著者
神間 唯 丸谷 宜史 梶田 将司 間瀬 健二
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011-HCI-142, no.26, pp.1-7, 2011-03-10

毎日衣服を着ることは必須であるが,ファッションに関して興味がない人やコーディネートに関して悩みのある人がいる.そこで良いコーディネートを推薦することでコーディネートに関する 「気づき」 を促して,悩みを解決し積極性を持たせることが必要だと考えられる.本研究ではファッションにあまり積極的ではない人たちにコーディネートを推薦し,気づきを促すシステムを提案する.コーディネートを決める基準として,ファッションを記述する感性語として定義されているイメージキーワードを用いた.イメージキーワードと気づきの関係を調べるための実験を行い,イメージキーワードがコーディネート推薦に有用であることを示した.
著者
國武 悠人 星野 怜
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.36, pp.1-6, 2022-01-04

VR 技術の進展やメタバースへの注目の集まりにより,法人業務での VR 空間の活用手法が模索されている.しかし,VR 空間での法人業務は会議などにとどまっており,事務的な活動は一度 VR 空間から出て行う必要があるなど現状は多くの課題点を抱えている.そのような中で,VR 空間で法律上の手続を行うことに関する検討を行い,民事訴訟法 228 条 4 項の適用可能性の検討を行うことで遠隔での電子サイン行為,すなわち VR 署名を行い,法人の所轄官庁から有効性を確認するなどの実践を行った.社員総会についても,特定非営利活動推進法及び内閣府ガイドラインに基づき VR 空間での開催を行った.また,VR 署名の応用について,複数の観点から検討を行った.当実践により,議事録署名に留まらない「VR署名」の利用の拡大が見込まれる.
著者
和田 侑也 田中 一晶 中西 英之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013-HCI-154, no.8, pp.1-8, 2013-07-29

ロボットハンドを用いて遠隔地間で擬似的に握手を行う遠隔握手は,通常のビデオチャットよりもソーシャルテレプレゼンスを強化することがわかった.遠隔握手の方法として,会話相手とロボットハンドの繋がりを持たせる方法,会話相手の手の動きとロボットハンドの動きの同期を見せる方法,ユーザがロボットハンドを操作する方法が考えられる.本研究では,これらの方法がソーシャルテレプレゼンスにどのような影響を与えるかを,被験者実験を通して検証した.
著者
櫛崎 翔太 田内 康 水上 嘉樹
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.31, pp.1-4, 2018-03-09

歩容識別は歩行動作に基づき人物識別を行う技術である.本研究では,推定姿勢に基づいたモデルベース歩容識別手法を提案する.提案手法は,姿勢推定のためのニューラルネットワーク,推定姿勢の整形処理部,歩容識別のためのニューラルネットワークの 3 つから構成されている.姿勢推定のためのニューラルネットワークは動画像から人物の姿勢を推定するためのものであり,Cao らによる OpenPose を採用している.姿勢整形処理部では,推定姿勢に含まれる脚関節の左右ラベリングの修正,推定できなかった関節座標の補間,身長に基づいた関節座標の正規化が行われる.歩容識別のためのニューラルネットワークでは,整形姿勢を入力として人物識別を行う.基礎的な実験を行い,姿勢整形処理の有効性,および,歩容識別ニューラルネットワークの構成方法について検討する.
著者
松成 圭悟 岩井 将行
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.25, pp.1-5, 2022-01-04

近年,コロナ渦の影響でアウトドアレジャーが注目を集めている.2021 年の東京オリンピックではサーフィンにて日本の五十嵐カノア選手が銀メダルを取り,盛り上がりを見せた.海ではサーファが増えてきて,混雑が目立ってきている.サーファー同士の衝突事故の原因は波を見るのに夢中になり他の人の存在を認知できなくなることや,日の出や日没間近の暗い時間帯に他の人が見えなくなってしまい衝突してしまうことが挙げられる.そこで本研究ではサーフボードに M5Stack Core2 と NeoPixel LED 防水テープを付け加えることでサーフボードのパフォーミング性を拡張しつつ,事故防止のために自分の存在を周りに認知してもらうことで海での衝突事故を未然に防ぐことを目的とした機能を付与する.つまり,サーフボードの角速度,加速度を 6 軸 IMU で検知し,姿勢角度を算出して,ユーザの状態に応じた光を提示することで周囲に対して危険度に応じた色の可視化を行う.
著者
河村 知輝 土田 修平 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-195, no.42, pp.1-8, 2021-11-23

他人から注目を浴びると普段以上の成果を出そうとする心理効果をホーソン効果と呼ぶ.ホーソン効果は人の行動に良い影響を与える効果として主に挙げられている.例えば,医療の現場において他人から見られているといった状況から手指の消毒回数が増え,衛生施行状況が改善されたり,集中的に患者を治療すると症状が改善されたりする.しかし,これと似た効果がウェアラブルセンサを用いた動作計測実験においては大きな問題を引き起こしている可能性がある.具体的には,センサの装着自体が,実験者の「装着部位を動かして欲しい」といった期待を表し,それが被験者の動きに影響している可能性がある.もし,センサ装着位置の身体部位は大げさに動かしてしまう,などの影響が現れていれば,ウェアラブルセンサを用いてこれまで行われてきたあらゆる評価実験の信頼性に疑問が生じることになる.そこで本研究では,同じ動作をセンサ装着部位を変えながら行わせる実験をすることで,センサを装着すること自体が被験者のジェスチャ軌跡に与える影響を評価する.筆者らが行った先行研究では,センサ装着部位の違いによって動作が変化することを目視にて確認した。本稿では,被験者すべての映像を定量的に解析する.
著者
井出 将弘 市野 順子 横山 ひとみ 淺野 裕俊 宮地 英生 岡部 大介
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-194, no.1, pp.1-8, 2021-08-16

コンピュータを介したコミュニケーションは対面と比較して社会的手がかりが少ないため,より率直な議論を促進することがわかっている.しかしながら,VR 空間におけるアバターを介したコミュニケーションがグループディスカッションにどのような影響を与えるかは十分に調査されていない.本研究では,4 人組 24 グループ 96 名の参加者を対象とした実験を行い,3 つの実験条件(ビデオチャット,参加者の写真から生成したアバターを用いた VR,性別や年齢等の外見上の社会的手がかりがないアバターを用いた VR)を用いてグループディスカッションを行った.その結果,参加者の総発話長を元にした参加のバランスの分析結果において,性別や年齢等の外見上の社会的手がかりがないアバターは社会的手がかりがあるアバターと比較して参加者の議論のバランスの均衡を促進することが分かった.
著者
内海 舞子 栗原 一貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-163, no.11, pp.1-6, 2015-05-07

日々の生活で自分の外見的印象を良くしたい場面は多くある.そこで,印象を変える手段として色と眼鏡に注目する.色彩学では色ごとに象徴するイメージがあり,色によって自分の印象を変化させることができる.また,着用者本人にも日常生活で有利となる心理的効果が期待できる.一方で眼鏡は,錯視が発生し目を大きく見せる効果がある.また近年では,単なる視力矯正用の道具だけではなく,ファッションの一部として使用されることが増え,男女関係なく身につけられ安価で手に入る装飾品となった.本研究では色の変化と眼鏡の効果を組み合わせた,色によって印象を変化させる眼鏡型 HMD(Head Mounted Display) である HMC(Head Mounted Cosmetics) メガネを提案する.ユーザ評価の結果,システムに肯定的な意見が多く,また改善,機能の追加が必要であるとわかった.そして,眼鏡型 HMD としての新たな可能性を示すことができた.
著者
浅山 広大 西田 健志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-169, no.4, pp.1-5, 2016-08-22

対人コミュニケーションの場面では相手に伝えるべきことがあっても恥ずかしさやためらいから伝えられないことがある.この問題を解決するために,伝えたいメッセージをスマートフォンの広告を装って相手に伝えるシステム 「Ad-vice」 を開発した.Ad-vice は相手に伝えたい文言を含んだ広告風の画像を任意のウェブページに合わせて表示するシステムである.相手に見せたいウェブページがあると言いながらスマホの画面を見せることによって,相手が自発的にその文言に気が付くことを期待するという超消極的なコミュニケーション方法を実現することを目指している.本論文では Ad-vice の設計の詳細及び評価実験の計画について議論する.
著者
島谷 二郎 中村 泰
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-176, no.5, pp.1-6, 2018-01-15

空耳は,歌詞 ・ 言葉が別の言葉に聞こえる現象であり,日本ではユーモア,娯楽として親しまれている.人手による空耳文生成において使用する単語の種類を限定することでユーモアを向上させる手法がある.空耳の自動生成に関する研究は過去に行われてきたが,限定された単語のみを用いる状況は想定されてこなかった.使用できる単語の種類が限られる場合,日本語文を適当に区切り各パートに対する類音語を当てはめるという手法では,精度の高い空耳文の生成することが難しいという問題がある.そこで,動的計画法により文章の区切り方を含めて最適化することにより,音韻がより元の文章に近い空耳文を自動生成するシステムを開発した.Web アンケートを通じた評価により,文節で区切った場合よりも動的計画法を用いて最適化した場合において,音韻の類似性が主観的に向上することを示唆する結果を得た.
著者
渡邊 玲 三末 和男 田中 二郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-162, no.21, pp.1-8, 2015-03-06

木構造の可視化手法である Treemap は大規模なデータを空間的に効率良く表すことが出来る.しかしながら,Treemap は可視化手法として必ずしも普及していないため,人によっては表現された情報を読み取ることができない.読み方の解説にも一定の時間を要するため,一般の人に向けたプレゼンテーション等では使用しにくいという問題がある.このような問題に対して,我々は Treemap を短時間で解説する手法の開発を目指している.短時間での解説を実現するために,よく知られた木構造の可視化手法であるノードリンクダイアグラムと Treemap をアニメーションで対応付けることにした.アニメーションは,ひとつの固定されたデータを表現するものではなく,ユーザデータによるテイラーメイドを可能にした.開発した解説手法の有用性を評価するために,静的なテキストによる解説との比較実験を実施した.現時点では,アニメーションの有効性を示す客観的な結果は得られなかったが,被験者の主観的評価では若干の優位性が見られる.今後被験者数を増すことで,より明確な結果が得られるものと期待している.
著者
伊豫田 旭彦 佐野 諭 渡邉 浩一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2009-HCI-135, no.14, pp.1-5, 2009-11-05

これまで放送では、視聴者が番組に参加するに際し、一体感が不足している問題があった。それを解決するものとして、インターネット放送にコメントを入力するシステムがある。筆者らはそのコメントシステムを用いて、英語教育のための参加型放送、視聴者の入力に操作できるカメラ、AR 技術を用いた多人数参加ボードゲームなどを作成した。各番組は非常に一体感のあるものとなり、それぞれ異なる対話が生まれることがわかった。
著者
川手 友貴 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.14, pp.1-8, 2017-02-27

アマチュア漫画家は自分のスケジュールをうまく管理できず,締め切りに間に合わなくなることがある.これを回避するには,現在の漫画制作の進捗を推定し,それをスケジュール通りに漫画制作を行った場合の進捗と合わせて漫画家に提示することで,遅れを具体的に把握させるという方法がある.本研究ではこれを実現するために,漫画家の下書きとペン入れの段階に着目し,それらの描画ピクセル数の関係性を用いて,ペン入れの進捗状況を推定する手法を提案する.まず下書きとペン入れの関係性を調べるために,制作された漫画における下書きとペン入れの描画ピクセル数を調べた結果,それらには相関があることが確認できた.これに基づき,過去の漫画から算出される相関を用いて現在の漫画制作の進捗を推定する式を定め,その精度を評価した.その結果,一人の漫画家の制作した異なる作品においては下書きとペン入れの比率は一定でなかったため,推定精度は低くなった.しかし,同一作品内での比率はほぼ一定であるということがわかった.そこで,制作途中の漫画を推定に使うよう式を改善することで,精度が向上することがわかった.
著者
古田島 裕斗 嵯峨 智 高橋 伸 田中 二郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.19, pp.1-7, 2017-02-27

近年情報端末上で閲覧する電子書籍が広く普及している.電子書籍は独自の利点を持っているが,従来の紙書籍も多くの利点を持ち,特にページめくりのような自由度の高いナビゲーションは比較の場においてたびたび取りあげられる.本研究では電子書籍上で,紙書籍のような柔軟で直感的なナビゲーションを再現することで,操作性を向上させる手法を提案する.本手法ではタブレット端末と端末背面に設置した圧力センサのみを用いることで,電子書籍の利点を保ったまま,柔軟なページめくり等のナビゲーションを実現する.また本手法を取り入れた電子書籍閲覧システムを実装し,数種類の評価実験を行った.その結果,本手法は多少の改善点は挙げられるが既存の電子書籍リーダーと遜色なく,改善を行えば更なる高評価が望めると分かった.
著者
二宮 洸太 又吉 康綱 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-184, no.15, pp.1-8, 2019-07-15

コンピュータやスマートフォンが普及した現在においても,手書き文字を使う機会は多くある.また,自分の手書きに対して苦手意識を持っている人たちもいる.これまでの研究で,複数の手書き文字を合成し平均化した文字が綺麗であることや,それを用いた手書き平均化アプリケーションも実装されている.しかし,立った状態でメモを走り書きするなどのシーンのように,手書きが崩れてしまったものを読めるようにできるかについての検討は,十分に行われてこなかった.そこで本研究では,崩れた手書き文字データセットを構築するための手法について検討を行うとともに,構築したデータセットを用いて平均化によって美化し,読めるようにすることができるかを検証した.検証の結果,平均化によって可読性が向上することがわかった.また手書きの可読化においてユーザ間に相性が示唆された.
著者
五十里 翔吾 高橋 英之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-181, no.8, pp.1-4, 2019-01-14

習慣による考えや行動の自動化は,考えの固着や道徳規範の軽視を引き起こすことがある.このような自動化状態から脱するためには,習慣的運動を攪乱することで 「非日常感」 を創り出すことが有効であると考えた.この仮説を検証するための予備的検討として,まず日常的運動の一つの指標として歩行周期に注目し,背景での聴覚刺激の呈示により歩行周期を撹乱できるか調べた.その結果,刺激の一定周期での呈示では変化しなかった歩行周期が,被験者の歩行周期にある程度追従する相互作用的な刺激の呈示では変化する傾向がみられた.この結果は,我々の運動と相互作用する聴覚刺激の提示は日常的運動を攪乱できるという可能性を示唆する.このような日常的運動の攪乱は,より高次の思考や行動の 「非日常感」 の創発につながるのではないかと期待している.
著者
定野 真志 白神 大典 河野 恭之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-156, no.12, pp.1-7, 2014-01-08

本稿では,Bluetooth デバイスやWi-Fiデバイスを検出可能な携帯端末を用いて得られた social context と GPS データロガを用いて取得した GPS データの解析結果から,検出された各デバイスを属地/属人に分類する手法を提案する.Bluetooth/Wi-Fi デバイスを検出して得られた social context の解析は,検出データのノイズ・抜け落ちを考慮したデータ補間を行い,Bluetooth/Wi-Fi デバイスが連続して検出された区間を,ユーザが何らかのイベントに参加していた区間と判定して,イベン卜同士の類似度や周期から検出された各デバイスを属地/属人に分類した.また GPS 履歴の解析には,GPS データのクラスタリングを行い,ユーザの行動状態を滞在・移動に分類することで,ユーザのイベントに関わっていた時間区間を明確にした.
著者
田村 洸希 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-186, no.3, pp.1-8, 2020-01-08

日本では手書きは一般的に心がこもっていると考えるひとも多く,フォントで生成されたものより手書きされたものを好む人は多い.また,板書などにおいては手書きの方がタイピングより記憶に残りやすいことが分かっており,手書きには一定の価値がある.一方で,コンピュータを用いて手軽に作成,編集が可能な履歴書やレポートなどでも手書きが要求されることは珍しくない.そこで本研究では,受け取った人の満足度を高め,また書くひとの満足度も高める仕組みの実現を目指し,手書き文字の数式化と加重平均化によるゆらぎを導入と,手書き機械の実装を行った.ここでは,単純な加重平均化では問題があることに着目し,改良型の加重平均手法を導入した.また実験によりその可能性について検討を行い,改良型の加重平均化手法で騙しやすくなること,また機械による紙への手書きをひとが判断するのは難しいことなどを明らかにした.
著者
高山 千尋 大野 健彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011-HCI-142, no.12, pp.1-8, 2011-03-10

故障修理は日常生活のあらゆる場面で広く行われる.これはトラブルシューティングと呼ばれ,複雑な思考を伴う知的作業である.トラブルシューティングには,ゴールとする状態が明確ではない,解決への手順が明確ではないなどの難しさが存在している.専門化によってトラブルシューティングが行われる故障機器の修理や保守を行うサポートセンタなどには,熟練者と呼ばれるトラブルシューティングを得意とする人が存在する.それでは,熟練者と一般の人との違いは何であろうか?本研究では,熟練者がなぜうまく異常箇所を検出し,正常な状態に修復できるのかを明らかにすることを目指している.その第一歩として,我々はネットワークの故障修理を題材として,実際に熟練者の故障修理に同行し,その具体的な作業を詳細に分析することで,彼らが特にどのような情報に着目してトラブルシューティングを実施しているのかの調査を行った.本稿では,これら調査によって見いだされた,熟練者特有の行動と,そこから推測される熟練者の知識構造について論じる.
著者
高野 陸 脇田 建
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-180, no.8, pp.1-8, 2018-11-27

複雑ネットワークの構造を理解するための手段として,グラフクラスタリングが挙げられる.グラフクラスタリングはネットワークの構造を要約する手法として有用であるが,必ずしも意味的に正しいクラスタ構造を構成できないという問題があり,しばしば人間の判断を必要とする.このような人間と機械の健全な協力関係の必要性を満たす手法として,しばしば対話的な可視化が用いられる.しかしグラフクラスタリングの対話的な可視化に関する既存研究では,人間と機械が協力して意味的に正しいクラスタ構造を探索するシステムは存在しない.本研究では対話的なネットワーク可視化分析ツールである Social Viewpoint Finder を拡張し,人間と機械が協力的にクラスタ構造を探索的に分析するシステムを提案した.システムの中では機械的なグラフクラスタリングへ人間が介入するために,クラスタ構造をパラメトリックに表現したクラスタ雲を新しく提案し,それを用いた対話的なクラスタ分析の UI を提供した.他にも,人間のクラスタ構造への理解を深めるための包括的なクラスタ分析を支援する機能も提案した.また,本研究で提案した対話機能が探索的なクラスタ分析において有用であるかを,二つの実データセットを用いた分析例によって議論した.