著者
池田 雅則
出版者
兵庫県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

これまで明らかにされてこなかった、19世紀後半日本における地域エリートの学習歴とその変容過程について、史料調査を通した一次史料の収集と分析によって検証することができた。農村エリートの青少年期の日記や文官普通試験にかかわる公文書を史料として分析を進めた。そして、19世紀後半の地域エリートは、国家的制度による正規の学校体系に収まらない不定型で複雑な学習歴を歩んでいたことが明らかとなった。本研究の成果の一部は学術図書として平成25年度中に刊行されることになった。
著者
中村 純一
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究は、1990年代以降の日本経済の長期低迷の原因とも指摘された、いわゆる「ゾンビ企業(金融支援を受けて存続している企業)」の発生・復活の実態とその影響について実証的に分析・考察した。その結果、(1)ゾンビ企業の多くは2000年代前半に復活したが、リストラに依存した縮小均衡であったこと、(2)その傍ら「優良企業」の側の投資行動には、ゾンビ企業の復活後も企業統治要因と関連した過小投資・過大投資の共存など固有の歪みがあったことを示し、それぞれがマクロ経済の本格回復の妨げとなった可能性を指摘した。
著者
松嶋 藻乃
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

ヒトはたかだか4つの物体の情報にしか、一度に注意を向けたり、記憶したりすることが出来ない。さらに記憶や注意の容量は、視覚刺激が左右両視野に呈示されたとき(Across条件)、どちらか一方に呈示された場合(Within条件)にくらべ増大することが知られている。その神経基盤を探るため、サルに2つの認知課題ー複数記憶誘導性サッカード課題および複数物体追跡課題ーを訓練した。課題遂行中の前頭前野ニューロン活動を記録したところ、Across条件のとき、Within条件に比べ増大することを見出した。このことは、対側と同側視野の視覚情報が、解剖学的に分離されて処理されていることを反映していると考えられる。
著者
中尾 恭三
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

ヘレニズム時代、諸ポリスは自国の安全のため都市・領域・神殿の不可侵(アシュリア)を認める条約を締結するよう諸国に求めた。前 3 世紀アシュリア条約が記録されるようになった当初は、神殿で開催される祝祭期間中の休戦条約から発展したものであった。前 3 世紀半ば以降、この神殿への不可侵が神殿を含むポリスの領域にまで敷衍されていき、付帯条項のよって不可侵を定義していくことによって、ヘレニズム時代におけるポリスの外交上の戦略として用いられるようになる。 このアシュリアが、一国では生存の難しい古代地中海のポリスにとって、他国とのネットワークを形成し、長期的に維持する基盤の 1 つとしてはたらいていた。
著者
関谷 龍一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

PLAGL2(Pleimorphic adenoma gene like-2)は卵巣癌で発現が見られる転写因子である。今回卵巣癌におけるPLAGL2の機能解析を行った。卵巣癌細胞においてPLAGL2を抑制させると細胞骨格および細胞遊走能に変化を認めることが分かった。この変化はアクチン骨格の構成に必要なRhoA、Rac1などのRho GTPaseの活性が関与していることが示唆され、特に細胞骨格にはRhoA、細胞遊走にはRac1が強く関与していた。また、Rac1の変化にはRacに特異的なGTPae結合タンパクであるCHN1(chimerin1)も関与していることが示唆された。
著者
石井 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

連続変化と離散変化の振る舞いをするハイブリッドシステムに対する,安全性や安定性といった性質の検証を,区間制約プログラミングと演繹的推論を用いて実施するための技術を開発した.本研究は,制約概念を軸に,高信頼な数値計算と,数式処理や時相論理式検証などの記号計算とを統合した点を特色とする.非線形算術制約を高速に求解する並列区間制約ソルバーを構築するとともに,本ソルバーを利用したハイブリッドシステムの検証器を構築,既存ツールでは検証が難しかった複数の事例について,提案ツールにより検証可能であることを示した.
著者
高梨 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

イネ花粉管誘引物質を同定するためには, 遺伝子発現情報をもとに候補遺伝子の選抜を行う必要がある. そこでまず, 申請者らがこれまでに得たマイクロアレイ・RNA-seq解析によるイネ助細胞の遺伝子発現プロファイル (Ohnishi and Takanashi et al. 2011) の結果から, 助細胞で高発現し, かつ分泌性タンパク質をコードする複数の遺伝子を候補として多数選抜した.選抜した候補遺伝子についてはノックアウト株が存在しなかったため, それが花粉管誘引物質をコードしているか否かを判別するためには遺伝子ノックダウンによる機能解析が必須である. 本研究ではpANDAベクター (Miki et al. 2005) を用いてRNAiによる遺伝子ノックダウン系統の作出を計画している. 将来的にRNAiが機能している胚嚢をGUS染色により判別する必要があること等を考慮し, 後の実験をスムーズに行うため現在pANDAベクターの改変を行っている.花粉管誘引物質の同定には, 花粉管が胚珠からの誘引シグナルにどのように応答するかを生きた状態で観察できるsemi in vitro重複受精系を用いた, 候補物質の花粉管誘引活性解析が必須である. しかしながら, イネ花粉管は一般的に用いられる花粉管伸長培地上では伸長が芳しくないことが明らかになったため, イネ花粉管に最適化した花粉管伸長培地の作製を試みている. またイネ胚珠は組織が厚く内部構造の観察が困難であるため, より詳細な観察のためにイネ胚珠の透明化手法についても検討し, 複数の有効な透明化手法を見出した.
著者
古川 敏明 土肥 麻衣子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究の目的は危機言語の再活性化運動の成功例として論じられてきたハワイ語研究に相互行為の視座を導入することである。ハワイ語あるいは英語中心に展開する多言語会話を対象にして、会話の参加者が何を成し遂げたか分析した。その結果、分析者の視点からすると、複数の言語の要素を含んでいるように思われる発話行為であっても、会話の参加者は言語要素の切り替えに毎回、意味づけを与えるわけではなかった。つまり、主にハワイ語に帰属する資源を用いて話し続けて英語の要素を織り交ぜることも、その逆も、混淆した言語実践であり、参加者の視点からするとどちらも「ハワイ語する」ことであると結論づけられる。
著者
赤塚 広隆
出版者
小樽商科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

オイラー積やディリクレ級数の挙動と、素数分布やリーマンゼータ関数の零点分布の間の関係について研究を行った。また、素数分布や零点分布と関連するようなオイラー積やディリクレ級数の挙動について、数値的な観点から研究を行った。さらに、オイラー積の漸近挙動の研究の応用として、ある種の約数関数の上極限に関する性質についても研究を行った。
著者
小澤 雄樹
出版者
芝浦工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究は、災害発生時に仮設住宅として利用可能な木質系ユニット構造の開発を目的としている。ユニットタイプとしては、ボックス型、ラーメン型の2種類を想定し、これらを組み合わせて用いることで必要な容積を確保する計画である。建設方法を極力単純化し、入手しやすい材料を用いることで被災者自身により自助建設可能なシステムとすることを目指している。構造的検討が特に重要となるラーメン型を中心に、(1)システムの提案、(2)実大ユニット建設による施工性確認実験、(3)柱梁接合部の耐力実験、(4)数値解析等を通して検討を進め、その実現可能性を確認することが出来た。
著者
森 達哉
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

本研究課題の遂行にあたり、特にアプリケーションとして有望であるテーマから研究を進めた。具体的には暗号化通信の通信先ホスト名を推定する問題に取り組みんだ。この問題を解決するために、ドメインネームグラフと呼ぶデータ構造とアルゴリズムを提案し、DNSの観測情報から暗号化された通信の宛先ホスト名を高精度に推定できることを実証した。結果を国際会議 TMA 2015 (採録率 29.6%)で発表、スケーラビリティに関する課題を克服した結果を 2015年度に Computer Comminications 誌にて発表。国内特許出願1件と同出願のPCT出願1件を実施。国内招待講演を1件実施。
著者
佐藤 滋
出版者
東北学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

1920 年アイルランド統治法の施行によって、北アイルランド政府・議会は独自の立法権限、財政権限などを獲得し、イギリスは実態として「連邦制国家」となった。法施行直後は、これを機能させようとした勢力もいたが、第二次世界大戦を経て、1920 年法は形骸化するに至る。本研究は、この間の経緯を、財政権限委譲論議を中心に分析することで、イギリスおよびイギリス帝国における統合と分離の力学を明らかにする。
著者
加藤 美保子
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

2006年以降、ロシアは政治・経済関係を多角化することによって、中国中心のアジア戦略から「太平洋のロシア」戦略へ移行しつつある。本研究は、米国のアジア・シフトと中国による南シナ海や北極海への進出によるサブリージョン・レベルの緊張の高まりによって、ロシアの地政学的関心が大陸から沿岸・海洋へ拡大しつつあると同時に、日本やベトナムなどの地域諸国がロシアの戦略的価値を再認識している点も指摘した。
著者
穐原 雅人
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-27)

人道的観点での国際災害救援・防災協力は不可欠なものである。本研究は、主に中国四川大地震発災直後の応急対応から「重建」(改良復旧)に至るまでの対策を対象として、被災支援力・受援力の仕組みの日中比較を通じて、災害対策をめぐる国際協力の仕組みづくりを目的とした。具体的に、中国政府の「挙国体制」による地震直後の初期対応、「対口支援」により被災地へのペアリング復興支援および3つの「復興モデル」を提示した。
著者
岩間 優希
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-27)

本研究では、日本のヴェトナム戦争報道を、複数のジャーナリストの報道に着目しながら比較研究を行った。その結果、報道の初期・中期・後期で見られた報道の違いには、実際の戦況だけでなく、ジャーナリストの戦争体験・占領体験や先行する報道を乗り越えようとする意思が反映されていることが明らかとなった。
著者
森田 健太郎
出版者
産業医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

1型糖尿病患者は現在増大しており、その原因の1つに環境因子が考えられている。日本では2000年以降黄砂の飛来が急増している。黄砂は浮遊粒子状物質であり、大気環境基準物質に指定されているが、糖尿病発症の環境因子になりえるかどうかは未だに不明である。そこで、本研究では、発症機序の異なる2種類の1型糖尿病モデルマウスの系を用いて黄砂が1型糖尿病に及ぼす影響を検討した。その結果、黄砂は1型糖尿病モデルマウスの系に依存して増悪因子とも抑制因子ともなりえることが示唆された。しかし、どのようなメカニズムによってこのような相反する結果が生じたのかは不明であり、今後さらなる検討が必要である。
著者
坂上 倫久
出版者
愛媛大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

最近我々は、E3ユビキチンリガーゼの一つであるCUL3が血管新生に極めて重要であることを発見した。その中でCUL3は、VEGFR2 mRNAの安定制御を通じて血管内皮細胞機能に関与することを新たに見出した。本研究は、CUL3によるVEGFR2 mRNA制御機構に焦点を当て、血管内皮細胞においてCUL3が標的とする基質およびそのアダプタータンパク質を同定し、血管新生におけるCUL3複合体の果たす生理的役割を明らかにすることを目指すものである。はじめに、VEGFR2-3' untranslated region(UTR)をベイトとしたプルダウン法によって、VEGFR2 mRNA安定性を制御する因子の同定を行う計画を進めたが、ベイト調整が非常に困難で時間を要したため、アダプタータンパク質を同定する実験を優先的に進めるここととした。CUL3のアダプタータンパク質はBTBドメイン(BTBD)を持つことが知られ、ヒトでは180種程度存在することが知られている。この中で血管内皮細胞特異的に高発現するいくつかのBTBDタンパク質に対するsiRNAを合成し、VEGFR2 mRNAを制御するBTBDタンパク質のスクリーニングを行った。その結果、二つの因子(VEGFR2 regulating protein1 and 2)を同定することに成功した。これらのタンパク質を血管内皮細胞においてノックダウンすると、VEGFR2の発現が著しく低下することが分かった。これはCUL3ノックダウン時と同程度であった。一方で、本タンパク質を血管内皮細胞に過剰発現させると、VEGFR2の発現量が大幅に増強されることも分かった。また、293T細胞を用いたプルダウン実験より、同定した二つのBTBDタンパク質はCUL3と結合することを確認した。
著者
中林 千浩
出版者
山形大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

フラーレン代替アクセプター材料開発を目的とし、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体の合成、それを用いたオールポリマー有機薄膜太陽電池創製について検討を行った。グリニヤール試薬を用いた縮合的連鎖重合法とニッケル触媒を用いたクロスカップリング反応を基として、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体の合成に成功した。得られたブロック共重合体は、アクセプターブロックによるアクセプター性、さらにはドナーアクセプター構造による広域に渡る光吸収性を示した。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)/ブロック共重合体のブレンド膜を光電変換層に用いたオールポリマー有機薄膜太陽電池から最大1.6%の変換効率を得た。以上の結果より、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体は、太陽電池中でアクセプター材料として有効に機能し、フラーレン代替材料として優れたポテンシャルを持つことを見出した。
著者
中筋 麻貴
出版者
北里大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24 (Released:2011-09-05)

ワイル群多重ディリクレ級数の解明を目的とし,量子群の結晶基底および可解格子模型と,保型表現に表れるワイル指標公式およびKazhdan-Lusztig多項式との関係構築に取り組んだ.米国Stanford大学のD.Bump教授およびP.McNamara教授との共同研究では,A型ワイル群に対するワイル群多重ディリクレ級数(WMD級数)の同値関係の証明で用いられた統計物理的手法の拡張に取り組んだ.特に,可解格子模型に対するYang-Baxter方程式の有用性について考察した.A型ワイル群に対するWMD級数の研究において関数の性質の鍵となったSchur関数の変数を,スペクトルパラメータz_iと任意のパラメータ_tに加え,別のパラメータα_i,を増やすことによって拡張したFactorial Schur functionについて,変数の増加によって生じた問題にウエイトの取り方に工夫を施すことにより,可解格子模型で記述することに成功した.またその応用として,Factorial Schur関数について報告されていた従来結果であるMacdonald公式およびLascoux公式に別証明を与えた.本研究により,WMD級数の研究で用いられたYang-Baxter方程式の他への有用性を示すことができた。本研究は論文にまとめ,投稿中である.岡山大学の成瀬弘教授との共同研究では,Bump教授およびNcNamara教授との共同研究で得られたYang-Baxter方程式と,Kazhdan-Lusztig多項式と深く関わるシューベルトカリキュラスの領域で研究されているExcited Young diagramに対するYang-Baxter方程式の関係について研究した.Factorial Schur関数の任意のパラメータ_tに対し,t=0の場合についてこれらが関係することを示すことができた.本研究は,可解格子模型とシューベルトカリキュラスの関係構築の研究において意義のある結果となった.
著者
有坂 慶紀
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

間葉系幹細胞(MSC)が接着した基板の表面特性を動的に変化させ、細胞分化系統を動的に転換する光架橋性高分子ブラシ表面(sPDMIM)の開発を行った。sPDMIMは、メタクリル酸メチルと光架橋性ジメチルマレイミドモノマーとの共重合によって作製した。MSCは、sPDMIM上でOCN遺伝子発現量が減少したが、光架橋sPDMIM(cl-sPDMIM)上では増加した。細胞培養中に光架橋した場合、OCNの減少が抑制されるが、cl-sPDMIM上のMSCsとも異なった。これらの結果は、動的に表面構造を変更した基板上のhbmMSCが、表面特性が固定された基板とは異なる分化系統に誘導される可能性を示している。