著者
NUR・ADLIN・BINTI ABU・BAKAR
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

本研究の目的は,省エネルギー型生物学的処理技術であるDHS-USBシステムを陸上養殖に導入し,窒素およびリン化合物の同時除去を目指した閉鎖循環型養殖システムを構築することである。閉鎖型養殖水に含有される窒素およびリン化合物の除去を目指し、高密度養殖排水処理によるシステム内汚泥の微生物群集の変化を観察し,それぞれのリアクターの許容性能と機能を明らかにする。さらに,魚体への影響と安全性を評価するために,病原性微生物のモニタリングを実施とともに魚に対したDHS-USBシステムで処理した水の影響を観察する。本研究の成果は,(SDGs)の達成,特に持続可能な食糧供給と水質制御に貢献できると考えられる.
著者
高松 亮太
出版者
国文学研究資料館
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、近世期を代表する和学者賀茂真淵が評注を加えた系統の『金槐和歌集』諸本について網羅的な調査を行い、系統分類を試みるとともに、その伝播状況を考察し、近世後期から明治初期までの真淵学受容の実態を把握する足掛かりとした。その結果、真淵の評注が数度に亘るものであったこと、また伝播の過程で書き換えや加注が行われたこと、注が変容していくさま、加注に関与した人物、茂吉の実朝研究における諸本の位置付けなどについて新たな知見を加えることができた。また、その作業を通して、真淵の孫弟子上田秋成やその周辺の万葉学などの諸活動を跡付けられたことも重要な成果であった。
著者
酒井 浩介
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

日本近代の雑誌メディアにおける座談会記事の流通と、それが文学・批評においてどのような役割を果たしたかを調査した。戦前、昭和初期の誌上座談会を資料として収集し、小林秀雄らが関わった『文学界』に代表されるこの時期の文芸座談会の批評的な役割の分析が主な目的だったが、それを明らかにするために傍証として必要な資料の収集に難航した。また、体調を崩したこともあり、まとまった形として発表できなかった。話し言葉として半ば放言することがこの時期の批評に、その言葉の責任に二重性を付与していたことについて今後、改めて発表する機会を持てればと思っている。
著者
松永 裕
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取によってミトコンドリアの生合成が高まることが報告される一方で、分解機構に与える影響について詳細は明らかではない。この分解機構はミトコンドリアの品質管理を行う上で重要な働きを担う。そこで本研究では、BCAAの摂取がミトコンドリアの分解機構に与える影響を明らかにする。本研究により、BCAAの摂取がミトコンドリアの制御にどのような影響を与えるのかについて合成および分解の両視点から明らかにすることが可能となる。さらに、BCAAの新たな生理機能の発見につながることや、スポーツ現場に対して科学的根拠に基づいた栄養摂取方法を提供する一助となることが期待される。
著者
下山 せいら
出版者
愛知大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

鳥類のペプチドホルモン「メソトシン」は、哺乳類における「オキシトシン」と相同のペプチドホルモンである。オカメインコは、ヒトに良く懐き、ヒトと社会関係を築くことができるコンパニオンバードである。本研究では、ヒトと哺乳類以外の他種間での社会的絆とホルモンの関連を調べるために、ヒトとの見つめあいやふれあいによって手乗りオカメインコのメソトシン量に変化が起こるかを調べた。手乗りオカメインコにおける血中のホルモン測定は、採血によるストレスとトリとの社会関係が崩壊する恐れがあり、非浸襲的な測定方法を確立する必要があった。そこで、メソトシンも100%交差することが判明しているオキシトシン検出・測定用のELISAキットを用いて、オカメインコの尿部分を含む糞中のメソトシンの測定方法の確立を行った。次に、飼育者であるヒトとのふれあいによるオカメインコのメソトシン量の変化を測定した。実験個体のオカメインコとヒトがふれあう前と後の時間に採集した複数個の糞と、別日のふれあわなかった場合のオカメインコの複数個の糞を収集し、メソトシン量を測定した。メソトシンは他のホルモンのように日内に変動する可能性があるため、同時刻に糞を採集し、相対値での比較を行った。その結果、触れ合いとメソトシン量の変動の規則性や有意差は認められなかった。オカメインコは知っているヒトを見たり、別個体のオカメインコとヒトとふれあっているのをケージの中で見ているだけでも、メソトシンが変動している可能性があり、できるだけ要因を排除した実験の設定が難しいことがわかった。本研究では、非侵襲的な方法を用いて、ホルモンから情動を調べる手がかりを得られることが判明し、メソトシン以外のホルモンの測定にも応用が可能であると考えられる。
著者
藤本 貴史
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

一部のドジョウでは天然でクローン生殖や倍数性配偶子の産出が認められ、その特殊な配偶子形成を人為的に制御できれば非常に有用な技術となりうるが、その分子メカニズムは未だ不明である。このメカニズム解明において、ゲノム倍加が起こるタイミングの特定とその時期の生殖細胞を単離し解析しなければならず、そのためにはドジョウの生殖腺発達段階のステージングと生殖細胞を解析するための新たな実験系を構築する必要がある。そこで、本年度はサンプルとして入手が容易な通常両性生殖個体を用いて実験家系を作出し、継時的に体長測定を行うとともに生殖腺を採取し、組織学的に解析に供した。そして、本年度の研究によって仔魚期から性分化期までの生殖腺の発達段階のステージングをおおむね行うことができ、生殖細胞の増殖期と減数分裂開始時期の特定ができた。その結果、成長初期の生殖細胞の活発な増殖はメスで顕著に観察され、ある一定の体サイズに成長した段階で、雌の生殖腺では減数分裂に移行し卵形成が開始することが明らかとなった。本知見はクローンドジョウの生殖腺における生殖細胞のゲノム倍加が生殖腺発達段階のどの時期で起こっているかを調査するためには必須の基礎的知見であり、希少なクローン個体を用いた生殖腺サンプリングにおいて、調査に必要なサンプリング時期を定めるためには重要である。しかし、生殖腺ステージングで明らかとなった減数分裂開始時期は、卵巣発達過程においてかなり早い段階で起きており、この発達段階の卵巣を実体顕微鏡下で単離することはかなりの困難を要する。この対策として密度勾配遠心による卵巣細胞の分離が考えられ、本年度はパーコールを用いた生殖細胞の分離・純化技術の開発を遂行し、特定の密度分画における生殖細胞の分離が可能となった。
著者
市村 典久
出版者
名古屋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

Taurine up-regulated1 (TUG1)は複数の癌種で制御異常を認める長鎖非翻訳RNAであるが、口腔癌における機能は不明な点が多い。研究代表者はTUG1が口腔癌組織で高発現を認めること、TUG1のknock downにより癌細胞の増殖・遊走能が著しく減少することを既に確認しており、TUG1が口腔癌の発生・進展において、ゲノムとエピゲノムを繋ぐKey moleculeであると考えた。本研究は、動物実験や臨床検体による詳細な解析を加えることで、口腔癌に対するTUG1の抗腫瘍効果を明らかにし、新規治療法の開発へと繋げることを目的とする。
著者
白戸 圭一
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本政府の対アフリカ政策は、どのような動機に基づいて発案され、実行されてきたのか。特に、アフリカ54か国の首脳と日本の首相が5年に一度(2013年以降は3年に一度)一堂に会するアフリカ開発会議(TICAD)プロセスが1993年に始まって以降の対アフリカ政策は、いかなる外部要素に影響されながら形成され、変容してきたのか。これらの疑問に応える包括的研究は少なく、日本外交研究における一種の空白域となっている。本研究では、日本の対アフリカ関連の一次資料の収集と並んで、アフリカ政策の形成・実行に関わった政策当局者(政治家・官僚)にインタビューし、日本の対アフリカ外交の発展過程を分析するものである。
著者
田瀬 望
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

本研究の目的は、身分制・社団的編成・宗教に立脚する近世フランス王国の秩序が動揺し革命を経て近代へと移行する過程において、秘密社交組織フリーメイソン団が果たした役割をジェンダーの観点から解明することにある。そのために、近年フランスの内外で公開・発見された新史料群やエゴドキュメントを渉猟することで、18世紀フランスにおけるフリーメイソン団による女性受け入れの背景と様態、女性の受容と排除をめぐる男性メイソンの言説、女性メイソンの社会構成や団体における役割と活動を検討する。それにより男女の秘密結社史という新しい視座から、旧体制から近代への移行期の社会編成やソシアビリテのあり方を理解するすることを目指す。
著者
土畑 重人
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究では,進化生物学の主要な概念である社会進化と種分化の両理論を橋渡しする実証系を確立することを目標とし,社会性昆虫の一種アミメアリの同種内社会寄生者(裏切り系統)に着目した.集団遺伝学的な証拠から,裏切り系統は宿主たる協力系統から同所的に分化したと推定されたため,本年度はこの同所的な進化的分岐現象が可能となる生態学的・遺伝学的条件の理論的検討を主眼とした.報告者が作成したコロニーベース格子モデル(格子点には個体ではなくコロニーが入る;Dobata et al. in prep.)を発展させて,個体の協力形質の度合いが突然変異によって連続的に変化する進化シミュレーションを行った.コロニー内の個体数動態には,コロニー内の協力系統頻度に応じた公共財の利益,協力形質の程度に応じた個体へのコスト,コロニーサイズに応じた(負の)密度効果の線形結合で適応度を記述する一般化線形モデルを用い,階層ベイズ法を用いて野外データからパラメータを推定することで,計算が現実的な条件を反映するようにした.個体のコロニー間移出入,突然変異率とその表現型への効果については不明であるため,感度分析を行った.シミュレーションの結果,協力系統から裏切り系統が進化的分岐するかどうかは,コロニーの世代あたり分裂率,個体の世代あたりコロニー間移動分散率に大きく影響されることが明らかとなった.また,初期集団の協力形質の程度も進化的分岐の発生を左右するという結果が得られた.さらに,とりうる表現型の区切り幅(1回の突然変異で変化できる表現型の大きさ)を小さくするほど,進化的分岐が生じにくくなる傾向が得られたため,アミメアリの系においては,協力系統・裏切り系統の共存は何らかの断続的な表現型変化が関与している可能性が残された.モデルの単純化,解析的な取扱いが今後の課題であり,感染症のモデルを応用することを検討している.
著者
横田 祐美子
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

本研究はフランス現代思想において多くの文学者や哲学者が論じてきた思考の問題と、彼らが批判する主体概念との関係を、ジョルジュ・バタイユの思想を導きの糸として考察することを試みるものである。それによって本研究は、フランス現代思想における主体批判の内実を明らかにし、批判されている主体に代わって思考を担うのは誰/何なのかを考察する。ひいてはフランス現代思想において貶められてきた「主体」という語の地位をあらためて問い直し、この語の危険性を確認したうえでなお、この語が有する積極的な意味や可能性についても検討する。
著者
福山 佑樹
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究は,大学におけるキャリア教育の問題を扱う研究である.本研究では,学生が相互に支援を行うことでそれぞれのキャリアストーリーを構築する活動を実現するために,キャリア構築理論基づいたゲーム型協調学習教材「かってにハッピーエンドゲーム」を開発した.ゲームでは,他者の悩みをその人のポジティブなキーワードを用いて解決する活動を行い,ストーリーの出来映えで勝敗を競う.評価のために複数の大学で実践を行った結果,教材には事前から事後にかけて進路に対する不安が減少させ,複数の将来像を思い描かせる効果があることが分かった.
著者
中澤 光平
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

本研究の目的は、日本語の方言のうち、淡路方言が歴史的にどの方言と近い関係にあるかを明らかにすることと、西日本方言に分類される近畿方言、中国方言、四国方言それぞれの範囲を確定することである。淡路方言はこれまで近畿方言に分類されてきたが、兵庫県や和歌山県の諸方言とともに、京都や大阪などの近畿中央部の方言よりも、むしろ中国地方や四国地方の諸方言と歴史的に近い可能性が高くなった。そのため本研究では、歴史的な観点から方言の範囲を整理し直し、淡路方言と他の方言の歴史的な関係を明らかにするのに必要なデータを収集するため、近畿、中国、四国各地で、伝統的な方言の特徴を保持する高齢者へ調査を実施する。
著者
中岡 淳
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

本研究は、①比較法的な見地から、婚姻の自由と親の権利に関する「憲法上の権利」の規範内容に関する分析を行い、②その権利規範の分析を踏まえて、家族法の憲法適合性に関する日本の裁判例の判断枠組を再構成することを試みるものである。また、これらの権利概念の理論構築のために、③アメリカ法やドイツ法を比較研究の対象とすることで、これらの法体系においても、同性カップルの婚姻や親子関係の法的承認を契機として、婚姻や親子関係に関する法的理解に大きな変化が生じていることを描写する。
著者
池田 紘士
出版者
弘前大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究は、外来土壌動物の一般的な侵入及び分布拡大パターンを明らかにするために、日本からアメリカに侵入したとされるハタケミミズをモデルとした研究を行った。日本とアメリカのハタケミミズの遺伝子解析を行った結果、ハタケミミズが日本からアメリカに侵入したことを支持する結果が得られたが、日本国内およびアメリカ国内で遺伝的な分化が認められなかったため、日本のどの地域から侵入し、どのように分布を拡大したかについてはわからなかった。これについては、今後さらに研究を進めて明らかにする必要がある。また、本研究により、これまで知られていなかった別種のミミズも日本からアメリカへ侵入していたことが明らかにされた。
著者
江幡 知佳
出版者
立教大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

日本の大学において、学外への説明責任や教育改善への要請の高まりを背景として、主に量的アプローチを用いた学修成果の可視化が試みられている。だが、学生がどこで伸びたか/つまずいたか等、学修の過程をとらえ教育改善につなげるためには、質的アプローチに依拠した学修成果の可視化が必要といえる。そこで本研究は、一部の大学で作成・活用が試みられている教育プログラムレベルのディプロマ・ポリシー(DP)ルーブリックに着目し、①学生の学修の過程をとらえるためにDPルーブリックの作成・活用にいかなる工夫が必要か、②学修の過程をとらえることがどのように教育改善につながるかを、事例研究等に基づき明らかにすることを試みる。
著者
井芹 俊太郎
出版者
神田外語大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

大学のInstitutional Research(以下、IR)活動を大学経営や教学マネジメントへ活かすことへの関心が高まっている。本研究は、情報の受け手の観点から、IRにおいてどのような情報を、どのように活用しているか、またその結果として大学がどのように改善しているのか等を明らかにすることを目的とする。また、情報の受け手の中でもとりわけ、機関全体に係る意思決定を担う大学の上級管理職者の観点から大学のIRを捉えることに関心がある。この研究の成果は、①IR組織の構築、②IR人材の育成、③大学のマネジメントという3つの研究と実践の発展を通じて、大学の教育・経営機能の向上に資することが期待される。
著者
鈴木 紀子
出版者
京都産業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

研究者の研究活動活性化の支援を目的として日本にURA制度が導入されて10年が経過し、現在、国内の研究機関に約1,500人のURAが配置されている。これまでURAのキャリアについては、着任前の職種に主眼を置いた大規模な調査研究が行われてきた。しかし有期雇用が半数以上を占めるURAのキャリアパスの実態を知るには、前職の調査研究だけではなく、後職、すなわちURAが別の研究機関・職種へと異動・転職する過程にも着目する必要がある。そこで本研究では、URA経験者にインタビュー調査を行い、着任前後を通してキャリアを分析することで、URAの定着性、研究機関間の流動性、キャリアパスの多様性を明らかにする。
著者
上條 菜美子
出版者
東京成徳大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究は,「ネットワーク」という観点を取り入れ,実際にネットワーク図の描写を求める手法を用いて,ストレスフルな体験への意味づけの構造を明らかにすることを試みた。研究1では20代から60代の男女121名を対象に,過去に起こったストレスフルな体験についてネットワーク図の描写を求めた。その結果「意味づけをしている」と回答した者は,図中でその出来事が解決に至るまでの過程を描いたり,肯定的な内容のノードを含んでいたりする傾向があった。研究2では,20代から60代の男女約404名を対象に,ネットワーク図の描写が意味づけに及ぼす影響について検討した。実験群と統制群の間で比較を行ったが,効果はみられなかった。