著者
三宅 芙沙
出版者
名古屋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

樹木年輪中放射性炭素14(14C)濃度の単年測定から、西暦774-775年と西暦993-994年に急激な宇宙線増加イベントが見つかった。これらイベントの原因として有力なのは、太陽フレアやコロナ質量放出によって引き起こされるSolar Proton Event (SPE)と呼ばれる現象と、ガンマ線バーストである。本研究の目的は、宇宙線イベントの原因を追究し、さらに14C濃度の測定範囲を拡張させ、さらなる宇宙線イベントを検出することである。平成26年度は、14Cイベントの原因を特定するために、南極ドームふじアイスコア中のベリリウム10(10Be)濃度の単年測定を行った。775年前後に該当するアイスコア中の10Be濃度測定により、バックグラウンド変動に対して明らかに大きな10Be濃度増加を検出した。Pavlov et al.(2013)によると、仮に10Be濃度の増加が確認された場合、原因はガンマ線バーストではないと見積もられている。本研究の10Be濃度測定から、明らかな10Be増加が確認され、原因に対する制約を与えた。この成果は、Miyake et al. GRL(2015)に発表した。また、14C濃度の測定期間を延長するため、さらに長期にわたる樹木サンプルが必要となる。世界有数の長期間樹木コレクションを保持するアリゾナ大学の年輪研究所とAMS研究所グループとの共同研究を開始した。平成27年1月から、長期間アリゾナ大学に滞在し、アリゾナ大サンプルを使用して14C濃度測定を開始した。
著者
末森 薫
出版者
国立民族学博物館
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

中国甘粛省の麦積山石窟および敦煌莫高窟の壁画を対象として、1)壁画彩色材料光学情報の可視化、2)壁画制作材料・技法の非破壊分析、3)千仏図描写法の解析を進めた。1)では、狭帯域LED光源を用いた光学調査法を確立し、壁画表面の光学情報の抽出に有用であることを明らかにした。2)では、X線回折分析、蛍光X線分析、顕微鏡観察により、麦積山石窟壁画片に用いられた彩色材料や技法を同定・推定した。3)では、敦煌莫高窟の北朝期(5~6世紀)に描かれた千仏図が持つ規則的な描写表現を解析し、石窟空間における千仏図の機能を明らかにするとともに、千仏図の変遷より北朝期の石窟造営の展開について一考を提示した。
著者
ウィルソン ドナルド
出版者
産業医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

我々の実験結果が示唆するには、二酸化チタン粒子の溶かし方及び分散方法は粒子の赤血球や他の細胞への毒性に影響を与える。だから、的確な、そして標準な分散方法を使用して、もっと安定した粒子懸濁液(suspension)を用意する必要がある。現在まで行って来た二酸化チタンによる溶血の実験の結果が示すのは、二酸化チタン粒子のどの種類も溶血を起こす。さらに認められたことは、ヒト赤血球の場合は、二酸化チタンの粒子サイズより結晶構造が細胞障害を起こすのに、もっと大きい要因であると考えられます。この溶血に酸化ストレスの関与を検討するにはグルタチオンの影響及び脂質の過酸化を調べたが酸化ストレスの関与は確定出来ていない。電気泳動の結果、赤血球膜上に存在している低分子タンパク、コフィリン、の発現が抑制されることが示唆されたが結果に終始一貫的な再現性が見れなかったため、コフィリンを含む膜タンパクの同定には至っていない。A549 肺胞上皮細胞に曝露させた二酸化チタンの2種類の微粒子は用量依存性にアポトーシスを誘発し、IL-8 mRNAとIL-8タンパクの遊離をがわずかながら増加し、NF-kB DNA 結合の変化はなかった。
著者
伊藤 亜聖
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究プロジェクトでは、中国沿海部に集中してきた製造業が、2000年代後半以降にどのような変化を遂げつつあるかを、産業立地に注目して検討した。地域・産業データを用いた分析の結果、沿海部の産業集積地での「集積の経済性」の発生と、労働集約的産業の内陸部への移転は同時に観察された。このことから、中国製造業は、沿海部での規模を維持しつつも、内陸部へと取引ネットワークと立地が拡散しつつあったと言える。地域別貿易データの分析からも、中国中西部の輸出額の急増が確認され、とりわけエレクトロニクス製品の組み立てを担うEMSの移転が大きなインパクトをもたらしていることが判明した。
著者
吉田 ゆか子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

モノをめぐるバリの信仰や禁忌、モノの物質的特徴、そしてバリから持ち込まれたという履歴が、バリを離れた土地においても、芸能実践に影響を与える。すべてのグループが、楽器や仮面へ供物を捧げる。人々の楽器、仮面、冠に対する愛着や敬意や神聖視するような態度は、モノの取り扱い方法を規定するだけでなく、彼らの活動を精神的に支えたり、バリ文化を味わう契機となったりしている。またバリから運ばれた楽器や仮面や衣装は、上演に真正性を付与する。他方、それらのモノは当該地で変化もこうむる。例えば現地の宗教的文脈のなかで、新たに意味づけられたりする。新たな技術や伝統的な工芸技術を取り入れた創作の試みも行われている。
著者
大石 直樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

加齢性難聴の病態を、有毛細胞が障害される感覚細胞障害型と、らせん神経節細胞死による神経障害型モデルに分け解析した。それぞれのモデル動物に対して、小胞体ストレスをブロックする薬剤TUDCAを長期投与した。その結果、感覚細胞障害型モデルではTUDCAの治療効果は認められなかった。一方、神経障害型モデルでは、TUDCA投与により難聴の進行が統計学的に有意に抑制される傾向を認めた。小胞体ストレスの予防が加齢性難聴の進行を抑制させる可能性について、意義のある結果が得られた。
著者
関根 亮二
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

申請者は、初期発生で重要な遺伝子発現パターンの非対称化がNodal-Leftyシグナル系のみで可能なのか、そのパターンの形成に重要な要素は何なのかという疑問をもった。本研究は、Nodal-Lefty系を培養細胞内へ再構成し、非対称パターン形成が再現できるかどうかの検証を通じて、その疑問に答えることを目的としている。申請者は、人工Nodal-Lefty系を培養細胞(HEK293細胞)に導入し、小さな高Nodal発現領域の自律的な形成を確認し、さらにNodal伝播の亢進によりより大きな発現領域の形成を実現した。さらに、Lefty2による抑制力の向上によるさらなるパターンの改善の糸口もつかんだ。
著者
久松 洋介
出版者
東京理科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

TRAILは、細胞膜上に発現するデスレセプター(DR)に結合し、がん細胞選択的にアポトーシスを誘導する。本研究では、Ir錯体にDR結合性ペプチドを導入した化合物を設計・合成し、がん細胞に対する細胞死誘導活性評価とイメージングを行った。その結果、Jurkat細胞を用いた染色実験で、DR5結合性ペプチドを導入したIr錯体由来の緑色発光が、DR5を発現する細胞膜上で観察された。さらに、フローサイトメーターを用いて、Jurkat細胞、Molt-4細胞、K562細胞に対するIr錯体の結合量を評価した結果、DR5発現量と相関性が示唆された。現在、細胞死誘導活性の向上を指向し、化合物の最適化を検討している。
著者
吉川 順子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

ジュディット・ゴーチエは19世紀後半から20世紀初頭に文学作品を通してフランスに日本文化を伝えた作家である。本研究はその日本関連作品の全体像を構築し、第一作小説『簒奪者』の生成過程の解明を進めた。その結果、日本に関連する行事に触発された執筆、日本の神話や文学への関心、同時代的な問題の投影、身近な資料の駆使といった特徴を見出すことができた。これにより、各作品の源泉調査および時代背景との関連性の考察を行っていくための基盤が作られた。
著者
名波 正義
出版者
兵庫医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

糖尿病性腎症(DN)の尿細管間質病変は腎予後と深く関連している。本研究ではDNの尿細管障害過程における細胞内鉄代謝の関与を検討した。2型DNモデルマウス(db/db)の近位尿細管において、鉄取り込み蛋白であるトランスフェリン受容体1(TfR1)、二価金属イオン輸送体1(DMT1)の発現亢進、ミトコンドリアにおける鉄シャペロン蛋白であるフラタキシンの発現抑制およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)活性の低下が認められた。以上の結果から、DNでの近位尿細管における細胞内鉄輸送異常とミトコンドリアでの鉄代謝および酸化ストレス制御障害が尿細管障害過程に関与している可能性が示唆された。
著者
佐々木 睦子
出版者
香川大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

双胎妊婦と双子の母親に,妊娠中の胎児への思いと要望についてインタビュー調査した.結果より,双胎妊娠中は,双子に関する制度や出産育児情報の提供,さらには双子をもつ母親との交流等,双胎妊娠中の心理的特徴を考慮した支援の必要性が示唆された.また,要望に沿って保健指導に活用できる,双胎妊娠・分娩の経過,異常の早期発見,多胎育児準備チェックリスト,産後のサポートに関する情報パンフレットを作成した.さらに,双胎妊婦と双子の母親の交流の場作りをめざして,地域の多胎児子育て支援団体と連携を続けている.
著者
呉屋 淳子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

近年では高等教育機関で伝統芸能を修練しながら、芸能活動を展開している様子がみられる。そのような彼らの実践には、伝統芸能に対する捉え方や価値観の変化がみられ、新しい伝統芸能を創出した。しかしながら、芸能を実践するにあたって「伝統」と「創作」のはざまで揺れ動いている様子も見られた。同時に、伝統文化の継承を担う彼ら自身は芸能の中で「沖縄らしさ(Okinawaness)」をいかに表現するかという問いに向き合っていた。
著者
加納 亜由子
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究の目的は、近世後期豪農の非相続人(当主の弟)の家族役割を再検討することである。先行研究で「一人前として扱われない」ながらも「当主の代理・補佐」的な立場であった可能性があると指摘されている点に着目し、一次史料に基づいて再検討を行った。その結果、当主の弟は、「家」内部では「当主の代理・補佐」的な役割を果たすことが可能であったが、公的行為の主体になることはできないかったことを明らかにした。近世社会における非相続人の家族役割とその限界を具体的に明らかにし得たことで、これまで当主を中心に語られてきた近世の家族役割の見直しが進むことが期待される。
著者
杉村 めぐる
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

平成26年度において、雇用調整を目的としたいじめに対する労働組合の取組みに関するヒアリング調査を行った。具体的なヒアリング先は、港合同、名古屋ふれあいユニオン、おおだてユニオン、なかまユニオン、ソニー労働組合仙台支部である。ヒアリングでは、①どのようないじめが行われたか、②いじめに対して労働組合としてどのように取り組んでいるか、③解決に向けた今後の課題の3点を中心に、労働組合執行部およびいじめ被害者を対象に調査した。組合執行部だけでなく、いじめ被害者もヒアリングできたことは、大きな成果であるといえる。具体的な成果物は「雇用形態間格差は『労ー労対立』か」『研究論叢』52(2)である。
著者
松岡 常吉
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

噴流間の距離が衝突噴流群による固体燃焼の燃焼速度におよぼす影響を明らかにすることを目的として,スリット間隔の異なるノズルを用いて実験を行い,以下のことを明らかにした.・水平方向の燃焼速度分布はスリット間隔によって大きく変化することを示した.間隔が広い場合には燃焼速度が最大となる位置がスリット直下より外側にずれることを示した.・燃焼速度のレイノルズ数依存性を明らかにした.燃焼速度は,非燃焼の場合のよどみ領域と同様,レイノルズ数の0.5乗に比例して大きくなることを示した.一方,スリット間隔が広いときのスリット直下の燃焼速度はレイノルズ数の0.8乗に比例することを示した.
著者
多田 純一
出版者
大阪芸術大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究は、日本人としてはじめてピアノリサイタルを行い「ショパン弾き」と呼ばれた澤田柳吉(1886-1936)の音楽活動について調査し、彼の音楽活動の意義を考察した研究である。各機関が所蔵する明治期から昭和初期の音楽雑誌、遺族所蔵の資料、出版譜、手稿譜、音源資料(SPレコード)、ピアノロール、コンクールの審査記録、海外(台北およびサンフランシスコ)における活動記録といった幅広い資料から、彼の音楽活動が洋楽受容の黎明期においてパイオニアとしての役割を果たしていたことが明らかになった。研究成果は論文2件、研究発表3件、レクチャーコンサート3件、著書1件、CD制作1件として発表した。
著者
山本 誉士
出版者
国立極地研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

近年、気候変動による海洋生態系への影響が懸念されている。だが、その動態を広範囲かつ連続的に観測することは難しい。そこで、本研究では海洋生態系の高次捕食者である海鳥・オオミズナギドリにデータロガーを装着・回収することで、様々な海域(亜熱帯~亜寒帯)において彼らの採餌行動から生物資源ホットスポットを特定し、その形成の特徴を明らかにした。また、採餌域と海洋環境の相関からハビタットモデルを構築し、今後予測される水温上昇シナリオに対する彼らの応答を明らかにした。本研究の結果から、オオミズナギドリの採餌行動を指標とすることで、日本周辺海域における海洋生態系動態のモニタリングが可能であることが示唆された。
著者
木村 力央
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、カンボジアのNGOリーダーはフォロワーによりよく仕えるために、どのようにリーダーシップを変革するかを考察し、以下のような発見があった。リーダーは、危機的な出来事やその他の経験を受け入れる用意があり、またそのような経験を進んで省察する態度が必要である。特に、これまで当然と考えてきた仮定や前提を吟味することが要求される。そのような振り返りから生まれた新しいリーダーシップのモデルを、自分が置かれている状況のなかで実験的に試みることにより、どのモデルがフォロワーに仕えるのに適しているかを判断することができる。
著者
島 義弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

内的作業モデルの個人差が情報処理(表情認知)にバイアスを生じさせ,情報処理(表情認知)バイアスが社会的適応に影響を与えるという仮説の検証を行った。最初に表情認知の個人差を測定するための刺激セットの作成を行った。続いて,この刺激セットを用いた実験と,内的作業モデルと社会的適応を測定するための調査を行った。その結果,内的作業モデルが不安定であるほど(1)ネガティブ表情の判断が速く,(2)実際とは異なるネガティブな情動が表出されていると判断しやすい,(3)ネガティブ情動の読み取りが多いほど適応感が低い,という傾向が認められた。
著者
眞壁 幸子
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

寒冷地において、人工股関全節置換術(THA)を受ける患者のQOLを検証した。質的調査では、THA患者において、冬の寒さによる痛み、転倒、日常生活における困難、身体活動量の低下がみられることが明らかになった。これをふまえて、北日本と南日本でアンケート調査を行った。また、身体活動量尺度も開発し、信頼性・妥当性が確認された。