著者
大竹 才人
出版者
愛知工科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

DNAは機能性材料としてバイオナノデバイスへの展開が期待されており、それに必要なDNAナノパターニング技術の開発が求められている。また、オーダーメード医療などの次世代診断に向けて簡便で高感度なDNAセンサが求められている。そこで本研究では、ナノインプリント技術を利用してDNAセンサ開発に向けたDNAのナノパターニングを試みた。ナノインプリントのレジストとして、DNAと強い相互作用を有するポリマーとして知られているポリ-L-リジン(PLL)をガラス基板上に用いた。まず、ガラス基板上のPLL薄膜をSiモールドを用いて120℃、6MPa、5minの条件でナノインプリントした。その後、この基板上に1mg/mlDNA溶液を滴下して2分間紫外光照射して、熱湯で洗浄することでDNAナノパターンを得た。これは、ナノインプリトによってPLLがナノパターン状に改質されて、そのナノパターン部位がDNAをより強固に固定化するためであると考えられる。
著者
竇 毅
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

地下熱、産業排熱等未利用エネルギーは都市域にも豊富に存在し、それを最大限活用することは持続可能な低炭素社会への転換に対して重要な手段である。本研究では、次世代地域熱供給、高効率ヒートポンプ、大規模蓄熱等技術開発の進捗を把握しながら、地域エネルギー需給の時空間分布に応じた広域熱交換ネットワークの計画と評価モデルを開発することで、経済性と環境性両方を考慮して未利用熱を最大限活用する地域エネルギー計画方法を提示する。
著者
エイビス デイビッド
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

当該研究の目的は京都大学における幾何計算研究拠点の設立であり、現在その目的は達成されている。ここでは、主として3つの課題、多面体計算、離散最適化、量子情報について取り組んだ。これらの課題の共通テーマは高次元幾何であり、とりわけ多面体とそれに関わる凸体の研究である。また、ここでは、質の高い理論結果を生み出すとともに、それらの結果の工学・科学分野における広い利用を可能にするソフトウェアの開発も行っている。
著者
綿村 英一郎
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

裁判員裁判で運用されている「量刑分布グラフ」によるアンカリング効果について、心理学的実験を行い検証した。一連の検証の結果、①量刑分布グラフのピーク(最頻値)が裁判員の量刑を誘導すること、および②検察官からの求刑と調整されることの2点について明らかした。また、従来の裁判員研究は評議を含めたものが少なかったが、本研究ではそれを含めており、生態学的妥当性の高い結果を示すことができた。以上の成果は、現在国際誌への学術論文としてまとめている。
著者
中川 未来
出版者
愛媛大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

アジア主義と呼ばれた地域秩序構想はいかに形成されたのか。1880-1890年代を対象とする本研究は、実業を通じてアジアと関わり、またはメディアを通じてアジア情報を発信した人びと(高須謙三・中川虎之助・青山好恵)のアジア経験に注目した。結果、朝鮮貿易に携わった高須の事業は興亜論に基づいていたこと、日本のアジア進出に伴い中国貿易や石垣島・台湾での製糖業を展開した中川は保護主義を唱えていたこと、青山が朝鮮仁川で発行した日本語紙『朝鮮新報』は日本国内でも流通し朝鮮観形成に強く影響していたことが明らかとなった。このようなアジア経験が、アジアを想像し地域主義を構想する際の基礎となったのである。
著者
KLAUTAU Orion
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究では、歴史叙述思想を含む仏教者の自他認識が、国民国家の成立期において如何に変容していったのかを検討した。すなわち近世後期から敗戦後の時期に至るまでの仏教者の国家論・道徳論・歴史論を考察し、その作業を通して「日本仏教」なる概念の本質化の総合的記述に取り組んだ。具体的には、①1853年以降の僧侶による仏教観の変遷、②明治20年代における仏教者の道徳論、③同30年代の仏教者の教育事業と修養論、③大正・昭和期の仏教史叙述とナショナリズム、④敗戦後の「日本仏教」言説の変容、といった四課題に対して学術成果を示し、近代国家における言説装置としての「日本仏教」の役割への更なる理解に貢献した。
著者
松本 卓也
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2016-08-26

今年度は、マルティン・ハイデガーのヘルダーリン論にみられる狂気と詩作の関係についてラカン派の精神分析理論を用いながら研究し、その成果を研究会で発表した。また、ジル・ドゥルーズにおける狂気と創造性の関係を中心にラカン派の精神分析理論を用いながら研究しその成果を投稿できるようにまとめた。今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するための文献の購入費に当てられた。1. マルティン・ハイデガーのヘルダーリン論にみられる狂気と詩作の関係については、関西ハイデガー研究会第43回研究会にて発表した。なお、この研究を遂行するにあたって、補助金を用いて実存哲学に関する文献を多数購入した。2. 交付前の2016年6月26日に筑波大学にて開催された第63回日本病跡学会総会で発表した内容(ジル・ドゥルーズにおける狂気と創造性の関係については、彼の主眼が統合失調症ではなく自閉症スペクトラムにあったと考えることによって晩年の著作『批評と臨床』のパースペクティヴがより明瞭となること)の研究を深め、同内容に関する学術論文を準備した。その他に、ドゥルーズの「器官なき身体」という概念が、対立しているとしばしば目されるラカン派精神分析における言語の原初的形態である「ララング」に実際は近く、作家ジェイムズ・ジョイスの一部の作品がそのような言語によって構成される芸術であることを『早稲田文学』誌1022号で発表した。なお、この研究を遂行するにあたっては、補助金を用いて現代フランス哲学および精神分析と文学に関する文献を多数購入した。
著者
京 明
出版者
香川大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

「適切な大人(Appropriate Adult)」制度をめぐる裁判例の検討等を契機として、日英間における自白の証拠排除の基本構造の異同、傷つきやすい被疑者の供述の自由に対する日英間の配慮の違い、ひいては虚偽自白の防止に対する日英間の裁判所の姿勢の違いを明らかにした。
著者
小宮 友根
出版者
東北学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

裁判員裁判の模擬評議の録画データを分析することで、以下の知見を得ることができた。(1)司会の裁判官が用いる「裁判員全員に向けた行為連鎖開始活動」によって、裁判員は「誰が話し手になるべきか」「どの順序で話し手となるべきか」という順番交替上の問題に直面する。(2)裁判官は「順々」という順番交替システムを採用することでこれらの問題を解決する。(3)他方裁判員どうしが討議するためには「順々」システムから日常会話型のシステムへの移行が必要になる。
著者
星野 太佑
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、乳酸が運動による骨格筋ミトコンドリア増殖のシグナル因子となるのか明らかにすることを目的とし、研究を行った。まず、マウスへの運動前のジクロロ酢酸摂取が、運動中の体内の乳酸濃度を低下させることを確認した。そのDCA摂取を用いて、マウスに乳酸濃度の低い運動を継続して行うトレーニングを4週間行わせた結果、同じ強度でも乳酸濃度の低い運動トレーニングを行った群では、通常のトレーニングによって引き起こされるミトコンドリアの増加が抑制されることが明らかとなった。このことは、乳酸がミトコンドリア増殖のシグナル因子になりうる可能性を示唆するものである。
著者
田中 秀佳
出版者
名古屋経済大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

国際人権法の、無償教育をめぐる法制原理の整理と分析を進めてきた結果、1「無償」の概念と範囲が、わが国のそれとは大きく異なること、2立法・行政による無償教育施策の実行の程度を計測する指標枠組みが提起されていること、3政府が国際人権法の規定を実行しなかった場合には、社会権であっても司法による判断がなされ得ることが明らかになった。ここから、1国際人権法と国内教育条件整備法との整合性をめぐる詳細な法的分析、2無償教育の先進国における国際人権法と教育条件整備法との整合性/コンフリクトの事例検討、3教育の権利保障の実現程度を指標化する理論研究の整理と指標の分析の必要が研究課題として析出された。
著者
横倉 祐貴
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2016-08-26

ブラックホールのエントロピーはその表面積で与えられ、熱力学エントロピーとネーターチャージの二つの側面をもつ。本研究の目的は、その両者の関係を明確にすることであり、それはホログラフィの起源や情報問題の解明につながるものである。今回、蒸発するブラックホールのself-consistentな解を球対称性という条件だけから構築できた。その解では、ブラックホール内部の物質のエントロピー密度を体積積分すると、エントロピー面積則が再現される。また、量子力学的に、熱力学エントロピーをネーター保存量として定式化できた。これらは上記のブラックホールエントロピーの2つの側面をつなげるものだと期待できる。
著者
伊藤 祐康
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

現在、発達障害児童の割合は多くなってきており、その理解と対応は急務となってきている。こういった割合の高さからも教育的なニーズが高まっており、その機序の解明は重要である。これまで自閉症に関して認知科学の視点からコネクショニスト・モデルが提唱されており、特に線形分離できない課題が自閉症者で難しいことが指摘されている。しかし、論理演算を組み込んだ行動実験はこれまでないためおもちゃに論理演算を組み込んだ実験を行い、自閉症児と定型発達児で比べてみる研究を行った。
著者
鄭 明政
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

生存権の段階的保障を憲法に基礎づけるためには、「人権のパンチ力」を維持しようと試みる「切り札としての人権論」よりも、基本権の実現の最大化を図る理論を構成するべきである。このことは、台湾の憲法15条の生存権条項だけでなく、22条の包括的条項や人間の尊厳からも導かれる。社会的弱者に適切な配慮がなされたかどうかを狭く深い引導的な司法審査することにより、生存権の段階的保障を促進できるように思われる。
著者
武内 智康
出版者
浜松医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

レビー小体型認知症では、その病因物質であるαシヌクレインなどによりミクログリアが活性化し神経変性に関与することが、病理・生物学的に確認されている。今回、最近開発した特異性の高い活性化ミクログリアのトレーサーである[11C]DPA713を用いて、レビー小体型認知症患者の脳内のミクログリア活性変化を描出し、精神症状発現との相関を検討した。レビー小体型認知症患者において、[11C]DPA713 BPNDは特に後頭葉で上昇していた。NPIを用いた幻視の重症度と[11C]DPA713 BPNDの相関関係は、後頭葉や頭頂・側頭葉で認めた。ミクログリア活性化は、幻視などの精神症状と関連があると考えられた。
著者
山本 毅士
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究課題ではオートファジー活性(フラックス)に焦点を絞り、フラックス異常を認める腎疾患の病態解明、またフラックス異常を是正する遺伝子改変マウス作成と治療薬の探索を行い、その疾患抵抗性を検証した。結果、(1)in vivoオートファジーフラックス評価方法を確立し、腎老化や肥満におけるフラックス調節異常を明らかにした。(2)オートファジー阻害因子Rubiconをノックアウトしオートファジー亢進モデルを作成した。このマウスは確かにオートファジーが亢進し腎疾患ストレスに抵抗性であった。(3)あるオートファジー活性化薬(EPA)に着目し肥満マウスに投薬したところフラックス異常是正と腎保護効果を認めた。
著者
工藤 桃成
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

数学とその応用分野において,曲線は古くから研究されてきた重要な研究対象であり,その中でも特に代数曲線は,主に代数幾何学・整数論と呼ばれる分野で研究されている図形である.本研究では,特殊な代数曲線の探索・決定を目的としており,理論と計算の融合的なアプローチによって解決を目指している.本研究で得られる特殊な代数曲線は,暗号・符号理論への応用可能性を併せ持ち,将来的には情報通信などへの応用が期待される.
著者
武田 悠
出版者
広島市立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

1978年の先進国首脳会議(サミット)において発出されたハイジャックに関する声明の形成と実施、及びそれらに対する日本の関与を、外交文書等に基づいて検討する。当時、西側世界有数の経済力を持つに至った日本は、経済問題のみならず政治問題でも国際秩序への関与を求められた。先進国が標的となっていたハイジャックもその最初期の事例であった。サミットを通じた日本の関与の実態を明らかにすることで、既存の国際秩序を受け入れて活動するのみだったと言われることの多い戦後日本外交が、実際にはその経済力ゆえに国際秩序の運営に関与していたことを明らかにする。
著者
小川 真寛
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

高齢者施設においてレクリエーションや体操といった様々な活動が提供されている。しかし、認知症高齢者のような自らの活動を選ぶことや、その意義について表現できない対象者にとって、それらの活動が効果的であるかどうかは検証するすべがない。そこで、本研究では本人にとって活動を行った際の効果に関して観察から評価する項目が何かを調べることを目的に実施した。熟練作業療法士へのインタビューや郵送調査から、活動への取り組み方、感情表出、言語表出、社会交流や活動を通して得られたものといった観察項目が得られた。これらの視点は認知症高齢者のように自分の意思の主張ができない対象者の活動の選択や効果検討に有用と考える。