著者
加納 亜由子
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究の目的は、近世後期豪農の非相続人(当主の弟)の家族役割を再検討することである。先行研究で「一人前として扱われない」ながらも「当主の代理・補佐」的な立場であった可能性があると指摘されている点に着目し、一次史料に基づいて再検討を行った。その結果、当主の弟は、「家」内部では「当主の代理・補佐」的な役割を果たすことが可能であったが、公的行為の主体になることはできないかったことを明らかにした。近世社会における非相続人の家族役割とその限界を具体的に明らかにし得たことで、これまで当主を中心に語られてきた近世の家族役割の見直しが進むことが期待される。
著者
杉村 めぐる
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

平成26年度において、雇用調整を目的としたいじめに対する労働組合の取組みに関するヒアリング調査を行った。具体的なヒアリング先は、港合同、名古屋ふれあいユニオン、おおだてユニオン、なかまユニオン、ソニー労働組合仙台支部である。ヒアリングでは、①どのようないじめが行われたか、②いじめに対して労働組合としてどのように取り組んでいるか、③解決に向けた今後の課題の3点を中心に、労働組合執行部およびいじめ被害者を対象に調査した。組合執行部だけでなく、いじめ被害者もヒアリングできたことは、大きな成果であるといえる。具体的な成果物は「雇用形態間格差は『労ー労対立』か」『研究論叢』52(2)である。
著者
松岡 常吉
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

噴流間の距離が衝突噴流群による固体燃焼の燃焼速度におよぼす影響を明らかにすることを目的として,スリット間隔の異なるノズルを用いて実験を行い,以下のことを明らかにした.・水平方向の燃焼速度分布はスリット間隔によって大きく変化することを示した.間隔が広い場合には燃焼速度が最大となる位置がスリット直下より外側にずれることを示した.・燃焼速度のレイノルズ数依存性を明らかにした.燃焼速度は,非燃焼の場合のよどみ領域と同様,レイノルズ数の0.5乗に比例して大きくなることを示した.一方,スリット間隔が広いときのスリット直下の燃焼速度はレイノルズ数の0.8乗に比例することを示した.
著者
多田 純一
出版者
大阪芸術大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究は、日本人としてはじめてピアノリサイタルを行い「ショパン弾き」と呼ばれた澤田柳吉(1886-1936)の音楽活動について調査し、彼の音楽活動の意義を考察した研究である。各機関が所蔵する明治期から昭和初期の音楽雑誌、遺族所蔵の資料、出版譜、手稿譜、音源資料(SPレコード)、ピアノロール、コンクールの審査記録、海外(台北およびサンフランシスコ)における活動記録といった幅広い資料から、彼の音楽活動が洋楽受容の黎明期においてパイオニアとしての役割を果たしていたことが明らかになった。研究成果は論文2件、研究発表3件、レクチャーコンサート3件、著書1件、CD制作1件として発表した。
著者
山本 誉士
出版者
国立極地研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

近年、気候変動による海洋生態系への影響が懸念されている。だが、その動態を広範囲かつ連続的に観測することは難しい。そこで、本研究では海洋生態系の高次捕食者である海鳥・オオミズナギドリにデータロガーを装着・回収することで、様々な海域(亜熱帯~亜寒帯)において彼らの採餌行動から生物資源ホットスポットを特定し、その形成の特徴を明らかにした。また、採餌域と海洋環境の相関からハビタットモデルを構築し、今後予測される水温上昇シナリオに対する彼らの応答を明らかにした。本研究の結果から、オオミズナギドリの採餌行動を指標とすることで、日本周辺海域における海洋生態系動態のモニタリングが可能であることが示唆された。
著者
木村 力央
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、カンボジアのNGOリーダーはフォロワーによりよく仕えるために、どのようにリーダーシップを変革するかを考察し、以下のような発見があった。リーダーは、危機的な出来事やその他の経験を受け入れる用意があり、またそのような経験を進んで省察する態度が必要である。特に、これまで当然と考えてきた仮定や前提を吟味することが要求される。そのような振り返りから生まれた新しいリーダーシップのモデルを、自分が置かれている状況のなかで実験的に試みることにより、どのモデルがフォロワーに仕えるのに適しているかを判断することができる。
著者
島 義弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

内的作業モデルの個人差が情報処理(表情認知)にバイアスを生じさせ,情報処理(表情認知)バイアスが社会的適応に影響を与えるという仮説の検証を行った。最初に表情認知の個人差を測定するための刺激セットの作成を行った。続いて,この刺激セットを用いた実験と,内的作業モデルと社会的適応を測定するための調査を行った。その結果,内的作業モデルが不安定であるほど(1)ネガティブ表情の判断が速く,(2)実際とは異なるネガティブな情動が表出されていると判断しやすい,(3)ネガティブ情動の読み取りが多いほど適応感が低い,という傾向が認められた。
著者
眞壁 幸子
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

寒冷地において、人工股関全節置換術(THA)を受ける患者のQOLを検証した。質的調査では、THA患者において、冬の寒さによる痛み、転倒、日常生活における困難、身体活動量の低下がみられることが明らかになった。これをふまえて、北日本と南日本でアンケート調査を行った。また、身体活動量尺度も開発し、信頼性・妥当性が確認された。
著者
李 妍淑
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究では、中国において唯一公認された女性団体である婦女聯合会を素材に、ジェンダー政策推進過程における「婦聯」の役割を戦後台湾の女性政策と比較検討し、中国におけるジェンダー政策にみられる特徴の解明を試みた。中国の「婦聯」は、共産党の指導を前提としている組織として強い政治的性格を持ち、国家のジェンダー政策推進過程においては、党の「別働部隊」としての役割を果たしてきた。また、「婦聯」はジェンダー問題を女性固有の問題として捉え損ねているため性別役割分業を維持し、それが国家の政策とも共鳴することで、結果的に固定化されたジェンダー構造を生み出すことになった。
著者
高井 奈緒
出版者
日本女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

『日記』を精査した結果、衣服と織物をゴンクール兄弟が作品の中で頻繁に喚起し、また愛好したのは、それらが彼らが作品によって目指したもの2つを同時に表現しうる特権的な物質であるからであったという結論に至った。そのうちの1つは、歴史家として、小説家として、あるがままの19世紀後半の現代社会の生理学を描くこと。もう1つは、芸術家として色彩の美しさや調和を表現することである。彼らは衣服と織物のもつこれらの特徴を『日記』に迅速かつ敏感に捉えてメモし、その後さらに考察を加え、そしてより確信をもって、小説などの作品において表象したのである。
著者
照井 優一
出版者
昭和大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

ナノジルコニアの表面処理の影響と陶材の熱膨張係数(CTE)が焼付け強さに与える影響を明らかにするため,ナノジルコニアに対し各種表面処理を行い,表面性状の評価とX線回折分析による結晶状態の同定を行うと共に,市販の4種類のジルコニア専用陶材と,ボディ陶材のCTEだけを変化させた3種類の試作陶材(CTE 9.0, 9.5, 10.0)での焼付強さを測定した.破断後の試験片に対しSEM観察ならびにEPMA分析を行い,ナノジルコニアとライナー陶材間の親和性も検討した.その結果,ナノジルコニアのCTEを境に,僅かに低いCTEを持つ陶材が,他の2種と比較して有意に高い陶材焼付強さを示すことが分かった.
著者
大原 亮
出版者
京都府立医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

我々はラットの海馬神経細胞の分離培養の実験で、軸索損傷後に新たな軸索が生じる現象(軸索新生)を認め、さらにp-stat3が損傷シグナルとして逆行性軸索輸送により細胞体まで運搬され軸索新生を引き起こすことを確認した。脊髄損傷モデルラットを用いたin vivoの実験では、ウェスタンブロッティング法を用いた解析では、損傷部、損傷より吻側部のいずれにても、p-stat3の発現上昇を認めた。この結果から、p-STAT3が逆行性軸索輸送により運搬されている可能性が示唆された。しかし、神経回路の可塑性に関与しているかについてはさらなる研究が必要である。
著者
野口 久美子
出版者
同志社大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究では、2カ年にわたる現地調査と文献調査の結果、19世紀末から20世紀初頭のトュール・リヴァー保留地において、複数部族からなる先住民部族集団が単一の政治形態を形成する過程と、それに伴う部族内経済格差の構築過程について歴史的分析を加えた。結果として、現代の部族社会と経済発展の基礎となる再組織法型部族政府(トュール・リヴァー部族政府)が、いかにして構築されたのか、その歴史的背景が明らかになった。
著者
立石 洋子
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

フルシチョフ期のソ連における自国史像の変遷を分析課題とした。なかでも歴史家の関心を集めた1)北カフカース史の描写をめぐる議論と、2)歴史家の論争の中心となった学術誌『歴史の諸問題』誌の活動を中心に検討を進めた。1)に関する研究成果まず、同時期の政治改革の過程では共産党史だけでなく自国史の解釈も大きな論争点となったこと、特に北カフカースを中心とする非ロシア人地域の歴史とロシア史との関係が歴史家の議論を集めたことを明らかにした。そのうえで、19世紀の北カフカースで起こった対ロシア蜂起であるシャミーリの反乱について、1953年のアゼルバイジャン共産党第一書記バギーロフの逮捕が歴史家の論争の始まりの契機となったこと、また1957年のチェチェン・イングーシ自治共和国の再建が、この史実に対する公式見解の方向性を決定づける重要な要因となったことを明らかにした。2)に関する研究成果『歴史の諸問題』誌の活動を、1953年に編集長となった歴史家パンクラ―トヴァの活動を中心に分析した。まず、1953年の編集部の改組が科学アカデミーの決定に基づくものであったことを指摘し、そのうえで同誌編集部が、読者会議の開催や討論用論文の掲載を通じて歴史家と社会の論争を促していった過程を分析した。これに加えて、共産党中央委員であり、最高会議代議員でもあったパンクラートヴァのもとには、スターリン時代に政治的抑圧を受けた多数の知識人の名誉回復と釈放を求める市民からの訴えが多数寄せられていたことを明らかにした。さらに、社会に対して公的歴史像の変遷を説明する役割を担った彼女が、スターリン期の歴史学の役割に対する社会からの批判と、政治指導部に対する市民の批判の高まりを警戒した党指導部による統制の狭間で苦悩するさまを跡付け、従来の研究が着目してこなかったソヴィエト体制下の知識人の一側面を指摘した。
著者
若林 律子
出版者
東海大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者におけるセルフマネージメントに関する情報量が、呼吸器を専門とする医療機関(カナダ、日本)と総合病院(日本)おいて異なるか検討を行った。これら3つの医療機関では、セルフマネージメントの情報量に違いが認められた。今回の研究結果から医療機関によって患者のセルフマネージメントに関する情報量は異なり、医療機関によってセルフマネージメントプログラムの質が異なる可能性が示唆された。
著者
渡邉 英博
出版者
福岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

クロオオアリの社会形成において重要な役割を果たす、巣仲間識別の神経機構を解析した。第一に、揮発させた体表物質を手掛かりにアリが巣仲間を識別することを行動学的に発見した。この研究結果をふまえて巣仲間識別に関わる触角感覚子よりインパルス応答を記録し、内在する感覚細胞の嗅覚刺激に対する応答特性を調べた。また、巣仲間認識機構の神経基盤となる脳内領域を一次嗅覚中枢および高次嗅覚中枢で同定し、これらの領域の有無を他種の膜翅目昆虫と比較解析することにより膜翅目昆虫の社会性の進化過程について考察した。
著者
馬 子驥
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究では圧縮センシングに基づく事前等化方式を用いて、無線携帯端末の消費電力を削減することである。アップリンクにおけるより少ないパイロットを用いて、受信側の伝搬路情報を送信側にフィードバックするという新たな方式を提案した。圧縮センシングのアルゴリズムを用いて、極少なパイロット信号に基づく伝搬路推定の手法を提案して、高精度な伝搬路推定を示した。圧縮センシング法はナイキスト定理より少ないサンプリング信号からオリジナル信号を復原する可能で、注目されている新技術である。元々画像処理などの領域に応用されている方法だが、今度無線通信に利用して伝搬路推定の精度を向上させることができるを示した。また、推定結果により線形事前等化方式を用いて、受信側の伝搬路推定や信号等化などの信号処理用の電子回路を省略可能である。だから、消費電力を大幅に削減する効果を達成することを目標とした。シミュレーションの結果においてこの性能はもう明らかにした。更に、ビット誤り率をはじめ、演算量や安定性などの高品質的な受信性能を維持することは示した。提案した方式をまとめて、論文を出したし、学会発表を通じて、国内外の研究者に周知した。これから、現状よりもっと改善して、特に演算量を少し削減して、特許の出願を目標とする。
著者
壁谷 典幸
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

量子臨界点(量子揺らぎによって引き起こされる臨界点)を2点持つ特異な希土類化合物について、その起源を明らかにするための研究を行った。量子臨界点への到達の方法として圧力の印加と元素の置換をを用いた。臨界揺らぎの情報を得る手段として圧力下物性測定手法の開発を行い、比熱測定装置を完成させた。圧力印加による量子臨界点へのアプローチでは、反強磁性転移と見られる電気抵抗の異常を見出した。また元素置換によるアプローチでは、量子臨界点の近傍に位置する単結晶試料の育成に成功し、低温で比熱が対数的に増大する振る舞いを見出した。
著者
白石 三恵
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

ヘルスビリーフモデルを活用した妊娠中期の栄養指導介入により、介入群ではたんぱく質、ビタミンB6、ビタミンB12のエネルギー調整栄養素摂取量が妊娠中期から妊娠末期に増加する傾向が見られ、n-6系多価不飽和脂肪酸は減少する傾向が見られた。しかしながら、妊娠中期から妊娠末期の栄養素摂取に有意な変化が見られた栄養素はなかった。一方で血中濃度については、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、葉酸、25-ヒドロキシビタミンDが、介入群では対照群に比べ、妊娠末期に有意な増加が見られた。今後は、栄養素摂取量・血中濃度の向上に最も効果的である介入時期、介入回数を検討する必要がある。
著者
高木 潤野
出版者
長野大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-27)

音韻表象の不完全さが、ダウン症児の構音の誤りの一貫性の低さや発話の不明瞭さに関わっている可能性が指摘されていることから、目標とする語からの異なり方の大きい刺激と小さい刺激を用い、ダウン症児・者がどのような反応を示すかを検討した。その結果、正答率は「異なりなし条件」90.5%、「異なり小条件」19.0%、「異なり大条件」52.4%であった。このことから、ダウン症児・者は誤り方の大きいものと比較して誤り方の小さいものでは誤りを認識することが困難であることが明らかとなった。これは、ダウン症児・者の音韻表象が不完全であることによる可能性が考えられた。また音韻表象の不完全さはダウン症児の一貫性の低い構音の誤りや発話の不明瞭さの要因の1つである可能性が示唆された。