げる時期(加速時Ⅰ)および4.0 km/hから5.5 km/hへ速度を上げる時期(加速時Ⅱ)における筋電図積分値の相対値を比較検討した.〔結果〕筋電図積分値は,加速時Ⅰ・Ⅱともに内側頭が外側頭より有意に高値を呈し,双方の筋電図積分値は加速時Ⅰよりも加速時Ⅱにおいて有意に高値を示した(p<0.05).〔結語〕歩行の加速時における腓腹筋の筋活動量は,内側頭の方が外側頭よりも大きいことが確認された.
著者
末廣 忠延 水谷 雅年 石田 弘 小原 謙一 藤田 大介 大坂 裕 高橋 尚 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.329-333, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
23
被引用文献数
2

〔目的〕慢性腰痛者における腰部の臨床不安定性と股関節伸展時の筋活動開始時間との関係を明らかにすることとした.〔対象〕慢性腰痛者25名とした.〔方法〕股関節伸展時の筋活動開始時間を測定した.腰部の臨床不安定性の試験として,prone instability test(PIT)と腰椎屈曲時の異常な動きを評価した.腰部の臨床不安定性と股関節伸展時の筋活動開始時間との関係は,相関係数を用いて分析した.〔結果〕PITの陽性の結果が両側の多裂筋と対側の脊柱起立筋の活動遅延と相関した.〔結語〕慢性腰痛者において腰部の臨床不安定性の陽性の結果と股関節伸展時の背部筋群の活動遅延が相関することが明らかになった.
著者
大塚 翔太 中嶋 翔吾 柏木 彩矢菜 南 頼康 森沢 知之 高橋 哲也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.593-598, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕どの程度の強度・時間でのストレッチが局所の血流を変化させ,筋酸素動態に変化を与えるかを調査することを目的とする.〔対象〕全ての測定プロトコルを完遂した健常大学生17名とした.〔方法〕下腿三頭筋に対し5ニュートンメートル(N・m)で60秒,5 N・mで120秒,10 N・mで60秒,10 N・mで120秒のストレッチ4パターンを無作為に合計4回行った.〔結果〕筋酸素動態は,10 N・mでのストレッチを120秒加えた方が有意な変化を示した.特に60秒~90秒間で,5 N・mと比べ有意な差を認めた.〔結語〕一定以上の時間・強度を用いないストレッチでは,ストレッチ中の筋血流制限やその後の反応性充血に乏しく,十分な代謝性の変化が得られないことが確認された.
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.127-132, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

〔目的〕異なる股関節肢位でスクワットを行い,大内転筋が発揮する伸展トルクの特徴から役割を検討した.〔対象と方法〕健常男性1名が股関節内外転,回旋中間位(NS)と外転,外旋位(SS)でスクワットを行い,大内転筋と股関節伸展筋が発揮する伸展トルクを筋骨格モデルを用いて推定し,比較した.〔結果〕NSとSSともに,大内転筋や大殿筋,大腿二頭筋長頭が発揮する伸展トルクは半膜様筋や半腱様筋よりも大きかった.〔結語〕大内転筋は,前額面や水平面の股関節肢位に関わらず,中腰姿勢を伴う動作に対して抗重力筋の役割を有すると推察された.
著者
松田 雅弘 高梨 晃 川田 教平 宮島 恵樹 野北 好春 塩田 琴美 小山 貴之 打越 健太 越田 専太郎 橋本 俊彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.679-682, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

〔目的〕股関節外転筋疲労前後の片脚立位時の重心動揺と中殿筋・脊柱起立筋の活動との関係を明らかにすることを目的とした.〔対象〕神経学・整形外科学的な疾患の既往のない健常成人男性22名(平均年齢21.4歳)とした.〔方法〕股関節外転筋疲労前後で片脚静止立位時の重心動揺と筋活動量の変化を計測した.疲労前後の重心動揺と筋活動量を対応のあるt検定,重心動揺と筋活動の関係をpearsonの相関を用いて求めた.〔結果〕疲労後にX方向の重心動揺が有意に増加し,中殿筋の活動は減少,右脊柱起立筋の活動は有意に高まった.右脊柱起立筋の活動の増加と重心動揺に正の相関がみられた.〔結語〕筋疲労により筋の作用に関連する方向の重心動揺が増大し,代償のための筋活動が増加したと考えられる.
著者
沖田 学 森岡 周 宮本 謙三 八木 文雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.541-545, 2007 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
3

立位姿勢バランスの維持に問題を有する脳腫瘍の症例へ足部機能に焦点を当てた運動療法を施行し,改善が認められたので報告する。この運動療法とは,重心の変化を知覚し制御する役割を担う足部の能力に対して,足部の変化を制御しながら変化を知覚して判断する認知過程を通じて運動学習していく認知運動課題である。この課題として,縦軸もしくは横軸の不安定板を水平保持させながら,両端のいずれかに配置した重量負荷の位置を判断させた。これを左右足に1日各10回施行し,正判断数を記録した。また,開眼・閉眼下における立位姿勢動揺を3,4日ごとに計測した。課題の進行に伴い立位重心動揺が減少したことから,視覚性外部情報ではなく,内部の感覚情報を手掛かりとして重心偏位を認知することにより,効果的で精密な立位姿勢バランス制御の達成が可能になることが示唆された。
著者
山田 実 上原 稔章
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.579-584, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
24
被引用文献数
7 4

〔目的〕本研究の目的は,メンタルローテーションを用いた運動イメージ想起能力の年代別基準値を作成し,さらに高齢者については転倒との関係を検討することである。〔対象〕対象は20歳から86歳までの333名であった。〔方法〕4方向に回転させた手足の写真を見て,それが右側なのか左側なのかを判断するというメンタルローテーションを行い,その反応時間を記録した。なお,65歳以上高齢者に関しては,測定日より1年間の観察期間を設け,その間の転倒の有無を調査した。〔結果〕手,足の写真ともにメンタルローテーション反応時間は,加齢とともに延長する傾向にあった。また,転倒高齢者の反応時間は,非転倒高齢者よりも有意に延長していた。〔結語〕メンタルローテーションを用いた運動イメージ想起能力では,加齢とともに延長する傾向があり,さらに転倒リスクの高い高齢者の反応時間は,より延長することが示唆された。
著者
岩田 晃 淵岡 聡 木村 大輔 樋口 由美 灰方 淑恵 上 勝也 増原 光彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.213-216, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2

〔目的〕二関節筋に対するストレッチングにおいて,肢位を変化させることによって,伸張部位が変化するかを検討した。〔対象〕若年健常男性7名とした。〔方法〕全ての被験者に1)SLR,2)HFKEの二つのストレッチングを行った。超音波を用いて半腱様筋の近位部と遠位部の二部位について構造学的評価を行い,ストレッチング方法による差を検討した。〔結果〕近位部では筋長に対する腱画,坐骨結節間距離の割合がSLRよりもHFKEの方が大きくなり,遠位部では羽状角がHFKEよりもSLRの方が小さくなり,筋厚に差は認められなかった。〔結語〕近位部はHFKEの方が,遠位部はSLRの方が伸張されることが明らかとなり,伸張部位を関節角度によって変化させることが可能であることが明らかになった。
著者
江連 亜弥 原田 慎一 小澤 佑介 荻野 禎子 奥田 裕 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.147-150, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
18
被引用文献数
12 6

〔目的〕本研究は,脳卒中片麻痺者の体幹機能と日常生活活動との関係を明らかにすることを目的とした。また麻痺側機能との関係,FIMの運動項目,認知項目との比較,病巣別による体幹機能の違いも検討した。〔対象〕回復期脳卒中片麻痺者56名(平均年齢66.3±10.7歳)とした。〔方法〕体幹機能は臨床的体幹機能検査(Functional Assessment for Control of Trunk,以下FACT)を,ADLはFIMを,麻痺側機能はBrunnstrom recovery stageを用いて評価した。〔結果〕FACTとFIM合計は非常に高い相関が得られた。FIMの認知項目では体幹のみ高い相関が得られた。病巣別では中大脳動脈起始部,被殻,視床の病巣部位を比較したが,視床は体幹との相関がみられなかった。〔結語〕脳卒中片麻痺者のADLには麻痺側機能よりも体幹機能との関係が強いこと,認知機能とも関係があること,病巣により体幹機能が異なることが示唆された。
著者
山下 喬之 田口 光 長津 秀文 西田 徳和 東條 夏也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.915-923, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
19
被引用文献数
4 2

〔目的〕理学療法士養成課程における,統一性や客観性が乏しい実習成績評価の問題点を改善する目的で,養成校と実習施設が教育目標と到達基準を明確に共有できる実習成績報告書を新しく開発する.〔対象と方法〕長期臨床実習で使用する実習成績報告書とする.従来の指導者主観の強い実習成績評価方法を学生の能力を客観的に評価可能なパフォーマンス評価概念のルーブリックを用いて作成した.〔結果〕養成校の教育目標と到達基準を明確に表記したルーブリック成績報告書が完成した.〔結語〕ルーブリックは実習成績のみならず新人教育,人事考課まで幅広く活用することができる先駆的な教育ツールで,今後の切れ目ない理学療法教育文化を構築する基盤となると考えている.
著者
本多 裕一 榊 英一 吉塚 久記 永尾 泰司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.961-965, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
6

〔目的〕脚長差出現時のstrategyとしての伸び上がりに着目し,関与する筋の活動量の変化を明らかにすることとした.〔対象〕脚長差のない健常人10名とした.〔方法〕足底に補高することで人為的な脚長差歩行を行い,表面筋電図計を用いて測定される伸び上がりに関与すると考えられる下肢筋の活動量を正常歩行時と比較した.〔結果〕補高3cmで前脛骨筋の,4cmで大腿直筋,前脛骨筋,腓腹筋の活動量に有意な増加がみられた.〔結語〕脚長差出現による伸び上がりに伴うと考えられる筋の過活動が認められたことから,この歩容変化と,さらに機能障害が発生する可能性を推察することは,脚長差に対する理学療法介入において有益である.
著者
橋本 広徳 鈴木 哲 石川 衛 苅田 哲也 松浦 晃宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.483-486, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
23

〔目的〕誘発筋電図によるH波を脊髄興奮性の指標とし,持続的伸張運動と動的反復運動が脊髄興奮性に与える影響を検討すること.〔対象と方法〕対象は,下肢に神経障害の既往がない健常成人男性14名とした.誘発筋電図を用い,安静時,持続的伸張運動を行う条件と動的反復運動を行う条件の3条件で,ヒラメ筋のH波を測定した.〔結果〕持続的伸張運動条件において安静時,運動後間で有意な差は認められなかった.動的反復運動条件は安静時に対し,運動後に有意な低下が認められた.動的反復運動条件における運動後のH波の振幅変化率は,持続的伸張運動条件に比べ,有意に低かった.〔結語〕本研究の動的反復運動条件では持続的伸張運動条件より有意に脊髄興奮性が低下することが示された.

4 0 0 0 OA 痛みと心理

著者
一色 俊行
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.99-103, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

痛みを理解するためには,単に身体的側面からの捉え方をするのではなく,心理学的側面からの理解が必要である。痛み知覚は情動との関連性が高く,身体的原因の全くない疼痛,いわゆる心因性疼痛も存在する。この心理的疼痛に関してICD-10とDSM-IVの分類について解説し,理学療法に関連の強い幻肢痛と慢性疼痛について主に心理面からの関係を述べた。
著者
村田 勇太 和智 道生 治郎丸 卓三 大西 均 藤谷 亮 野口 真一 布留 守敏
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.289-293, 2023 (Released:2023-08-15)
参考文献数
14

〔目的〕ライフキネティックトレーニング(LKⓇ)の介入を行い,視覚機能と視覚と身体コントロールの協調性に対する効果の検証を行うこと.〔対象と方法〕対象者は,高校サッカー部に所属する男性52名とした.一般的なサッカーのトレーニングに加え,60分間のLKⓇを週1回,12週間連続で行うLKⓇ群と,一般的なサッカーのトレーニングのみを行うCON群に無作為に分類し,選択反応回数と周辺視野を計測した.〔結果〕LKⓇ群で選択反応回数,周辺視野ともに有意に増加を認めた.〔結語〕LKⓇによりサッカー選手の選択反応回数,周辺視野は向上することが示唆された.
著者
刀坂 太 楠 貴光 早田 荘 赤松 圭介 藤本 将志 大沼 俊博 渡邊 裕文 三輪 成利 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.121-126, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

〔目的〕中殿筋と大殿筋の股関節に対する作用を明確にするために各線維を分け,股関節伸展および外転保持時の筋活動を検討した.〔対象と方法〕対象は健常男性10名とし,平均年齢は24.4歳であった.超音波画像診断装置を用いて中殿筋,大殿筋の各筋線維およびこれらが重層する部位を描出した.そして股関節伸展課題および外転課題にて1 kgごとに4 kgまでの重量負荷を加え,各筋線維の筋電図を測定した.〔結果〕股関節伸展課題では中殿筋後部線維,重層部位および大殿筋上部線維の筋活動は4 kgの重量負荷にて増大した.また股関節外転課題では中殿筋の各線維の筋活動は4 kgの重量負荷にて増大し,重層部位の筋活動は3 kg以上の重量負荷にて増大した.〔結語〕中殿筋,大殿筋の各筋線維は各々の作用に対する筋活動の増大を認めたが,大殿筋上部線維は股関節外転課題に関与しなかった.
著者
雨宮 耕平 来間 弘展 山内 智之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.689-693, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

〔目的〕本研究では腹臥位股関節伸展運動(prone hip extension:PHE)時の筋活動パターンと歩行時の股関節・骨盤の関節運動との関係性について検討した.〔対象と方法〕対象は健常若年男性29名とした.PHE課題では,股関節伸展運動を行わせた際の脊柱起立筋,多裂筋,大殿筋,半腱様筋の筋活動開始時間を測定した.歩行課題では立脚後期における股関節伸展角度,骨盤前傾角度・回旋角度を測定した.PHE時の各筋活動開始時間と,歩行立脚後期の各関節角度について相関分析を行った.〔結果〕PHE時の多裂筋,対側脊柱起立筋の活動開始時間と歩行立脚後期の股関節伸展角度に負の相関を認めた.〔結語〕PHE時に多裂筋,対側脊柱起立筋の活動開始が遅延する者ほど,歩行立脚後期の股関節伸展角度が小さかった.
著者
三津橋 佳奈 前沢 智美 川村 和之 工藤 慎太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.861-865, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕超音波画像診断装置を用いて,歩行時の側腹筋群の動態を観察した.〔対象〕健常男性30名の側腹筋群とした.〔方法〕超音波画像診断装置を用い,臍レベルで腹直筋,外・内腹斜筋,腹横筋が同時に得られる部位に,プローブを固定した.超音波画像診断装置とデジタルビデオカメラを同期し,歩行を側方から観察し,側腹筋群の超音波動画と側方からの歩容の動画を記録した.〔結果〕3筋はいずれもMSt~TStにかけて腹側へ移動し,遊脚相では背側へ移動する動態を示し,筋厚変化率は腹横筋が外腹斜筋に比べ有意に大きかった.〔結語〕歩行中の側腹筋群の動態は,立脚相で腹側,遊脚相で背側へ移動していた.
著者
古後 晴基
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.521-524, 2011 (Released:2011-09-22)
参考文献数
9
被引用文献数
2

〔目的〕立位での股関節屈曲運動における寛骨後傾運動を検討すること,および左右寛骨の運動に相違があるかを検討することを目的とした.〔対象〕健常成人男性15名(平均年齢21.8±1.8歳)とした.〔方法〕矢状面にて,上前腸骨棘と上後腸骨棘とを結ぶ線が,水平線となす角度を寛骨後傾角度とし,被験者は,立位にて右股関節の自動屈曲運動を行い,股関節屈曲0°,45°,90°,最大屈曲位のときの寛骨後傾角度をゴニオメーターにて左右で測定した.〔結果〕股関節屈曲に伴い寛骨が有意に後傾した.右寛骨後傾に対する左寛骨後傾の割合は,1/2であった.また,股関節の屈曲運動に対する寛骨の後傾運動の割合は,股関節屈曲45°では1/7,股関節屈曲90°では1/6,股関節最大屈曲では1/4であり,股関節の屈曲角度が増すにつれて,骨盤後傾運動の割合が増加した.〔結語〕股関節屈曲運動において,寛骨後傾運動が行われていることが示唆され,左右の仙腸関節の運動が関与していることが推察された.寛骨大腿リズムは股関節屈曲角度が増すにつれて寛骨後傾運動の割合が増加することが示唆された.
著者
室伏 祐介 川上 照彦 伊藤 創
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.731-734, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
11

〔目的〕平地や不安定面での片脚立位にて小殿筋筋活動を比較し小殿筋が股関節の安定性に関与しているかを筋電図学的に検証することである.〔対象と方法〕健常成人13名(男性7名,女性6名)を対象に小殿筋と中殿筋にワイヤ電極を留置し,平地,AIREX®上,BOSE®上で片脚立位を行い小殿筋と中殿筋の評価をした.〔結果〕女性では平地に比べ最も支持面が不安定であるBOSE®上において小殿筋筋活動が増加した.また,BOSE®上では男性に比べ女性で活動量が多かった.〔結語〕女性は男性に比べ臼蓋による骨頭の被覆が少なく,重心線から骨頭中心までの距離も長く不安定である.よって,股関節の安定性を保つために小殿筋の筋活動量が男性よりも高かったと思われる.小殿筋は股関節の安定性に重要な働きをしていることが示唆された.
著者
谷 浩明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.69-73, 2006 (Released:2006-05-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

セラピストが臨床で用いる教示とフィードバックの学習効果について概説する。教示はその注意をinternal focusではなく,external focusに向けさせるのが学習に効果的である。external focusの特徴を持つ外在的フィードバックについても,教示と同様,学習効果が高いが,こうした言葉による介入は,学習者自身の潜在的な学習を阻む危険をはらんでいる。また,従来とは異なる考え方として,自己決定の要素を含んだ練習方法を紹介する。