著者
杉谷 弥月 松村 耕平 角 康之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-150, no.7, pp.1-6, 2012-10-25

国際会議 CHI2012 で発表された 400 件前後の論文を,多くの参加者が分担して一論文あたり 30 秒で発表するというフラッシュトーク型勉強会が,近い時期に 2 件開催された.両勉強会では参加者間の議論やメモ共有のプラットフォームとして Twitter が活用された.そこで本稿では,ツイートの時間・発言者の分布,スライド連動のツイート bot の効果などのタイムライン分析を行い,実会議とオンライン議論の相互強化について考察する.
著者
秋山 広美 小松 孝徳 清河 幸子
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.23, pp.1-7, 2011-03-10

ユーザの発するオノマトペには 「何かを表現したいがうまく言語化して表現できないモヤモヤとした印象」 が込められていると言われている.すなわち,オノマトペを入力として扱えるシステムを開発することは,そのようなモヤモヤとした意図を直接的に扱えるため,ユーザの認知的な負担の軽減につながると考えられる.そこで,本研究ではこのようなシステムの構築に向けて,オノマトペの印象を客観的手法に基づき数値化する方法を提案することとした.具体的には,ユーザに対する質問し調査の結果をもとに,オノマトペを構成する音の印象を表現する属性の抽出と属性値の設定,およびその属性値を組み合わせることでオノマトペの印象を表現する方法を提案した.Onomatopoeias are usually used in the case that one cannot describe certain phenomena or events literally, and it is said that user' intuitive intentions are embedded in the onomatopoeias. Therefore, an interface system which can utilize the onomatopoeias as input information could comprehend such users' intuitive intentions and would contribute in reducing users' cognitive loads during their interaction with the interface systems. The purpose of this study is then to objectively generalize the onomatopoeic expressions by assigning certain numerical values in each attributes to these expressions to support users' intuitive expressions especially for applying for the interface system.
著者
山田 彩加 長谷部 礼 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-157, no.20, pp.1-7, 2014-03-06

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しでも,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストレータの潜在的なセンスとクライアントの言葉との噛み合わせを可能とするために,イラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同で行うことを支援する手法を提案する.
著者
山田 彩加 長谷部 礼 西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-7, 2014-03-06

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しでも,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストレータの潜在的なセンスとクライアントの言葉との噛み合わせを可能とするために,イラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同で行うことを支援する手法を提案する.Most of clients who request to draw illustrations express their concepts by words. If the clients and illustrators can share the image of the style of painting from the clients words immediately on the spot and if they can adjust it, the illustrators can skip a process to make fair copies and to suggest them. However, it is difficult to let a client imagine completion form of the same styles of painting even if the illustrators express them by words and by quick sketching. This paper proposes a supporting method to immediately co-create and share the style of painting where the illustrations are requested.
著者
青木 良輔 宮下 広夢 井原 雅行 大野 健彦 千明 裕 小林 稔 鏡 慎吾
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-21
被引用文献数
1

静電容量方式のマルチタッチスクリーンが取り付けられたタブレットが普及し,物理オブジェクトを用いたタブレット向けのアプリケーションが登場している.そこで,タブレット操作に物理オブジェクトを利用することを促すために,タブレット上で枠型物理オブジェクトをくるっと回して情報をみる操作方式 「くるみる」 を提案する.本方式では枠の内側からも画面を遮蔽なく閲覧できるので,枠の内側の画面を見ながら,物理オブジェクトの回転操作及び並進操作が容易に行える.回転操作を 3 次元空間の奥行き方向の操作に割り当て,枠の内側にその操作結果を拡大・縮小表示することで虫眼鏡のように使用できる.本稿では,枠型物理オブジェクトの中で,回転しやすく,握りやすいリング型物理オブジェクトに着目し,本方式の特徴,実装及び本方式の基本操作性を評価した結果を報告する.Tablets with capacitive multi-touch screens have increased and applications for tablets using physical objects have surfaced. To increase the use of physical objects to operate tablets, we propose Kuru-Miru which allows users to move and rotate a frame object to view digital information inside the frame object without obscuring the view of digital information in the screen. Rotation of the frame object acts as a magnifying glass and manipulates the depth in the image to mimic three dimensional space on a two dimensional surface. In this paper, we present our implementation of a easy to rotate and grasp ring object and report Kuru-Miru's features, implementation, and usability.
著者
宮本 洋文 平川 正人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2010-HCI-136, no.7, pp.1-6, 2010-01-15

近年,情報化社会の構築に伴い Web の世界は飛躍的な成長を続けている.現代の Web データは個性的な特徴を持つようになっている.しかし,従来の Web 検索のほとんどがキーワードに頼っている.個性的な特徴を持つ Web データの特徴をキーワードだけで表現することが困難であることは Web 検索における課題の一つである.本研究では,レイアウト及び色彩の情報を検索キーとして,類似する Web ページを抽出する新しい Web 検索システムを提案する.提案システムはソーシャル・ブックマーク・サービスのシステム上に構築しており,Web ページには,ユーザによりレイアウトと色彩情報が付与される.ユーザは,情報付与時と同様の方法により条件付けして関連ページの検索を行うことができる.
著者
加藤 慎一朗 濱川 礼
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.27, pp.1-8, 2013-03-06

本研究では Twitter から得られる Tweet を処理することで,全ての単語に感情情報を付加し,その情報を利用してユーザの推薦を行う.例えば 「英語」 という単語に 「楽しい」 感情を抱く人もいるし,「哀しい」 感情を抱く人もいる.そこで,ユーザごとに全ての単語に対して感情情報を付加することで,その単語が使用される際に,ユーザ一人ひとりが単語にどのような感情を持っているのかを調査し,単語に対して同じ感情を抱くユーザを推薦する.In this study, using natural language information obtained from Twitter, we add feeling information to all words, and make recommendation user to user this information. For example, some people may have happy feeling to the word "English", some people may have unhappy feeling to word "English". By adding emotional information to all word, to investigate whether any have implications when that word is used, and recommend the user to feel the same emotion for words.
著者
松岡 拓人 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.13, pp.1-2, 2013-01-25

プレゼンテーションにおいては,終了予定の数分前に予鈴が鳴らされることが多い.しかしこの予鈴は発表を妨げ,その後も発表者が流れを取り戻しにくい. 「そろそろ時間だ」 という知らせは定刻の何分前にするとかではなく,迫り来る時間はもっと連続的なものとして存在する.時間伝達も連続性を直感的に感じられるようデザインされるべきではないか.私達が提案する焦げ臭を用いた時間伝達の場合は,焦げ臭の濃度が次第に高くなることによって時間が迫っているという感覚を表現する事ができる.We can aware the remaining time by hearing the first bell rang before on time when we make a presentation. However the bell Interfere with the presentation, and presenter is hardly regain the flow thereafter. We should be not announced the Information of "It is about the time" in a few minutes before the appointed time. The time is continuous. So timer should be designed to feel intuitively continuity. The timer using smell like something is burning we propose can express a sense of time is imminent by concentration of smell increases more and more.
著者
イェ チョウトゥ 浦野 義頼
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.7, pp.1-7, 2009-05-08

今日,ミャンマーの携帯電話マーケットには,MyTapとM9の2つのキーパッド・レイアウトあるいは文字入力手法のみが存在している.本論は,この2手法に関し,ミャンマー文字の入力に必要なキーストローク,1分間に入力可能な文字数(CPM),ユーザーによる評価の観点から比較するものである.研究の結果,両手法とも次に入力する文字によって子音・母音モードを切り替えることが分かった.M9のキーパッド・マッピングは興味深いが,初心者ユーザーが習得するのは容易ではない.ユーザースタディの結果,(i-modeの場合)MyTapのCPMとM9のCPMに大差はなく、分散分析の結果は(<i>F</i><sub>1,4</sub> = 0.144, ns)であった.また,MyTapのキーパッド・レイアウトは表示がややこしく,入力編集作業の妨げとなる.ユーザーの多くは上述の2手法のもつタイムアウト問題にわずらわしさを感じている.Today, there are only two keypad layouts or text input methods in the Myanmar mobile phone market namely MyTap and M9. This paper reports a comparison of those two methods in terms of Keystrokes required to type a Myanmar character, Characters per Minute (CPM) and users' evaluation. What we have noticed from this study is that both methods are preparing the next text input step or changing consonant to and from vowel mode. Although M9 keypad mapping is interesting, it is not easy for first-time users to learn it. According to the current user study, CPM of MyTap is not statistically significant as the one of M9 (i-mode=on). The result of an analysis of variance (ANOVA) is (<i>F</i><sub>1,4</sub> = 0.144, ns). MyTap also has a complicated keypad layout displaying feature for typing and editing process. Most users feel uncomfortable with time out problem of those two methods.
著者
宮本 英里 加藤 直樹
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-21

これから向かう目的地周辺の情報取得方法は,メールや電話,web 検索や地域情報提供サービスの利用がある.しかしこれらは,検索に時間がかかることや、沢山の情報の中から欲しい情報を取捨選択する必要があること,そもそも有用な情報があるか分からないという問題点がある.本稿では,これらの問題点を考慮し,目的地のリアルタイムな情報取得をスムーズにするために,欲しい情報に対する質問をツイートすると同時に,地図上で目的地を指定することで,今その場所にいる人々に質問を投げかけることのできる Twitter をベースとしたクライアントソフトウェアを提案する.指定した地域に現在いるユーザに限定してツイートを送ることで,検索する時間や手間が省けることはもちろん,自分の欲しい情報を得られる可能性が高くなり,情報の信頼性,正確さも増すと考えられる.この情報交換を通して緩い繋がりが発生し,最終的には地域を越えたコミュニケーションの促進が期待される.As the existing way of taking information near destination where people going from now on, there are e-mail, phone, the use of web search, and local information services. However, there are problem that taking a lot of time to search, need to choice appropriate it from plenty of information, and it is not clear that whether useful information exit. For covering these problems and make it possible to obtain information smoothly, this paper proposes client software based on Twitter. Using this software, user can ask a person existing destination now. How to use this software is to tweet the question for you want to know and designating one's destination on map. By sending a tweet is limited to users who are currently in the specified region, it can save user's time and effort to find, but also increases the possibility of obtaining the information they want, and the reliability and accuracy of the information increase. Loose connection occurs through the exchange of this information, and ultimately is expected to promote communication beyond the area.
著者
大槻 麻衣 木下 裕介 小早川 真衣子 ホー バック 渡辺 健太郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2023-HCI-203, no.38, pp.1-5, 2023-05-24

ビジョン創出・参加者間の価値観理解のために,ビジョンを体現する状況を演劇形式で表現するアクティングアウトや,シンプルな積み木をヒトやモノに見立て,参加者がそれらを動かしながらストーリーを作る,といった表現活動がある.本研究では,働き手自らが新たな生活スタイル・働き方をデザインするにあたり,この活動に人間拡張技術を取り入れる試みを行った.具体的には,体験者同士が (1) AR 技術を活用した人形劇で自身の考えたストーリーを実現・記録し,(2) そのストーリーを,VR によって様々な視点から体験可能とした.AR 技術によって人形を拡張し,情報を付与することで参加者のイメージ構築に寄与し,また,VR の大きな特徴の 1 つである「没入感」を活用することで,参加者がストーリーを自分事として捉え,参加者間のストーリー共有がより深まり,議論を促進する効果が期待できる.また,これまで,VR 体験を構築するためにはある程度の専門知識やツールの習熟が必要であったが,本プロジェクトでは AR 人形劇という形にすることにより,一般の方でも簡単に体験を構築した点に新規性がある.本稿では,システムのプロトタイプの開発と,それを用いた予備実験について述べる.
著者
佐々木 千尋 大島 千佳 梶原 薪 中山 功一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-187, no.29, pp.1-8, 2020-03-09

集団での議論による意思決定を円滑かつ適切に行うための有効な手段としてファシリテータの活用がある.本研究ではファシリテータ機能の一部分の再現を目的として “Discussion Board System” を開発し,議論参加者の意思をリアルタイムで把握し円滑にサポートすることを試みた.議論全体の進捗と参加者の個別意識による行動を比較し,最終合意への影響を観察した結果,これまで暗黙の了解のうちに隠れていた沈黙する否定者の意思をくみ取れる可能性が見られた.意思決定に多様な価値観と背景を取り入れる必要が高まる中で,人ではなくシステムがサポートすることの意義を検証した.
著者
吉田 匠吾 謝 浩然 宮田 一乘
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-186, no.13, pp.1-6, 2020-01-08

近年,拡張現実や複合現実などの技術が発達しているものの,仮想モデルと現実世界の自然な合成は依然として挑戦的な課題である.この課題に対し,本研究ではプロジェクタによる歪像画のリアルタイム投影技術を提案する.提案技術により,AR システムで多用されるディスプレイを介することなく,リアルタイムに立体感を知覚させる映像を表示することができる.提案手法は,VR システムを用いたルームスケーリング,投影映像のブレ補正によるスムーズな映像の提示,トラッカーによるメッシュ生成を用いた仮想空間と実空間のオブジェクトの位置合わせの 3 段階の処理で構成する.また,プロジェクタやトラッカーをウェアラブルデバイス化することで,様々な方向や角度からの投影や移動が可能である.提案システムにより,スマートフォンや AR グラスのようなディスプレイを介さず,仮想オブジェクトの実在感をユーザに与えることを可能にする.仮想オブジェクトの実在感が向上することにより,癒しや介護の分野に活用することや,新しいエンターテインメントの提供などが期待できる.
著者
保里 和樹 細部 博史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.26, pp.1-7, 2017-02-27

パズルには多くの種類があり,昔から多くの人に楽しまれている.特に近年はスマートフォンやタブレット上でパズルを楽しむ人が増えている.しかし,既存のパズルは多様なルールがあるにもかかわらず,限られた形状をしていることが多い.パズルの形状を大きく変化させる研究として,杉山らは,既存のパズルは抽象化を経て他のメディアに変換できるとする,抽象化とメディア変換と呼ばれる体系的アプローチを提案した.本研究では,抽象化とメディア変換を杉山らの研究とは異なる種類のパズルに適用することで,より幅広い形状を可能とした新しいパズルを提案する.具体的には,多様なパズルが二次元の格子状であることに着目し,各マスをノード,となりあうマスの関係をエッジとみることで,格子状のパズルをネットワーク,すなわち,グラフとして一般化して表現する.格子状のパズルとして,本研究では特に加算パズルを扱う.さらに,グラフ可視化技術と複数の列の表現方法を用いて,提案するパズルの可視化を行う.グラフ可視化技術として,Kamada-Kawai 法を改良したものを用い,列の表現方法として,列ごとの色分けと,折曲点の生成の 2 つの方法を用いる.
著者
小谷 尚輝 内田 貴久 亀尾 菜保子 境 くりま 船山 智 港 隆史 菊地 あかね 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.14, pp.1-6, 2022-08-15

近年遠隔授業や遠隔講演会の社会的ニーズが高まり,登壇者及び聴講者の時間的,物理的制約を軽減することが期待される.アバターを用いることにより,本人が行う講演と同等またはそれ以上の質の遠隔講演が可能になると考えられる.特にアンドロイドアバターを用いれば,聴講者に対して人間が登壇するのと変わらない存在感を感じさせられると期待できる.本研究ではアンドロイドアバターが高校において数百人規模の講演会を行い,聴講者のアンドロイドアバターに対する印象を評価した.聴講者のアンドロイドに対する評価尺度として,擬人化,温かさ,能力,不快感を用い,さらに教育的観点から,ロボット講演に対するエンゲージメントと理解度の主観的評価を行った.これらから,現時点における遠隔操作アンドロイドアバターの効果とその発展性について議論する.
著者
高橋 英之 島谷 二郎 小山 虎 吉川 雄一郎 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-176, no.21, pp.1-4, 2018-01-15

自分があらかじめ記述した考えをロボットが代わりに述べ,それを論破するという自己客観視システムを構築した.このシステムを用いた予備実験から,一定数の被験者がロボットを通じた自分自身との対話を通じて考え方や価値観を変化させることが示された.本研究ではこのようなシステムが持つ意義について考察したい.
著者
津田 奏 清水 洸希 市野 順子
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-197, no.48, pp.1-7, 2022-03-07

VR 空間においてアバターを介した際のユーザーの認知や行動に関する知見が得られつつあるが,ソーシャル VR プラットフォームにおいてユーザーの行動を検討した研究は限られる.本研究は,最も基本的な人間的コミュニケーションであるスキンシップに焦点を合わせ,ソーシャル VR ユーザーがどのようなスキンシップをとっているのかを探る.ソーシャル VR プラットフォームの一つである VRChat をフィールドとし,調査者(著者ら)が被調査者(一般ユーザー)に接近し話しかけた際の被調査者の行動を観察し,計 30 時間 168 人分の一般ユーザーのデータを収集した.収集したデータを用いて,3 つの変数――調査者のアバターの外見的性別(2 水準:男性,女性),調査者の実性別(2 水準:男性,女性),被調査者の対話時の音声有無(2 水準:音声あり,音声なし)――を要因として分析した.その結果,(1) 調査者の実性別が女性の場合の方が男性の場合よりも,スキンシップの頻度が有意に高く,スキンシップの仕方もハグや頭を撫でるといった親密なものが多かった.その一方で,(2) 調査者のアバターの外見的性別はスキンシップの頻度に影響を与えなかった.また,(3) 被調査者の対話時の音声がない場合の方がある場合よりも,スキンシップの頻度が有意に高かった.これらから,アバターの外見よりも中身の性別の方がユーザーの行動に強く影響を及ぼしていることがわかった.
著者
上野 貴弘 大橋 正良
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.25, pp.1-6, 2022-08-15

いじめは被害者の心身的苦痛に基づく主観的な事象であるため,特定の動作から検出することは難しい.そこで,本研究では,被害者の心拍情報を用いて,主観的ストレスに対応したいじめの検出手法を検討する.実験では動画視聴による疑似的な体験から,いじめとリラックスのケースに基づく被験者の心拍情報を取得し,主観ストレスのアンケートを実施した.現在投稿中の論文では,いじめとリラックスを二値分類する機械学習モデルの精度と主観ストレスの相関を分析しているが,本稿では,分析結果を踏まえ,高ストレスと低ストレスにそれぞれ区別したデータを用いて解析した結果を報告する.
著者
伊藤 理紗 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.39, pp.1-7, 2022-08-15

コミックは多種多様であるため,読者にとって好みの描写もあれば,苦手な描写もある.作品のメインではない一部分に苦手な描写が出現する場合,そこだけを飛ばすことができればその先も読み続けることができるが,その表現を読んで読書を止めてしまう可能性もある.そこで我々は,読者が苦手な描写を気にすることなくコミックを鑑賞するための手法を提案する.また,本研究ではその手法を実現するため,コミックを読みながら手軽に読者が任意の苦手な表現についてフラグを付与することができるシステムを開発し,データ収集実験を行った.実験の結果,実験協力者によってフラグの内容に個人差はあるもののある程度フラグが重複することが明らかになった.さらに,知見をもとにしたプロトタイプシステムを実装し,簡易的な利用実験を行うことで利用可能性を検討した.利用実験の結果,読書への没入感をなるべく損なわない予告方法にするといったシステムの改善点が明らかになった.
著者
川上 洋平 駒澤 真人 菅谷 みどり
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-182, no.16, pp.1-8, 2019-03-11

軽度なうつ状態や精神疾患等者は増大している一方支援が少ないことが課題となっている.支援を行うためには精神科医による治療にある 2 つの工程であるアセスメントとカウンセリングを支援することが重要である.アセスメントでは,通常心理学に基づいた検査により受診者の心理を読み解き感情を把握するが,本研究では,本人が判定できない感情を脳波と脈拍値から感情分類により感情推定する手法および指標を提案する.また,カウンセリングは様々な方法が存在するが,本研究では色彩療法を利用し,支援システムによって分類された感情に合わせた色彩を提示することにより,感情の安定化を図るシステムを提案する.照明の変更が可能なスタジオにて複数人の実験協力者により実験を実施した結果,提案指標による感情分類および,色彩を用いた安定化が有効であることが示唆された.